※この作品はR-18です。

将来を有望視された青年が、冤罪で問題山積みの鎮守府に着任されました。 ~地獄の底からこんにちは~   作:ガリアムス

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今回のお話は、禍根の指輪(ダリアス・フレッチェル)の誕生に至る起源。
禍根の指輪という組織に、牧園一族が何をしたのか。

そして最凶最悪の事件として後世に語り継がれる、禍根の指輪が起こした『ゲーム』を書いていきます。


将来を有望視された青年が、冤罪で問題山積みの鎮守府に着任されました。~禍根の指輪と最凶最悪の事件 其之肆~

『忌まわしき牧園一族の血筋を継承する者!牧園 アキラ!!!!!

 

そして大英帝国王位継承権第一位!エリザベス・エリーゼ・クリスティアル!!!!!

 

禍根の指輪(ダリアス・フレッチェル)に厄災をもたらした一族達を今日こうしてェ!!!世界から消し去れる事ォ!!!!

 

我々は心より!神々に感謝するゥ!!!!』

 

禍根の指輪のシンボルマークを映す画面から放たれる、狂気を纏った声が、白に密封された空間を揺らし、響き、思考を粗鑢で削られる感覚に襲われる。

 

だが、この状況下において一番動揺していたのは、他でもない━━━『彼女』。

 

「…なんで…どうして…━━━━━。どうして、ボクの…ボクの『本名』が………」

 

西村 クリス━━其の本名改め、エリザベス・エリーゼ・クリスティアル。

 

大英帝国王位継承権第一位の王女様(プリンセス)。

自分達平民凡民とは住む場所も、考え方も、格式さえもまるで違う、別世界にいるであろう身分(ぞんざい)。其れがどうして日本に、何を以て自分達と同じ身分と偽って生活をしていたのだろう。

 

『何故、どうして、だと…?クリスティアル王女。貴女の本名を、何故我々が知っているのか?…とな。

 

我等の恨み、憎しみは、黒黴(くろかび)よりも根深い。

 

『我が故郷』を破滅に追い込んだ、大英帝国への『復讐』の為に、あらゆる国勢情報を逐一収集し続けている。四百年前より誓われた我等の祖先との、永く遠い約束なのだ』

 

禍根の指輪を統べる者。

兵士達に『ボス』と呼ばれる者が語り出すは、禍根の指輪…其の『生誕』へと至る話だった。

 

『死に逝く貴様達に、冥土の土産として教えてやろう。我等『禍根の指輪』が出来、今日まで辿ってきた『歴史』をな』

 

 

* * * * * * * * * * * * * * *

 

 

『今は亡き我等の故郷…『スヴィロ王国』はとても小さな国だったが、かつては『錬金術』によって繁栄し、其れにより産まれた純度の高い鉱石を用いて、周辺国と貿易を行い、静かな営みを続けていた。

 

だが時代は変わった。

 

船により海外へと進出した国々による、侵略と植民地の政策の時代の到来。大きく畝り、変革し続ける世界情勢の荒波は、我々の国を瞬く間に飲み込んだ。其の中でも大英帝国の侵略が、王国に牙を剥いたのだ』

 

錬金術…土より金を産み出す、万物の理を越えた術式。かつては奇跡や魔法等と言われた、今は無き御伽噺のような物である。

其れを用いて、昔に栄えた国が在った…世界史や日本史をよく読んだアキラも、初めて聞く事実だった。

 

『大英帝国の侵略に、我等の祖先は不戦を掲げ、議論による調和を見出だそうとしていた。…だがァ!!!!!

奴等はそんな祖先や先人達の想いと願いを!尽く踏みにじったのだ!!!

 

何をしたと思う…?

 

話し合いの為に赴いた、王国の良識有る大臣達を招き入れ、酒に淹れた毒で殺し!!

そのまま王族の宮殿を強襲して、王族達を十字架に張り付け、国民の前で火炙りに処して殺し!!!我等の『国の象徴』を奪い取った!!!

 

さらには国民達を捕らえ、其れを分けた上で、男達を奴隷として別の国に売り飛ばし!!女達は強姦して娼婦へ堕とし!英国へと連れて行った!!

 

残された子供と年寄達には、考えられない程の重度の労働を課した!

朝から晩まで馬車馬の様に一日中働かされ!!!まともな給料も!休みも!教養さえも認められない!!!!!

 

地獄のような横暴の連続に、祖先達は『国を捨てる』苦渋の決断をするしかなくなったのだ!!!!!』

 

自国の発展と繁栄の為に、力を持たぬ国(もの)を侵略し隷属させ、文化を経済を自分達に併せさせるために、其の全てを破壊し尽くす。

其れはかつて印国(インド)が、英国(イギリス)の産業革命で流入した絹織物により、自国の伝統的な織物産業が衰退を辿り、壊滅寸前まで追いやられたように。

 

歴史には必ず、誰もが知り得て語り継がれている『光』にあたる部分と、語られず忘れられた当事者のみが知り得る『闇』にあたる部分が存在している。

 

言うなれば、スヴィロ王国に起きた悲劇とは。

 

『イギリスの歴史書にも、世界史の歴史にも記されていない。其れを知る当事者から刻々と引き継がれ、現在まで継承し、紡がれた『闇の歴史』の一つ』なのである。

 

『国を捨てて生き残り、地獄の底よりも深い深淵で泥水を啜ってきた祖先達から、私は此の話を毎日のように聞かされてきた。

 

『英国に復讐を果たし、かつて我等の祖先が味わい続けた屈辱を、奴等に。英国王族達に果たすべし』と。

 

そして五十年前だ。私はかつて国を捨て、別の場所へと散り散りに逃げ延びた祖先達の子孫を探し当て、呼び戻し、復讐の為に決起した。

志同じくした仲間を集め、練密な計画を練り、戦うための訓練を施し、十年の歳月を掛けて、我々は一つの組織を作り上げるに至った。

 

其れこそが『禍根の指輪』だ。スヴィロ王国に生きた王族達と其の地で生きた民達が、大英帝国への復讐を成すべく黄泉還(よみがえ)った怨念。

 

我が組織は復讐を始めた。其の第一歩として、我々は『ダイアナ妃の暗殺』を計画、そして実行したのだ』

 

「……………は?」

 

「ダイアナ…様、が…?」

 

ダイアナ妃、本名ダイアナ・フランセス。英国国民達に、『ヴェールズ公妃ダイアナ』や、『プリンセス・オブ・ヴェールズ』と呼ばれ、広く知られた美しい女性。

彼女の波瀾に満ちた人生は書籍となって語り継がれ、彼女を襲った事故の真相は今尚解明には至っていない。

其のダイアナ妃を仮に禍根の指輪が暗殺したとするならば、これまでの捜査や考察は180度逆転し、世間は更に大騒ぎになる。

 

『我々は同志達が築いた情報網を駆使し、仲間の一人が彼女の乗る車の運転手に成り済まして搭乗し、同時にマスコミに変装した別動隊で車を追い、私は猛スピードで逃げつつ、事故に見せ掛けるように、そのまま激突し死ぬように指示を出した。

 

奴は喜んで、我等の為に其の命を捧げてくれた。

そして其の先は…お前達がよく知っているだろう』

 

仲間に対して『大義の為に死ね』と言い、其の為なら仲間達は軽く。己の命を天秤に掛けて、ボスや仲間の為に投げ出せる。いや、『投げ出せてしまう』。

最早狂気の沙汰だ…アキラもクリスも、そう思わずにはいられなかった。胸の奥底から吐き気が襲い掛かり、酷い頭痛に見舞われる。

 

『ダイアナ妃の暗殺成功は、我々にとって最初の復讐となった。このまま行けば、我等の最終目標である『英国陥落』も夢ではないと。私はそう思っていたのだよ』

 

 

『だがァ!!!!!!!』と声色には怒りと憎しみを含みながら、ボスはスピーカー越しに、とんでもない事実をぶちまけたのである。

 

 

『ダイアナ妃の暗殺から二ヶ月後の事だ。奴が………『牧園 ミノル』が単身、我等のアジトへ突如として乗り込んできた!

 

『ダイアナ妃を殺した貴様達を、俺は!俺達、牧園一族は絶対に許さないッ!!!!!』━━そう叫びながら、我が組織を蹂躙したのだ!

 

一撃も攻撃を受ける事なく同胞達を倒し、捕らえ!掻き集めたの武器を破壊し!作戦案を滅茶苦茶に破り捨て!我々の心を壊す鬼神の如き姿を見る其の時まではなァ!!!!!』

 

《…牧園 ミノル…?というより、牧園一族は何でダイアナ妃が、事故死じゃなくて暗殺されたって解ったんだ!?》

 

アキラは衝撃を受けた。牧園一族の人間が単身、名が知れ渡り、危険極まる巨大テロ組織を、孤軍奮闘の末に叩き潰していた事に。

 

そして禍根の指輪がダイアナ妃を暗殺した事に気付いていた事に。

 

『私は逃げた!必死に逃げた!同胞達を見捨てて、逃げて逃げて、ひたすら逃げ続けた!牧園一族の気配に怯え!震え!眠れぬ夜を幾星霜と過ごした!

 

奴の!たった一人の人間によって、再び地獄の底に叩き落とされたのだ!私はなァ!!!!!!』

 

ガァン!と、机か何かを蹴り飛ばした音が響く。息が荒振り、憤怒の呼吸が聞こえてくる。

一発の弾丸を浴びる事なく、多数の敵を圧倒したというボスの発言から、牧園 ミノルという人間は少なからず『心理の先読み』を使用して、禍根の指輪の兵士が放った多重の銃撃を躱わした可能性がある。

 

『ふぅッ…!ふぅッ…!

 

だが…私は諦めなかった』

 

スッと呼吸を調える。

そして再び語り出す。

 

『私は生きる希望を自らに定め、同時に課した。『牧園一族への復讐』と『大英帝国への復讐』と言う名の薪を魂の炉へと焼べて、業火に変えて生きてきた!

 

地獄の底より深い深淵を歩き続けながら、もう一度!0から仲間を集め!資金を調達し!訓練を重ねながら組織を再編させるまでに至った!

 

かつて牧園 ミノルに与えられた屈辱を反省し、同じ過ちを繰り返さぬ為に世界各地に仲間達を送り、テロを起こし、諸外国の動きを牽制するように動き!

時には戦場で争う者共を強襲して、我等の組織の武力・統率力を戦闘によって証明した!其の甲斐在って、嘗て以上の力を手に入れたのだ!

 

フハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!』

 

高らかに、勝ち誇ったように、笑っている。

転んで、地獄を見、其れでも尚諦めずに、声主は組織再編を成し得た。形や方法、過程は置いておくにしても、これだけの事が出来たのは、声主の持つカリスマや組織経営手腕等も要因だと思われる。

 

復讐の為に人生を擲(なげう)ち、地獄の底に叩き落とされようとも、戦い続けてきた。あまりにも狂った言動を成し得る。否、成し得られてしまう『とてつもない男』だと。

 

もしも…彼が生まれ育った環境が違っていたらと、そうアキラは思わずにはいられなかった。

 

『…さて、だ。語るべき事は語り終えた。貴様等は今すぐに殺す』

 

声色に殺意が再燃し、兵士達のヘルメットで見えないが確実に向けられている視線が、アキラとクリスに突き刺さる。

 

だが……

 

『━━━と。言いたいところだったが、このまま殺すのは余りにも『面白味』に欠ける。其処で、だ。

 

二人には『ゲーム』に参加して貰おうか。

 

言っておくが、クリスティアル王女。貴様が参加を拒んだなら『コイツ等』が犠牲になるだけだ』

 

モニターの表示が切り替わり、映った光景を見た時。クリスの顔は蒼白へと変わり果て、絶望に歪むしか無い。

二人が見ている映像は『何処かの建物内』、其れも『高貴と気品に充ちる宮殿』のようである。

 

「何で…何で。…どうして貴方達が『バッキンガム宮殿』の中の映像………を!?」

 

バッキンガム宮殿…其れは英国王室にとって、最も権威の在る王族達の住まう城にして、受け継がれてきた歴史ある崇高な建物。普段ならば内部の撮影は愚か、建物に入ることさえ出来ない。まさにアキラのような一般人にとって、ある種の憧れを抱かずにはいられない謎多き場所なのである。

 

『バッキンガム宮殿内部の映像』…二人の頭を同時に過った疑問はこうだった。

 

ならば『禍根の指輪が言った『コイツ等』とは『誰の事』を言っているのか?』━━━━と。

 

「………あ━━━!!!!!?????」

 

其の答えに辿り着いた瞬間。アキラは、人生でこれ以上にない程の激震が走り。

 

「……まさか……!!そんな…………!!!」

 

クリスは、考えられる中で最も最悪の状況に震撼する。

 

『そのまさかだ』

 

モニターの映像がゆっくりと。少しずつ動き…室内の中央へと移ってゆく。

撮されたのは、宝石装飾に彩られた一際大きな二つの玉座…其処には二人の男女が、苦渋で歪んだ顔を下へと落とし、腕掛けに乗せた両手を強く握っていた。

そして其の周りには。禍根の指輪の兵士達が機関銃を構えて、銃口を二人に対して向けている。

 

クリスは『知っている』━━其の男女が『誰』なのかを。

そして同時に、禍根の指輪が『何』を仕出かしたのかを『知った』。

 

「御父様(パパ)ッ!!!!!御母様(ママ)ッ!!!!!」

 

禍根の指輪に、人質とされていたのは━━━あろうことか、英国の『国王と女王』。奴等は遂に、其の領域にまで足を踏入れ。且、王手(チェック)を打っていた。

 

最早、禍根の指輪(彼等の行動)は既に、国際問題どころの犯罪レベルでは、決して済まされない領域にまで至っていたのである。

 

『我等が祖先よ!!!!!!

 

私は遂に、貴殿方の積年の願いを成就させる!

 

今こそ、牧園一族に我等が正義の鉄槌を!!

 

故郷を食い漁った大英帝国に神罰を!!!

 

さぁ、始めよう!』

 

 

 

『裁きの天秤』を!!!!!!!!!!

 

 

ボスの高らかな。絶対的声量を皮切りに、突如スマフォのブザーが緊急事態メールを知らせるかのようにけたたましく鳴り始めた。

 

これが後に、最凶最悪の事件として日本犯罪史、ならびに当世期最大の世界的大犯罪として語り継がれる『悪魔のゲーム』の始まりであり。

 

 

 

そして同時に。

 

 

 

『牧園 アキラ』が『日之國の英雄』と至る、其の伝説を語る上で、決して外すことの出来ぬ『逸話』が生まれた事件でもあったのだ。

 

 

* * * * * * * * * * * * * * *

 

━━━━━き━━。……━━起き━━━━……

 

……━━━━起き━━━!

 

━━━━……起きて!

 

 

「━━━━…う、うぅ……?」

 

身体中を気だるさが支配する。其れはまるで、錆び付いた機械のように重苦しく、ダルい。

混濁した意識と視覚の迷宮を抜け出て、和歌月(わかつき) 楓(かえで)は覚醒する。

 

「…あ、気が付いた!健ちゃん!楓ちゃんが目を覚ましたわ!」

 

重い瞼を上げると、ぼやけた視界に仲間達の顔と身体の輪郭が映る。安堵の息を漏らす者、状況を伝達するため走る者と、それぞれだ。

 

「…み、んなは…無事、なの?」

 

まだ意識が完全にハッキリとしない中で、楓は仲間に安否を問う。

 

「楓……」

 

「それは……」

 

仲間達が口隠る。何か後ろめたい事でもあるのか。

だが、其の答えは早くに健太郎の口から告げられる。

 

「……西村 クリス『だけ』が、今此所に居ない」

 

「ちょっ、健ちゃん!?其れは言わないって言ったでしょ!」

 

「目が覚めた以上、当たり前の事実を言━━ムグ」

 

「だから其れが駄目だって━━━」

 

「━━━━………其れは、本当何ですか」

 

亜衣が口を塞ぐが時既に遅く。楓はポカンとした表情から一転、口調が重くなる。

 

「か、楓ちゃん…あのね━━」

 

「あぁ。そして、おそらく。クリスは禍根の指輪の連中に『誘拐』された可能性が高い。

 

奴等は麻酔弾を使って俺達を眠らせ、其の間にクリスを連れ去った。被弾直後に全身から力が抜け落ちたような感覚があった事から、間違いない。

 

問題は奴等が『何故』彼だけを誘拐したのか。其処に答えは必ず在る筈だ」

 

亜衣の言い訳が始まるよりも早くに、健太郎が自分達に起きた出来事を語る。

 

「クリス君は………」

 

「……『今』は無事だろう。だが、其れも何時まで無事かは『解らない』。必ず奴等は何かしら『要求と解放条件』を提示してくる。其れまでは━━━」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥ!

ブゥゥゥゥゥゥゥゥ!

 

「え!?何!?何の音!?」

 

「うわ?!何これ!?」

 

大きく、けたたましく、鳴り響く音にビクンと身体が跳ねる。其のブザーはスマフォから鳴っており、画面には禍根の指輪のロゴマークがデカデカと表示されている。

 

「禍根の指輪…!!!」

 

健太郎と鈴谷のスマフォの画面を囲うように艦娘達や楓、亜衣が集まる。そして変声機を使ったかのような声が、スピーカーから聞こえてくる。

 

『日本国民の諸君、ごきげんよう。

 

私は禍根の指輪(ダリアス・フレッチェル)のボスである』

 

まるで英国紳士が、朝の軽やかな挨拶を交わすかのように。声主は静かに、こう伝えたのだ。

 

『これより君達には、禍根の指輪(我等)のゲームに参加して貰う。

 

無論拒否権は無い。不参加の者には漏れ無く『死の片道切符』が飛来する』

 

 

* * * * * * * * * * * * * * *

 

 

東京都内、新橋駅周辺。禍根の指輪によって荒らされたビル街の間を、小型の戦車と十数名の武装した人々が駆け抜けている。

 

彼等は、対禍根の指輪撃滅掃討部隊…通称VDFと呼ばれる武装集団であり、新橋駅に現れ、狂気と猛威を奮い、警官隊に大打撃を与えていた禍根の指輪の一個中隊を、難無く撃砕したのだ。

 

『此方、タートル。別地域の部隊、現状報告を頼む』

 

VDFの小型変型機動戦車・アイアンスラッガーを駆り、指示を呷るのは、此の武装集団のリーダーであり、コードネーム『タートル』こと『牧園 コウゼン』。

 

『此方ソルジャー♪上野駅周辺に出て来た、禍根の指輪の連中(イカレポンチ)は、皆殺し完了ッスよ。リーダー♪』

 

『エイプリル。品川駅周辺の禍根の指輪(糞蛆虫)、掃討完了(コンプリート)』

 

『相変わらず過激にやったろ、お前ら。…まぁ良い━━』

 

『タートル、其れに皆』とリーファの声が事態を一転させる。

 

『今、スマフォを持ってる人は其れを。そうじゃない人は、街中にあるスクリーンを見て。禍根の指輪(奴等)が何かを始めたわ』

 

指示を受けた部隊の面々は、周囲に警戒しつつも、各々のスマフォや大型ディスプレイに視線を向けて行く。

 

『今この映像を視聴している者達のスマートフォン及びパソコンには、このような画面が表示されているはずだ』

 

ロゴマークが右下に縮小し、空いたスペースに二つの画像が現れた時。

『タートル』こと『牧園(まきぞの) コウゼン』、そして『ソウル』こと『堀内(ほりうち) 魂冴門(ごんざえもん)』は息を飲み、言葉を失う。

 

二つに区分され、現れた画像…其処には『左側に牧園 アキラ、右側に西村 クリスの顔写真』が在った。

 

『君達にはこれから、二人の『運命』を決める為の『投票』を行って貰う。制限時間は今より『一時間』、画像に映るどちらかのパネルにタッチするだけで良い。

 

ただし…投票するに当たって、諸君等には幾つかの注意事項がある。

 

先ず始めに、投票は『何度行っても構わない』。一票だろうが、一万票だろうが、一度でも画面に触れれば良いのだ。

 

次に投票時間中の『中間発表は一切行われない』。これは、時間経過で結果が見えてしまっていては『面白味に欠ける』とした、私の独断である。

 

そして最後に。投票時間中に『二人のどちらかに一万票以上の差が生じる度に』━━━』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京都内の何処かにセットされた爆弾を起動させ、爆破する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禍根の指輪のボスの告げた、衝撃の言葉が東京と国民に激震を走らせ、底知れぬ恐怖の竜巻へと無理矢理巻き込む。

 

想像を絶する。長い、永い、一時間の戦いが━━━始まる。

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