※この作品はR-18です。

将来を有望視された青年が、冤罪で問題山積みの鎮守府に着任されました。 ~地獄の底からこんにちは~   作:ガリアムス

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引き続き準備期間 & 艦娘達との交流話。


将来を有望視された青年が、冤罪で鎮守府に着任されました。 ~日之國の英雄とアキラの憧れ~

俺には憧れの存在がいる。六歳の時だ、今は亡きお祖父ちゃんの家に遊びに行って、その書斎の中で一番最初に見つけた一冊の本。

 

題名は「日之國の英雄」。お祖父ちゃんが言うには、記載されているのは、とある戦艦の話であり、当時の俺は漢字が読めずに、いつも読んで貰っていた。

 

その時の記憶は今もよく覚えている…。

 

本に記された、軍艦の名前は…長門。

世界にたった七隻、選び抜かれた軍艦の一隻。超怒級の名を冠し、日之國を護り、誇り高く生きて、沈んだ…。

 

武人の様な生き様に当時の俺はとことん魅力され、長門に乗りたいが為に、海軍学校に入ったのではないかと、今更になって気付く。

 

…本当は日本人として産まれた誇りを胸に、長門の様に誇り高く生きて、戦場で気高く死ねるような生き方が出来る人になりたかった…。

 

* * *

 

大淀「荒潮ちゃん達の活躍で開発資材と資源の指定量に漸く届きそうです」

 

アキラ「…よし、此方もウッド島偵察戦の準備するぞ。まず制空・対空は葛城と祥鳳さん。索敵並びに夜戦は大淀さんと利根姉さん、そして…夕立を起用する」

 

先日の夕立との出来事もある。しかし「ソロモンの悪夢」や「狂犬」と敵味方に云わしめた彼女の力を、彼は知りたいと考えたからだ。

 

大淀「…夕立さんは確かに夜戦においては強力無比と言えます。それでも彼女自身、自分の暴走を抑えられるとは思えません。

下手をすれば、味方の命にも危険が及ぶ可能性があります」

 

大淀さんが危惧する可能性。夕立の暴走…彼女は闇夜に異常な迄に敏感で、過去に行った演習で、夜戦に突入した瞬間、数秒で相手の艦娘を全員を半殺しにし、海へ出られなくした過去がある。

 

狂乱した眼と狂喜の高笑いを挙げながら、海を走り、魚雷を乱射、高角砲を乱舞、零距離で乱打を叩き込み、拳を、服を血に濡らし、染めた姿だったという…。

 

…自分がやられたら、真っ先に自殺する自身があるな。うん…。

 

アキラ「とにかく、彼女の抑止力になれる存在が良いかもしれないな。金剛型…は、今回は役不足かもしれない。

 

伊勢型…扶桑型…違う。となると…」

 

大淀「華裏鎮守府に大和型戦艦は在籍しておりません…。そうなると、あと考えられるのは(長門型)の二人だけになります」

 

アキラは小さく頷く。初心表明演説に姿を現さなかった、長門型戦艦姉妹。期待と不安を持ちながら、アキラは大淀さんの案内の元、戦艦型艦娘達の宿舎に向かい、歩き出したのだ…。

 

* * *

 

戦艦組宿舎…。伊勢型の二人の部屋を通り過ぎ、階段で二階に向かう。登りきった正面には既に大部屋が在るであろう、巨大な間取りの部屋が存在していた…。

 

大淀「此方が長門型の御二人の部屋になります。くれぐれも入室には十ニ分に注意してください」

 

小さく頷き、恐る恐る扉に手を伸ばし、数回小さく叩く。

 

「良いぞ」と室内から許可が下り、まるで警察が犯人の自宅に強行突入する瞬間のように、意を決して…扉を開く。

彼等が室内に入り、最初に目にしたのはボロボロの笹くれた指のような畳。年期の入った掛軸に、白く埃を被る花瓶と、木彫りの置物。

 

そして入口から最も離れた場所に、彼女達は居た。豊満な胸を白い布で覆い、スカートベルトに埋め込まれ金に輝くは、大日本帝国海軍時代を彷彿とさせる菊の華。

長く艶やかな腰に届くで有ろう黒の髪の女性と、ふんわりしたショートな茶髪の女性が、美しい正座で其処に。

 

ビッグセブンの二人…

日之國の英雄、長門型超弩級戦艦・一番艦長門。

ラバウルの女神、長門型超弩級戦艦・二番艦陸奥。

 

アキラにとって幼少に心を奮わされた、憧れが目の前に居る事に、ただただ…彼は歓喜し、神に感謝する。

 

???「…む?一人見掛けない顔がいるようだが」

 

???「長門。彼、新しく配属された提督よ。何でも冤罪で華裏鎮守府に来たそうで」

 

茶髪の女性が、此方にわざと聴こえる声量で耳打ちし、彼女…長門はアキラを少し見た後でこう言った。

 

長門「…金剛達が認めているあたり、どんな提督だと思ったが。やはりな…まだ若い」

 

アキラ「え…?」

 

長門「お前は今まで、何人の艦娘を抱いてきた?」

 

アキラ「ぶっ!?」

 

真顔でとんでもない爆弾発言を放ち、ペースを見事に崩される。長門にとっては何の問題もない、だがアキラにしてみれば死活問題に他ならない。

大淀さんを女にし、荒潮を傷を埋める為、彼女達を抱いた。二股した事実に変わりはないのだから。

 

アキラ「…二人、抱きました。一人は俺の横に居る大淀さん。もう一人は…緊急遠征部隊に居る荒潮、です」

 

大淀「…………アキラ司令。後で二人だけで御話する時間、頂けますか?」

 

「ああ」とだけ答え、それを聞き届けた大淀さんは彼を残して、退室。扉を閉めた彼女の顔は、どこか悲しみを帯びているように見えた…。

 

長門「…邪魔者は居なくなった、では本題に入ろう。今日はどんな用件で私達を尋ねたのか…話してくれ」

 

アキラ「…それよりも。どうしてあんな質問をしたんですか?最初の発言、あれは大淀さんを部屋から追い出す事が目的じゃないですよね?

 

発言の真の狙い…何ですか」

 

アキラの問いを聞き、長門は一拍置いてから答えをぶつける。

 

長門「最初の発言…か。敢えて言うなら、君の提督としての器を測ったに過ぎない」

 

アキラ「器…?」

 

長門「そうだ、提督としての技量。懐の広さ。情の広さ。さっきの発言は、君がどんな人間なのかを測る為、小石を投石したに過ぎない」

 

アキラは長門が言っている事…器を測る為に、小石を投石する、その意味を彼は理解出来なかった。

 

長門「私は君を馬鹿にしている訳ではない。私の話しは皆、理解が難しいのもよく分かっている。

 

私は…いや私達は、華裏鎮守府を変えたいのだ。ただ変えるのではなく、大本営を真に負かした上で、認めさせたいのだ」

 

右手握る彼女の瞳、その奥底に燃える決意と不屈の熱をアキラは確かに感じた。彼女は頑とした、筋の通った覚悟がある。

 

陸奥「長門…それ、アキラが初心表明演説で言っていた事の丸パクリじゃない」

 

長門「な…!?わ、私だってな!…い、一日頑張って精一杯考えて、私自身で出した答えなんだぞ?!」

 

先程迄のビッグセブンとしての威厳や、武人の発言のイメージが音を立てて崩れ去る…。なんだこの、ポンコツ感漂う状況は。

 

長門「………幻滅、したか」

 

アキラ「うん、色々な意味で」

 

しょんぼりと萎びれた花のように落ち込む長門。自分の憧れた存在が、此処まで酷いとは彼自身思いもしなかったろう。

 

が、しかし!

 

ヴゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!

 

アキラ「これって緊急サイレン!?」

 

突如としての鳴り響く其れは、彼等に告げる新たな戦いの音。

 

大淀(アキラ司令、大至急執務室に来て下さい!!敵深海棲艦が此方に向かい、進行して来ています!)

 

アキラ「何でこんな時にっ…!くそったれ!」

 

不平不服を吐き捨てて、アキラは執務室へ一目散に走っていく…。

 

* * *

 

アキラ「大淀さん…今、何て…?」

 

大淀「…戦艦棲姫、駆逐古姫二隻、空母ヲ級改二隻、そして駆逐ハ級後期型eliteに補給ワ級flagship達で構成され、しかも全員が対空兵装と思われる、機銃を装備しています」

 

熟練見張り員と彩雲により得られた情報は、アキラに深い精神的ダメージを与える。

戦艦棲姫も駆逐古姫も、本来通常海域に居る筈がない艦。それが前回の恨みが有るのか、今度は本気で攻めてきた。

 

やっとの思いで規定量の資源を集めたというのに、次々に襲う不条理で嫌になる。

 

アキラ「迎撃しなきゃ…此処を守るためにも!ブリーフィングだ!今華裏鎮守府に居る艦娘達を会議室に集めて!!」

 

「「はい!」」

 

大淀さんと吹雪が動き出し、アキラも走り、駆逐艦娘達に呼び掛け、会議室に急がせた。慌ただしくなる鎮守府、枠組みは今の状況で足枷になる、彼は呼び掛ける。

 

「全員を必ず、会議室に連れてきて!」と。

 

* * *

 

会議室内…

 

集まった艦娘達を前に、頭脳派組が彼女達へ情報を、手短で的確に伝える。

 

鳥海「前回、司令官は余りにも限られた状況の中、夜戦特化の一点強襲を行い、敵艦隊の撃滅に成功しました。

 

しかし今回、敵は夜戦と空に対する防衛に加え、補給艦をも用いた臨戦体勢。前回のように、イレギュラーな搦め手が通用するとは考えにくいです」

 

霧島「加えて敵には、徹甲弾が効かない駆逐古姫と厄介極まりない空母ヲ級改が居、対空兵装の関係も考えると制空拮抗が限界です」

 

沖波「艦上戦闘機を航空巡洋艦の皆さんの最大スロットに載せ、空母には艦戦のキャリアー、対空には秋月ちゃん達に、摩耶さん、皐月ちゃんを器用。

先制雷撃の阿武隈さん、木曾さん、大井さん、北上さんも必要です。

 

最期に戦艦棲姫、駆逐古姫を黙らせるには…」

 

大淀「…今の私達が出せる、瞬間最高火力…ですよね、提督」

 

アキラ「…長門姉妹」

 

彼の声に二人のビッグセブンは静かに立ち上がる。

 

アキラ「戦艦棲姫と駆逐古姫…奴等を退ける力を、俺に貸して下さい。…お願いします!」

 

長門「ふっ…任せておけ。敵との殴り合いは戦艦の十八番さ」

 

陸奥「オッケー、任せて頂戴♪」

 

アキラ「よし…!今回の迎撃部隊出撃メンバーは、艦隊旗艦長門、補佐に陸奥と吹雪、防空は摩耶・照月・初月・皐月。万が一夜戦に突入した際には神通・夕立・時雨で敵陣に切り込む。

そして阿武隈、木曾の二人は魚雷を積んで先制雷撃で確実に敵を減らす事。

 

制空は五航戦の瑞鶴・二航戦の飛龍・雲龍型から葛城で対処する。

 

そして最後に一つ!全員、必ず生きて帰って来る事!資源を惜しんで、手を抜こうと考えるな!普段の皆の力を発揮して、深海棲艦を退けるぞ!!!」

 

一同「了解!!!」

 

アキラにより選ばれた艦娘達は直ぐ様、出撃用カタパルトの在る地下格納庫へと走る。

 

神通「照月、初月、皐月、夕立、時雨、吹雪さん。皆さんの鍛えた力を存分に発揮してください。手を抜くのは許しません」

 

駆逐組「「はい(っぽい)!」」

 

葛城「瑞鶴先輩!私…」

 

瑞鶴「葛城。普段からやってる事を思い出して。そうすれば…必ず勝てる」

 

飛龍(瑞鶴…私も二人の先輩として、やれることをやるだけよ…!)

 

阿武隈「久しぶりの実戦…不安も有るけど、頑張ります!」

 

木曾「その意気だ!俺達の役目…必ず果たすぞ!」

 

長門「陸奥…私達が、華裏鎮守府(みなのいばしょ)を守るのだ」

 

陸奥「ええ。私は貴女と共に…」

 

カタパルトエリアに到達したメンバーは次々に、自分達の艤装をコンバインし、カタパルトに乗り込む…!

 

神通「川内型軽巡、二番艦・第二水雷戦隊旗艦・神通改二!出撃(で)ます!!」

 

阿武隈「長良型軽巡六番艦、第一水雷戦隊旗艦・阿武隈!出撃します!」

 

木曾「球磨型六番艦、重雷装巡洋艦三番艦・木曾改二!行くぞ!」

 

摩耶「高雄型四番艦、防空重巡洋艦・摩耶改二!抜錨だぁ!!!」

 

照月「秋月型防空駆逐艦、二番艦・照月改!行きます!」

 

初月「秋月型防空駆逐艦、四番艦・初月改!…出撃(で)るぞ!」

 

皐月「睦月型駆逐艦、五番艦・皐月改二!いっきまーす!」

 

時雨「白露型駆逐艦。二番艦・時雨改二、出撃するね!」

 

夕立「白露型駆逐艦、四番艦・夕立改二!突撃するっぽいっ!!!」

 

吹雪「特型駆逐艦、吹雪型!一番艦・吹雪改二!出撃します!」

 

機動力に勝る、駆逐と軽巡、雷巡、重巡が先行してカタパルトから射出され、出撃してゆく!!!

 

瑞鶴「翔鶴型装甲空母二番艦・瑞鶴改二甲!出撃よっ!!」

 

葛城「雲龍型正規空母!三番艦・葛城改!出撃!」

 

飛龍「よし…!第二航空戦隊、飛龍型正規空母一番艦・飛龍改二!出撃します!」

 

空母組もカタパルトから随時出撃し、海へと着水。彼女達の持つ矢筒や小箱に、アキラが選択(セレクト)した艦載機達がそれぞれに対応した形になり、収納される!

 

そして…!!!

 

長門「いよいよ、私達の出番だな」

 

陸奥「ええ…」

 

ビッグセブンと世界に名を轟かせた二人の出陣。鎮守府全体が、彼女達の放つ重圧に揺れる…!軋む…!

その重さは、艤装を着けずともカタパルトに乗っただけで分かり、他の艦娘達の誰よりも重く、誰よりも強いその気迫が、既に戦闘(はい)っている事を、アキラや待機中のメンバー達に犇々と伝えていた!!!

 

長門「大日本帝國海軍!長門型、超弩級戦艦一番艦・長門改!!!出陣するぞ!!!」

 

陸奥「同じく、長門型、超弩級戦艦二番艦・陸奥!!出撃よ!!!」

 

カタパルトからの射出、そして海中に沈みし鎖が巻き上がり、水面下から姿を見せたのは計十六門の41㎝連装主砲並びに、八門の15.5㎝三連装副砲。

 

腰のジョイントに轟音響かせ、ドッキングする長門型の艤装。ジェネレータから熱蒸気が放出し、靴型のブースターが唸りを上げて、水面を走る!

 

長門「さぁいくぞ!私がき」

 

 

 

 

 

 

 

 

ばごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお…ん!!!!!!!!!

 

その時だ。陸奥の真横で、長門を爆炎が包む!

 

陸奥「長門!?」

 

アキラ(何だ今の音は!陸奥、何が有った!?)

 

陸奥「長門が…!長門が狙撃された!」

 

出撃組「「なっ!?」」

 

待機組「「狙撃されたですって!?」」

 

長く続く深海棲艦との終わりなき戦いの中で、奴等から確認された武装の中には、(射程:長)を超える主砲は無かった。(射程:超長)を誇る武装は唯一、軽空母ヌ級改flagshipが保有していた鳥型の艦載機のみ…!

 

射程外からの完全なる奇襲に、艦隊全体が止まる!

まさにそれを見逃さないと言わぬばかりに、第二波の攻撃が吹雪達を襲う!

 

皐月「…何、あれ…!」

 

初月「え…」

 

ドドドドドドドドドド!!!

 

轟音が鳴り響き、天空から飛来してきたのは無数の鳥型の敵艦載機!だが今までの形と違う…!

鳥型であるが、その形は隼に近い!!!

 

瑞鶴「まさか…!摩耶、皐月、初月、照月!!!対空機銃一掃射!急いでっ!!!」

 

照月、初月、皐月、摩耶の対空カットインがばら蒔かれる中、降り注ぐ爆弾が、艦隊へと叩き付けられた!!!

 

瑞鶴は知っている…奴等が使った武装が、自分達の(噴式)を元にしている事に!!

 

神通「あああ!!」

 

皐月「うわぁ!?」

 

初月「うあぁああ!!!」

 

スコールのように降り注ぐ爆弾と機銃が、音速の到来で対処が遅れた神通と皐月、初月を直撃し、彼女達の艤装を半壊、大破させる…!

 

阿武隈「司令!敵新型艦載機による奇襲爆撃で神通さん、皐月ちゃんが中破、初月ちゃんが大破!特に初月ちゃんは艤装と艦首をやられて、航行出来ません!」

 

アキラ(吹雪!初月を連れ戻せ、代わりに雪風を出す!神通、皐月!まだ動けるか!?)

 

神通「提督…私は、やれます!」

 

皐月「大丈夫…!ボクも!」

 

ボロに焼けた服を切れ端で縛り、酸素魚雷を口に加えて立ち上がる神通、解けたツインテールを一つに束ね、機銃を構える皐月。二人の目は死んではいない。

 

吹雪「初月ちゃん!」

 

照月「初月!!!」

 

初月「ごめん…姉、さん…僕は、役に…たて…」

 

損失甚大に至り、意識を失う初月。彼女を抱えて戦場を離脱する吹雪。そして…

 

照月「よくも…っ!!!よくも初月を!!!」

 

怒りに燃える照月と、長10㎝砲ちゃんの対空射撃が、襲い掛かる敵艦載機を次々と撃ち落とす!

 

摩耶「だああああああ!!!」

 

皐月「あああああああああ!!!」

 

飛龍「全艦載機、発進!!!」

 

瑞鶴「艦首風上、全攻撃隊!発艦、始めっ!!!」

 

葛城「航空隊発艦!!!」

 

初月の穴を埋めるべく、対空担当艦娘達が、対空砲火と艦載機で空へと放ち、艦隊全体が前進しながら、距離を詰める…!!!

 

時雨「見つけたよ…!敵艦隊だ!!!」

 

阿武隈「な、何よ…あれ…」

 

熟練見張員によって時雨が見つけ、艦隊に伝わる時、彼女達の一部は敵の艤装に言葉を失う。

戦艦棲姫に従順する巨大な獣の口から伸びる、列車砲並か、それ以上は余裕でありそうな、巨大な単装砲塔を…!

 

戦艦棲姫「イママデ…ウチクズサレタ、ワタシタチ…!コンドハ…オマエ、タチガ…シズミナサァイ…!!!」

 

ギゴゴゴゴ…と黒板を爪で引き掻く甲高い音が鳴り、単装砲塔が動き、砲弾が轟音と共に撃ち出される!!!

 

陸奥「全艦回避ぃ!!!私が駆逐古姫と戦艦棲姫を止めてみる!」

 

「了解(ラジャー)!!!」の掛け声から一気にツーマンセルで散開。超長単装砲を躱わし、阿武隈と木曾が先制雷撃へ移行!

だが駆逐古姫もまた、重雷装艦娘達の取り柄にして十八番たる先制雷撃の構えを取る!

 

阿武隈「阿武隈!御期待に応えます!」

 

木曾「お前等の指揮官は無能だな!」

 

駆逐古姫,s「シズメェ…!シズンジャエョオ…!!!」

 

敵味方四人の先制雷撃が炸裂し、阿武隈と木曾の魚雷は駆逐ハ級後期型とヲ級改flagshipを直撃し、ハ級は撃沈、ヲ級は小破されど健在。

 

瑞鶴「照月!夕立!魚雷そっちに行ったわ!」

 

駆逐古姫達の雷撃は、瑞鶴が敵視から一瞬で見抜きながらハンドサインで二人を回避させる!

 

瑞鶴(龍驤さんにシゴかれた分が、ちゃんと戦いで生きてる…!それに艦載機の皆も…!)

 

大本営で数多の提督達を育て、送り出し、先導者と謳われ、讃えられた華裏の龍驤。上空でぶつかる航空隊は、そんな龍驤が初期から共に培い、育ててきた精鋭中の精鋭。生半可な熟練度である筈がない。

 

その差は敵艦載機攻撃第一波から、三分を超えた頃、明確に現れた…

 

敵艦載機が次々と黒煙を挙げながら、炎と共に燃え落ちる。コンバット、センス、テクニック…熟練し卓逸した編隊を高速でやってのけ、敵から制空圏を優勢にしてのけたのだ!!

 

陸奥「敵艦隊との距離十分!反航戦…撃ち方始め!!」

 

先手を取るべくして陸奥の艤装に着けた試作51㎝連装砲がヲ級改flagshipに照準を定め、装填されし一式徹甲弾を撃ち放つ!

 

が、ハ級後期型が肉盾となり、さらに自身の体を空中で捻りて、徹甲弾を上空に反らした…!

 

陸奥「な!?なら、もう一撃!」

 

一瞬驚くも、時間差で構えた41㎝三連装砲で別のハ級後期型を爆沈させ、ミンチに変える!

 

戦艦棲姫「シズミナサァイ…!!!クヤラミ、フカイ…ヤミノナカニィ!!!」

 

長門をぶち抜いた単装砲塔が動き、その標的としたのは…

 

葛城「瑞鶴先輩!!」

 

激音が空気と鼓膜を揺さぶり、揺らし、空圧と共に鋼の衝突が、葛城の声を断ち切る。そして瑞鶴の装甲飛行甲板ごと、彼女の体を炎に包む!!

 

飛龍「瑞鶴!?」

 

水上を二転三転と転がり、叩き付けられ宙を舞い、水飛沫を赤に染める。

 

葛城「瑞鶴…!先輩…!?」

 

葛城の絶句…、無理もない。

 

瑞鶴の左腕は敵の砲弾によって引き千切られ、骨が筋繊維が見える程に惨たらしく、右脚は有らぬ方向へ折れ曲がって、骨が体から飛び出していたのだから…!

 

瑞鶴「あ…が…」

 

葛城「瑞鶴先輩!!きゃあ!!!」

 

瑞鶴の被弾で気を取られ、自身の防御が疎かになった彼女の隙を、ル級の砲撃が艦尾を撃ち貫いた!

弓矢が、格納庫が、推進機が…破壊される!

 

葛城「やられ…ちゃった…!航行、ならびに…艦載機発着艦、…不能…」

 

摩耶「でりゃあ!」

 

摩耶の弾着観測射撃がヲ級改を直撃する!だが黒煙を振り払い、現れる姿は微塵の傷すら付いていない!

 

摩耶「ちぃ…!くそったれ!」

 

???「あのヲ級を狙えば良いっ…ぽい!」

 

刹那。赤い残光が摩耶達の間をすり抜け、小破したヲ級改の周りで、赤の靄が揺めき動く!夕立だ!!!

 

夕立「ばぁ!!!」

 

ヲ級「!?」

 

12,7㎝連装砲B型改二の構えを変えると後ろへと砲撃し、加速を付けた艤装固定の拳を、不気味な肌へ叩き付けた!その衝撃凄まじく、ヲ級改の顎骨は完全に折れ、皮膚が裂ける!

 

夕立「ぽい!ぽい!ぽい!ぽい!ぽい!ぽい!ぽい!ぽい!ぽい!ぽい!ぽいぃいいいいいいいいい!!!」

 

そこから間髪入れず、敵を逃がさず、夕立が格闘技の大技・煉獄を放つ!!!

 

脳を揺らされ、臓器を揺らされ、意識の混濁で体から崩れるヲ級改。その膝を夕立が足蹴として、渾身の右飛び膝蹴り(シャイニング・ウィザード)がナットの様にヲ級改の頭部を高速回転させ、螺切り上げたのだ!!!

 

夕立「まずは一匹…!」

 

狩人(ハンター)の眼をし、遂に視覚へ補給ワ級を捉える…!

 

夕立「みぃ~つけ~たぁ~!!」

 

海を平然と蹴り割り、猛スピードで接近する夕立!

 

ドォオオオオオオオン!!!!!!

 

夕立「へ…ーーーーーー…ぽ…?」

 

口から吐き出す、熱く、赤い、生臭いモノ。血。

艤装を貫通し、腹に空いた、風穴。

臓器が、肉が、骨が、砕け、綻び、海を朱に染める…。

 

戦艦棲姫の単装砲塔の砲撃が夕立を大破させ、航行不能に追いやったのだ…!

 

時雨「夕立!?うわぁ!!!」

 

照月「ああ!!長10㎝砲ちゃん!!」

 

夕立を撃たれ、隙が出来る。隙が生まれれば、敵は必ず其処を衝く。

ル級、ヲ級、戦艦棲姫、駆逐古姫の砲撃がより一層威力を高めた攻撃で、此処まで無傷だった時雨、照月、木曾を中破に。

神通、皐月、葛城を大破させてしまう…!

 

阿武隈「こんな…こんなのって…!」

 

飛龍「くそ…!今までの奴等より、強い…!」

 

陸奥「皆…動けない…!このままじゃ…皆が…!!」

 

ワ級を後ろに、深海棲艦達が三人の退路を塞ぐべく、立ち塞がる…!

 

???「雪風は沈みません!!」

 

ハ級後期型の一体に砲撃が直撃!死角それも虚を突かれる形となり、中破したハ級が「ゴココ…!」と金切り声の悲鳴を上げた…!二分という刹那の間、離れた吹雪に変わり、雪風が合流したのだ!

 

陸奥「雪風…!」

 

雪風「これはまずいですよ、何とかしなき…ぁあ!?!」

 

彼女を打ち倒す、一撃の砲弾。海に伏す雪風、駆逐古姫が撃ったのだ。

 

駆逐古姫「イマサラ、ナニ…シテモ!ムダナンダヨォ!!!」

 

雪風「なんて…簡単に沈みませんよ!!」

 

駆逐古姫の頭部を掠める砲弾。意に返さず、そのまま陸奥達を狙う古姫の真下で魚雷が爆ぜる!!!

 

古姫「イタイィ…!?」

 

雪風「私はこの程度ではやられませんよ!」

 

即座に立ち上がり、蛇行移動しながら敵の射線を掻い潜り、主砲による砲弾を確実に撃ち込む!

 

戦艦棲姫「シズミナサァイ…!!!クヤラミ、ヨリモフカイ…シンカイニィ!!!」

 

雪風「わわっ!?」

 

彼女の近くの水面を、揺るがし水柱が高々に昇る!衝撃、轟音が雪風の平行感覚を狂わせ、足首を挫く形で倒れてしまう。

 

その姿を見た駆逐古姫達の砲塔が、雪風に向けられた!

 

陸奥「雪風!!!逃げて、速く!」

 

陸奥の、仲間達の声が、雪風にはゆっくりと、大きく響く。刹那が永遠に感じる程に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪風「…不沈艦なんて…居ないんですね」

 

死神とも呼ばれた時も有った。たった一人、戦場の業火と殺意を掻い潜り、生き残り、生還し続けた。

だが、生きる物には必ず終わりの時が来る。

 

それは無情に、今彼女に訪れた。

 

雪風「…吹雪さん、ごめんなさい」

 

己の運命を悟り、瞳を閉じる。駆逐古姫の砲口が雪風の頭部を定めし時、一撃の激砲が放たれる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「最後まで…諦めるな!!!」

 

小破していない駆逐古姫の左腕と融合した砲塔が爆ぜ、その頭と下半身がホラー映画の如く、惨たらしく吹き飛び、散開!海に次々に落ち、青は濁り、深海棲艦を流れる血に染まる…!!!

 

ヲ級「ドコカラ…!」

 

???「私は…!!!此処に居るぞぉ!!!!!!」

 

三発の轟音、飛来する一式徹甲弾、優れた耐久を持つヲ級改flagshipの頭と脚がミンチに破壊され、海に沈む!

 

陸奥「ま…さか…」

 

砲音の、怒号の叫びの場所で、彼女達は見た。

 

折れ曲がった連装主砲を。破け焼け焦げた白の衣服を。

 

決して折れる事の無い姿を。仲間達を守る雄々しき姿を。

 

誇り高い大日本帝國海軍、連合艦隊旗艦を…!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長門「諦めたら…全て終わりだ!」

 

一同「長門(姉)さん!!!」

 

戦艦棲姫の砲撃を不意討ちで貰い、一度は倒れたと思われた。今の彼女が何故立つ事が出来たのか、それは皆分からない。だが、現実は今も海を走り、被弾しまともに撃てるかどうかすら怪しい艤装で、駆逐古姫とヲ級改flagshipを討ち果たした。

 

戦艦棲姫「ウテ!イマスグニ、ヤツヲ…シズミナサァイ!!!」

 

ハ級後期型と駆逐古姫の砲撃、ヲ級の航空爆撃が長門へ襲い掛かる。砲弾の雨霰で水柱が挙がり、飛沫で霧が発生、長門の姿が見えなくなった。

 

駆逐古姫「ヤッタカ…!?」

 

その瞬間。後ろに居たワ級二隻が爆沈する!

 

ヲ級「エ…!?」

 

長門「おおおおおおおお!!!!!」

 

天海を揺るがす咆哮、幾度に撃ち放つ砲撃が残りの駆逐古姫へ放たれ、直撃!そして粉砕!

 

ヲ級「ク、クルナ…!?」

 

長門「接射、撃て!」

 

中破したとは思えぬ速さ。タービンが焼け付く程に加速!!ヲ級を怯ませ、自身の高く挙げた拳をアームハンマーに変えて、脊髄ごと叩き潰し、ぺしゃんこの鉄屑に変貌させた!!!

 

長門「後は貴様だけだ…!戦艦棲姫!!!」

 

戦艦棲姫「チョウシニ…ノルナヨォ!!!」

 

超長単装砲塔が長門に向けられた!激音と共に、彼女へと砲弾が迫る!

 

戦艦棲姫(カッタ!!!)

 

長門「…ふん」

 

ぐしゃり…と、音が鳴り響き、長門の真後ろで上がる水柱。水面を一歩、一歩。彼女が…歩く。

 

戦艦棲姫「…ヘ!?」

 

減し折ったのだ。彼女は拳で、落ち枝をいとも簡単に折るのと同じように。

軌道を変えたのではない、真っ向から、恐るべき怪力で、砲弾その物を…!

 

戦艦棲姫「ウ…ウソ…デ、ショ…?」

 

長門「この拳は…お前に撃ち抜かれ、重体に陥った!夕立と!瑞鶴の分!!」

 

戦艦棲姫「ゲボエ?!」

 

メリケンパンチが戦艦棲姫に炸裂!体内から汚物を吐き出して、体を丸め、藻掻き苦しんでいる…!

 

長門「これはヲ級達に傷付けられた!神通と!皐月と!初月達の分!!!」

 

アッパーで戦艦棲姫をカチ上げ、上下に8の字を描き出す長門!其処から繰り出す怒りと渾身の左打ち下ろしが、戦艦棲姫の頭部を直撃し、頭蓋を抜き脳を震わせる!

 

長門「ここからの連打は艦隊全員(みんな)の分だぁああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

上下左右縦横無尽に繰り出す長門のラッシュが、脳震盪を起こし、防御行動すら満足に出来ない身体へ叩き付けられた!

 

戦艦棲姫「ガカ…ヤメ、テ…!?」

 

長門「軍格戦斗:七式!!!台風暴威(たいふうぼうい)!!!!!!破アッ!!!!!!!!!」

 

命乞いに耳を貸さず、長門は右コークスクリューで戦艦棲姫と艤装の獣ごと爆砕、風穴を穿つ!時間差で戦艦棲姫がスパークを起こし、光に包まれ、其の身は巨大な花火と変わり、爆ぜた…!!!

 

旗艦を失い、遺されたワ級とハ級後期型達は、逃げ延びるべく、直ぐ様煙幕を張り、戦闘海域から離脱していった。

 

長門「敵艦隊撃退完了…これより我が艦隊も帰投する」

 

アキラ(…お疲れ様でした。…………長門姉さん)

 

長門「…何だ?」

 

アキラ(凄く、格好良かった)

 

長門「………有難い」

 

新型深海棲艦を相手に大きな損害を出しながら、アキラ達は勇敢に戦い、凌ぎ、撃退する事に成功した。

だがしかし、その数分後に彼が別の悲鳴を挙げる事になるのだが…。

 

それはまた、別の話…

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