※この作品はR-18です。

おま〇こエルフ三姉妹 同棲生活はじめました♡   作:お互いがお互いのために

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お弁当と迷子3

「え……?!」

 

 ソフィは目を見開いた。

 

 緩んでいた顔が、一気に固くなる。

 

 けど、聞かずにはいられない。このまま、もやもやしたままなんてムリだ……。

 

「やっぱり……君たちと僕じゃ、ぜんぜん見た目が違うし」

「……女と男なんだから、当たり前でしょうが」

「いや、そういう話じゃなく、髪も、肌の色も、目の色も違うし。第一、エルフなんでしょ? 義理のきょうだいってならまだしも、それで本物のきょうだいなわけないじゃないか」

「……っ!」

 

 ソフィは、ぎゅっと手を握る。フォークが折れそうだった。

 

「き、君たちが悪い人、というか悪いエルフじゃないのは分かってる。けど……いや、だからかな。ちゃんと、君たちの事を知っときたくて」

「……ずいぶん殊勝な心掛けね」

 

 ソフィは、苦虫をかみつぶしたような顔をしながら、下を向いた。

 

「き、君たちは、誰なんだ? 本当は、僕の……何なの?」

「……はぁっ!」

 

 ソフィは大げさに、両方の手のひらをあげた。飽きれたように首を振っている。

 

「……本当に、嘆かわしい。人間は、何も見えない。何も覚えていないのね。どれだけ助けてやっても、気づくこと一つない。それでいて、勝手に判断して、勝手にくだらない方向に突っ走る……情けなくなるわ」

「え? あの、言ってる意味がよく――」

 

 僕は、さらに尋ねた。

 

「文字通りの意味よ、兄貴……私だって、かつては盲目で、川に流される木の葉の一枚だったんだのよ」

「……はい?」

「私も、かつては人間だった……ってこと」

「……はい!?」

 

 い、今、何て言った?

 

 人間だって……だって!?

 

 ソフィは、エルフじゃなかったのか……? と、僕は首をひねる。

 

「私は以前、人間で……兄貴の妹だった。今ここで、ではなく……前世で、ね」

「ぜ、ぜんっ……!?」

 

 ソフィは、ちょっと寂しそうな顔でこくんとうなずいた。

 

「前世」だなんて、そんなふわふわした言葉、最近あまり聞かない。

 

 まるで何かの宗教みたいだ。僕は、ちょっと、ぞっとしてしまう。

 

「いや、そういう設定を知りたいんじゃなくて……」

「! せ、設定なんかじゃない! 本当の事よっ……兄貴は、兄貴は……私の事を、助けてくれたじゃない! それとも、その事さえ……忘れちゃったっていうの……!」

 

 みるみるうちに、ソフィは涙声になる。目の端に、

きらっとしたものが溜まっていた。よく見なければ見逃してしまうくらい小さく、肩を震わせている。

 

「お、覚えてるとか、そそそそういう話じゃないような……?」

 

 僕の顔が、あからさまに引きつってしまう。

 

「前世」だとか、そういうオカルティックな言葉はあまり好きじゃない。

 

 僕の母だった人は、そういうのに騙されたのだから。

 

 前世なんてものがあるとすれば、それは詐欺師の言葉の中にだけだと思う。

 

 ――その言葉がソフィの口から出てきたことに、僕は胸がチクっとするような痛みを感じる。

 

「そんな話は、あんま聞きたくないよ……。僕は、ほんとに。君たちの――」

「そんな話……ですって!」

 

 ソフィはもう、誰が見ても分かるくらい、肩を大きく震わせた。勢いよく顔を上げる。

 

 その眼には、涙がぼろぼろ溢れていた。

 

「あ……っ」

 

 僕は、思わず体を引いてしまう。もしかして、大変な事を言っちゃったんじゃ……。 

 

「兄貴は……兄貴は……っ

! 私を助けてくれた! 嘘なんかじゃないっ! 兄貴は私にとって、最高にかっこいい兄貴なの! なんで、なんで……忘れちゃってるのよっ。この、このっ……バカ兄貴!」

「う゛ぁっ!?」

 

 顔面に弁当箱をぶつけられ、僕は、二の句が継げなくなった。

 

 お米やらおかずやらが飛び散り、僕のズボンを汚す。

 

「うぶぶっ、ぷ……! あれ!? ちょ、ちょっと……待って! 待ってくれ、ソフィ!?」

 

 ソフィは、即座に空中に浮かび上がった。

 

 涙が落っこちてきて、一瞬、雨が降ってるのかと錯覚してしまう。 

 

「うるさいっ! 黙れ、だまれっ……この、バカ! あんたなんか、あんたなんか……死んじゃえ!」

「うわっ!?」

 

 突然、突風が巻き起こる。

 

 僕の髪やスーツをしわくちゃにしてしまう。目にゴミが入りそうで、とっさに目を閉じてしまい……

 

 気づいた時には、ソフィはどこか遠くへ飛び去っていった。

 

「あぁ、ソフィ……!」

 

汚れたスーツで、僕はしばらく呆然と立ち尽くしていた。

 

 

「はぁ……っ」

 

 寒いオフィスの中で寝袋にくるまり、僕はため息をついた。

 

 悪い事ってものは、どうやら、重なるものらしい。

 

 いま、時刻は、深夜の1時。

 

 昨日なら家に帰れていた時間だけれど……いつもいつも、そんな甘っちょろい時刻に帰れるはずがない。

 

 今日はいつも通り、会社に泊まり込みというわけだった。

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