天鳥船島の島内部。
島の遺跡群の一つの場所で私ことハスミは一人寛いでいた。
その場所には遺跡の一部分を改装して貸し切り状態の露天風呂を建設。
宝の持ち腐れの様な気もしなくはないが誰も居ないのだから気にしない。
この島は『ある戦い』の後に完全封鎖。
今は誰一人居らず島を管理するシステムが動いているだけだ。
「はぁ…」
ローマ浴場をモチーフに改装したサークル型の露天風呂。
使用した白色寄りの石材でより幻想的な風景を生み出していた。
「綺麗。」
湯船から浮き出る湯気で髪はしっとりと濡れ。
時折吹く夜風が火照った身体を冷ましてくれた。
空を見上げれば煌々と輝く月が顔を覗かせていた。
「…色々あったな。」
私は浴槽の縁に両腕を預けると体を湯船に浮かせて浮いていた。
色々あったと呟いたのには理由がある。
その理由を語るのはまた次の機会しよう。
私自身、何処から話せばいいのか迷ってしまったからだ。
「もう少しで秋か…」
耳を澄ませると浴槽に湯が流れる音の他に秋を告げる虫の音が響いていた。
まだまだ日中は夏の名残を残すが、夜風は次第に涼しさが混じっていた。
そしてこの露天風呂に近づく足音も聞こえていたが…
私は足音の主が誰なのか判っていたのでそのままにした。
「また長湯か?」
「いけない?」
「この島の主はお前だ。どうしようと自由だろう。」
「そう、なら…もう少し入ってる。」
足音の主ことヴィルダークは浴槽に浮いているハスミに声を掛けた。
ハスミは湯船に浸かりながら話を続けていた。
普通の感性なら裸体を隠す仕草をするだろうが…
話し相手に何度も手折られた身となれば気にもしなくなった様だ。
「ヴィルも一緒にどう?」
「付き合おう。」
ハスミは近くに控えさせていた家事ロボットに指示を出すと色々と準備をさせた。
それから暫くして。
「外の様子はどうだった?」
「変わらずだ、新世界はあらゆる可能性を秘めている分…変異はまだ見られない。」
「そう。」
浴槽の縁で寄り添う様に入浴を続けるハスミと付き合いで入ったヴィルダーク。
話を続けていたが、ハスミの表情は静かだった。
ヴィルダークはその理由を悟り、話の話題を変えた。
「…あの事件はお前だけのせいではない。」
「解ってる。」
「止めようがない事も時としてある…あの事件も起こるべくして起きただけだ。」
「それでも私には予兆を知る事が出来た。」
「お前が全てを背負う必要はない。」
「そう思いたい…」
「相変わらず、その癖は抜けんな。」
「…」
私はあの事件で大きな失態を侵した。
識る術を持ちながら止める事が出来なかった。
それが今でも心の何処かで毒の様にこびり付いていた。
「ハスミ。」
ヴィルダークは自分の元へ対面上にする形で私を寄せた。
「ヴィル…っ。」
最初は触れるだけ。
何度か触れた後に次第にそれは深く。
唇に触れる彼の熱はいつも苛烈で優しい。
そして抱える様に体をがっちりと拘束されると逃げ場はない。
その行為は浴槽の熱も加わって胸の鼓動が高くなる。
余りにも爛れる様な甘い行為の音は暫く耳元に響いた。
「っん。」
今回は長ったらしく詰め寄る感じだ。
一度離したと思ったら再び深く抉られた。
彼は私が弱い所を熟知している。
何処を攻めれば従順になるのかを…
何度も彼に手折られたとは言え慣れと言うモノは恐ろしい。
「はぁっ。」
ようやく解放されたのはいいが、暫く呂律が回りそうにない。
彼の余韻の一つが私の中に残る中で次なる攻めが待っていた。
「待っ…」
首元に強く跡を残された後。
彼の手は私を支えていた腰から胸に移動した。
「ひっ。」
先の余韻で膨らんだ飾り。
片方は彼の指の腹で押しつぶされ、もう片方は彼によって。
更なる余韻の為に冒されていた。
「ぁ…(胸が熱い。」
「これまでに何度お前を抱いたと思っている?」
「っ?」
「先の考えが出来ぬ位に抱き尽くす…よがり狂うまで徹底的にな?」
******
浴槽の縁に腰掛けた彼の身体に背を預ける形の耐性のまま。
私は彼の行為から逃げる事は出来なかった。
いや、逃げると言う考えは違う。
寧ろ逃げたくないが正しいのかもしれない。
「っん。」
彼の無骨な指先が広げられた私の中を蹂躙していた。
何度これで意識を失っただろうか。
これが抱き始めである以上は何度も意識を失うだろう。
彼の指先に液体が纏わり付き始めると彼は指先を引き抜いた。
「ひぅ!」
受け入れる準備は整った。
彼は彼女の耳元で囁く。
「そんなに物欲しかったのか?」
「はぁっ……ぁ…っ。」
「まあいい、答えられずとも身体の方は正直だからな。」
彼は私の身体を持ち上げ、浴槽の縁に座らせた。
そして液体が滴る場所へ彼は押し入った。
多少は先の行為で入るだろうが彼は互いの体を密着させる様に抱きしめた。
その拍子に私の腹部は圧迫感に飲まれた。
「!?」
私が流す紅はない。
それでも何度も抉られた場所は時として受け入れにくい時もある。
彼は馴染むまで動かずに私の様子を伺っていた。
「…動くぞ。」
片足の膝を彼に抱えられ、広げられた場所が律動し始めた。
始めはゆっくりだが次第に動きは調子が付く様に。
最後は最後まで引き抜かれ一気に入れられる。
「っあ!(お腹が苦しい。」
彼の体格上、どうしても行為をする時は凶器と化してしまう。
的確に入り込み、一番弱い所を押し込まれる。
何度も、何度も、何度も。
次第に痛みは消えて快楽に変わる。
意識がドロドロと溶けていくような感覚。
愛されていると実感できる。
もうどうでもいいと思えるほどに。
「ヴィル…」
「ハスミ。」
絡ませ合い続けると次第に液体の音が響き。
一度目の終わりを迎える。
「いっ、あああっ!」
「…くっ!」
腹部に流し込まれる感覚。
通常よりも量が多いのは彼の体質。
私は腹部に彼の余韻を感じた後に意識を失った。
「ぁ…」
「今は眠れ、何もかも忘れて…」
彼は彼女から引き抜くと身体を抱き直しその場を離れた。
「…お前は十分に戦ってきた。」
彼は気を失った彼女に告げると無防備となった口元に唇を重ねた。
「眠れ、この場所にはお前の邪魔をする者は存在しない。」
彼女から滴り落ちる雫は月の色の様に寂しさを見せていた。
=終=