おま〇こエルフ三姉妹 同棲生活はじめました♡ 作:お互いがお互いのために
ソフィは、居丈高に語った。
この子が接客する姿なんて想像できないし、少し興味あるんだよな。聞いてみようか。
「へー、どんな感じだったの?」
「そりゃぁもう、想像してみなさい!? あんな庶民の食事場にはありえないくらい、私は美しく麗しいんだもの。まとわりつく目線が、うざったくてしょうがなかったわ!」
「わーっ、おねえちゃんすごーい! 『かんばんむすめ』だねっ♪」
「あら〜、アーシャちゃん、むずかしい言葉知ってるのねー」
マリアはアーシャの頭をなでなでした。
「えへへ〜っ! アーシャもなでるー!」
アーシャは少々背伸びして、ソフィの頭をなでた。背丈が足りないので「手を触れた」と言ったほうがいいかな。
「ソフィおねえちゃん、すごいスゴーイ♪」
「ふふんっ、当然でしょ! 美を体現したこの私に、見惚れない人間なんていないの!」
調子に乗りまくって、もう東京を二周も三周もしそうなソフィだった。
けれど、わりとすぐ強制降車させられるハメになる。
「あれー?」
アーシャが目をつぶった。じっと、何かを考えてるかんじで……
「でも、おねえちゃん、店長さんに怒られちゃったの? なんでー?」
「なっ……!?」
きょとんと首を傾げるアーシャ。
アーシャは、人の心を読む魔法が使えるらしい。たぶん、今はその魔法を発動したんだろう。さすがはエルフ。
ん? 怒られたって、なんだ?
いっぽう、寝耳に水のソフィは、
「うっ、うるさいわねー! べ、別に、お客さんへの態度が悪いからって、怒られてなんかいないわよ!」
ギャーッ! と吠えるソフィに、アーシャも、僕も、それからマリアでさえ、声を立てて笑った。
ソフィが観念して話した所によると、そこの店の近くで新しく小学校ができてたらしい。
なんらかの式典でもあったのか、制服のこどもやその親がけっこういっぱい店に来てたそうな。
そして、ソフィのあまりに高慢な態度に、小さな男の子がとうとう泣き出してしまったとか。士族商法みたいな感じで、横柄だったんだろうか?
「……まったく、あの店長は! 話し方を直せだなんて、無茶なことを言うんだから! そんなもの直るわけないでしょう、バカねっ!」
「も〜、ソフィちゃん、もう少し、お客さんには優しく接してあげなきゃ。いちおうお給料もらってるんだし……ね?」
「う……」
ソフィはきまり悪そうに目線をそらした。
「そう言われても、人間に良い顔なんて難しいわ」
「う〜ん、そうね……」
マリアは、少し考え込んで、
「ほら、ちょうどソフィちゃんが、弟くんにデレデレしちゃってる時みたいに♡ あんな感じなら、お客さんも喜んでくれるんじゃない?」
「! ちょ、ちょっと姉さん……もぉっ!」
腕を振り回すソフィに、またもみんな笑った。
ふと、マリアが口を開く。
「あ、お仕事といえば……あした日曜だけど、お姉ちゃんちょっと応援頼まれちゃってて……。うちには皆もいるし、大丈夫だと思って引き受けちゃったの。ゴメンね、そういうわけで、明日でかけるわね」
マリアは、舌をぺろっと出して謝った。
日曜でも出勤してあげるなんて、さすがはマリアだなぁ。そのうち僕みたいな社畜にならなきゃいいけど。
「そーなんだー。おねえちゃん、がんばってね♪」
「ふ〜ん? まあいいんじゃない。マリア姉さんは、安心して働いてきていいわよ。兄貴のお世話は、私に任せておきなさい。ふふっ……っ♡」
何を想像してるのか知らないけど、ソフィは小声で笑った。ひとりで「るんるん♪」とか口に出しているくらい浮かれている。おめでたいな……。
「ねぇ、マリア、僕お願いがあるんだけど……」
「ん、どうかしたの?」
「明日……マリアと一緒に行っていい?」
マリアは、そして他の姉妹も、突然の申し出に目を丸くする。
「マリアが働いてるところを、見学させて欲しいんだ」
「え……?」
マリアは、すこし考え込むようにしてから、
「ま、まぁ大丈夫だと思うけど……うん、いいよ。少し恥ずかしいけど、じゃあ一緒に行こっか」
「やった! ありがとうっ」
僕はガッツポーズをした。マリアの働きぶりを見れば、何か参考になるかもしれないと思ったんだ。
けど、その時、横からソフィが口を挟む。
「……ちょ、ちょっと待ちなさいよ」
ぎりぎりと歯ぎしりして、いまにも殴られそうな気迫だった。ひぃっ!
「わ、私は!? せっかく兄貴と一緒にいれると思ったのに……私はどうなるのよぉーっ!」
「ご、ごめん。明日は僕、いないよ」
「……キィ〜〜〜〜〜っ!」
ソフィの奇声が、アパートの薄い壁にビリビリ響きわたった。
その時、「ドンっ!」と壁越しに殴る音が聞こえてきた。とうとう、お隣さんの堪忍袋の緒が切れたみたいだ。まぁ、そりゃそうだよね……今度、謝りに行こうっと。