おま〇こエルフ三姉妹 同棲生活はじめました♡ 作:お互いがお互いのために
数日後のある日――
久しぶりのお休みを利用して、僕は布団でごろごろしていた。
その最中、次女のソフィと三女のアーシャは、すぐ横のちゃぶ台に向かって頭を捻っている。
彼女たちは、僕のスマホをいじっていた。
といっても、連絡先に見知らぬ女の名前がないかチェックをしているとか、スマホの居場所をGPSで追跡するアプリを勝手にインストールしているとか、そういう事ではなく、
「う〜ん……もうっ! さっぱり分からないわ!」
ついに、ややヒステリックな声音となり、ソフィはスマホを布団の上に放り投げた。
「ちょ、ちょっと、ソフィ!? だいじなスマホなんだから……ん?」
スマホを手に取ると、ソフィとアーシャが見ていたのだろう画面が見えた。
webブラウザが立ちあげられている。
そこには、「ハロー〇−クインターネットサービス申し込み」という文字が、書いてあった。
「……ええっと、二人はいったい何を見てたのか、聞いてもいいかな?」
「仕事探してたのよ」
「なんで」
「なんでって、あんた何度説明すれば分かるの? バカなの?」
ソフィは、豊かに結い上げられた金髪を、ばさっ! と揺らした。
すごく優雅な仕草だ。ちゃぶ台の前に、腰掛けてるんでなければ……。
「もちろん、兄貴を養ってあげるために決まってるでしょ?!」
「だから、そんな事しなくてもいいんだって」
はぁっ、と僕はため息をついた。
そうなのだ。
彼女たちは、僕の性欲処理や家事一般だけではなく、お金の面倒まで見てくれると申し出ている。もちろん、何度も断っているんだけど、あんま聞いてくれない。
僕が薄給でなければ……はぁ。
「でもでもっ、お兄ちゃん、アーシャはお兄ちゃんのためになりたいの……!」
三女のアーシャが、ちょっと涙声で身を乗り出した。
「う、うーん……」
「それに、考えてもみなさいよ。兄貴のおちんぽのお世話とか、家事とかだって、限度があるわ。そんなもの、別に私たち三人が毎日いなくたってできるし」
「……それは、そうだけど」
僕は、少し黙ってしまった。
「あんたはどうしても仕事辞めないみたいだし、その間こんな狭い部屋で、することもなくてヒマなのよ。それとも何? 女は何もしないで家にいろとでも? 良い趣味してるわね」
「…………いえ、そんなことはないです、けど」
ソフィにやり込められ、僕は声をちっちゃくするしかなかった。
「でもお兄ちゃん、アーシャ何したらいい? 中々、できそうなおしごとが見つからないの……」
アーシャは、ちゃぶ台に頭を寝かせ、疲れたように言った。
そういえば、さっきからけっこう探してたのに、全然見つかってないみたいだ。
「うーん……できそうって、そもそもアーシャはどんなお仕事がいいんだい?」
「あのねっ。12歳以下でも、できるおしごと!」
「あ〜、なるほど。アーシャはまだ小学生くらいな感じだもんね……て! そんな仕事、ハロー〇ークに載ってるわけないでしょ!」
思わず、ノリツッコミをしてしまった。
「ええっ、そうなのお兄ちゃん!?」
「そうに決まってるよ……」
12歳の子供に仕事させたら、法律違反じゃないだろうか? できるのは、子役とかそのくらい? やっぱり、ハロー〇ークには載ってなさそうだ。
――という旨を告げると、アーシャは自分の口で「が〜ん……」と言って、ふて寝してしまった。
やっぱり、アーシャには家でじっとしててもらうしかないな。
「アーシャは、ちょっとしょうがないとして……。それで、ソフィはどんな仕事がいいの?」
「別に。何だっていいわ。私にできないことはないもの。適当に見繕いなさい」
すごい自信だった。
適当に見繕えって、そんな、串カツ屋さんじゃないんだから……。
「……そうだなぁ、ソフィは運送屋さんとかがいいんじゃない? だって、魔法で物を運べるでしょ」
ソフィは、念動力(サイコキネシス)という魔法を使う事ができる。
この間、僕を抱えたまま空中を浮揚し、空をすっ飛んで会社まで送ってくれたりした。これを活かせば、かなりいい仕事になるはず。
と思ったら、ソフィは首を振る。
「それはダメよ。人間に、魔法を使う所を見られてはいけないの」
「え、なんで?」
「魔法が実在する所を見せてしまったら、人間の自由意志に干渉することになるでしょう? それが、エルフの森のルールなの」
「ふぅん、そうなんだ……。あれ? でも僕には思いっきり見られてたけど、いいの?」
「……こ、細かいことは気にしないでいいのよ」
ソフィは少々顔をそらしながら言った。どうやら、都合の悪い事を聞いてしまったみたいだ。
「まぁいいわ。さっき、近くの居酒屋の接客とかあったし。ひとまず、それにしておきましょう」
ツンっ、と鼻を高く持ち上げつつ、ソフィは言い放った。
「せ、接客……?」
こんなにツンツンしてるソフィが、接客なんてできるんだろうか? 速攻で、クレーム来そうだけど……。
「くすっ……」
あ、ヤバい、笑っちゃった。
「ちょっと! アンタ、今失礼な事考えたわね?!」
「考えてませんっ……!」
「いや、ぜったい考えてたわ! ちょっとアーシャっ、兄貴の心を読みなさい! いますぐっ!」
「ふぇぇ……?」
「あぁぁぁっ、読まないでぇっ〜〜!」
『みんなっ、ただいま〜♪』
その時、玄関先からマリアの声が聞こえてきた。買い物から帰ってきたみたいだ。
「あ〜、マリアお姉ちゃんだー!」
「さて、姉さんも帰ってきたことだし、そろそろ夕飯を作るわ」
「アーシャもー! アーシャもつくるっ!」
二人はドアのほうへ向かった。マリアは、確か食材を買いに行ったのだ。
夕飯を作ってくれるということで、みんな台所に行ってしまった。ちょうど、お腹も空いてたところだ。
いまの話題も、うやむやのうちに終わってくれるし……うん、色んな意味で、有り難かった。
そして、夕食の席で。
僕と三姉妹は、狭いちゃぶ台の周りで、一堂に会する。
そこで起きたのは、有り難いを通り越して、有り得ないことだった。
「――はいっ、弟くん♡ これ、預金通帳よ」
マリアがニコニコしながら、残高に「25万円」と書かれた通帳を渡してきたのは、みんなで「いただきま〜す」と言い終えたあとの事だった。