「…で、これはどういうつもりだよ、瞑司?」
やっと取り巻きたちと別れて合流してきた麗緒瑠が、鋭い女豹の眼で俺にガンを飛ばしながら、俺に聞いてくる。
「…やってきていきなり、俺を殴り倒した麗緒瑠こそ、どういうつもりだ?」
俺は躊躇いのない麗緒瑠のグーパンを食らって、ジンジンと虫歯ばりに痛む頬をさすりながら、見下したような視線を浴びせる麗緒瑠を見上げながら、口プレーで応酬する。
「はあ…映優梨んが水着にぶっかけられて泣いてるの見たら、殴るに決まってるじゃん?センパイが殴ってなきゃ、二彩がビリビリの刑にしてたけど?」
二彩も恐ろしい宣言をしながら、スカート水着に手を入れて、スタンガンの存在を確認してるようだ。
「映優梨を幸せにする約束で、ウチらも敵に回してたってのに、見損なったぜ、瞑司。お前をレイパーとして突き出してやってもいいけど、ウチらの身内とか、がっかりするやつが多いしな。ウチらが気のすむまでボコボコにしてやる」
麗緒瑠は自分の手で、落とし前をつけたいらしい。警察に行かなくていい代わりに、病院送りになりそうだ。
「レイパー上等。麗緒瑠も昔は、映優梨ちゃんをボコボコにしてたくせに、ずいぶんと偉くなったもんだなあ?」
俺も映優梨に秘密を気付かれたから泣かせたと、馬鹿正直に話して許しを請う気はない。喧嘩でかなわないからと、口先で反撃する。
「んだと、ッメェ!」
「待って、二人とも喧嘩しないでください!」
裏道のうすら寒いアスファルトに転がりながらも憎々しく口撃する俺と、そんな俺に殴りかかろうとする麗緒瑠の間に、たおやかに伸びた両手を広げて映優梨が割って入る。涙でぬれた顔をあげて、白濁と汚された水着姿を震わせながらも一触即発の間に入った弱弱しくも健気な姿に、麗緒瑠の怒りの鉄拳が止まる。
「なんで自分を泣かせた男かばうんだよ映優梨?」
「映優梨んは、め~じ兄ぃに怒っていいんじゃない?」
怒り心頭の麗緒瑠と二彩に、映優梨は一歩も引かない。怒りではなく、何か別の強い意志を宿した立ち姿だ。
「元はと言えば、瞑司さんの聞かれたくない過去に、踏み込んだ私が悪かったんです。でも瞑司さんはそれを知られたくなくて…何より私を傷つけたからって、黙って殴られようとしてるんです!」
「えっ、め~じ兄ぃってば、また演技して隠し事してたの?悪役ぶっちゃって」
「ウチをわざと煽ってたのか。まあ言われてみれば、瞑司の常とう手段だよな」
映優梨をせっかく口封じに責めたのに、まさか割って入る気になるとは。俺の過去という弱みを提示したことで、俺に怒っている麗緒瑠と二彩も、そっちに関心が移ったようだ。そして、映優梨はいつになく有無を言わせない態度で、俺に向き直る。
「私は、瞑司さんと喧嘩したり、痛い目にあってほしいって、どうしても思えないんです。その代わりに教えてください、過去に何があったのか」
「俺を助けた交換条件ってことか……大きく出たじゃないか、映優梨ちゃんも」
「もったいぶってないで、さっさと吐けよ瞑司。さっき”気のすむまで”って言ったけど、お前が吐くまでボッコボコにしてやんぞ」
「二彩たちも、その過去って気になるんだよね~。聞いちゃったからには、話すまで許さないから」
麗緒瑠は俺を真に負かすために、二彩は俺の秘密を暴露したい好奇心で、すっかり映優梨の案に乗り気だ。
珍しく映優梨に、場の主導権を握られてしまった。映優梨は俺が教える勉強のレベルについてこれるくらい頭が回ることはわかってるつもりだったが……ここまで大胆になれるとは思わなかった。さっきまで俺に水着巨乳を辱められて泣いていた娘が……。何が彼女をここまでさせたんだ?
「何故そこまでして、俺のことを知りたいんだ。俺への恨みとかじゃないのか?」
俺の皮肉に対して、映優梨は黒髪を揺らめかせながら、悲しげに首を振る。
「違います!私は、瞑司さんのことが好き……。でも、私がいじめられてる秘密を聞いてくれた瞑司さんは、遠慮のいらない私にも壁を作ってるみたいで、それがずっと寂しくて……。だから、私も聞きたいんです。そうすれば、きっと!」
映優梨は黒曜石の瞳を涙できらめかせて、俺に訴えかけてくる。俺の心の中まで澄んだ光で照らしだしそうな、純粋な瞳に思わず魅入られる。だが、だからこそ、純情な彼女には、俺の過去なんて話せない。
「どうにもならないよ。話したところで…っ!耳がっ……」
動揺を押し殺して、なおも素っ気なく拒絶しようとしたその時、耳の中にゴロゴロした違和感が走り、耳を抑える。こんな時なのに、いや、神経が高ぶってるせいなのか、耳の違和感と痒みが気になって仕方なくなってきた。それこそ、麗緒瑠に殴られた右ほほの痛みが薄れてくるぐらいに。
「プッ、かっこ悪ぅ~。話したくないからって、耳が痛いって嘘つくとか、どんだけ?」
「いや、これはマジだな。プールで潜ったりしてたから、耳に水が溜まってゴロゴロするんだろう」
腹黒らしく仮病ととらえた二彩に対して、麗緒瑠は水泳経験者ならではの経験則で、本当に耳が異常だと気付く。二人とも、意地を張っていた俺が異常を起こしても、やれやれといった反応だ。
「それなら、部屋で耳掃除させてもらえませんか?落ち着いてから、お話を聞かせてください」
そして映優梨は、すぐに心配し始める。確かにこの耳を何とかするには、おとなしく映優梨の助けを借りるしかないみたいだ。
そしてプール内にあるホテルの一室。ここはプールや温泉がメインということもあってか、普通に水着姿でホテル内を歩けたりする。全員水着のままだ。
「へ~、結構綺麗で広い部屋借りてるじゃん!でもベッドはキングサイズって大きくない?」
「一つのベッドに4人で寝るつもりで、借りたなこいつ。それにしてもエロイことには、ずいぶん金払いがいいよな、瞑司」
「俺自身の実力で手に入れた奨学金があるからな。ま、それ以外のバイト収入とかはないから、俺の好きなことにしか使わないが」
「あの難関大学で奨学金をもらってるなんて、やっぱり瞑司さんは賢いです……」
しかし、部屋の感想よりも、俺は耳のほうが気になる。まずは、タオルでふき取っても取れない耳の中の水滴処理からだ。
「耳にたまった水は、頭を横に傾けてジャンプしないと取れないんだ。ウチがやってやるのを真似してみ」
麗緒瑠がDカップ美乳をプルプル揺らしながら、頭を傾けて片足ジャンプするのを真似してみる。ジャンプの加減や頭の角度、バランスのとり方まで細かく教えてくれたので、水滴が流れ出て、耳の穴に空気が入ってすっきりしてきた。
耳の中のゴロゴロはだいぶ消えた。自重で流れ落ちるような大粒の水滴は残ってないが、耳はまだ湿った感覚がする。
「次は、ドライヤーで乾かす番ね。二彩、ドライヤーはめ~じ兄ぃよりも得意なんだから」
二彩が耳元でロリータボイスでささやきながら、ドライヤーの温風で、耳をそっと丁寧に乾かす。耳の中が温風で熱くなりすぎないように、風を当てる角度を細やかに変えながら、細かい水滴を飛ばしていく。あのふんわり豊かな毛糸髪をいつも風呂上りに自分でケアしてるだけあって、軽口に見合わない繊細なドライヤー捌き。
すぐに耳の湿りもなくなったが、代わりに乾燥して耳垢の存在が気になり、痒みが増してきた。
「瞑司さん、後は私が耳かきしますから、ここに横になってください」
ベッドの上で清純そうな顔して映優梨が勧めるのは、肌白い美脚をむき出しにした水着姿の膝枕。いつもきちんと足をそろえた正座が多い彼女だが、今回は両太ももがぴったり合わされた境目が緩やかな曲線を浮かばせ、柔らかそうな寝心地を想像させる。つまるところ、いつもの正座なのに、水着になっただけで美脚のエロさを醸し出している。映優梨が純心に耳かきしたいつもりで、無自覚にエロスを提供してくれてるのも、余計に興奮する材料だ。
「ま、今の耳じゃ、話も聞けないしな。耳掃除で来たら、話してやろうかな」
清純な誘惑に乗って頭を預けた水着ナマ脚の膝枕は、プール上がりでしっとりした温度に、吸い付く雪肌のハリ、俺の頭を受け止めながらもクッション性のある太ももの弾力、それらが頭越しに伝わってくる素晴らしく心地のいい感触だった。
膝の上の俺に微笑みながら、顔にかからないように長い黒髪を背中に回した映優梨がのぞき込んでくる。
「お耳に入りますよ~」
映優梨は華奢な左手で包むように俺の側頭部を固定し、看護師かとでも思うような明るく優しげな声で、俺の耳穴に綿棒を差し入れてくる。耳穴の壁を傷つけないようにゆっくりと、滑らかな動きで入ってくる綿棒は、初めて耳穴を探る映優梨の気づかいゆえか。
まずは綿棒で耳穴の構造を探るように、スルッ、スルッとほのかに残った湿気を丁寧に拭う。映優梨の細指は、余計な力を籠めずに、そうっと綿棒を接触させて、水分を吸い取らせる。綿棒なのに、耳穴の水分を布でふき取られているような、絶妙に調節された使い方。名乗り出ただけあって、水にぬれた耳の掃除も慣れてるのか。
「水気は取れました。耳垢を取りますね」
水気を取り除かれて、濁りの無くなった耳に、映優梨の涼やかに響く声は、涼風が耳奥まで吹き抜けるよう。今度はひっくり返した綿棒の先で、コショコショと耳壁に触れさせてくる。手ぶれのない指使いのおかげで、耳がこすれたりくすぐられる感触はなく、それでいて耳垢が少しずつそっとかき出されていくと、異物感が取り除かれて安心する。耳垢が相当たまっているが、映優梨は焦ることはしない。張り付いた耳垢の塊を、細心の注意を払って少しずつ削り、耳垢が粘着力を失った所で綿棒を引き出して、こびりついた耳垢をはがす。ガザガザした耳垢を取り除きながら、その時に痒みが走る耳壁まで、程よい力加減で掻いてくれる。カサッ、カサッ…と耳垢が取れる音が、小気味良く耳に通る。
映優梨の耳掃除は、今までにない気持ちよさで、モチ肌膝枕に頭を預けて寝転んでいることもあり、本当に秘密でも話せてしまいそうなくらい、リラクゼーション効果が高い。俺がかたくなに閉じていたはずの心の殻も、耳垢と一緒に剥がされてれていくようだ。映優梨が話す前に耳掃除を優先したのも計算された気遣いとしたら、ずいぶん
「痛くないですか、瞑司さん」
「映優梨ちゃん、耳掃除上手いな。誰かにやってもらって覚えたのか?」
「私のお姉さん、あっ、私からするとお母さんの妹に当たる人なんですけど……その人に教えてもらったんです。私のお母さんにしてもらった記憶はあまりないですから……」
前に聞いた話では、映優梨は早くに両親を亡くしたから、覚えがあるのは今の後見人だという叔母の方か。お姉さん呼びされるということは、ぼんやり想像してたよりも若くて、映優梨とは姉妹みたいな間柄になるか。
「映優梨ん、お姉さん呼びしてんの?妹キャラまで持ってくなんて、あざとズルい!二彩たちJKからみたら、20歳越えはオバさんでよくない?」
二彩が変なポイントで対抗してきた。控えめで保護欲をそそる映優梨が、妹属性まで持ってたら、俺もそりゃ盛り過ぎとは思うけどさ……。
「まだおばさんって呼ぶ年じゃありません。27歳で、大人びて綺麗な人なんです」
「ほ~ら10歳も年上じゃん。年離れすぎで、ジェネレーションギャップとかあって正直ウザいでしょ?」
「ないです、7年も育ててもらってるんですよ!最近はお仕事が忙しいみたいですけど」
「二彩、あんまり安い喧嘩売って、映優梨を怒らせんなよ。手元が狂うぞ?」
「あっ、私ったら、つい……。瞑司さん、痛くしませんでしたか?」
麗緒瑠の注意に、映優梨の方が慌てて手元を見直す。
「映優梨ちゃんは、しっかり手ブレ補正かけてたから問題ない。それと、二彩ちゃんは今、俺の妹やってるんだったよな?」
「妹だから喧嘩するなってこと?め~じ兄ぃらしくないね」
「そうじゃない。俺と二彩ちゃんは血のつながりなし…つまり義妹キャラだ!兄呼びしながらも、実はエロイ関係には障害なし。本来一人っ子でも、実妹とはその背徳感で一線を画してるわけだ!」
俺がとっさに変態的な熱弁をふるったので、二彩は一瞬あっけにとられてから、膨れた頬袋から一息に吹き出す。
「フプッ、ヤダ、め~じ兄ぃったら、二彩をそんな風に見てたんだ~。じゃ、妹キャラとして映優梨んも超えちゃうかな。映優梨んは、妹っていうより、め~じ兄ぃの嫁だもんね」
「えっ!?私は、まだお嫁さんには、早いって言いますか…」
「嫁になりたいなら、耳掃除続けてもらえるかな、映優梨ちゃん」
「は、はいっ!不束者ですが!」
映優梨は徐々に耳穴の入り口から中のほうへと、綿棒を沈め始める。
「ふう。喧嘩になるなら暇つぶしに……二彩が麗緒瑠のおっぱい揉むところ、今度は俺にも見せてもらおうか?」
「ふ~ん、め~じ兄ぃ、妹の二彩ちゃんにそんなのしてもらいたいんだ?」
「瞑司、ウチらがソッチ系の関係だったって、勘違いしてねえか?」
今度は二彩と麗緒瑠が絡むのを強要してるのだ。暇そうにしてた二人にも引かれている。
「本当にその手の関係じゃないなら、ただの戯れだろう?先輩後輩の純粋な日常を、俺に見せられないとでもいうのかな?」
「チッ、ムカつくな。二彩、いつも通り触っていいぞ」
「センパイ…じゃ、甘えちゃお~っとっ!」
二彩が幼い手を両脇から差し込み、黒ビキニに釣り上げられた美乳を一気にすくい上げる。あまりの勢いに、弾力豊かな美乳は、三角ビキニから飛び出さんばかりに、上に弾む。
「ちょっ、二彩、いきなり何すんだよ!」
「ん?め~じ兄ぃとセンパイのリクエスト通り、モミモミさせてもらうんだよ?でも、二彩もおっぱいの良さがわかってきたから…このキレイなおっぱいも、じっくり触ってみたいなって」
「二彩っ、だからって、揉み方変わりすぎだろっ、ん、くあっ!」
お椀型に盛り上がった美乳のフォルムを誇示する極小水着だから、乳揉み経験が少ない二彩でも揉みやすいだろう。一度捕まえたDカップを、二彩の小さい指の間から乳肉がはじけそうにはみ出しながらも、二彩は決して離そうとしない。
俺が映優梨を揉ませてやったおかげで乳揉み魔と化した二彩は、揉み方にも前より熱がこもっている。爪が食い込むほどに指先を沈めて、高反発バストの弾力を確かめる。前に突き出すような急カーブの曲線を描くお椀型の双子乳を、円を描くように、交互のリズムをつけて揉み回す。
「センパイのおっぱいって、こうしてがっつり揉んでも型崩れしないよね。二彩、センパイのスタイルには、前からあこがれてたんだよ?」
「二彩、お前、くふぅ…瞑司の変態ぶりに当てられすぎだろ、っあ!」
背の低い二彩が下から純粋に憧憬を込めたまなざしで、紅潮して目を泳がせる麗緒瑠の顔を見つめる。二彩相手だからと、後輩に気を許す感覚でいたら、思わぬ愛撫を仕掛けられて焦る麗緒瑠の表情が見て取れる。
ツインテロリ二彩と黒ギャル麗緒瑠の絡みを眺めながらも、俺は今度こそ耳かきに集中している映優梨に話しかける。
「さて、話途中で怒り出しそうな二人は夢中だし、聞いてもらおうか。俺のくだらない過去の話を」
話を最後まで聞く気があると断言できる映優梨を残しておいて、話を始める。俺もまたいきなり殴られたくはないからな。
映優梨は、それでもかまわずにうなずく。
「はい。だって、瞑司さんは、つらかった時に私の話を真剣に聞いてくれて……聞いてもらえただけで、その時は胸が軽くなって救われた気になれたんです。だから今度は私の番です。私が胸の重しを、受け止めます」
こんな俺に、そこまで恩を感じているとはね。俺の理不尽な話を聞いても、その純粋さを失わずにいられるだろうか?
瞑司の姑息な時間稼ぎで、秘密が明かされるのは次回ということに……。
書く時間が足りなくなったとかじゃないですよ(汗)