ハスミはある新聞の記事を閲覧するが…
それが強大な陰謀へと繋がる事となる。
例の巳白町事件から数週間後。
小牟に有栖流尻叩きが披露されてから大分経った頃。
私は用意されたセーフハウスである記事を眼にした。
「住宅街で暴走事故、運転手は死亡…」
モノクロと一部カラーのレトロな新聞の記事を見ながらぼそりと呟くハスミ。
丁度、朝食を終えて少し経った時だった。
「運転手は永島聖美?運転操作を誤り電柱へ衝突…死因は頭を強く打った事による脳挫傷。」
永島聖美?
あれ?何処かで聞いた様な?
何処だった?
スパロボの関係ならすぐ思い出すのに…
確か…前世で義姉さんが読んでいた小説に出て来る人の名前に似ているような?
「喪主は夫の永島利明…永島…利明!?」
思い出した!?
これあの話じゃないの!
うげ…拙い。
下手すればバイオハザード級の事件じゃないかー!!
あーもう零児さんに頼んでBSAAに出張してもらう?
駄目だ、この時期のクリスさん達はロシアのアンブレラの研究施設を調査中だ。
ちなみにレオンさんは大統領令嬢拉致事件でヨーロッパだったよ。
ブルースさん達はアフリカだったし、レジーナさんはアイビス島の後始末で不在だ。
生物災害のエキスパートが不在で伝手が全滅。
時系列が違うから油断してたわ。
「どうした、ハスミ?」
「な、何でもないわ。」
「ならいいが…」
庭先で500㌔と書かれた大型ダンベルで筋トレ中のヴィルダークに声を掛けられたが、ハスミは何でもないと言葉を返すと再び筋トレへと戻って行った。
「まずは情報を整理しよう。」
私は彼に悟られない様にリビングを後にした。
*****
今回の事件はパラサイト・イヴと呼ばれるSFホラー小説の物語だ。
時系列は大体1990年代。
生化学者である永島利明が進化したミトコンドリアに操られ、自身の死亡した妻の肝細胞から『イヴ』と呼ばれる存在を生み出したのが発端のお話である。
私達はその開始時期に丁度居るらしい。
ちなみに現在の物質界の年月は西暦2004年位。
開始時期から時間がかなり経過している。
油断していたとは言え、まさかこの物語の事象に巻き込まれるとは…
どうやら無限力のお遊びがまた始まった様だ。
話を戻そう。
このEveは永島聖美の体内に潜むミトコンドリア。
そのミトコンドリアが『イヴ』と呼ばれる存在によって寄生されていたのだ。
それも太古と呼ばれるに相応しい時代の亡霊。
それが現代になって蘇り、人類を支配しようと目覚めたのだ。
色々とあってこのイヴは永島利明の手によって葬られたが、その後の1997年にアメリカ・ニューヨークで再び惨劇が起こるのだ。
恐らくは今回の一件が世界に散らばる『イヴ』の因子を持つ人々の覚醒に繋がった可能性があると言うのなら止めなければならない。
伝手が全滅して居る以上はこちらで調べるしかない。
それが蛮勇だったとしてもあの惨劇を繰り返してはいけない。
「まずは国立R大学に行くしかないか…」
イヴの惨劇を止める為にも出来る限り動くしかない。
******
=???=
「そうか、気付かれたか…」
昏い世界で彼女は答えた。
「だが、今邪魔をされる訳には行かない。」
彼女と言うドロドロとした謎の存在は闇の中で蠢く。
「遊んでおやり、お前達。」
その存在は自分の一部を切り離すと光の先へ向かわせた。
「この世界のマリア達と異世界のマリア…私の後継者に相応しいのは誰かしら?」
事件は始まった。
これは複雑に絡み合うIFの出来事。
始まりは突然に起こる。
それは必然。
=続=