だが、その魔の手は着実に忍び寄って居たのだ。
愚かな原初よ。
彼らは一筋縄ではいかない。
それがどう言う事なのか身を持って知るのだ。
晩春から初夏に移り変わる夜風。
そしてその夜を半月が照らす。
******
私はシェアハウスに戻り、ヴィルにある事件が発生した事、それについて判明した事だけを説明した。
放って置けば被害がこちらにも及ぶと付け加えて…
しかし、私が行った一連の行動が彼の逆鱗に触れる事となった。
彼は嫉妬深い。
その身を持って知っていたが今回は収まりそうもない。
彼に捕まれた腕の痛みがそれを教えてくれる。
ああ、逃げられないと…
「成程、それが次の標的か…」
「っ…ふっ///」
「危険事案を早期排除するのは構わないがお前自身の身に何かあったらどうするつもりだ?」
「そ、それっ…はっ///」
「いい加減学習しろ…お前の悪い癖だぞ?」
「ゴメン、ヴぃ…ふっ!」
「今宵も許すつもりなど無い、判るまでその身に教え込む。」
「うっ…うう///」
「それがお前が無茶を重ねた事への罰だ。」
シェアハウスの一室。
ダブルベッドの上で褐色の肌の男性が黒に青を流し込んだ髪の女性に説教をしていた。
彼女は体を彼に固定され、その姿をベッドと対向する様に設置されたドレッサーの鏡に映されながら行為を行っていた。
衣服を脱がされ、彼に支えられる様に下肢を固定させられている。
鏡に写し出されるのは彼女の醜態。
高揚させた己の素顔、惜しみなく広げられる己の下肢、そして彼のモノが自らの中へ入り込む様子を見せられていた。
これは彼女が彼に対して隠し事をした事への罰。
彼女の身を案じる彼が唯一嫌う事。
それは彼女の他者の為に無茶をすると言う自己犠牲の思想である。
いつも彼女が己の危険を顧みずにやってしまう悪い癖だ。
前々から指摘していたが…
今回の案件は絶対に死なないと約束を出来るものではない。
ましてや精神を肉体を乗っ取られる可能性もあり得る危険な相手だ。
自ら敵の手中に収まる気かと彼は怒鳴った。
彼女は未確定の案件であると反論したが…
それも後の祭りで今の結果となった。
「…(お腹が熱いっ…動かされると声が…」
「また目を塞いでいるぞ…開け。」
「ううっ///」
「これでも軽い仕置きだぞ?」
「は…いっ…///」
その後、彼女は己の痴態を延々と見せつけられた。
何度も耳に残る痴態の音を聞かされ、掴まれた大腿から腰を動かされる毎に痺れる感覚が波打つ様にやってくる。
両腕は拘束され外せない様に絡められており拒否する事は出来ない。
引き抜かれる事なく体制を変えられ、その身の熱が収まる事は無い。
時折双房を掴まれ無骨な指先で揺り動かされ押し込まれる。
その一つ一つが痺れる様な感覚へと変貌する。
「くる…しぃ。」
「何故だ?」
「おかし…く…なりそ…。」
「そうか、ならば狂うがいい。」
深く深く言の葉を紡ぐ唇は塞がれた。
ねっとりと絡まれ息づく事も出来ない。
「…っん。」
意識がドロドロに溶けていく。
熱に浮かされ、される行為を一つ一つ刻む様にこの身は溶けていく。
何度も刻まれた行為は呪いの様にその身を覆って行く。
逃げる事は出来ない逃げる事を拒ませるのだ。
爛れる様な行為はその身を焼き尽くす。
「やめっ…うっ…ひっう///」
「止めるものか、お前を愛しているのだから…」
愛していると言う言葉は呪いの様でとても心地よい。
永遠に解けないのならその言葉は一生この身に刻まれてもいい。
その身を固定され何度も貫かれ抜いた後、長かった罰の時間が終わった。
「ひうっ……ひど…ぃ。」
「これに懲りたら二度と無茶を重ねるな。」
「判り…まし…た。」
彼女は何度も咽び泣き狂った為に声は枯れ果てベッドの上に倒れ伏した。
体の所々に残る赤い跡と強く掴まれた事で出来た青痣の跡は暫く消えないだろう。
「ヴぃる…?」
「眠れ、明日からは傍を離れんぞ。」
先程の行為で動けない身体を彼に抱きしめられたまま再びベッドに戻った。
彼の強く抱き占める腕を振り解く事は不可能だろう。
私はその温もりを感じながら重い瞼を閉じた。
何も考えられず私の意識は深い深い深淵の底に落ちた。
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人が生活で汚染させた水が流れる場所。
下水道の奥深くにて。
ズルッズルッと音を立ててゲル状の何かが歩みを進めていた。
下水に蔓延っていたドブネズミが危険を察して逃げ失せるも数匹がその何かの犠牲となった。
体内のミトコンドリアが変異を起こし餌食となったドブネズミは醜悪な姿へと生まれ変わった。
剥離した表皮、鋭利に伸びた爪や牙、そして更に肥大化した体へと。
ソレは下水道の出口へと進み、下界へと姿を現した。
主人が命じた獲物を狩る為に。
「…(来たか。」
シェアハウス付近へと近づく気配に気が付いたヴィルダーク。
ベッドから起き上がると同時に横で眠るハスミに声を掛ける。
「ハスミ、戦えるか?」
「…」
「少し灸を入れ過ぎたか?」
先程の行為で気絶しており、声を掛けるが意識は戻っていない。
「だが、この程度の気配の輩は俺一人で十分だ。」
彼にとって彼女は枷である。
かつては異界の地球を制圧し仕掛けた者。
その枷無き今、その力を奮えばどうなるか?
彼の枷が解き放たれれば、この星ごと大地は焦土と化す。
それを今実行するのである。
「這いつくばるしか能のない低能風情がこの俺と戦えた事を光栄に思うがいい。」
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同時刻、アメリカのBSAA北米支部にて。
「クリスか?」
『フランクか、どうしたんだ?』
「クジョウからお前さん宛に伝言だ。」
『伝言?』
「一週間後、正確には六日後に東京都内で大規模生物災害が起きるとな。」
『…どういう事だ!?』
「クジョウのいつもの予言さ、それもヤバい方向でだ。」
『詳しく説明して貰えるか?』
「そうしたいのは山々なんだが、調べている最中にFBIに捕まっちまって…」
『FBIだと?』
「そ、今連邦捜査局の尋問室から連絡しているって訳だ。」
『…』
「そろそろ変わって貰えるかしら?」
「どうぞ。」
「初めまして、BSAAの英雄…クリス・レッドフィールド。」
『君は?』
「私の名はアヤ、アヤ・ブレア警部。」
『アヤ警部、フランクの事だが…』
「彼は調べてはいけない領域に踏み込んでしまった、それについて説明しなければならない。」
『その説明とは?』
「ネオ・ミトコンドリアよ。」
=続=