※この作品はR-18です。

将来を有望視された青年が、冤罪で問題山積みの鎮守府に着任されました。 ~地獄の底からこんにちは~   作:ガリアムス

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将来を有望視された青年が、冤罪で鎮守府に着任されました。 ~空母組と日向と作戦始動~

甘味処間宮…朝昼晩の艦娘達の食を支えるこの場所は、朝御飯を食そうと訪れる艦娘で今日も賑わっていた。無論アキラもその一人。先程川内から指揮権を承認させて貰い、戦力に加えた彼は少し上機嫌で焼き魚定食を注文し、受け取り席に着いていた。其処へやって来たのは…

 

龍驤「お、アキラはん。おはよう」

 

アキラ「龍驤さん、おはようございます。龍驤さんも焼き魚ですか?」

 

龍驤「そやで~。あとは小松菜の漬物に、ひじきの煮物、味噌汁に銀シャリ。そして何と言ってもこの焼き鮭!」

 

アキラ「焼きたてで、身が固まる前の箸でホロリと割れる柔らかさ!噛む度滲み出る油!皮まで美味しい!」

 

龍驤「皮の美味さが分かる奴がおって良かったわ~♪」

 

鮭で熱く語る二人。だがこの時、ある勢力はアキラを恐れ、警戒している事に彼は気付く余地もなかったのだ。

 

* * *

 

食後にアキラと龍驤は外に出て背伸びをする。この場面だけを見れば、兄妹のように見える。

 

アキラ「龍驤さん、空母組宿舎は何処に有るか分かります?」

 

龍驤「ウチらの住まい?ああ、それなら此処から東側の小高い丘の上やな。ほら、彼処に見えるやろ?」

 

龍驤の指差す方向に一階建ての建物が見える。中々洒落た建物のようだ。その右側には修練場と思わしき不自然なスペースが。

 

龍驤「空母組はウチに言わせれば、まだまだひよっこやけんど本当に頼りになるで。ウチと協力関係に有るんがホンマ役に立つよ~」

 

そう言えば大淀さんが、龍驤さんは大本営直属の艦娘だって事を言ってたよね。それが空母組と何の関係が有るのだろうか?

 

* * *

 

間宮から東に五分歩いた小高い丘の所に、空母組の宿舎が有った。

 

龍驤「ウチは此処までやね、武勲を祈っとるで」

 

「ありがとうございます」と深々と頭を下げると、龍驤は手を振って鎮守府本館へ戻って行った。

 

アキラ「おじゃましまーす」

 

正門を潜り抜けると右側の修練場から声がする。

 

???「ん…何方かしら?」

 

物陰から様子を窺おうとしたら気付かれた。流石は空母組、索敵範囲はおそらく航巡よりも広い。

 

「こんにちは」と挨拶しただけで空母組の皆さんの顔が青ざめて、一部はガタガタと振るえてる。

 

???「提督って(あの龍驤さん)と同じ席で和気藹々に語り合ってましたよね…?」

 

アキラ「…?そうですけど、何か?」

 

答えたら皆円陣組んで汗だくだくでひそひそ話。一体アキラ…と言うより龍驤を恐れているのは何故なのか?

 

???「アキラ提督。我々空母一同、貴方の剣として、又盾として、尽力する事を此処に誓います」

 

赤い帯とスカートを着る女性が中世騎士の様にアキラの前に膝を付き、続けて青帯・スカートのサイトテールの女性が続くと、巫女色の服を着るツインテールと白髪のストレートヘアの姉妹が。

 

日の丸鉢巻を巻くオレンジの着物の女性に、緑色の着物の女性が片膝を付く。

 

そして白の着物に黒スカートの女性と、灰色髪の黒緑の服を着た少女、ポニーテールに束ねた緑着物の臍出す変わった服の女の子が、彼の前に膝を付き、指揮権を認めたのである。

 

アキラ「いやちょっと待ってよ!?え…なにこれ、こんな簡単に指揮権委ねちゃって良いの君達!?俺、皆と少しずつでも良いから…絆、深めて…グズっ」

 

自分の情けなさに、胸を締め付けられたアキラは不覚にも泣きそうになり、皆に慰められるというシュールな光景が出来上がった…

 

* * *

 

赤城「…では、個別に自己紹介をしていきます。私は航空母艦の赤城、隣に居るのは私と同じ一航戦の加賀さん」

 

加賀「加賀です。…よろしく」

 

飛龍「ニ航戦・飛龍型航空母艦の飛龍と言います」

 

蒼龍「航空母艦の蒼龍です。飛龍とはニ航戦のコンビを組んでるわ」

 

翔鶴「翔鶴型装甲空母、一番艦の翔鶴と申します」

 

瑞鶴「その翔鶴姉ぇの妹で翔鶴型装甲空母の二番艦の瑞鶴よ。よろしくね、アキラ」

 

アキラ「お、おう…よろしく」

 

一航戦、ニ航戦のヘイトを集める瑞鶴、さっきの自己紹介の呼び方だろうな。

 

葛城「雲龍型航空母艦、三番艦の葛城!憧れの瑞鶴先輩に追い付けるよう、日々精進してます!」

 

祥鳳「祥鳳型軽空母の祥鳳です。小柄で至らない点が有りますが、どうぞよろしくお願い致します」

 

瑞鳳「祥鳳お姉ちゃんの妹、瑞鳳です。よろしくお願いします!」

 

自己紹介を終えて、龍驤さんの事は関係無しに特別作戦の事を伝え、握手を交わし、彼女達の練習風景や艦載機を色々教えて貰ったりして、大体一時間消費した。

 

この後は書類関係の仕事もある。早めに戻らないと…

 

* * *

 

サラサラサララ…カキカキメモメモ…

サラサラサララ…カキカキメモメモ…

 

アキラ「多い…!多い、多い!多すぎる…!!!」

 

執務室に戻った彼を待っていたのは、大本営直属の資源を溝に棄てる提督達(馬鹿共)の尻拭いだった。特別作戦が近いだけあり、その量と厚さは前回の比ではない。中にはボーキサイト100000という0を一つ間違えただろというものも。

 

大淀「アキラさん、此方の資源計算終わりました!合計で弾薬135000/燃料173000/鋼材181000/ボーキサイト115000/バケツ550です!現状どの資源も修復材も足りません!」

 

アキラ「緊急遠征部隊に即急に連絡!吹雪!他の駆逐艦も動かして欲しい!あとやりたく無かったけど潜水艦娘達にもクルージングに向かうように指示を!!!」

 

吹雪「はい!!」

 

アキラ「おおおおおおおおお…!!!!!負けてたまるか…!書類の山なんざ、なんぼのもんじゃあい!!!!!」

 

栄養ドリンクをイッキ飲みし、手が千切れそうになりながら一枚一枚を書き記し、判子を押して大淀さんへバトンを渡す。執務室は今、書類の物量攻撃を僅か三人のみで凌がんとする戦場と化していた…!

 

* * *

 

三人「お、お、終わったああああああああああああ…!!!」

 

執務室に雄叫び響く。精魂使い果たしたアキラの口から霊魂がヒヨロロンと出てきそうになっている。

 

吹雪「アキラ司令官!出ちゃいけ無いものが出てます!戻って戻って!」

 

アキラ「…はっ!?今、天国のじっちゃんが見えた」

 

大淀「(アキラさんのお爺様…どんな方なのでしょう…?)お疲れ様でした♪これからの予定はどうしましょうか?」

 

アキラ「…特別作戦準備、最後の仕上げ。もう一人戦艦艦娘を戦力に加えて完了だ。資源と高速修復材を整え、作戦開始を待つ」

 

大淀「了解致しました!」

 

アキラ(さぁ…俺達は耐え凌いだぞ、大本営。次は何を仕掛けてくる…!)

 

疲労でアキラは眠気に誘われ、やがて机に凭れ掛かり寝息を立てて眠りに着く。大淀さんと吹雪が枕を差し込み、布団をかける。吹雪が近くに付くと、大淀さんは暫しの休憩に入る。

 

吹雪「お疲れ様です…司令官」

 

* * *

 

利根「瑞雲は良いぞ」

 

アキラ「……利根さん何を言っているんですか」

 

眠りから醒めた時、目の前に利根姉妹が立っていて利根さんが金色の模型飛行機(?)らしい物を掌に乗せている。

 

利根「まぁ反応からして、そうなるじゃろうの。これを持って戦艦艦娘の宿舎一階の真ん中の部屋に向かうと良い。あと丁寧に磨いておけば、尚良しであろう」

 

よく分からないが幸運のアイテムらしい。利根姉妹が執務室を去って、書類の片付けを終えてからじっくり観察すると所々に埃を被ったりしてる。

アキラは息を吹き掛け、アルコールティッシュで慎重に細部を撫でて、拭いてゆく。

 

アキラ「しかし…よく作り込まれてるなコレ。紅の豚で主人公のマルコが乗ってた赤い戦闘機とそっくり…な感じがするなぁ」

 

部屋の証明を当てつつ、注意深く見る。金色の翼に写る赤の日の丸、二脚の曲線美。見て見る程に惚れ惚れする一級の芸術品。

 

十数分後、利根さんから渡された瑞雲は金ぴかの光を放つ新品同様の美しさを取り戻した。

 

アキラ「これを戦艦艦娘宿舎一階の中央の部屋に持って行けば良いんだな」

 

慎重さが求められるので、彼は手袋を装着し運搬を開始した。階段や何気ない段差に細心を払い、一歩一歩目的地へと進む…。

 

* * *

 

以前大淀さんと共に霧島さんを戦力に向かい入れた宿舎に到着し、目の前に聳えるドアを数回叩く。

 

???「誰だ?伊勢では無さそうだが」

 

アキラ「アキラです、渡したい物があるので来ました」

 

要件を伝えた数秒後、ガチャリと部屋の鍵が開いて「…どうぞ」と返答が。「失礼します…」と遠慮がちに入室した彼の目に飛び込んだのは、自分が磨いていた瑞雲が部屋中に所狭しと保存・管理されていたのである。しかも寝床となるスペースさえ侵略しかねない勢いだ。

 

日向「君がアキラ提督か。私は日向、此所は見ての通り私がこれまでに集めてきた瑞雲(コレクション)達だよ。」

 

アキラ「全部ピカピカで艶々…しかも衝撃に強いガラス箱で完全防御…手の入れようが生半可じゃない」

 

「分かるか」と聞かれアキラは小さく頷く。そして本題となる金色瑞雲と慎重に日向の前に置いた。

 

日向「利根が借りていた瑞雲だな。君が磨いたのかい?」

 

「はい」とだけ答えると、彼女は事細かにチェックを行い始めた。翼の曲がり具合、傷の有無、パーツの欠損、プロモデラーがプラモデルを作るのと同じか、それ以上の眼力で見定める…。

 

日向「…うん、良く手入れされている。コイツも喜んでいるよ」

 

合格の太鼓判を押して貰えたアキラ、そして日向が手を差し出す。「これからよろしくな」、今の彼には一言で十分だった。

 

* * *

 

アキラ(これで戦力面の問題は解決した…!)

 

時刻はフタフタマルマル、一時間だけ男湯に変わる時間内で湯船に浸かり、今日一日の疲れを存分に癒す。

 

アキラ(俺もまだまだ未熟だ。…逆にそれは、俺は成長出来るって事。必ず成功させてやる…!五包囲電光石火作戦!)

 

それぞれが自分の目標を掲げ、想いを馳せ、策略と陰謀が渦巻き、波紋となって拡散する…。

 

遂に特別作戦:五包囲電光石火作戦の幕が開いたのだ…!




二階堂 真守(にかいどう まもる)…海軍士官育成高等学校第80期卒業生の一人。正義感が強く、約束は絶対に守り、一人で居る奴は絶対に放っとけない性格の持ち主。
成績・身体能力共にアキラを上回るが、それを一切自慢せず、自分より凄い事を成し得た者を誇りに想い、誰とでも仲良くなろうとする。

卒業式後、提督となったが現状の行方は不明。
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