※この作品はR-18です。

界乱のエトランゼ   作:宵月颯

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季節の中で聖なる夜とされる日。

闇夜に委ねて重なるのは。

酔いによる高揚か。

それとも闇の誘いか。


この聖なる夜は永く闇の中へ

ほんの少しの出来事だ。

 

彼女と共に余り口にする事の無い酒を嗜んだ。

 

嗜み続ける毎に酔いしれ高揚していた。

 

彼女の口元の吐息は独特の色気を。

 

白く流れるような素肌は薄紅へと染まった。

 

この姿に一瞬の迷いもなく振り払い。

 

共に永い闇に誘われた。

 

 

******

 

 

「はぁ///」

 

 

唇は紅を差したかの様に朱い。

 

漏れる吐息には柑橘酒の香りが微かに残っていた。

 

髪を梳けば湯浴みの名残。

 

眠りを誘う紫色の草花を思い出す。

 

褥に身を委ねる彼女はとても艶やかだ。

 

戦場では鬼神の如き立ち振る舞いで先陣を切り、幼き子達を時に慰め時に叱咤する。

 

それもまた彼女の美しさだ。

 

だが、その彼女も永い闇に誘われ共に堕ちた。

 

 

「酔いしれるとはこの事なのだろうな。」

「えっ?」

「今宵はお前と酔いしれ合いたい。」

 

 

彼女は耳元で囁かれる事が苦手だ。

 

俺はこの声が愛おしくて我慢ならないらしい。

 

 

「耳元で囁くなんて、ずるぃ…///」

「これまで何度お前を抱いたと思っている?」

 

 

再会したあの日よりその身は俺のものだとその身に刻み付けた。

 

どんなに咽び泣こうともだ。

 

 

「っ///」

「お前が愛してやまない月闇の夜は永いぞ?」

 

 

彼女と褥で語らいそして秘め事を求めた。

 

彼女は恥じらっていたが関係ない。

 

俺は彼女の身に纏う衣を脱ぎ捨てさせた。

 

 

「っ。」

「感じているのだろう?」

「う、うるさい///」

「その様な強情が何処まで続くか?」

 

 

女性を象徴するモノに触れれば小さくもその声は聞こえる。

 

彼女はただ快楽に狂うだけの馬鹿にはなり下がりたくはないと話していた。

 

だからこそ対等で在りたいと願うのだ。

 

一度は気を失うまでの攻めを負わせたが、機嫌を悪くし暫くは言葉を交わさなかった事もある。

 

その件に関してエルーナルーナには散々な言われ方をされた。

 

判ってはいるが、手加減と言うモノを忘れてしまう。

 

ハスミは同…がどうとか話していた事もある。

 

 

「偶にでいい…私もヴィルを攻めてみたい。」

「成程な、対等とはそう言う事か。」

「ヴィル…(意味をはき違えていなければいいけど。」

「与えるだけではなく与えられる事もまた対等なのだな?」

「間違ってはいないと思う。」

「では、お前はどの様に俺を攻めるのだ?」

「また耳元で、ひっ///」

 

 

抱き寄せ、その耳元で囁く。

 

これだけでも彼女は弱くなってしまう。

 

重ね合わせた肌から直接胸の鼓動が感じ取れる。

 

その鼓動が教えるのだ。

 

拒んでいてもその身に刻まれた快楽を拭い去る事は出来ない。

 

幾度なく意味のない身体の重ね合わせをしたか判らない。

 

それでも彼女の温もりは俺に安らぎを与えてくれた。

 

時折、囁く子守歌と共に。

 

願わくばこの時が続けばいいと願う事もある。

 

 

 

「ヴィル?」

「お前が求める愛し方をするがいい。」

「いいの?」

「二言はない。」

 

 

彼女に了承するとそれは始まった。

 

口づけからの愛し方。

 

この身に乗り上げ、自らの身に招き入れ奉仕する。

 

時折身体へ残す紅い跡もまた対等で在りたいと願う証なのだろう。

 

 

「うっ、ふうっ///」

 

 

口元を抑えて声を上げずに何度も体を動かしている。

 

自分では物足りないのは解っている。

 

それでも健気に事を行う彼女を愛おしいと思う。

 

愛おしいと思うからこそ、その身を俺で染め上げるのだ。

 

 

「えっ?」

「すまん、ハスミ。」

「ヴィル、まさか…?」

「その健気さが愛おしい、すまんがもう限界だ。」

 

 

今にも折れそうな彼女の身体を固定するとそのまま彼女から主導権を奪った。

 

 

「いっ!?」

「お前の健気さに免じるが…これで終わると思うな?」

「うっ、うう///」

 

 

口元を抑えてその快楽をその身に受けている。

 

時折聞こえる咽び泣く声と水の弾ける音が室内を支配した。

 

誰もない二人だけの闇の世界でただ己の熱を覚ます為に。

 

泣き叫ぶ彼女はただ受け入れた。

 

この愛しいと思う気持ちに答えてくれた。

 

何度彼女を支配しようとも穢れる事は無い。

 

何の肩書もない男と女がそこにいるだけだ。

 

何もなければ汚す事など出来ない。

 

そして欲望をその身に何度も受けた彼女は闇に飲まれた。

 

幾度なく欲望が注がれた腹部は子を宿した様に膨れ上がっていた。

 

漏れる吐息と意識の混濁が続くその眼はこちらを求めている。

 

抱きしめ、愛を語り、その身に欲望を与える。

 

それでもこの日だけは違った。

 

彼女は笑みを浮かべた。

 

抱きしめに対して抱き返してくれた。

 

 

「すまぬ。」

「何故、謝るの?」

「またお前に…」

「それでも貴方は求めてしまった、この夜は永い夜、そう…夢なのよ。」

「夢か…」

「夢の中ならどんなに狂おうとも関係ない。」

「ならばどうする?」

「夜が明けるまでこの聖なる夜の闇は終わらない。」

「求めて良いのか?」

「求めてしまう想いを誰が止められるの?」

「そうだな。」

 

 

この長き夜が明けるまで闇の褥が終わる事は無い。

 

そう彼女との欲望は収まる事は無い。

 

夢が冷めるまで続けよう。

 

この聖なるも闇に染まった夜を。

 

 

=終=

 




=翌日=


「ハスミ。」
「ごめんなさい、今は何も言わないで。」
「そうか…」
「…(度の高いお酒で酔っていたからって私ってば何て事してるのよ!?」


お酒は程々に。
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