※この作品はR-18です。

習作及び短編集   作:もっち~!

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『笑えない俺』改訂第2稿です。

次美が悪い奴になりすぎないように、構成を変えました。クッションとして、姉を実在の人物にしています。

タイトルは、甘酸っぱい青春の味ってことで…(^^;;

10/17 誤字を修正


かるぴす Part1

俺には姉妹がいる。姉の華代、妹で双子の次美と珠雫。俺の父は小説家で、母は料理研究家である。幼い頃から、俺は料理に興味を持ち、母の料理姿を見て、時に手伝い、時には指導を受けていた。

 

末の妹の珠雫も料理に興味を持ち、よく二人で母の背中を見ていたものだ。姉の華代は、読書好き、妹の次美は姉好きであった。まぁ、それなりに幸せな家庭に生まれて良かったと思う。

 

小学校に上がった頃、父は売れっ子の小説家になり、「缶詰」という生活に入った。母もそれなりに有名になり、全国を駆け巡るようになっていった。子育ては一段落着き、俺達だけでも生活出来ると判断したようだった。決して、子育て放棄では無く、生活費を稼ぐ為だと、俺は思った。

 

姉は1つ上、妹達は1つ下で、俺は真ん中に位置していた。そのせいかは分からないが、いつしか姉と一緒に勉強し、妹達に勉強を教えるポジションになっていた。

 

 

ある日、姉が難しい顔をしていた。

 

「どうしたの?」

 

「うん…父さんはアホのAで、母さんは、大らかなOなのに…シゲはアホで、私達はバカなの…これって…う~ん…」

 

「姉ちゃんはバカで無いよ」

 

「そうなんだけど…なんでかな…」

 

その日を境に、俺を遠ざけるようになった姉さん。何故なのか、血液型の法則を知らなかった当時の俺には分からなかった。

 

◇

 

姉が小学校へ上がった頃だろうか、冬休みは毎年スキーへ行くのが恒例になっていた。母と父が好きだと言う理由で。姉にスキーを教える父、俺は妹達とソリ遊びである。

 

俺が小学校に上がると、今度は俺が父にスキーを習い始めた、妹達は、母と姉が交代で見ている。

 

そして、妹達が小学校へ上がると、姉と母がスキーを教え、俺と父は中級コースを楽しんでいた。それは、楽しい想い出であった。姉が俺を妙に意識しているのが、気がかりではあったけど。

 

 

俺が小学4年の時…俺も姉も上級者コースを滑れるようになっていた。妹達は中級コースを滑っている。

 

「お~い!飯にするぞ」

 

父の声。

 

「後1本、行って来ます」

 

姉がリフトに向かい、俺も後に続く。その時俺達は、妹の次美が付いて来たことを、その時はまだ、気づかなかった。

 

その日のコンデションはアイスバーンだった。直下降だとスピードのコントロールは難しそうで、でこぼこな斜面をリズミカルに滑るのには良かった。姉が滑り始め、俺も続いた。その時、後方で声がした。

 

「お姉ちゃぁぁぁぁぁ~ん!いやぁぁぁぁぁ~!」

 

次美の声だ。咄嗟にコースを外れる姉。俺も続いた。平坦な氷面を背中で滑っている次美。姉が助けようとして、巻き込まれた。姉の頭が氷面でバウンドした。まずい。二人の前面に斜滑降で出て、制動を効かせて行く俺。次美をでこぼこな面へ放り投げ、姉を止めようとしたとき、足に激痛が走っていた。次美のストックが足を貫通していたのだ。その為、制動が緩み、姉と共に俺は、氷面を滑落していった。

 

◇

 

目覚めたのは病院のベッドの上…次美は打撲だけで済んだらしい。姉は頭を強く打ち、昏睡状態らしい。そして、俺は…

 

俺の身体がクッションになり、姉は頭部の強打だけで済んだらしい。姉の身体の柔らかい感触が残っている。まぁ、役得があれば、損もある。姉の身体のクッションになった俺は、全身を強打したそうだ。とはいえ、全身打撲程度で済んだのは幸運らしい。

 

問題は、救出する迄に時間がかかり、俺の右足は壊死してしまった。ストックが刺さった部分から下はダメだったらしい。血流が行き届かなかった為、体温の維持が出来ずに…

 

右頬の骨も砕けたそうだ。姉の肘が叩きつけられたらしい。俺と姉は長期入院を余儀なくされた。

 

姉は半年ほど経ち、意識が戻った。徐々にリハビリをして、日常生活へ復帰を目指していた。

 

「シゲ…ゴメンね。私達姉妹の為に…」

 

毎日、リハビリを終えると、俺の元へやって来る姉。ベッドから動けない俺の頭を撫で、右の頬をなぞっていく。俺は顎が動かせずに、姉に言葉を掛けられない。

 

『問題ないよ』

 

って、言葉を掛けたいんだけど…

 

◇

 

俺の右頬には人工の骨が入った。まだ、成長期な為、1年ごとに調整が必要になるらしい。右足には義足が付けられた。これも成長記故、1年ごとに調整しないとダメらしい。今後、毎年夏休みは入院期間になることが決まった。

 

退院すると、姉が寄り添ってくれた。

 

「シゲの傍にずっといるから…」

 

「俺の事、嫌いだったんじゃ…避けていたし…」

 

「逆よ。意識しちゃって…」

 

頬を赤らめる姉。

 

「そこ!くっつきすぎよ!」

 

次美が姉と俺の間に入り、姉に抱きついた。

 

「お姉ちゃんは、私の者なのよ!」

 

シスコン…だから、あの事故が起きたのか?俺と姉を二人きりにしたくなくて…

 

「兄さんには私がいるわ」

 

って、珠雫。こっちはブラコンか?

 

◇

 

姉が中学校へ上げる時、姉は中学に行かず…俺の面倒を見てくれた。

 

「シゲと同じ学年で入学したいの」

 

って。義務教育って、そんな柔軟だったっけ?だけど、出席に日数不足で、姉は中学で留年したようだ。そのおかげで、奇しくも、俺と同じ学年になれたようだ。

 

俺の顎はうまく動かない。基本筆談に近い。そんな俺に寄り添って、姉が俺のサポートをしてくれた。

 

「お姉ちゃん、甘やかしたら、その男はダメになるわよ」

 

って、次美。もっと、姉に構って欲しいようだ。珠雫は黙って、俺のしたいことを、姉と一緒にサポートしてくれた。

 

「兄さん、味見は私がしますから」

 

舌の機能は問題無いが、口がうまく開かない俺。作った料理の味見を珠雫がしてくれた。

 

そんな兄妹関係を見ていた母が、次美を留学させると言い出した。

 

「次美…反省していないの?」

 

「反省することは、していません。寧ろ、あの男が出て行けば良いと思います」

 

次美にとって、俺は「あの男」であり、姉を巡るライバルらしい、

 

「母さん、俺…どこか、養護施設に行くよ」

 

次美がジャマ者では無く、俺がジャマな気がした。

 

「茂樹は、いて良いのよ。華代も珠雫も、茂樹にはいて欲しいって言うのよ。次美、あんたって子は…茂樹をあんな身体にした責任を感じていないの?」

 

「あの男がドジなだけよ。それに、あの男は、私を投げ飛ばしたのよ!」

 

あぁ、投げた。それが最善だと思って。だけど、その行為自体を恨みに思っている次美。

 

「そのおかげ、あんたは助かったのでしょ?あんたは留学決定よ。もっとワールドワイドに、色々なことを学んで来なさい!」

 

「え!お姉ちゃんと別れ暮らすなんて、有り得ない…」

 

母の怒りを買い、どこかの国のスクールに入れられた次美。高校生になるまで戻って来ないらしい。

 

◇

 

中学生にもなると、異性を異性と認識してしまう。だけど、俺にはハンデがある。顎には人工の骨が埋め込まれて、口を開くことが苦痛である。それに伴い、表情筋がイカレていて、無表情である。その上、頬には深い溝のような傷跡が刻まれている上、右足が不自由なのだ。右足には補助装置付きの義足が取り付けてあり、足の筋肉と神経をサポートしてくれているので、日常生活はどうにか出来る程度である。恋愛なんか出来る余裕は無い気がするのだ。いや、姉妹がいるので、その必要性も無い気がするのだが、異性って者は意識してしまうようだ。姉妹は姉妹であり、異性では無いというか…

 

「兄さん、好きな子が出来たの?」

 

「ねぇ、ねぇ、どんな子かな?」

 

妹と姉が興味深そうに訊いてきた。

 

「黒髪が似合うクールビューティー系かな」

 

姉がそうだし…う~ん、比較基準が姉なのは、どうかと思われそうだ。俺ってシスコンかな?

 

「民ちゃんよりも?」

 

民ちゃんとは、レディースの総長であった民子のことである。街で目が合って、ガンを付けたと思われて、人気の無い場所に連れて行かれて…まぁ、アレコレあった女性である。

 

「民子は姉御枠だよ」

 

「民ちゃんがライバルかな?姉としては」

 

姉と姉御枠では勝負にならないと思う。そもそも恋愛枠では無いし。

 

「民子はサラサラなアンダヘアーがかわいいけど、姉さんは固めだよね?」

 

「固めは嫌いなの?わかったわ、努力します」

 

努力でサラサラになるものなのか?それは、それで興味があるけど。

 

「兄さんは、サラサラのアンダーヘア好きなの?」

 

珠雫に訊かれた。

 

「いや、想い人の全裸は見た事ないし…分からない。全裸を見たことあるのは、民子と姉さんと珠雫だけだから…どうなんだろうな?」

 

「う~ん…どうなんだろうね」

 

姉も民子と、珠雫、次美、母親くらいしか全裸を見ていないから、分からないようだ。

 

「その子は姉さんに似ているの?」

 

「似ていない…」

 

いや、似ているとも言え無くもない。黒髪ロングのクールビューティー系だし。

 

「ねぇねぇ、その子の名前は?」

 

姉と妹がワクワクして俺の答えを待っている。名前を出せば分かってしまう。姉と俺は同じクラスだし。確か彼女は、珠雫と同じクラブの先輩だった気がするし。

 

「同じクラスの東雲詩織だよ。話したことは無い。遠目から見ているだけ」

 

「あぁ、あの子かぁ」

 

「東雲ちゃんかぁ…」

 

姉も珠雫も知っている。

 

「あれ?小学校の時も、兄さんと同じクラスでなかったかな?」

 

って、珠雫。

 

「そうだったけ?色々あって、覚えていないや」

 

異性として意識し始めた頃、入退院を繰り返していたから…周囲をあまり見ていなかったかもしれない。

 

◇

 

中学に上がると同時に、アルバイトを始めた。母の紹介で、近所のレストランである。母は将来、ペンションを家族で経営したいようだった。父の缶詰部屋を用意して。

 

その為に、料理屋さんで修行をして欲しいということのようだ。まぁ、リハビリも兼ねているのだろうけど。

 

近所では有名なお店で、規模も大きめなお店であった、俺と珠雫は皿洗い、姉はウェイトレスとして、働きだした。学校へは母が交渉して、アルバイトと言う名の修行を認めさせたそうだ。そこは名の知れた料理研究家の強みと言うか。

 

「よう!シゲ、働いているな」

 

って、民子。民子はこの店の常連だった。いや、近所に住む者は、ほぼ常連な気がするが…それほど、近所では有名なお店である。

 

「民子は、就職したのか?」

 

総長を引退して、勉強をしていると聞いたんだけど…

 

「あぁ、高校の教師だよ」

 

え?!俺と妹が絶句した。レディースの総長だったよな?つい、この間まで…

 

「引退パレードもしたよ。新しい人生は、教職の道だ!一人でも多くの奴を、更正させるんだ」

 

「民子が教職かぁ」

 

感慨深そうにシェフが呟いた。この人も昔、族の総長だったらしい。民子の知り合いって、そっち系が多い。まぁ、それがあるので、俺も、姉も、妹も虐めの対象にはならなかった。俺達のバックがヤバい系で、それもトップクラスだった者がいるからだ。たまに、そっち系では無いいじめっ子がいる場合、後でソイツらはヤバい系な人達にボコられたとか…我が家では、都市伝説である。

 

「で、シゲ、珠雫、華代は慣れたか?この仕事にさぁ」

 

「あぁ、真面目に働いてくれているよ」

 

って、シェフ。経営者は別にいて、雇われシェフであるが、経営者はシェフの舎弟だったらしい。なので、俺達のことを見守ってくれる側らしい。

 

「最近では、まかないもまかせている」

 

シェフの好意で、まかない料理をまかせられた俺達。皿洗いからステップアップする為、料理の勉強もしていた。珠雫は野菜の処理に特化し始め、俺は調合や精製などを学んでいる。各種ソースの調合方法や、ラードの精製方法、肉のクリーニング技術など。

 

母には悪いが、将来は俺と珠雫と姉とで、喫茶店を目指している。ペンションはのんびり出来そうもないし…力仕事は無理だし。

 

◇

 

中学校生活は、それなりに楽しめていた。体育が見学であることを除けば…走れない、泳げない、飛べない…などなど、体育は無理であった。ぼぉ~っと、眺めるだけである。遠くで東雲が体育をしている。体操服にブルマ…う~ん、かわいい…その横で姉がVサインを送ってきた。姉と東雲を見比べてしまう。胸は姉の方が、現時点で形も大きさも良い塩梅であるが…将来に期待だな。

 

だけど、無表情である俺に、女子は近寄って来ない。姉以外、誰も話し掛けてこない。東雲…有り得ない。俺を真面に見ていないと思う。が、何故か姉さんと仲良さそうに話している。羨ましい…

 

無表情の上、頬には傷跡がくっきり…そっち系と思われているんだろうな。結局、中学3年間、話した女子は、姉と後輩である妹の珠雫と、そのクラスメイトの上原スミレ程度である。

 

俺の青春は終わったと思う…それとも、高校へ行けば変われるのだろうか?

 

 




救われないテイストの話も有りかな?
2話目を書いたのだけど、救われ無さが1話よりも濃い…

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