※この作品はR-18です。

習作及び短編集   作:もっち~!

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異世界からの贈り物 Part12X

腕の中の感触

 

---スカーレット・オーガスト----

 

ユニバース王国王都冒険者ギルドのマスターであるロジャーから、指名依頼が入った。隣国であるカールトン王国で、無血クーデターがあったらしいので、確認してきて欲しいと…私は天職勇者で、勇者パーティのリーダーである。私の所属しているユニバース王国では、天職勇者であれば、勇者パーティーを作り、魔王討伐の為、研鑽をしていかないといけない。

 

「どう思う?」

 

パーティー仲間のアリス・マクレガーに訊いた。

 

「態々勇者パーティーへ指名依頼するほどのことでは無いな」

 

私もそう思う。そんなことは諜報員に依頼すれば良いことである。

 

「ジョブが剣士の勇者と剣聖はいらないってことじゃないか?」

 

アリスは天職剣聖である。だけど、私もアリスもジョブは剣士であり、天職がジョブになっていない。

 

「後、弟のことを嗅ぎ回っているのが、気に食わないのだろうな」

 

アリスの弟は、生まれた後、教会で天職診断をした後に消えたそうだ。弟を産んだ母親は、アリスの親友であるが、出産の翌日に魔女として公開処刑されてそうだ。

 

「彼女は魔女なんかじゃない。それは私が保証する。なのに…」

 

アリスは、この国の方針に疑問を持っているのだ。そもそも、天職なんてものはお飾りに過ぎない。貴族の子供で親がお金を積めば、教会で好きな天職に認定してくれるらしい。子供が勇者パーティーにいた実績があれ、親のステイタスが高まる。その程度な物で、子供が娘であれば、政略結婚の駒にも出来るのだ。

 

「この前、家に帰ったら、あの男に『まだ剣聖にならないのか?そろそろ諦めて、嫁いだらどうだ?』だってよ」

 

アリスは実の父親であるマクレガー公爵を『あの男』呼ばわりしている。親友を魔女認定し、弟をどうにかした『あの男』に過ぎないようだ。

 

天職診断は生まれた直後と6歳の誕生日前に行われ、勇者パーティー入り出来る天職である場合、6歳から専門の学校へ強制的に入れられるのだ。天職勇者である私も、勇者養成所に入れられた。6歳から12歳までの6年間、親元を離れ、勇者に必要な知識、技能を叩き込まれるのだ。アリスの場合は剣聖養成所である。

 

この国の貴族は、より多くの優秀な天職者の子供を産むことが、より良い地位に居られる条件である。逆にマイナス要因な子供は地位の低下につながり、貴族家の場合、その場で処分されることが多い。アリスの弟もそうだったらしい。丁度生まれた時に実家に帰省していて、生まれたての弟を抱き上げたそうだけど、翌朝アリスの弟は教会に行ったきり、戻ってくることは無かったそうだ。

 

「あの男はクリスなんていう子供はいないって言うんだよ。私は確かに抱き上げて、この腕で抱き締めたのにだよ」

 

アリスの顔は悔しそうである。アリスの弟の行方を追うのは難しい。教会はアンタッチャブルな領域で、王家でも触れないのである。下手に触れば、『神を愚弄する行為』とされ、その王家の存続に影響するらしい。

 

「本当に神が、天職を与えているのか?」

 

それは神の声が聞こえると言われる神職の者にしかわかない。そもそも、魔王を倒せるのは勇者だけと、教会の司祭達は言うのだが、魔王がどこにいるのか。それは誰にも分からない。かって、勇者パーティーの一つが、魔王のいる迷宮に辿り着いたらしいが、一人を除いて全滅したそうだ。しかも、その生き残った一人は、教会に出向いた後、行方知れずになっているのだ。

 

私達のパーティーは、魔王の居るとされる迷宮を探しながら、アリスの弟の行方も捜索していた。死んでいるなら、死んだ場所に花束を手向けたい、それがアリスの望みである。

 

 

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