これは故意じゃない ◎
今、俺は息をひそめて、カーテンの隙間から、隣のマンションの部屋を覗いている。故意に覗こうとしたわけじゃない。今までは隣近所とも言えないマンションの部屋なんて気にも留めなかった。
夜遅くアパートの部屋に帰ってカーテンを開けようとしたら、隣の住人――しかも若い女性がハイソックスを脱ぎ始めたのが見えて、ついカーテンの影に隠れてしまった格好だ。だが、カーテンの陰に隠れたのは、あくまで申し訳程度のアクション。エロハプニングでよくある、顔を手で覆いつつ、隙間からチラチラ覗いてる、あれと同じだ。カーテンのわずかな隙間から様子を窺っていることに変わりはない。
その部屋は、こちらのアパートよりは高さが低いためか、ここからだと、高低差で部屋の中が良く見える。彼女は狭いワンルームの住人だから、風呂に入る前は部屋で脱ぐらしい。そうと気づいてから先は確信犯だ。手にしていたスマホを、脊髄反射のようなスピードでムービーに切り替えて、窓枠に置いて撮影し始める。
隣のワンルームマンションの一室にいる彼女の名前は知らない。後ろ姿だがセミロングの黒髪を肩まで下ろした、まだ大人びていない10代っぽい。
薄いエメラルドグリーンのシフォンブラウスを、肩に滑らせて、左肩、右肩と順番にむき出す。女性らしい緩やかなカーブを帯びた撫で肩が露出して、数メートル離れた部屋から色気が発散されてくる。隣の一室が目の前に迫って来たように、目が離せなくなった。
彼女はブラウスから腕を静かに引き抜くと、はらりとブラウスが滑り落ちて、真っ白な背中が露わになる。
背面とはいえ剥き身の体。その肩から腰まで背筋のラインが水色のブラ紐と十字交差し、すうっと通っている様が、無駄な脂肪の着いていない華奢な肢体だと教えてくれる。
キュウッと括れた腰を境界に張り出すS字カーブが、細身ながら要所に起伏のあるスタイルのメリハリを期待させる。
次にスカートのジッパーを下ろし、指をかけて引き下ろす。張り出したヒップに少しつかえた後はスムーズに滑り落ちた。ブラとお揃いの水色パンティに包まれた丸いヒップが見える。白いフレアスカートの上から想像した以上に、キュッと急角度で盛り上がっている。コーラ瓶状に膨らんだ太ももとふくらはぎも、丸見えだ。
彼女はそのまま後ろに手を回し、背中のブラホックに指をかける。
(下着の中身まで見られるのか!)
疼く股間に手を忍ばせて凝視する。
ホックを外すと、緊張から解き放たれた乳肉の輪郭がぽよん、と脇に弾んだのが、背中越しでも確かに見えた。脇から撓んだふくらみが覗けるとは、相当な巨乳らしいと、さらに期待が高まる。
ブラを肩からするりと外すと、後ろから乳房が勢いよく揺れるのが目に見えた。ブラの抑えが効かないと、脇にまで溢れてしまう大物だ。背中からそのサイズと柔らかさを鑑賞できるのは、後乳とも言うべきか。隠しきれないバストを拝みたくて、彼女が振り向くのを熱望する。
彼女がするするっとパンティを下ろすと、円熟したヒップが現れる。白桃を思わせる尻は、彼女の脂肪が集まってプリッと張り出している。秘められた生尻を見て、抑制が効かなくなり、俺もズボンとパンツを下ろす。
後ろ向きの全裸をさらけ出す彼女は、脱いだ服をまとめ始める。
彼女が床の服を向いたことで、遂に横から待望のバストが見えた。
遠目からでも分かる汚れなき白さに、急峻を描く豊満な輪郭、桃色の尖りがくっきり映える。ブラウスとブラの抑えがない生乳は、魅惑の量感と弾力を誇示し、彼女が身じろぎする度にプルプル微振動する。床の服を取ろうと腰を下ろすと、ブルンッと下から上に弾みをつけて揺れる。こんな身近に魅力的なお宝を発見できた興奮で股間を弄る速度が速まる。
名も知らぬ女性の一糸纏わぬ全裸。その姿はリアルタイムで欲望を刺激する。彼女の目線がこちらの窓を向くと、はっとした顔で赤面し
「きゃっ…!」
と微かな悲鳴を上げた。慌ててカーテンを閉めるその時、彼女の全裸が正面から見えた。
ノーメイクでも白さ際立つ肌が、恥じらいで朱色に染まった様が色っぽい。清楚な顔立ちは、黒曜石の色合いを持つ瞳、控えめながら真っ直ぐ通った鼻筋、ぷっくりした桜色の唇で出来ている。少女から大人になりかけの思春期の魅力があった。
対して身体の方は、桃色の乳首を頂点に震える釣鐘型の双乳、対照的に引き締まったウエスト、淡い茂みに埋れた股間は、遠目では秘密の花園の奥までは伺い知れない。しかし、恥毛でうっすらと覆われ、見えそうで見えないという絶妙な距離感が想像を掻き立てる。むっちりした美脚は
太ももとふくらはぎが膨らみ、膝でくびれを生んだ、コーラ瓶のような滑らかなラインを構成していた。
彼女の純情な恥ずかしがり様を見て、確信した。この裸身を目撃したことがある男は、俺だけだ。
乙女の恥じらいという、ストリップの最後を飾る贈り物に、思わず達した。達するなら、このタイミングしかないという程の満足感だった。
「ありがとうございます、ありがとうございます…」
そう呟きながら、何度も脳裏に焼き付いた貴重な情景を追想した。
それから数日の間、盗撮した彼女の生脱衣と全裸のシーンで何回も使ってしまってた。妄想の中で、恥じらいの表情と流線美の肢体を併せ持つ彼女を、愛撫して犯す。直に目にしたネタを元にしているため、今までのどのイメージよりも生々しい。
ネットや本で、オナネタを探す手間が省けた、というかなくなった。やはりリアルネタの衝撃が強すぎて、作り物を見るどころじゃない。
窓から隣の部屋が見えただけで何度もムラムラして使ってしまうし、夢にまで見て夢精してしまう。すぐ隣にオナペットがいると思うと、常時落ち着かない気分だ。
最初は幸運なサプライズに思えたが、連日のオナニーでげっそりしてくると、最早不運のアクシデントだ。今まではどうせ付き合えないからと、女性を視界から追いやってきた。100%時間を自分のためにしか使わない、完全な独身貴族をつら抜いてきた。本物の独身貴族様には笑われるかもしれないが。とにかく、人に気を使う必要もなく、平和だった。このままでは、今までそれなりに保ってきた俺の平穏が危うい。
オナニーのような代償行為で、このムラムラは解消しきれないのはわかっている。となると次の段階、彼女に直接処理してもらうのがいい。
正攻法で考えれば、彼女と恋愛関係になればいけるが…僕には無理だな。彼女の部屋が覗ける位置関係にあるとはいえ、それぞれ隣り合ったワンルームマンションとアパートの住人という、近いようで微妙に遠い関係だ。
部屋のカーテンが決まって日中閉まってるのを見ると、今高校生ってところか。俺は20歳の大学生、接点は全然ない。
普通にナンパするのも厳しい。清楚系の彼女が、明らかに年の離れてる男のナンパに引っかかりそうにない。それに、ナンパはやったことないが、俺が得意じゃないのはわかってる。
俺は建前だけで、本音を見ない人付き合いってのがめんどくさくて、避けてるところだし。中身のない会話でつなぐとかは無理。思考停止で会話をつなぐ連中の気が知れない。相手に合わせるのも、相手のことを知ってなきゃどうしようもないし。
何より今の俺は、彼女に性欲処理を望んでいるんだ。彼女を前にしたら、彼女の痴態を連想して、欲情が我慢できなくなる確信がある。
流石に股間のテントを隠しながら、アプローチを継続するのは苦しい。
じゃあ、どうすればいい?何もしなければ、ストレスと性欲で爆発しそうだ!
八方ふさがりの中で、更にオナニーを続けながら、思考が堂々巡りをした挙句、……発想を振り切った。
対等に付き合う自信がないならば、彼女を俺のモノにすればいい。
……全くなぜこんな簡単な答えに気づかなかったんだ。彼女にエロいことしたいだけなら、体の関係だけにすればいいじゃないか。誰にもバレずに、彼女が僕に奉仕する関係にすればいい。エロネタにありがちな関係だが、俺がそのエロ主役になればいい。この屈折した独占欲は、まさにエロしか考えない主人公のものだ。
元より俺は恋愛アプローチより、こっち方面のが詳しい。彼女を手に入れるための布石とすれば、彼女に接するための他愛もない会話も楽しめそうだ。彼女を縛るのに使えそうな隠し撮り動画もあることだしな。……くくく、興奮してきた。まずは彼女に探りを入れてみるか。
それから僕は彼女を尾けて、付け込む隙を窺うことにした。まあ俺は、彼女のそばにいられればそれでいいと言って近づきすぎてしまう、盲目的ストーカーじゃない。あくまで近づくのは、彼女を犯す時だ。
今時は女子高生を出待ちするのはアウトなので、家付近で待ち伏せする。彼女の通学を遠巻きに観察し、交友関係などを把握するつもりだ。朝と夕方の行き帰りをつけるだけなら、時間的余裕はある。
…そのつもりだったんだが、数日間見ていても誰とも一緒じゃない。いつも一人で登校していて、ちょっとした待ち時間にスマホをポツポツ操作する程度、そのくらいしか情報がない。
これが誰かと会話しながら歩いてれば、その会話を立ち聞きして交友関係を探れるのに、会話もなしじゃ全然情報が入らない。
こっそり近づいて、スマホを覗きこんでやろうかとも思った。
しかし、スマホの操作する手つきを見ても、誰かとラインかメールで連絡を取ってる入力ペースじゃない。ツイッターですらなく、ネットサーフィンしてるだけみたいだ。危険を冒して彼女の高校の校門を隠れて観察できるポジションを見つけて、校門に入るところまで見届けたが、校門前で誰かと待ち合わせてる様子もなく、足早に走り去ってしまった。
で、結局分かったのが、彼女は少なくとも連絡を密に取り合う友達がいないということ。まさかの俺と、ぼっちキャラ被り。女子って常に連絡取り合うのが習慣化してるのが、俺の認識だったんだがなあ。2、3人の少人数グループを作ってその他大勢からは距離を取るってのは見たことあるけど、彼女はそんな相手もいない。どこか知り合いの家に寄り道もしないし、帰ってから出かけることもないのは把握している。彼女の知り合いを独自に調べて、そちらに動画をばらまくぞと言って彼女に迫る手段は、これでご破算になってしまった。
とっかかりがなくなってしまったが、彼女への興味は深まった。彼女は連日ネタに使っても飽きない美少女だ。ここ数日見ていてもその物静かな立ち振る舞いは、最初の純情可憐なイメージを裏切らない。
黙っていても人気が出そうなのに、なぜぼっちなんだ?
俺は進んで集団から浮いた存在だが、彼女は進行形で集団から逃げ続けているような挙動が見える。
ともかく、彼女に俺は勝手に親近感を抱いた。これは何か彼女に近づくのに使えるはずだ。
この共通点、どうやって利用してやろうかと考えて今日も、白いブラウスに紺のプリーツスカートの制服を着た彼女を尾けていた。と、目の前の彼女がポケットからパスケースを落とした。彼女はポケットから取り出したスマホに気を取られていて、落としたことに気づかないようだ。着信音を聞いてから画面を操作しだしたのを見ると、珍しいことに、メールの確認をしてるらしい。
パスケースに気づかず、スマホを操作しながら歩き出してしまった。俺もメールなんてめったに使わないから、その気持ちはわからないでもない。メール相手が少ない人間は、たまにメールを受け取ると過敏に反応するものだ。彼女の姿が見えなくなってから、落ちていたパスケースを回収した。案の定、中には定期券などに紛れて生徒手帳が入っていた。最近じゃ、制服姿の学生でも身分証明が求められる時代。電車やバスが遅れた時の遅延証明をもらうために、すぐ出せるようにパスケースにしまっているクチだろう。生徒手帳には最初のページに顔写真や個人情報が載っている。
名前は、
「高校2年の17歳か。澄ました顔で映った証明写真でも可愛いな」
それをスマホのカメラで撮影。
これでいいきっかけができた。早速仕掛けるとしようか。