美しき旋律を謳う皇女は皇女を辞めた。
ただ一人の女性として自らを守る騎士と共に仲間と共に生きる。
だが、彼女の存在は切り取られた。
まるで最初から居なかった様に。
新西暦改め、真・統合歴001年。
銀河殴り込み艦隊による『霊帝』の討伐。
同じく銀河殴り込み艦隊改め異世界殴り込み艦隊による『御使い』の討伐。
その二つの大戦の後、世界は修復され新たな世界へと生まれ変わった。
そして『御使い』が残した歪みによって異なる歴史を歩む三つの地球の戦い。
後に三界事変と呼ばれる戦いが勃発。
新たな次元の歪みによって現れた侵略者との戦い。
その全てを制し、世界は再び平和への道を歩み続けた。
そしてその三界事変によって現れた世界は『地球再生』と『次元修復』が行われ、クロスゲートを通して行き来が可能となった。
その三界事変の舞台の一つとなった『蒼海の地球』では…
******
「そんな夢を見たの?」
『まあ…そんな感じ?』
「貴方の予知夢は現実に成り得るからある意味で不安なのだけど…」
『ゴメン。』
「ううん、何かあって私に連絡をくれたのでしょう?」
『ええ、だから…『黒曜の后』に気を付けて。』
「分かった、気を付けるわ。」
蒼い空と海を満喫できる孤島。
ここはリゾート島『アルゼナル』。
かつては『ノーマ』と呼ばれた女性達によって『ドラゴン』と戦い続ける事を宿命づけられた者達が集う場所だった。
だが、一人の廃棄された姫の出現によってそれは変化した。
『革命』と『自由』を手にする為に。
『光』と『風』の言ノ葉が紡いだ未来への歌唱。
偽りの平和を打ち破り、真の平和を築いた証でもあった。
金髪の女性は片方の蒼い女性からの忠告を受け、それを了承したばかりであった。
「今でも思い出すわね。」
『何を?』
「貴方の旦那さんが貴方をエンブリヲから助ける為に一人で奴の本拠地に殴り込みをかけた時よ。」
『ああ、あの時か///』
蒼い女性は敵から見れば阿鼻叫喚の地獄絵図なとある戦いを思い出した。
気持ちは嬉しいが銀河規模で公認されている世界三大告白に匹敵する発言を旦那さんに受けてしまっていたのだ。
その後、同じく囚われていた金髪の女性もその告白を恋人を受ける羽目となったのだが…
「本当にあれは度肝を抜かされたわ、一人でエンブリヲやアマルガムの私兵達をちぎっては投げちぎっては投げってタスクより役に立ってたわよ?」
『アハハ、まあ一度怒り出すと手が付けられないから…(ラスボス格だったし。』
「フフッ、羨ましい。」
『えっ?』
「タスクが私を愛してくれている様に貴方も旦那さんに愛されているって事によ。」
『アンジュっ///』
「ま、その旦那さんが結婚式間近なのに武者修行に出るって言ったきり、もう数か月もハスミをほったらかしってどう言う事かしら?」
『ネバンリンナの一件の後、自身の心身を強くしたいって話していたから仕方がないわ。』
「そう言うものかしらね。」
アルゼナルの一室にある司令室から別世界の地球へ通信を送るアンジュと呼ばれた金髪の女性。
そして対面する様に画面に映るハスミと呼ばれた黒に蒼を流し込んだ髪の女性を話していた。
『そう言う訳だから忠告は気にしておいてね。』
「分かったわ。」
アンジュは通信を切ると一人指令官用の椅子にもたれかかった。
「深淵の訪れか…」
それぞれの地球の命運をかけて長い航海に旅だったヤマトに成り行きで乗艦し私達アルゼナルのノーマ達は戦い続けた。
その最中に出遭ったのが彼女達だった。
二人は大きな大戦の終結直後の戦闘後、この世界へ飛ばされたと話していた。
元の世界に戻るまでの共闘だったが、敵の目的を知ってしまった為に元の世界に戻る方法があっても最後まで協力してくれた。
その戦いが集結し手を取り合えるまでの平和を手にする事が出来たのに。
あのバカップルも『好き』と言う感情に素直になれないのかと思ってしまう。
「ま、いっか。」
ハスミは数週間後に結婚の予定だ。
精々赤面する位のパフォーマンスを入れてやろうかしら?
ま、仲間達からかなり弄られるのは目に見えているけどね。
「とりあえず、式場予定地の伊豆基地に迎える様に日程を考えないと…!?」
突如、アンジュの背後よりに忍び寄る謎の物体。
「何よ、これ?」
それは明確にどう表せば良いのか分からない。
ただ言えるのは空間の歪みとその位置からずり落ちる謎の物体とだけだ。
それはアンジュを見つけると瞬く間に取り憑き、アンジュに纏わりついた。
「は、放して!誰か!!タスク!!」
その存在が取り憑いた時点でアンジュの声は誰にも届いて居なかった。
まるで切り取られたかのようにその声は届かない。
「タスクーっ!!!」
そしてアンジュは消えた。
******
「アンジュ?」
「何ボケっとしてんだよ、タスク!」
「あ、ご…ゴメン。」
「総支配人だろ、しっかりしろよ。」
アルゼナルの食堂ホールで勤務中のヒルダとタスク。
タスクは違和感を感じ取ったかヒルダの声でそれは不鮮明となってしまった。
ヒルダに尻を蹴られた後、タスクは仕事に戻って行った。
そして…
「あれ…アンジュって誰だ?」
=続=
<今回の登場人物>
※アンジュ
正式名称はアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギと言うミスルギ皇国の皇女だったが『ノーマ』と認定されてから皇族の資格を剥奪され堕ちるところまで堕ちた廃棄皇女。
過去の記憶を所持していた為か色々と吹っ切れており、『ノーマ』である事をあっさり受け入れていた。
現在はVのシナリオになぞり、アルゼナルの指揮官を務める。
悪友のハスミから夢のお告げを聞かされ警戒を強めようとした矢先に何者かの存在によってその身を消失してしまう。
※タスク
アンジュの恋人。
リゾート島『アルゼナル』の取締役。
普段は周りから砂糖を吐かれる程のラブラブな雰囲気を醸し出している。
アンジュ消失後は彼女を思い出す事が出来ず、存在していたかも忘れてしまっている。
※ハスミ
『幻影のエトランゼ』の主人公。
強大な敵との戦いを終え、日々平穏に暮らしていた。
エンブリヲとアマルガムとの最終決着戦では本性を晒して旦那と共に阿鼻叫喚の地獄絵図を披露した。
あえて言えば次元震などの現象を引き起こせるのはお前達だけではないと言うスタンス。
今回はある日に視た夢が原因で新たな戦いが始まるのではないかと不安を募らせている。
現在は19歳だが数週間後に20歳になるのと同時にアンジュ曰く旦那さんと婚姻を上げる予定である。
※旦那
アンジュとハスミが話していた男性の事。
現在は武者修行の旅に出ている。
どうやらエンブリヲとの決着の際にとんでもない事をやらかした模様。
本人にその自覚があったのかは不明。
<今回の設定>
※三界事変
『V』の大戦を指す。
今回は『御使い』が引き起こした次元震が時間のズレで生じて大戦終結後に暴発し発生。
それが原因で異なる地球が三つ重なる特殊な事象が発生した。
それぞれが『蒼海の地球』、『紅海の地球』、『枯海の地球』と呼ばれる様になった。
なお、原作の様に西暦等の暦が使用されていたが『御使い』による『Z事変』解決後の真多元世界と『霊帝』による『銀河事変』解決後の新統合世界が共同で使用する真統合歴が使用されている。
この世界ではエンドレスフロンティアの様に「混ざり合った世界が分離し、ゲートでつながれるようになった」のではなく太陽系の各平行世界の地球同士が連星となった新たな新世界に変貌した。
ちなみに超次元世界とは少々異なる世界になったものの各地球に設置されたクロスゲートを使用する事で各並行世界の太陽系内部と太陽系圏外への航行は可能である。
また、アースティアなどの地球もこちら側に組み込まれたせいか連星地球圏内部の宇宙でのみだが『生身』で出られる他『呼吸』が出来ると言う謎のオチがついてしまっている。
原作と異なる真多元世界へと変貌した宇宙を探索する為、外宇宙調査船団が設立され外宇宙へ旅立つ者達も少なくない。
『銀河事変』、『Z事変』、『三界事変』で戦った仲間達の一部はそこへ配属され地球圏は残った仲間達によって平和が保たれている。
※消失現象
世界からその存在が切り取られる現象。
例としてアンジュの存在が切り取られると彼女の存在した痕跡が全て無くなる。
また、身近に居た人物達の記憶から存在を切り取られるばかりか身近に存在した人物達が穴埋めの様に消失した部分に埋め込まれる為に存在すら認識出来なくなる。
タスクのアンジュを知らないはこれが原因である。
ハスミは消失現象に囚われないに細工した日誌を『詩篇刀・御伽』で発見できるようにある場所へと隠した。
日誌には今回の一件の所載が記されている。