金田一一×浅香奈々〈ぱとりしあ〉。
金田一少年の事件簿の主人公はじめと同作ノベルスアニメ版設定の電脳山荘殺人事件に登場する〈ぱとりしあ〉の恋愛。
時系列的に一番最初に当たる話は拙すぎる文だった為にお出しできないので分かりづらい話となりますが。原作アニメと異なる動きを見せたはじめが〈ぱとりしあ〉を救う形となり彼女と結ばれた以降という話になっております。
裏設定に村上草太×七瀬美雪のCPも有ります。
御批判、御批評、御感想、遠慮なく頂けると嬉しいです。
営み
電脳山荘殺人事件後。
そもそもの発端となったある一人の青年の不審死事件を誘発させたメンバーの内生き残った者は皆それぞれ自首して、警察の事情聴取を受けたが、電脳山荘のメンバーが行ったのは偶然に偶然が重なったように受け取れるという、文字通りの完全犯罪であった。
その為に誰一人として罪に問われることなく解放され平穏な日常へと戻っていったが、罪を償う機会を与えられることが無かった彼らは皆一生悔い続けることになるだろう。
無論、自分達の犯した罪の重さを自覚した生き残りのメンバー達は殺人事件の犯人の前で、自らに出来る形で必ず贖罪していくと誓ったが一度結論を出した警察の決定が覆ることが無いのは明白である。
しかし、公判中の犯人への面会を申し出、足繁く通っては謝罪と後悔を伝え続けた彼らに「もういい」と一言告げた犯人の言葉が、たとえ彼らを許せずとも悔い改めるその気持ちは受け入れるというメッセージとなったことが、彼らにとって唯一の救いであったと言えるのかも知れない。
そんな一応の解決をみてより暫く。はじめはあの山荘のコテージにて肉体的な関係を持った電脳山荘メンバーの一人〈ぱとりしあ〉こと浅香奈々との交流を続けていた。
彼女は事件の推移を鑑みるに殺されていた可能性が限りなく高かった。二度と生きては会えぬやも知れなかった女性であった。
何故ならばメンバーを三人、厳密には四人も殺害した犯人が次に殺そうと企図していたのが彼女なのだから。
奈々が助かったのは事件解決の手掛かりとなる物を自身が持っているとはじめに話していたこと、その事に尽きるだろう。
同時に「自分に何かあったときは」という彼女の言葉に一度は引いていたはじめが考えを改めたことも大きな要因だった。
『何かあってからではダメだ』
何かあってからというのは、彼女の身に何か起ったとき。つまりは彼女が襲われたときか、或いは最悪彼女が死んだときを意味している。
そこへと考えが行き着いた以上はじめがその“何かがあったとき”の状況が作り出されることを由とするはずがない。
雪が吹き付ける危険な暗い夜道の中を歩いて彼女が宿泊していたコテージへと足を運んだのは、事件の原因解明とそれ以上に彼女を助けたい、死なせはしないという決意の表れだった。
彼がその途上において、後に犯人として暴かれる事となった電脳山荘のある一人のメンバーと出会した事で犯人による浅香奈々殺害を未然に防ぐことが出来たのだから、奈々にとってはじめは正しく命の恩人であると言えよう。
そして程なく、殺人事件を誘発させた原因と、奈々の身の上を知ったはじめは、彼女の荒んだ心を癒す為にも必要であったが故に、彼女に望まれるまま事に及んだ。
自分など殺されても当然だという奈々。しかし、はじめは奈々の命も大切な命だと諭す。
俺は奈々が死んだりしたら悲しい。奈々は穢れてなんかいない。
幾度も語りかけて彼女の考えを否定し、そして命を育む大切な行為を行う事で、命の大切さと貴女の身体は穢れてなどいないのだと教え。
また自身も命を繋ぐ行為の大切さを噛み締めながら、深く深く身体の奥底まで繋がり求め合った。
はじめにとっては生まれて初めてのセックスとなった訳だが、性的な欲求よりも彼女を気遣いその心を救いたいという思いが強く表出した行為は、身体だけではなく心もしっかりと重ね合わせる交わりとなり、終始幸福感に包まれたまま心地の良い一時を共有することになる。
抱かれることで彼の優しさに触れた奈々も、己が胎内に何度となく解き放たれる精を感じながら、彼というの存在に救われ、前向きに生きていく決意を抱く。
自分にも大切だと言ってくれる人が居る。支えてくれると、傍に居てくれると言い、優しくも力強く、労るように抱いてくれた金田一一という少年が。
だからこそ彼女も、内にこもって嘘の世界へ逃げるのはやめた。 彼に諭されたその通りに。現実で生きていくと心を改めることが出来たのだ。
そして電脳山荘の事件……いや、二人が身体を重ね求め合ったあのコテージでの出来事から一月後。
警察沙汰を起こした事で勤めていたクラブのホステスを辞めさせられ、今はコンビニのアルバイトをしている奈々は、現実を見て生きると決めた彼女は、自分を救ってくれたはじめに申し出る。
これからもずっと今の関係を続けて欲しいと。
『あたしの事を大切だと言ってくれた金田一君とこれからもお付き合いをしたい……、あの山荘で命の大切さを教えてくれた……、これからも支えてくれるって、優しく抱いてくれた君との関係をあれで終わりにしたくないの……』
切実な想い。それはもう彼女の信じられる人が彼しか居ないからだった。
彼という本当に信じられる人と出会えたからこそ、彼女は傍に居て欲しかったのだ。居続けて欲しかったのだ。
家族でもなく、友人でもない。偽りと逃避ばかりの毎日の中でようやく巡り会えた心から信じられる男性に、金田一一という少年に。
『俺が浅香さんの支えになれるなら願ってもないことだよ。約束しただろ? 一人で生きていけないなら、俺なんかでよければ支えになるってさ』
申し出られたはじめも彼女を快く受け入れ、そして二人の交流は始まる。
無論それは友人としての付き合いというだけではなく、性的な関係も含めた上での付き合い。
言葉だけの、上辺だけの付き合いなどに意味はない。互いの身体を重ねて文字通りの深い付き合いをすることこそが大切。
こんなにも深い仲の、何でも話し合える人間が傍に居る。それを忘れないで欲しいと。また忘れたくないからと。
二人は身体の奥深くまで一つになりしっかりと抱き合いながら求め、与える。
奈々には俺が居るからもう自暴自棄になったりすることなんてないんだ。
奈々は彼に抱かれながら求める。あたしには金田一君しか居ないから、ずっと傍に居てほしい。
そうしてお互いが抱く形の違った大切さを伝えながら、平穏で満ち足りた日々を過ごす。
特にこの一月の間は毎日のように逢瀬を交わし抱き合っていた。幾度にも渡る性交は肉体的には勿論の事、心の結びつきをより深いものへと変えていく。
奈々は命の恩人であり『信じられる相手』であったはじめへの想いが。
またはじめは約束したことも去る事ながら、なによりも彼自身が抱く支えになりたいという奈々への想いが。
互いに抱く相手への想い。それが『愛情』に変わるまでの時間はごく短く、コテージで関係を持ってから二月を経た頃、二人の関係は友人、支える人というそれから大きな変貌を遂げていた。
熱く求め合いながら絶頂へと駆け上る中で行われた告白は、金田一一という少年と浅香奈々という女性。
二人の男女を恋人という関係に昇華させ、今までの日常を変えていく。
以前までなら休みの日になると良く幼馴染みの美雪と遊んでいたはじめも、休日のほとんどを奈々と過ごすようになった。
無論其処にはずっと美雪への想いを募らせていたらしい共通の友人、村上草太からの告白により、彼女と草太が恋人として付き合うようになった為という理由もあったが、仮にその様な事情が無くとも奈々との時間を優先し、共に過ごすようになっていただろう。
いや、休日だけではなく平日も同様にだ。学校が終われば奈々のアパートへ足を運び、彼女の帰宅を待って愛し合いながら一夜を共にする事とて少なくなく、朝まで奈々のアパートで過ごしそこから登校する事さえある。
また時には奈々がはじめの家に泊まる事もあった。
はじめに紹介された年上の恋人に驚いた両親であったが、彼らは奈々の身の上を知ったうえで彼女を受け入れ、辛い過去の出来事から罪を犯してしまうほどに荒んでしまった人生を歩んできた彼女を温かく迎え入れたのだ。
「しっかり支えてあげなさいよ」はじめに発破を掛ける程に二人の仲を歓迎するのは、どんな理由が有るにせよ息子の選んだ女性なのだから大丈夫。そんなはじめへの信頼があった。
それからというもの、奈々が泊まる日は必ず夜遅くまではじめと愛し合うため、触発される形で両親も愛し合うという副次的な効果を呼ぶことになる。
こういった事情から金田一家は半ば愛の巣と化すようになっていたがそれは寧ろ喜ばしい事。
息子と息子の恋人が愛し合い、また両親も愛し合う。幸せで理想的な家族の姿であると言えるのではないだろうか。
そして事件から三ヶ月近くが過ぎた頃であった。奈々の生活が大変であると知ったはじめの両親の勧めにより、彼女が金田一家に住まわせて貰えるようになったのは。
『どうせはじめと奈々ちゃんは遅かれ早かれ結婚するんだから早い方が良いでしょ。それに奈々ちゃんははじめの嫁になるんだから私の娘でもある訳よ。だから遠慮なんかしなくていいの』
母の鶴の一声で始まった二人の同棲生活は、無論部屋もベッドも同じ。結婚して夫婦になるというのに部屋を別々にする必要は無いと母が強引に決めてしまったのだ。
つまりはじめと奈々は、はじめの部屋で枕を一つにして身体を寄せ合う形で寝ている訳である。
狭い部屋、そして狭いベッドは二人で使うには少々窮屈であったが、身体を一つにして抱き合ったまま眠ることが多いので、返って都合が良かったと言えるのかも知れない。
そう、二人は毎晩複数回に渡り愛を確かめ合っている。
身体の相性は抜群であり、どのような体勢で性交をしても心地好さ以外に感じることはなく、凡そ男と女の営みをするに当たっては理想的な相性と言えたのだから抱き合わずには居られない。
且つ結婚を意識しながらの付き合いなのだから行為を行うのが自然の形だ。性交というのは愛を確かめ合うのに尤も必要不可欠な行為なのだから。
ただ、はじめにとっては気持ちいい以上に、もう一つの大きな理由が出来ていた。
それは孕ませたい。子どもが欲しい。子どもを生んで貰いたいという
愛する女がいる男にとっては至ってシンプルかつ当然な“子どもを作りたい”という欲求。
はじめ自身はまだ高校生だが、奈々はもう23歳の大人の女性。法的にも問題無く子どもを生める年齢だ。
今までの間、持て余す性的欲求にどれだけエッチがしたくとも排卵日だけは我慢していたはじめであったが、今夜はもう我慢できそうもなかった。
今夜、つまり今日という日は、思い切り奈々の排卵期間のど真ん中であったのだ。
*
「どうしたのはじめ君?」
今日明日と連休な事もあってのんべんだらりとした一日を過ごしていたはじめは、風呂から上がり戻ってきた自分と奈々、二人の部屋に入ると
部屋に居た奈々の後ろ姿を見ながらすっと手を伸ばし、彼女の髪の毛に触れた。
「いや……うん、なんとなく触りたくなってさ」
藍色がかった黒という奈々のストレートな長い髪は飾り気のない黒のヘアゴムで後頭部の高めな位置に括られており
背中まで届く一本の髪の束となって垂れ下がっていた。
所謂ポニーテールと呼ばれるこの髪型は、ある程度の髪の長さがないと出来ない物だ。
肩より下は最低限必要で、理想は背中よりも長い方が映える。丁度奈々がそうであるように。
(同じポニーテールでも長さが違うだけでまた違った感じに見えるんだな)
この髪型その物は美雪が時々しているため割と見慣れていたはじめであったが、奈々の髪は美雪よりも長いので必然的に尻尾の長さも長くなる。
電脳山荘で初めて見たときよりも更に伸びた奈々の髪の毛は、降ろしていると背中の下まで届く長さだ。
ポニーテールに括って出来た髪の束。その毛先は背中の中程に掛かるくらいとなり十二分に理想的な長さの尻尾が形作られている。
「はじめ君?」
背後から徐に髪の毛を触られた奈々は疑問の声を上げていたが、彼は気にすることなくその髪束を手の平で包み込むようにして優しく掴む。
「なんか、さ」
手の平に包んだ髪の束。はじめは顔を近づけてその匂いを嗅ぎながら慈しみを込めて撫で梳く。
枝毛一つ無い艶やかな髪の毛の束が手の平を滑るように撫で、手の表面と触れ合いながら擦り抜けていくその感触が気持ちいい。
束ねられた細く艶やかな髪の一本一本がまるで絹糸のような質感を持っており、幾ら触っていても飽きることはなく、指を通して梳くだけでも不思議な高揚感を得られるのだ。
「〈ぱとりしあ〉のポニーテールが何か良くてさ」
〈ぱとりしあ〉。それは電脳山荘の事件以後に恋人として付き合い始めてから使うようになった彼女の愛称。
付き合うまでの短い友人関係だった時は浅香さんと呼んでいたはじめであったが、あの山荘で行った初めてのセックスの時に彼女を〈ぱとりしあ〉と呼んでいたこと。
彼女が〈ぱとりしあ〉という名を気に入っていた事から、かつてハンドルネームとして使われていたその名がそのまま愛称となったのだ。
自称漫画家の〈ぱとりしあ〉ではなく、愛する恋人の愛称としての〈ぱとりしあ〉。尤も、普通に奈々と呼ぶことの方が多いとは思うが。
なにせはじめの両親は『奈々ちゃん』と呼ぶし、部屋で二人きりの時以外は彼も『奈々』と呼んでいる。
外で〈ぱとりしあ〉と呼ぶのも何か変だし、二人の間だけの愛称なのだから自然にこうなるというものだ。
「良い匂いだし、触り心地もいいしさ」
はじめは髪の束に鼻を埋めるようにして、その甘い香りを嗅ぐ。
昨日までの柑橘系だった香りが、明らかに花の香りと思わしき匂いへと変わっている。
今日は別々だったが、基本的に風呂は一緒。
一緒に入り互いの身体を流す、世に言うところの裸の付き合い。
少し違うところがあるとすれば、身体を流しながら時折セックスもするところだ。
中を洗うと言ってペニスに洗剤を付けて奈々の膣に挿入し、性交を行いながら身体を洗うといった感じに、風呂でもよく愛し合っている。
それはさておき、はじめの鼻を擽っている髪から香るのは昨日風呂に入った時に使っていた洗髪剤の匂いではない。
昨日奈々の髪を洗っていたのは彼だったから分かるのだ。
「もしかしてシャンプー変えたのか?」
「ええ、先週発売された物に変えてみたの。結構いい香りでしょ?」
「ああ。鼻の奥まで通る甘くて良い匂いだ」
「気に入ってくれたのなら明日風呂に入った時にこのシャンプーではじめ君の頭を洗ってあげるわ。もちろんあたしの髪ははじめ君が洗ってね」
奈々は後ろを振り向いて自身の髪の束を掴み持つはじめを見て薄く笑った。
「はじめ君の好みの髪型ってポニーテールだったの?」
関係を持つようになったのは今年一月。つまり三ヶ月と少し前からだが、恋人になってからはまだ一ヶ月ほど。
彼女ははじめの好みの髪型なども聞いてなかったので丁度良いと思い質問した。
「うんまあ、好きかどうかで言えば好きかな。もちろん下ろしたままでいるのもいいけど、せっかく髪長いんだから色々変えてみるのもいいと思うしさ」
聞かれたからには答えようと手に持った奈々のポニーテールに指を絡めて弄びながら自身の好みの髪型を伝える。
ポニーテールという髪型は結構好きだった。頭の後ろ手にぎゅっと髪を搾ることで露出する綺麗なうなじは艶めかしく、肌と髪の生え際が良く見え間近で見ていると凄く興奮する。
うなじという部位は男を性的に興奮させる要素を持っているのだ。勿論、メインとも言うべき尻尾の部分である一本に纏まった髪の束が一番良いのは言うに及ばず。
さらりさらりと揺れるポニーテールは見ていて飽きる物ではない。
こうやって指を通しながら艶やかな髪の毛の感触を、指の間を滑り抜けていく髪の感触を味わっていると余計にそう思えた。
「それじゃあ髪は長い方が好き? それとも短い方がいい? あたしの髪の毛は長いから出来れば長い方が好きって言って貰えると嬉しいけれど」
答えは最初から出ている。
長くなければポニーテールには括れないのだから。
「もちろん長い方が好きだぜ。だから俺〈ぱとりしあ〉の髪の毛すっごく好きなんだよな~、長くて綺麗でさ。もうずっと触っていたいくらいに」
幼馴染みの美雪がずっとロングヘアだった影響もある所為か知らないが、髪の毛は長い方が好きだった。
といって誰の髪でも良いという訳では無い。それが奈々の髪だから好きなのだ。
自分は奈々を好きになったのであって、髪の毛に惚れた訳では無いのだから。
長い髪が好きというのはあくまでも好みの髪型の話であって、それ以上でも以下でもなかった。
奈々の髪は長い。その奈々と恋人になったはじめの好みがロングヘアである。ただそれが重なっただけのこと。
「なあ〈ぱとりしあ〉。俺……、お前のうなじ見てたらちょっと我慢できなくなってきた」
触っていた髪の束から手を離したはじめは、着ていたシャツを脱いで上半身だけ裸になり、後ろから奈々の身体を抱きしめた。
「は、はじめくっ──んうっ……!」
抱きしめたまま彼女の右肩越しに顔を振り向かせてその厚ぼったくて瑞々しい蠱惑的な唇を奪う。
「んっ、あむっ、ちゅっ……」
振り向いた拍子にさらりと揺れる彼女のポニーテール。
右の手でその揺れる髪の束を再び触りながら左手は彼女の頭の後ろへと添え、濡れた唇を啄んでいく。
粘膜同士を触れ合わせて擦り付け、甘酸っぱい口付けを楽しむ。
「んっ……、ふむ……ぅ」
奈々からくぐもった声が漏れ聞こえ、見ると頬がほんのりと朱に染まっている。
「んむ……、ちゅるっ……」
触れるだけでいた彼女の唇の隙間に舌を差し入れ強引にこじ開ける。
恋人同士なのだから口内へ入れての深いキスをしたいと思うものだ。
「ちゅ……っ ちゅっ……」
侵入した口内では彼女の舌が歓迎するように絡みついてきて、舌同士の濃密な情交が展開されていた。
歯茎をなぞり唾液を集めて塗り込むように彼女の舌の表面を這うはじめの舌。
これを迎える奈々の舌が彼の舌の裏側を丹念に舐め、お返しにと自分の唾液を塗りたくる。
はじめの口より送り出された唾液がしっかり重ねられた唇を通して奈々の口内へと送り出される。
嫁なんだから旦那の唾を飲むのは当然だと言わんばかりに。
「んく……んく……」
喉を鳴らせて飲み下す奈々が愛おしい。
はじめは奈々の髪の束を愛撫しながら彼女の後頭部に添えていた手を胸元へと移し、服のボタンに指をかけた。
彼女が今着ている服は撫子色のカーディガンと、裾の手前に二本の青いラインが入った足首の少し辺りまである深いピンクのロングスカート。
そう、あの山荘で着ていた物と同じ服だ。
この服は何度も脱がせたことがあるのではじめとしては脱がしやすく、片手でもボタンを外すことが出来る。
ぷちっぷちっ。一つずつ外されていくボタン。カーディガンの胸元がはだけると見えるのは白いシャツ。
「んっ……、ちゅぱ……っ ちゅぱっ……」
この間に奈々も自身の唾液をはじめに飲ませようと攻守を逆転する形で、はじめの口内に舌を差し入れて舌同士の絡み合いと、唾液の交換を図っていく。
口に溜めた粘り気のある唾液は舌を使って流し込みながら、薄く目を開いて飲んでと訴える。貴方はあたしの夫なんだから妻の唾は飲むわよね?
先程とは全くの攻守逆転状態で、キスの主導権は奈々へと移っていたが、はじめも夫として妻の唾を飲みたいものだから別段気にはならないし、自ら進んで飲もうとする。
「こく……こく……」
カーディガンのボタンを外し終え、続いてフリル付きの長袖シャツの首元に手を掛けて再びボタンを外していきながら
濃厚なベーゼを続けるはじめは、奈々の意図を汲み取る形で彼女の唾液を喉の奥へと誘導し、飲み干す。
厳密には意図も何もなく、愛する女の唾液を飲みたいという至極普通な情動に従っただけなのだが。
ねばっとした唾が少し喉に絡まった物の、甘酸っぱい彼女の唾液はとても美味しい。
「んふ……ぅっ あむっ ちゅ……」
シャツのボタンを外し終えても未だ続く唇の交わり。
絡む舌の間。濡れた唇の隙間。少しだけ出来るその空間に透明の糸がつうっと伸びては混ざり合う。
二人の唇、口内、そして舌をぴちゃぴちゃと濡らし、また溜められている液体は、もはや個人の唾液ではない。
強いて言えば愛しい人と掻き混ぜて作られた甘い飲み物といった処か。
「んっ んくっ」
その飲み物を舌というスプーンで飲ませ合うのは、最高に幸せな時間であったが、それも先へと進むためには一時お預けとならざるを得ない。
カーディガン、シャツ、二つの衣服のボタンが外されたことで豊かな胸を隠すブラが顔を出す中、奈々と美味しい飲み物を飲ませ合っていたはじめは
名残惜しいと感じながらも、静かに唇を離した。
「ん……」
離れ行く唇の間を尚も離すまいとするかの如く糸を引き、二人を繋ぐ唾液。
混ざり合った透明の液が吊り橋のように伸び、離れた唇の僅かな距離を繋いで未練を訴えている。
まだ足りない。もっとキスがしたい。高揚する気持ちに連動しているその様子は互いが抱く心の内その物。
「はじめ君……、好き……愛してる……」
至ってシンプルな奈々からの愛の囁き。幾度となく伝え合った想い。
はじめは髪を撫で続けている右手は止めず、尻尾を形作る髪の毛一本一本に慈しみを込めて愛撫しながら、彼女に合わせたシンプルな返答を返す。
「俺も好きだぜ〈ぱとりしあ〉。ずっとずっと好きだ」
どんなに伝えても伝え足りない愛おしい気持ちは、日を追う事に膨れあがるばかり。
だから性交をするのだ。毎日毎日、幾度も幾度も、行い過ぎなくらいに。
性交は気持ちが良い。性欲を満たす最良の行為。しかしそれだけには非ず。
愛する気持ちを伝える手段に於いてはこの行為の右に出る言葉も行動も存在してはいない。
愛しているからこそ男と女は身体を重ね求め合う。愛し合っているからこそはじめと奈々はセックスをする。
ある種究極の感情論であったが、何をするよりも至上の幸せを感じられるのだから仕方が無い。
髪から手を離したはじめはボタンが外れて袖を通しているだけとなっていた奈々の衣服を脱がせると、ブラジャーのホックを外して、邪魔をしている最後の布を取り払う。
「いつもの事だけど綺麗なおっぱいだよな。大きいし形も良いしほんのり良い香りがするし。触っていいか?」
「もちろんよ。あたしのおっぱいははじめ君の物でもあるんだから、好きに触って」
外へと放り出された二つの大きな膨らみ。
背中側から奈々の腋の下へと両手を差し入れ、彼女の身体の前に回し、その二つの果実を揉みし抱きながら彼女の首筋に顔を埋めて口づける。
「あ……ん……」
後ろから首筋に顔を埋められてキスをされた奈々は、肌から伝う濡れた唇の粘膜の感触に首を後ろに仰け反らせながら小さな声を漏らした。
顎を上げて首を仰け反らせた彼女の頭がはじめの左肩を枕にする形となり、はじめの肩を跨いで流れ落ちたポニーテールの髪の束が、彼の背中に沿って垂れ下がる。
「〈ぱとりしあ〉……」
肩に感じる熱。背中を撫でる髪の束。
密着することで感じる奈々から与えられた二つの感触に加えて、肌から立ち上る何とも言えない大人の女独特の甘い匂いが情欲をそそる。
「ふあ……! んっ……、はじめ君……胸……もっと揉んで……、気持ちいいから……っ」
「幾らでも揉んでやるって。いやだって言っても、な」
張りのある豊かな胸はぐっと力強く掴むと指が食い込むほどに柔らかい。
胸へ食い込ませた手を大きく回して円を描き、乳房を捏ねくる。
「あぅん……っ ひあっ……っ」
面白いくらいに形を変える胸。右に左に内側に。はじめはただひたすらに揉み回して奈々のおっぱいを弄ぶ。
「おっ? 乳首硬くなってきた」
女なのだから当然のこと胸を揉まれていれば乳首の一つも勃起するだろう。
乳首の勃起は胸への愛撫に奈々が感じている証拠であり、彼の愛が伝わっているという証でもあるのだ。
「あっ……ふぅん…… 乳首、乳首に指っ……、埋めないでっ……っっ」
「ちゅ…… そんなこと……んちゅ……言われてもな……あむっ、やめられねぇって」
再び首筋へのキスと耳たぶを甘く噛みながら、彼女の制止は無視。
まるで抗議をするかのようにはじめの背中に沿って垂れている奈々のポニーテールの髪束がさらりさらりと背を撫でてきたが、それは彼の欲望に火を付けるだけで寧ろ逆効果。
「まあそんなに言うんならやめてやらないでもないけどさ、その代わりこうだ」
指を埋めるのを止めた代りに今度は乳首を摘んでコリコリと捏ねてみた。
「や、ぁぁっ、はううっ……ちく……乳首っ 乳首摘んじゃダメぇ……っ」
いやいやと降られる首がはじめの背に垂れた髪束を大きく波打たせて肌の上を滑っている。
滑らかでさらりとしていて、やはり奈々の髪の毛は気持ちを高ぶらせる最良の薬であるようだ。
高ぶる欲情は下半身にある彼の立派なペニスに血を巡らせて、奈々の乳首がそうであるように勃起という男特有の生理現象を引き起こす。
「お~いそりゃないだろ。乳首押すのもダメ。摘むのもダメ。んじゃもう口を塞ぐしかなくなるじゃんか」
「く……くち……?」
はぁはぁと息を切らせながら疑問を呈する奈々。
「そう口。こっちのな」
そんな彼女にロングスカートをたくし上げて答えを伝えようとするはじめは、腰の上まで手早くまくりあげてしまうと下着の中に手を入れて大切な処を指圧。
「はぅん!」
「俺の大好きなこのお口に、俺の股間の舌を刺し挿れてキスしなくちゃってことさ」
左手の人差し指と中指、二本を使って優しく指圧しながら奈々の股間に開いたよだれを垂らすお口をなぞる。
肉芽を、花弁を、指の腹を使いこすってやりながら、状態を確かめていく。
「お、お口……っ、下のお口……っ、あたしのお口に指がぁ……っ あ……ああっ……クリをっ クリを弄らないでェ……っ……」
「そりゃあ挿れてるからな。それにクリちゃんだけ触らないのって可哀想じゃんか。だからいっぱい触ってやらなっくちゃな」
「はぁン……っ く、クリっ、そんなにクリをこすられたら……っ あた、あたし……っ」
くちゅくちゅと音が出るくらいに濡れたお口は充分熱いキスを受け止められるだろう程に準備万端な様子だ。
「けど、中びちょびちょに濡らせて愛液もいっぱいで……。〈ぱとりしあ〉も欲しいんだろ。俺の股間の舌をさ」
ここははじめだけが入っていい場所。指でも下半身の舌でも、彼だけを迎え入れる為にある。
そして子供を作る為の場所。子を成す為の交合を行う大切な場所だ。
同時にお互いの愛を伝え合って幸せな気持ちに浸れる場所でもある。
ここに挿入って奈々と身体を一つにし、幸せな時間を共有するのだ。
「ほし、い……。はじめ君の下半身の舌を……挿れて……。奥まで貫いていっぱい愛してっ……」
奈々の想いを聞いたはじめは一度彼女を解放し、もはや我慢ならぬと言わんばかりの勢いで自らのズボン、次いで下着を脱ぎ捨て裸となり彼女を床に押し倒す。
「脱がせんぞ」
腰までまくり上げられたロングスカートを除けば、奈々の身に付けている物はもうパンティ一枚のみ。
はじめはその最後に残った布きれに指を引っ掛けてするすると脚から抜いていく。
丸まりながら脱げていく下着を足から抜いて床へと放り、股間の怒張を彼女に見せつけた。
「見ろよ。俺のはもうこんなになってるんだ。〈ぱとりしあ〉の身体に入りたいっていきりたってるぜ」
「ああ……、凄く大きいわ……。あたしを求めてこんなにも硬くなっているのね……」
聳え立つ男の象徴。はじめのペニスは奈々の身体を触り続けた事で発揮された性的欲求に従い、硬く大きく膨らんでいた。
根本から竿の間には幾筋もの青筋が浮かび出て、その興奮の度合いを指し示している。
奈々の中に入り、深く甘く触れ合いたい。己が子種を彼女の中へと解き放って子作りがしたいと。
「まあそういうことさ。だからさっさと股間のお口に挿れさせて貰わないとな」
仰向けになって膝を折り曲げ立てられている奈々の脚を左右に開かせ、太股に手を這わせてもう一度股間のお口をなぞりながら指に愛液を絡みつかせる。
「は……んん……っ」
指で拭った愛液をペニスに塗り込むようにして付着させたはじめは、開かせた脚の間に身体を入れると膝をそのまま抱え持つ。
雫をしたたらせている割れ目を求めて腰を近付けながら、硬く勃起したペニスの先でひくひくと蠢く奈々のお口に口づけてみた。
くちゅり
「っあは──!」
触れ合う粘膜の感触にびくっと身体を震わせた奈々。
はじめはそんな彼女と気持ち良くなるためにと、割れ目に触れたままの先っぽですりっ、すりっ、と擦りあげる。
「ほ~ら言った通りだ。こんなに濡れてんじゃん。だらしなく涎垂らして、物欲しそうにひくひくしてさ」
「んっ……あっ……ダメ……。はじめ君のっ……、いじ……わる……っっ……っ」
膣口をこすられるのが気持ちいいながらも、もどかしい奈々は、早く来てと熱に浮かされた瞳を彼に向ける。
「〈ぱとりしあ〉が好きだからいじわるしたくなるのさ。俺がそういう奴なの知ってんだろ」
「知ってる……っ、知ってるわ……でも……っ、こんなに……、こんなにも身体が火照っているのに……。焦らさないで……、おね、がい……っ、いじわる……しないで……」
こんなにも身体が火照っているのに焦らすようないじわるをしないで。早く、早くあたしの中へ入ってきて、あたしを愛して。
そう訴えかける奈々の瞳を受けたはじめは「わりィわりィ」とだけ謝ると、もう一度お口に添えたペニスに角度を付けて静かに腰を沈めていった。
つぷり……ずぷずぷ……
「はっ……ァァぁぁっ~~」
愛液に満たされながらも閉じていた膣の内部を緩やかに押し割られる感触が奈々を襲い、意図せずして喘ぎ混じりの息を吐き出す。
膣を押し割ってゆるりと入ってくる彼のペニスはとても熱い。
亀頭のエラ下まで入ると、間を置かずして竿の部位がずぷずぷ沈められてくる。
「くっ、う……っ ぁぁぁっ~……っ!」
襞を擦り上げながら身体の中へと沈み込んでくる熱いペニスに、奈々は耐え難い痺れを感じて背を浮かせ、切なく喘ぐ。
ぴりぴりした痺れ。身体の奥から沸き上がってくる疼き。これらは女に生まれた者だけが味わえる幸せ。
奈々ははじめに愛されること以上の幸せなんて無いと、歓喜の声を上げた。
「ああ~、やっぱり〈ぱとりしあ〉の中に挿れて、締まった膣肉を掻き分けながらペニスを沈めていくこの瞬間が最高に気持ちいいなぁ」
挿入に併せて締まる膣道。ざらざらした襞がペニスと擦れ合うこの瞬間には毎度の事ながらぞくぞくさせられる。
生温かい愛液が滑りをよくして痛みという感覚とは正反対の快感をもたらす。己を歓迎してくれる奈々の膣内はいつにもまして心地良い。
愛する奈々と身体を一つにするこの瞬間が愛おしい。
進められる腰の動きに竿の部位が少しずつ沈んでいき、膣の中へと飲まれていく。
ぢゅぷん……っ
「や……ああ……っ! お……く……。奥に……刺さってる……っ! はじめ君の……おおきいのが……っ あたしの奥……っ 突き上げてる……っ……っっ」
全体が埋没したペニスはそこで侵入を止めた。
ここは最奥。奈々の一番深いところ。密着した亀頭の先が子宮への開口部にキスをするかの如く吸い付いている。
竿の根本までもが沈み込み、奈々のお口が愛おしげにペニスを咥え込んでいる。
「う、ああ……、ホントあったけーな……、〈ぱとりしあ〉のお口が……俺のを全部飲み込んでるぜ……」
「あたしも同じよ……、はじめ君の……凄くあったかいもの……」
結ばれてからというもの毎日愛し合ってきた。
そして幾ら愛しても愛し足りないと一晩中身体を重ねてきたことが何度もあった。
性交の気持ち良さ。快感。感じやすいところを攻めながら肌と肌を重ね合う心地好さ。
総て経験してきたが、やはりこの挿入から性器の全体を埋め込んだ瞬間に感じられる温かさが好きだった。
いや、正確さを求めるならば挿入の瞬間も、キスをしている時も、抱き合っている時も、二人で共に過ごし愛し合う時間の総てが好きなのだ。
「襞が纏わり付いて、俺のペニスを包んで愛撫してくれて……ああっ、くう……っ、気持ち良すぎる……、〈ぱとりしあ〉……っ、奈々……っ」
少しの余韻に浸りながらも腰を動かし始めるはじめ。引いて押しての抽挿へと移り変わっていく。
自分の手で移り変わらせていく。
ずっぷ……、ぢゅっぷ……、
「はうっ……あ……、ああっん! はじめ君……っ、はじめ君っ」
奈々の脚を抱え上げたまま腰を落としたり引いたり。濡れた結合部はみだらな水音を響かせながら、愛液を掻き出してくる。
甘く切ない奈々の喘ぎが耳に響いて心地良い。
「はじめ……っ、んちゅっ……んっ……んむうっ」
「ちゅ……ちゅぱっ……、奈々……んん……奈々、好きだ……あむっ」
自分へと手を伸ばす奈々を起こして真正面からしっかりと抱き締め合いながらの口付け。
またぞろ訪れた熱く甘い口付け。先程と違う点は下半身も深い口付けを行いながらであること。
「んっ ちゅくっ……、れる……っ」
舌を絡ませての口付けを行いながらも抽挿は止めない。奈々の温かい柔肉がペニスと擦れ合って止め処なく愛液をわき出させる。
湧出する愛液は竿と亀頭に満遍なくまぶされて、唯でさえ滑りよく摩擦する粘膜に更なる刺激を喚起。
「はあっんん……!」
もっと奥まで繋がりながらの性交をしようとしたはじめは、繋がったまま奈々を抱き上げてベッドの縁へ腰掛け深く子宮口まで貫く。
「奈々、気持ちいいか?」
身体の振動に揺れる奈々の束ねられた髪が、ポニーテールという名の通りに生きた尻尾の如く大きく振り乱される。
元気に揺れる尻尾が彼女の快楽の度合いを現しているかのようだ。
「え、ええっ……すごくっ……、すごく……いいわ……っ……っ。だから……っ、もっと、もっと愛して……っ」
頬を赤く上気させながらとろんとした瞳に涙を浮かべている奈々。目の端から少し零れた赤くなった頬を伝い落ちていく。
抽挿に身体が跳ね、肌に浮いた汗を飛び散らせて喘ぐ彼女の乱れる姿が艶かしい。
「愛してやるさ。奈々の奥まで愛して……、子どもを作るためにも中に出してやる」
そんな彼女をもっと愛したいと排卵日での中出しを宣言して奥深く突き入れる。
今しているのは唯のエッチじゃないんだと。
ずっぷ!
「ああっ……!」
背中に回した手に力を込めてはじめに抱き着いている奈々は、大きな声で喘ぎ気持ちいいという想いを隠そうとしない。
「あっ……、あっ……っ、ああっ……、はぁ……う……、はじ……、はじめ君……っ、おく……、おくにあたる……っ、はじめ君のおちんち……っ、あたしのおくを……、たたいてるぅっ!」
擦れ合う生殖器が電流にも似た感覚を生み出して、彼女を痺れさせながら愛するはじめに抱かれる幸せをその身に刻み込む。
「奈々っ……奈々っ、絶対……絶対に妊娠させてやるからなっ、俺の子を生ませるからな……っ」
ただ快楽のみを求めるだけではもう満足できない。子どもがほしい。奈々と子作りがしたい。
性交本来の目的は子どもを作ること。生殖行為なのだから当然の帰結。
愛する人とだけ行うのはその人と子どもを作りたいから。愛する人の子がほしいから。
それがはじめにとっては奈々であり、奈々にとってははじめである。
今日。つまり危ないこの日に性交をするのは子作りという以外に言い様がなかった。
それでいて抵抗なく受け入れているのは奈々も覚悟しているからだ。
「ああっ……ひゃううっ、はじめ……くん……っ、あたしっ……、あたしはじめ君の赤ちゃんが生みたい……っっ、妊娠してもいいからっ……、最後までしてっ、あたしを孕ませてっ!」
「あたり、まえだっ、言われなくても孕ませてやるからっ、いっぱい……っ、いっぱい愛し合って……っ、心行くまでエッチして……っ、幸せを感じながら子作りしようぜっ!」
「んっ、んはっ……、あうっ……きゃふっ、んあっ……! ああっ……!」
腰のストロークは加速していき、頂点を目指すためのスパートへ。
大きな抽挿にベッドがきしみを立て、奈々のポニーテールが激しく踊り、大きくて豊かな乳房が振動を受けてぶるんぶるんと元気に揺れ動く。
蜜壺の中にもぐるペニスはその速度を上げ、濡れた音を奏でている。
はじめの与える刺激に肉襞が反応して大きくうねり、熱く柔らかいその壁がぬるぬると愛液を塗り込める。
「はっ……く、はじ、め……、はじめ君……っ、好き……大好き……、んっ……ふ、ぁぁ……ああっ……んくっ、んっ……んううっ、ああ……ンっ……!」
強すぎる刺激が愛液の分泌量を許容限界を超えて増やし、激しい動きでペニスを出し入れされている割れ目の、肉と肉が擦れ合う隙間から溢れ出す。
流れ出た愛液は竿を伝いはじめの陰嚢を、股間を、膝を濡らし、シーツへと落ちてしみ込みながら二人の愛のベッドに新しい染みを作っていく。
「奈々っ、奈々っ」
少しずつ締まってきていた襞は此処に来て急速に収縮と蠕動を始めていた。
それは取りも直さず奈々の子宮が受け入れ体制を整えてきたという意味。
きつくなる一方の膣内は強引な抽挿と摩擦で電気の渦を作り出し、二人の身体を駆け巡らせて快楽の頂点へと誘う。
「はっ、ああっ……もう、もうダメ……っ い……いい……いく……、いくぅぅぅ……ひあっ……。はじめ君……もう、あたしもうっ……きもち……っ、よすぎてっ……いっちゃう……ッ!」
精一杯の力で抱き着いてくる奈々。はじめの背と腰に回された手の指が立てられて爪が食い込む。
左肩に頭を乗せるような格好で喘ぎ混じりの熱い吐息を耳に吹きかけてくる奈々に、同じくらいの力でしっかり抱き返すはじめ。
ぎしぎしときしむベッド。激しい抽挿により生じる身を貫く快感。ぶつかる股間の水音と肌の衝突音。
そして愛する奈々の甘く切なく、それでいて熱い喘ぎ。
これら総ての要素が一つとなって、はじめの雄の部分を大きく刺激する。
「ああっ、くううっ、もう、ダメだっ 出ちまうっ」
抽挿させているペニスの根本に睾丸から送り出された熱いマグマが迫り上がってきた。
もう限界だ。もうこれ以上我慢することは出来そうもない。
「イクぞ奈々ッ、全部ッ……全部中に出すからッ 子宮の中に注いでやるからなッ」
「はじ……ッ はじめ君ちょうだいッ……、はじめ君の精子をッ、あたしの……ッ、あたしの中に……ッ!」
最後は奥まで貫く為にと助走を付けるかの如く大きく腰を引いたはじめは、カリ首のギリギリまで引いたところで力の限り腰を突きだし、子宮まで一気に貫いた。
ぢゅぶうううッ!
「んはあッ──!」
締まっていた肉襞を強引に擦りあげられたことで今日一番の衝撃が奈々の全身を走り抜け、彼女は背を仰け反らせてびくびく痙攣しながら一足先に果てた。
これを見届ける形と成ったはじめも根本まで埋め込み睾丸と股間を、奈々の股間に密着させてぐぐっと押しながら、先端部に吸い付く子宮のお口を押し広げ
駆け上がってきた何億もの精子を含んだ白濁を彼女の中へと解き放つ。
ドクッドクッ
「あぁぁぁぁぁっ!」
出された瞬間、果てた筈の彼女の身体がビクンッと震える。
しっかり抱き締めているから全身で感じられた彼女の痙攣は、秒刻みの絶頂が二回訪れた事の証だ。
隙間無く収まりきったことで逃げ場を無くした粘液が、ぷしゅっぷしゅっと潮を吹くように結合部から漏れごぽごぽ泡を立てている。
触れ合う二人の股間はねっとりとした愛液に濡れて、密着していてもぬるぬる感があり、心地良いことこの上ない。
「あ……ああっ、やっぱ……。奈々の中に出すのは気持ちいいや……」
射精する悦び。愛する女の中に出すのは男に生まれた者の一番の幸せ。
睾丸より生産されて続々と解き放たれていく小さな細胞が奈々の中へと送り出されて、子宮内部へと噴水のように吹き出している。
「あったかい……。はじめ君の精子がいっぱい流れ込んでくるのがわかる……。いつもと違って……凄く、生き生きしてる」
下腹部の奥に熱い粘質性の液体が解き放たれている。
胎内の容量を満たしていくその熱い感触が、子宮口と口づけたままとなっているペニスの先から注入されているものだとはっきりわかった。
奈々はその歓喜に身体を震わせながら、女の悦びを噛み締める。
不思議といつも以上に生き生きとしているような感じがするのは、危険日である為なのであろうか。
「いま、あたしの中に溜まっていくこの熱いものに含まれた精子の一つが……、あたしの卵子と一つになって……。子どもが出来るのね……」
「ああそうさ。これが俺と奈々の子になるんだ。でもほら、わかるだろ? 受精していってるのがさ」
とく……とく……
注ぎ込まれる精子は奈々の子宮内で卵子と一つになって行く。
子宮内部に飛び散ったこの精子達が、子どもを作ろうとして動き回っているのだ。
受精していくその様子を身を持って感じる奈々の頬は恍惚の色を浮かべている。
はじめの子を妊娠する。これ以上の幸せは無いと。
「でも一回で確実にって訳じゃないからさ、もっとエッチをして何度も子作りに挑戦しなきゃな」
「あたしも……。あたしも早くはじめ君の子を生みたいわ……。何回でも受け入れるから、あたしを妊娠させてよ……」
唯の性交ではなく、子作りとしての性交。
はじめと奈々は今その一歩を踏み出した訳だが、初めて行った子作りは本当に心地良くて幸せな気持ちだった。
「じゃあ、もっとしなきゃな……ちゅ」
「あん……はじめ君……」
しっかり抱き合ったままの体勢でキスをする。
奈々の背を支えている手で、彼女の背に垂れたポニーテールを掴みしゅっしゅっと撫でて滑らかな髪の束を愛撫しながら、今日のこれからを口にするはじめ。
「今日は寝かさねーぞ。明日も休みだから一晩中子作りすることが出来るからさ」
「夜通しセックスをするの? 身体が持たないわよ」
「健全な男子高校生は好きな女になら五回でも六回でも有り余った性欲を叩き付けられるもんなんだよ。それに俺は〈ぱとりしあ〉……奈々とのエッチなら何回だってしたいし出来るぜ」
「もう。はじめ君はそれでいいかも知れないけれど、少しは受け入れるあたしのことも考えてよ……」
ペニスを挿れられたまま夜通し性交を行われては体力が持たない。
そう訴える奈々であったが、はじめは気にすることなく想う事を口にした。
「俺はいつだって奈々の事を考えてるよ。お前が大切だからいっぱいエッチして愛したいっていう気持ちもわかってくれって」
好きという気持ちを表して紅くなった頬を奈々の頬に触れ合わせて擦り付ける。
「奈々……愛してるぜ」
「ああっ……はじめ君……っ」
はじめの頬ずりに自らも合わせて頬を擦り寄せる奈々。抱き合ってキスを交わしながら自身の匂いをなすりつけるように。
擦れる頬が温かさを伝えてまた気分が高揚し始める。
「じっくりと時間をかけてエッチしようぜ。子どもを作るんだから思いっきり気持ち良くならなきゃ」
「いっぱい気持ち良くして……、あたしのお腹に子を授けてね」
愛欲に満ちた二人の一日は、まだまだたっぷりと時間を残している。
「奈々……」
「あっ……アア……ッッ はじめ……くん……ッ……ッッ」
あらためて始められた性交は、長く幸せな子作りの時間。
たっぷり愛し合う二人の艶かしい嬌声は、夜を跨ぎ空が明るくなるまで続いていた。
──半年後
「奈々のお腹、大分大きくなってきたな」
はじめは奈々のお腹を優しく撫でながらひとこと呟いた。
彼女のお腹は明らかに膨らんでいる。無論のこと運動不足や食べ過ぎによる肥満ではない。
「当たり前でしょ。もう六ヶ月になるんだからお腹の子も大きくなるわよ」
「そっか、もうそんなになるんだな」
〈ぱとりしあ〉こと浅香奈々。彼女はいま子どもを身籠もっている。もちろんはじめの子どもを。
妊娠六ヶ月。そう、あの危険日に行った性交が無事に実を結んでいたのだ。
あの三ヶ月後に妊娠がわかったのだから、あの時にできた子であることは疑いようもない。
「はじめ君とあたしの赤ちゃん、もう少しで生まれるのよね。今から楽しみだわ、はじめ君といっぱい愛し合って出来た赤ちゃんがどんな子か」
奈々はお腹をさすりながら優しい微笑みを見せている。
そんな彼女の顔は既に母親のものである。
「俺が父親になるのかぁ なんか実感わかないけどさ」
彼女が母なら必然はじめは父となる。お腹の子の父親ははじめなのだから。
「まあ健康で元気な子なら男の子でも女の子でもいいかな」
奈々の長い髪の毛に指を絡めて弄ぶはじめは、お腹の子の父親が自分であると自覚しながらも実感できないでいたが
彼女と愛し合い、子作りに励んだ末に妊娠した事実に、本当のところ飛び上がって喜んでいたりする。
自分に子どもが出来たとなれば誰しも嬉しくなるものだ。
「ねえはじめ君。この子の名前どうするか考えてるの?」
「一応候補としては幾つか考えてる。とりあえず男の子ならユウタかな」
「ユウタ? それってあたしの熊ちゃん……」
「なんでか知らないけど耳に残っててさ。それに、ユウタって良い名前じゃんか」
笑うはじめに少し照れた表情の奈々。程なく生まれ来るだろう子へ思いを馳せながら仲睦まじく触れ合う。
恋人という間柄でありながらも子どもを作ってしまった時よりもう夫婦と呼んで差し障りない関係だった。
事実、はじめは奈々の妊娠を知って以後、彼女を自分の妻として接していたし、奈々もはじめを夫として見てきたのだから。
「あっ……!」
お腹をさすっていた奈々が驚きの声を上げた。
「どうしたんだよ?」
「いま、赤ちゃんが動いたわ」
「えっ?! ホントか!」
どれどれと膨らむお腹に耳を当てたはじめにも彼女の驚いた理由がわかった。
当てている耳にはお腹の内側から伝わってくる振動が感じられる。蹴っているのだろうか? 時折ぽんぽんと強い振動がする。
取りも直さずそれは、お腹の赤ちゃんが動いている証拠であった。
「おおっホントに動いてらっ この分だと健康で元気な赤ちゃんが生まれそうだぞっ!」
「うふふ、はじめ君ったら」
お腹に耳を当てるはじめの頭に手を乗せて、優しい手付きで撫でながら奈々は微笑む。
命を助けてくれて、大切だと言ってくれて、そして何度も抱いてくれた愛する少年。
法では裁くことの出来ない罪を抱えた自らに出来る償いの一つとして“彼女の”減刑をかつて共に罪を犯した者達と共に訴え続ける中、共に彼女の減刑を勝ち取ろうと動いてくれた少年。
償えない罪を持つ自分、消えない、消してはならない自らの罪業。
背負って生きて行くのは辛く、思い出す度に死にたくなり、衝動的に腕を切ろうとしたこと数知れず。
『貴女を許す事なんて出来ない……。きっと死ぬまで私は貴女を、貴女たちを許さない……。だけど──もう、憎しみは……封印するわ……。冷静になって、一人で考える時間が増えて、“彼”なら、たぶん憎しみを抱き続ける事、望まないだろうなって思ったから……。だから……、だから貴女も、現実に生きなさい。貴女みたいなどうしようもない人でも、隣に居る彼となら自分を偽らずに生きて行くこと……できるでしょう? あたしが“彼”に救われたように、金田一一っていうお人好しな少年となら、逃げ癖の付いた貴女のような人だって逃げずに生きていける……違わない?』
それでも逃げるなと叱り続けてくれた少年と同じにしてより大きく重い意味を持つ彼女からの叱咤と、恩赦の言葉。
『どんな罪人だって愛せるような男、あたしの大好きな“彼”の他には、きっと金田一君くらいしか居ないわよ?』
けして許されない自分へと向けられた、彼女からの精一杯のなさけを、この少年は共に受け止めてくれた。
その少年と今ではもう夫婦そのものな間柄となり子どもまで授かった。
奈々はそんなはじめとの毎日が堪らなく愛おしい。
充実した日々、現実から目を背けていた時には想像だにしなかった。
「そういえばお母さんが今度の日曜にでもはじめ君を連れてベビー用品を見に行きなさいって言っていたわよ。もうすぐ子どもが生まれるんだからギリギリになって慌てて用意するより先に準備しておきなさいってね」
お母さんとははじめの母のことだ。奈々がはじめの子を身籠もった事が明らかとなってからはもうおばさんと呼ぶのは卒業だとして、そう呼ぶようにと言い含められていた。
実際、今はそうなっていた。はじめの十八の誕生日に役所へ行き入籍を済ませているのだから。
奈々は既に金田一家の嫁であり、はじめとの仲は正式な夫婦となっていたわけだが、そうなるよりも前、 世間一般にはまだ恋人或いは婚約者という間柄にあった頃より、はじめの母からは息子の嫁であり自分の娘、家族という体で接されていた。
彼女も当時から自分を嫁として扱ってくれていた母の好意が心から嬉しく、食卓を囲むときなどはじめに「あなた」と話し掛けたりするなど、はじめの嫁としての振る舞いを見せていた。
そうする事こそが彼の母の好意に応えることであり、また自らに愛情を注いでくれるはじめへの最も有るべき接し方であると理解していたからだ。
「ベビー用品かぁ。まあ必要にはなってくるよな~。まさか幾ら母さんでも俺が赤ん坊の頃の玩具や服なんか後生大事に取ってるとも思えないし……。良し、そんじゃあ今度の日曜に三人で出掛けようぜ」
「三人って、お母さんも一緒に?」
「うんにゃ、母さんじゃねーよ。母さんも入れるなら四人になるからな。俺の言う三人ってのは、俺と奈々とそれから──」
はじめは我が子を撫でるようにして奈々のお腹を撫でながら答えた。
「奈々のお腹に居るこの子の三人でさ」
「そっか、この子も合わせたら三人になるのよね……。あたしとはじめ君とそしてこの子の、親子三人に……」
「そういうこと」
はじめは奈々のお腹を撫でていた手を彼女の手の平に合わせて握り締めると、彼女に口付け、甘いキスを交わす。
「んっ……」
それはもう恋人のそれではなく、夫婦として行われる愛の交換であった。