※この作品はR-18です。

習作及び短編集   作:もっち~!

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オリ主、R-15、ブラコンの妹


【主な登場人物】

・来生茂樹
オリ主。来生家の長男。次美が原因で、頬に傷があり、右足が不自由である。イメージは『はまち』のヒッキー。

・来生華代
来生家の長女。次美が原因で訳有りな存在になった茂樹の姉。イメージは『ゆらぎ荘』の幽奈。

・来生次美
来生家の次女。茂樹の1つ下で、珠雫の双子の姉。イメージは『干物妹』の外うまる。性格的な物は『はまち』の一色いろはかな…

・来生珠雫
来生家の三女。次美が原因で引きこもりに…イメージは『干物妹』の内うまる。身長は次美くらいを想定しています。さすがに、あの身長は無いでしょう。

・東雲詩織
中学時代のクラスメイト。茂樹の片思いの君。イメージは『気まぐれオレンジロード』の鮎川まどか。

・本田次郎
茂樹のクラスメイト。兄の太郎は茂樹のダチ。

・上原スミレ
茂樹のクラスメイト。元珠雫のクラスメイト。イメージは『化物語』の神原駿河。

・辰巳民子
茂樹のクラスの担任。元レディースの総長だったらしい。イメージは『軽シン』の久遠寺紀子。










笑えない俺 Part1

----来生茂樹---

 

俺には妹がいる。

 

父親に可愛がられている妹と、そうでは無い妹だ。

 

俺は後者の妹と姉の三人で生活している。前者の妹は、父親の海外赴任に伴い、母親と共に海外で生活している。俺達は両親に捨てられたのだろうか。あの妹のように陽気で無いから、あの妹のように、人懐っこい性格でないから…何かしらのハンデを持っているから…

 

海外へ生活拠点を移した両親は、俺達に学費を送金してくれた。学校は行けよってことだ。だけど、生活費は送られて来ない。自分で稼げってことなのだろうな。俺達は捨てられたから…もう笑えない俺と、それが原因で俺にしか笑顔を見せない妹、存在を消された姉は、選ばれた妹のいる家庭を暗くしかねないし。

 

俺は自力で高校への推薦が取れた。だけど、期日までに、両親から入学の申請書と入学金が、送られて来なかった結果、俺は浪人生になった。まぁ、バイト出来る時間が増えるから良しとする。俺と妹の生活費を稼がないとダメだから。

 

妹が中学3年の時、母親がサマーバケーションで帰国した。大切にされている妹は父親と地中海クルーズだそうだ。

 

「で、お前、高校へはちゃんと行っているの?」

 

母親がバカなことを言う。俺は浪人生なんだけど…そのことを伝えると、

 

「なんで、高校へ通っていないの?」

 

不思議そうな顔で訊いてきた。浪人になった理由を話すと、母親がヘマに気づいたのか、異常な汗をかき始めた。

 

「あぁぁぁぁぁ~!ごめんよ~。あの人が手続きしたものだと、理解していたよ」

 

あの人とは父親のことだ。母親は、父親を溺愛している。今でも恋人気分らしい。なので、上の妹を溺愛する父親の行為は、浮気と思っている節がある。そして、父親の行為に間違いは無いと信じ込んでいたようだ。

 

「う~ん…珠雫と高校を受験しなさい。今度はヘマしないようにするからね…」

 

ついでだから、生活費の交渉もしてみた。受験勉強をするってことは、バイト時間が減るのだから…

 

「へ?生活費?あの人、それすらも送金していないの?」

 

母親は生活費を送っていると思っていたようだ。一銭も貰っていないことを告げた。母親が父親に確認すると、俺達に送金すべき分は、あの妹につぎ込まれていたらしい。理由は、あの妹しか子供がいないって、母親に言い切ったそうだ。これに母親がキレたようだ。4人も産んだ事実は、彼女自身が良くわかっているからだ。

 

「わかったわ。生活費も出させる。だから、高校へは行こうね、茂樹くん」

 

苦笑いしている母親。もう盲信的に父親を信じないことにしたとい言う母親。どこまで保つんだ、この人の意志は…そこが問題である。

 

「で、珠雫は相変わらずなの?」

 

一緒にバイトに行っていると答えた俺。

 

「引きこもりが治ったの?」

 

珠雫は引きこもってはいないことを伝えた。姉である次美が嫌いであって、顔を合わせたくない為、俺の部屋には、来ていた事実を伝えた。

 

「引きこもりじゃなかったんだ…あの件を、次美は、謝っていないの?」

 

妹の次美は、俺と珠雫にダメージを与えた。だけど、珠雫には謝っていないそうだ。俺も退院後会っていないので、正式な謝罪な言葉は受けていない。

 

「そうなの…あの子、茂樹と珠雫が嫌いなのかな…」

 

まぁ、嫌いなんだろうな。笑えない兄と笑わない妹なんか…次美の隣には必要は無いから。

 

「そうだ!医療費も送金する。リハビリもしなさいね。約束するよ。茂樹…母さんを見捨て無いでよ~」

 

父さんは次美だけを溺愛している。母さんは父さんを溺愛し、俺を可愛がってくれている。母さん的には、俺をこんなのにした上、父さんを奪った次美は大嫌いらしい。この辺の家族関係が、来生家のいびつな家族関係の元凶だと思うのだが。両親は気づかない。そもそも、姉の葬儀はしたのか?墓すら無いんだが…そのことを母親には言わない。未だに母親は、姉の死を受け入れていない。どこかへ里子へ出したと思い込んでいるそうだ。

 

「見捨て無いよ。あんたしか、俺と珠雫を認め無いだろうから」

 

「ありがとう…茂樹…」

 

母さんは、次美と顔の造りが同じ珠雫が苦手である。苦手であるだけど、嫌いでは無い。ちなみに父さんは、珠雫を完全にスルーである。来生家は歪んだ家族なんだと思う…俺しか珠雫に気を掛けていないことが判明したし。姉の話は、全く出ないし…姉が悲しそうな顔で母親を見ていた。

 

 

 

---来生次美---

 

私には兄さんと妹がいる。

 

私を可愛がってくれた兄さん。妹も可愛がっていた兄さん。でも…小学生の時、私は二人から、かけがえのない物を奪ってしまった。

 

あの時まで、仲良し三兄妹だった…はずである。今は、確認すること自体が恐く、訊けないけど。

 

それは、家族で行ったスキー旅行で起きた。兄さんはスキーが苦手の妹と初級者コースで滑っていた。私と両親は中級者コースであった。両親と滑り、父に褒められて、上達したんだと思い込んでいた私。だけど…

 

両親が疲れたので妹と食事をすると言う。私は父に、ここで一人で滑ると伝えた。だけど、上級者コースへ行く兄さんの姿を見かけて、後を追った。ここの上級者コースは、中級者コースと別物であったのを私は知らなかった。パウダースノーだった中級者コース。でも上級者コースはアイスバーン状態だったのだ。それもリフトを降りて直ぐに…兄さんの後を追う私。あの時、リフトから降りずに、そのまま下山すれば良かった。後の祭りであるけど…

 

根性だけで滑り、兄を追う私…だけど、スキー板が何かに引っ掛かり、バランスを崩し、背中で滑降してしまった。私の目に、カーブが迫る。カーブの向こうには木々が見える。突っ込めば大惨事になるだろう。だけど、兄さんが私を抱き上げてくれた。そして、そのまま、下山をして、医務室の前で、私を降ろしてくれた。そこで、兄さんの惨状を目にしてしまった。私の板により、顔は斬り刻まれ、私のストックが右足に刺さっていたのだ。

 

兄さんは、ドクターヘリで病院へ搬送されるはずだった。だけど、アクシデントがあり、ドクターヘリに載れず、応急処置をして、救急車で搬送された。搬送される途中で、出血が酷かったそうで、車内で意識が途絶えたらしい。

 

兄さんの惨状を目にし、恐くなった私は、逃げた。その場から逃げ、両親と妹の元へ逃げ込んだ。血だらけになった私を見た父は、私が怪我をしたと思い、医務室へ父に連れて行かれた途中、ドクターヘリを見かけた父は、私と一緒に乗り込み病院へ搬送されたのだが、私は無傷だった。喜んだ父。だけど、あのドクターヘリは、兄さんが乗るはずだったそうで、私と父が乗った為、搬送が遅くなり、治るものも治らなくなったらしい。

 

妹と母は父の連絡を受けて、私のいる病院へ来た。そこに兄さんはいなかった。私と父と共に、病院を出た足で、4人で帰宅。上機嫌な父に誰も、兄さんがいないことを告げられなかったのだ。

 

スキー場近くの病院で入院する兄さん。家族は誰も見舞いに訪れない。怪我をさせた者の家族も謝罪に来ない。兄さんの入院が知らされたのは、兄さんの意識が戻って、自分のことを話せるようになった頃だと言う。母が急いで兄さんの元へ向かった。

 

私を助けて、笑顔で「大丈夫だよ」って言ってくれた兄さんは、もういない。顔の怪我は筋肉まで達していて、表情筋がやられたらしい。もう、兄さんの笑顔は見られない。兄さんの頬には一生消える事の無い傷が残ったそうだ。退院をした兄さんとは、未だに会っていないので、母から聞いた話である。

 

すぐに搬送されれば、ここまで酷く無かったらしいが、直ぐに搬送出来る様に、ドクターヘリを外で待っていた為、神経が凍傷でやられたそうだ。実際には直ぐに来たのだが、私が乗ってしまった為、サイド現場にヘリが戻った時、吹雪いてヘリが降りられないなどの不幸があった為…兄さんは治療までに容体を悪くしたそうだ。

 

足の怪我も筋肉と神経まで達していて、運動も出来なくなったそうだ。もう兄さんとスキーは滑ることは出来ない。

 

私は兄さんから取り返しの付かない物を、2つも奪った悪い妹である。

 

 

 

---来生珠雫---

 

笑えなくなった兄さん…原因を作ったのは姉さんだった。こいつだけは許せない。父に溺愛され、いい気になりすぎているのだろう。無傷なのに、ドクターヘリに乗り、精密検査?そのせいで、兄さんは…なんで、返り血だって、言わなかったんだ?あのバカ姉は…

 

「あのバカ息子に上級コースに連れ込まれたんだろ?お前は悪く無いよ、次美。茂樹には天罰が降りただけだ。障害者では無く、死んでくれれば良いのに…」

 

父の言葉も許せない。兄さんが私達を危険に晒す訳が無い。私に一人で上級者コースへ行って来るっていっていたし。そのことを父に言うと。

 

「出来損ないの兄を庇う、出来損ないの妹か。まぁ、いいや。海外赴任の話が来ているんだ。次美だけを連れて行く。出来損ないであるお前二人は、ここで仲良く暮らせばよい。この家はくれてやる。手切れ金代わりだ」

 

兄さんが退院していないのに…海外赴任?母も連れて行くそうだ。大怪我しているんだよ、兄さんは…なのに…私と姉だけで面倒を見られるかな…不安に潰されそうな毎日。いつしか、私も笑わなくなった。特に、あの父と姉の前では…兄さんの入院費は、加害者の保険で賄うという父。それは姉に掛けた障害保険であるのに…加害者意識はまるで無い。

 

私と姉が待つ家に兄さんが帰ってきたのは、あの悪人達が旅立った翌日だった。

 

「そんな心配そうな顔をするな。日常生活は出来るってさぁ」

 

顔に深い溝が彫り込まれている兄さんの顔。松葉杖は一生必要だと言う。

 

「次美は無事だったんだろ?それでいいじゃないか。父さんは次美だけが大切なんだから」

 

頷く私。

 

「次美は悪くないよ。俺の胸の中で謝っていた。だから、次美は恨むな」

 

それは…恨むなら、あの父ってことのようだ。でも、私は姉を許せない。姉さんの分の恨みもあるし…なんで、華代姉さんが助かって、次美が死ななかったんだろう…悔しい想いでいっぱいだよ。

 

『珠雫、恨んじゃダメだよ。私はこうして、茂樹と珠雫の傍にいられて、幸せだからね』

 

姉さんの優しい言葉が私を包んでいく。そうなんだけど…悔しいよ…

 

 

 

 

 

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