おま〇こエルフ三姉妹 同棲生活はじめました♡ 作:お互いがお互いのために
「……うん、ありがとう。でも、なんだか便利な魔法だね。色々できるんだなぁ。……まぁ、コンビニ弁当だし、脂っこいよ」
僕は、姉妹製弁当のほうの、人参を口に入れてみた。とても素朴な味だ。みりんの甘みと醤油の塩味を感じる。いわゆる「お袋の味」って感じ?
そしてこの味も、結局はウソなのだ――と、思うと、食べた端から胃が痛くなった。
ソフィは、心配そうに僕の顔を覗き込む。
「? 本当にどうしたの、兄貴。元気なさそうだけど……油っこいもの食べ過ぎて、舌がバカになって、口に合わないとか?」
「い、いやいや、そんなことない。美味しいよ」
むしろ、美味しければ美味しいほど、元気がなくなるんだ――とは、言えなかった。
それにしても、何で僕も、普通に弁当食べてるんだろう。
もしかしたら、妙な薬とか盛られてるかもしれないのに……。
あれ?
僕は、口をもぐもぐさせるのをぴたりと止めた。
よくよく考えたら、このエルフ姉妹たちは、すごい魔法を使えるわけで。
なんだか疑っていたけど、もし本当に僕ん家を乗っ取ろうというなら、簡単にできるはずなんじゃないか?
例えば、僕を連れて飛んで行って、海の上に落っことすとか……そういう感じで。
別に、このお弁当にも、毒だの薬だのが盛られている気配はないし、そもそもソフィ自身も普通に食べているし……。
カルト宗教がどうとか言われたからビビってたけど……これは、もしかして、取り越し苦労だったんじゃ? 考えすぎだったんじゃ?
急に、胃がすっと軽くなる気がした。
「――そう? ならいいけど。まぁ、あんな酷い会社にいたら元気もなくなるでしょうね。だから言ってるのに。さっさと辞めればいいのよ」
「や、辞めれないよ」
「フン……しょうがないわね。まぁあんたにも、プライドくらいあるんでしょうけど?」
「いや、ソフィのほうがよっぽどプライドありそうだけどね……」
「どういう意味よ!」
「プライドが高い」と言われたとでも思ったのか、ソフィはキレた。だから、そういう所がだってば……。
「じゃあ、……はい」
急にソフィは、フォークに刺したウインナーを僕に差し出した。
こころなしか、そのウインナーがぷるぷる震えている。
「え、何?」
「……だから、食べさせてあげるって言ってるの! いいからはやく、口を『あーん』って開けなさいっ」
「え、えぇっ……!?」
僕は大口を開けてしまった。
「な、何よ、嬉しくないわけ!?」
ソフィは、顔を耳まで赤くした。歯ぎしりしながら腰を浮かせる。
元の肌が白く透き通っているから、赤くなるとすぐに分かるんだよな……。まるで、食べごろのりんごだ。
「こんなにっ、たおやかでみやびでエレガントなエルフ美少女が、お口あーんしてあげようって言うのに! あんなぶっといおちんぽ、私の小さいお口に無理やりねじ込んでおいてっ……自分は、ウインナー一本食べるのもイヤだって言うの!?」
「うわぁぁぁぁぁっ!? だ、だまって、だまって!」
とんでもない話題を出され、僕は大声でかき消した。
「分かったよ……た、食べさせてもらいます」
「最初から、素直になればいいのよ」
それはこっちの台詞だ――と、僕は心の中でぶつくさ言った。
「……じゃあ、はい。あ〜ん、しなさい」
ソフィは微妙に視線を外しつつ、またウインナーを差し出す。僕は、おずおずそれをほおばった。幸い、周囲に人もいないし、見られてはいない。
とはいえ、こんな経験はじめてなので、なんだか感動だ。どことなく胸がどきどきしてる。
「あ、あーん……ぱくっ、もぐもぐ……。うん、美味しい!」
「そ、そう」
ソフィは、チラッと僕のほうをうかがった。
「ほら、もっと食べなさい!」
「あ、うん、ありがとう……」
しいたけ、ごぼう、お米などを、次々僕の口に運んでくれるソフィ。
だんだん恥ずかしさも薄れてきたのか、露骨に嬉しそうな顔をしはじめた。
「ほら、美味しいでしょ? これも、これも……ふふっ♡」
「ちょ、ちょっと待って! ……嬉しいけど、そんなにいっぺんには」
「あっ」
口をもごもごさせる僕。
それを見てソフィは、目をまじまじと開け、恥ずかしそうにうつむいた。
「べ、別に私は、嬉しくなんか……! 兄貴が元気なさそうだから、仕方なくやってあげただけで……っ!。変な勘違い、しない、でよねっ……!」
口をとがらせて、何かぶつぶつ言っている。時折チラッと、僕のほうを見て、けど、すぐにそらしてしまう。なんだか、青春真っ盛りの中学生みたいだな……。ソフィの瞳には、熱っぽい光が宿っていた。
「……え、ええと」
……僕はバカだ。
こんなのが、ウソや演技だって?
あんなに魔法を色々使えるエルフが、わざわざこんな回りくどい事をするなんて、あり得ない。
教えてくれた諸島さんには悪いけど、彼女たちは、そんな悪い連中じゃない。
――そう思えて、急に、気分がすっと軽くなった。
「いや、でも……。僕は、食べさせてくれて嬉しかったよ。ありがとうソフィ」
「あ……っ♡」
僕が笑ってお礼を言うと、ソフィはぱっと顔を明るくした。
「だから、わ、私は……別にっ、嬉しくなんかないけどね……! まぁ、兄貴の元気出たなら、私の義務も果たせたし、良かったってだけよっ!」
ソフィは、ぴくぴくと口を引きつらせ、僕にだんだんと顔を近づけてきた。目も、僕からそらしてくれない。
ほんとは嬉しくてたまらないけど、必死で隠してる(つもり)――と、いう所だろうか。中学生どころか、もう小学生みたい。
恋愛経験ゼロの僕が、茶化せた義理ではないかもしれないけど……。
「あぁ、うん。元気出たよ。ありがとう」
ソフィの肩にポンポン手を置いた。彼女はノースリーブのシャツなので、肩はむき出しだ。
僕が触れた途端ピクンと跳ねる。
そしてお詫びも兼ねて(?)、ソフィの頬にかるくキスをしてみた。
「〜〜〜〜〜っ!?」
ソフィは、声にならない声をあげ、自分の手を口で覆った。
「あ、兄貴……♡」
「ごめん、やだった……?」
「べ、別にいやじゃ……ないけどっ」
「ほら、今朝。なんか、僕がしてもらうばっかりだったし、少しは僕の方からもしなきゃ……って思って」
言いながら、ちらちら周囲を確認する。よし、見ている人はいないな。
「ま、全く、バカなんだから……もうっ!」
ソフィはやっぱり顔が真っ赤だった……完全にほっぺたが垂れ下がり、笑うのが止められないって感じ。色々と、分かりやすすぎる。
「とっとりあえず、ほらっ。残りも食べなさいよ! この後も仕事あるんでしょ? 口開けなさい。残したら、許さないからねっ!」
ニコニコ顔を食い止めようとしてか、表情筋をぷるぷるさせ、不気味な表情になりながら、ソフィはフォークを差し出した。
「ねえ、それよりソフィ……そろそろ、聞いておきたいんだけど」
「な、何よ? 言っておくけど、外でエッチな事はしないわよ!?」
「そ、そうじゃなくて!」
僕は慌てて首を振る。そして、ごほんと咳払いした。
「ソフィ、君は……。本当は、僕の妹なんかじゃないんだろ?」