※この作品はR-18です。

界乱のエトランゼ   作:宵月颯

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大きい毛玉と小さい三匹の毛玉との出逢い。


猫の魂は九つまで

永い時の中のある時期の事。

 

私はお腹の大きい猫を拾った。

 

その猫は妊娠した母猫で出産を控えていた。

 

動物的本能で悟ったのか私が敵でない事を察すると甘えてきた。

 

私はその猫を家に向かい入れた。

 

 

******

 

 

「ハスミ、その生き物はどうした?」

「拾ったの、もうすぐ子供が生まれる。」

「いいのか?」

「うん…様子を見るのはこの子の子供が自立するまでの間だけね。」

「そうか…」

 

 

元から持つ強念によって徐々に肉体が神仙化。

 

それに伴って半不老不死に陥った。

 

それが私の身に起こった呪い。

 

彼は元々次元将化の影響で半不老不死が続いている。

 

どちらも永い時を生きる事を背負わされた呪いである。

 

そんな私が人間の平均寿命の四分の一…僅か二十年しか生きられない猫を拾って来たのだ。

 

別れの悲しみがまた増えると判っても私は拾った猫を受け入れた。

 

 

「にゃあ」

「大丈夫、ゆっくり休んで。」

 

 

猫は安心すると静かに寝床代わりのクッションの上で丸くなった。

 

そして二~三日後、猫こと母猫は三匹の子猫を出産した。

 

眼は開かず、ニィニィと鳴いていた。

 

暫くは様子見が必要だろう。

 

そして五週間が過ぎた。

 

 

「「「にゃー」」」」

 

 

よちよちと歩き始めた子猫達。

 

色は白と雉、白、ブチの三匹。

 

母猫が白と雉なので残りの二匹は父親似と思われる。

 

ちなみに母猫は日が当たる場所で丸くなっている。

 

 

「にゃぅ」

 

 

白毛の子が彼の手で丸くなっていた。

 

遠目から視ると白大福を持っている様にも見える。

 

 

「ぴゃー」

「にゃあー」

 

 

雉の子とブチの子が私の膝で不思議そうに見ている。

 

興味があるのだろうか?

 

撫でると小さく喉を鳴らしてくれた。

 

 

「にゃあん」

 

 

猫の親子に名前を付ける事にした。

 

母猫はハル。

 

ブチの子はナツ

 

白と雉の子はアキ。

 

白の子はフユ。

 

一カ月過ぎた頃から子猫達の大運動会がよく起こった。

 

 

「にゃあ」

 

 

母猫は毛繕いをよく私にさせてくれる。

 

私が彼女の機嫌を読めるからかもしれないし…

 

若しくは拾った私を自分の子供と思っているのだろうか?

 

 

「うにゃあん」

 

 

猫は家に付くと言うが…

 

彼女、ハルは私に身を預ける事を許してくれている。

 

 

「うん、もうすぐ終わるからね。」

 

 

ハルは背中をブラシで梳かされながらグルグルと喉を鳴らした。

 

 

「「「にゃー!」」」

 

 

三ヵ月が過ぎた。

 

子猫達は好奇心が旺盛になってきた。

 

最近は彼の周りで連日運動会を始めている。

 

彼もまんざらでもないようだ。

 

 

「にゃー」

「ぴゃー」

「うなー」

 

 

順にアキ、フユ、ナツの声である。

 

アキとフユがメス、ナツがオス。

 

段々と声に癖が現れ始めた。

 

 

「うにゃあん」

 

 

一年後。

 

子猫達は成猫になった。

 

一人立ちしてもいい頃だったが…

 

母猫同様にここで暮らす事を選んだようだ。

 

 

「うなーん」

 

 

突然ナツが旅に出た。

 

一般のオス猫同様に自分の縄張りを構築する為に出て行った様子。

 

彼は少し寂しそうだった。

 

 

「にゃあー」

「ぴゃあー」

 

 

アキとフユが別のオス猫達と恋に落ちた。

 

ハルは静かに見守っていた。

 

 

「うにゃあ」

 

 

暫くの後。

 

アキとフユに子供が生まれた。

 

ハルに孫が出来た。

 

ハルは嬉しそうに鳴いた。

 

 

「にゃー」

「ぴゃあー」

「うにゃー」

 

 

アキは一匹、フユは二匹。

 

アキの子供はオスのハクロ。

 

フユの子はオスのカンロとメスのコユキ。

 

ナツが稀に戻ってくるが甥と姪っ子の顔を見た後、再び旅立っていった。

 

ハルはアキとフユの子の面倒を良く見る様になった。

 

 

「うにゃ」

 

 

ハクロとコユキが番となった。

 

カンロは旅に出た。

 

ハルは少し寂しそうだった。

 

 

「うな…」

 

 

ハルが年老いた。

 

アキとフユは子供達の世話に人段落が付くと旅に出た。

 

ナツが怪我をして帰って来たがすぐに去ってしまった。

 

孫猫達は元気そうにハルの傍に居る。

 

 

「…」

 

 

ハルが消えた。

 

己の死期を悟ったのだろう。

 

時折、アキとフユは成猫となった孫猫と曾孫猫と共に顔を見せに来る。

 

ナツはあの時以降…会っていない。

 

 

「「…」」

 

 

アキとフユも姿を見せなくなった。

 

猫達との生活から既に数十年近く経っていた。

 

時の移ろいは長い様で早く感じる。

 

ナツによく似たリツカと言う猫の生涯を最後に私達の猫達との生活は終わった。

 

 

「…」

「悲しいか?」

「ううん、そうじゃないわ。」

「違うのか?」

「私達が貰ったのは悲しみじゃない…思い出よ。」

 

 

ずっと姿が変わらない私達。

 

これからも呪いを抱えたまま永い時を生きる。

 

それは世界が終わりを告げる時まで続く。

 

 

「うにゃー」

 

 

テラスで寄り添う二人の様子を木陰に隠れながら一匹の雉柄の猫が鳴いた。

 

 

 

=終=

 




恒例の猫の日小説です。

特に意味はありません。

猫達の名前は四季と二十四節季からです。
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