04/21 辻褄が合わなく成ったので、手直ししました。
姉弟再会
---スカーレット・オーガスト---
カールトン王国への道中、突然黒装束の一団に襲われた。私達が勇者パーティーと知っての狼藉である。
「やはり、目の上のたん瘤…消しに来たか」
不自然な指名依頼、それはそういうことだろうと、予測はしていた。
「何故、魔王討伐を目的した私達は、人間相手に戦わないといけないのだ?
相手に問いかけてみた。
「存在しない者を探す行為は、神を愚弄する行為であり、ここで貴様らを断罪する」
敵は教会の暗部のようだ。いつの間にか教会の虎の尾を踏んだのかな?敵の術者が何かの術を発動すると、私達は別の場所に転移させられた。ここはどこだ?
「おい!レット…ここって、地獄の入り口じゃないか?」
鬱蒼とした森の中にいた。もし地獄の入り口であるならば、脱出経路が分からない。地獄の入り口…魔王がいる迷宮があると言われているエリアであるが、そこへの侵入経路は分かっていなかった。私の知っている限り、侵入して戻って来られた者は、ミケという勇者パーティーにいたアサシンだけだ。って、教会が魔王の居場所へ行ける術を持っていたのか。居場所を知っているのに教えないのは、倒す気が無いのと同罪である。
歩いて侵入した訳では無い為、歩いて脱出できるとは限らない。マズい…
脱出しようと道無き道を歩いていると、仲間が一人、また一人と消えていく。そこは災害級に近いシルバーバックベアが生息しているエリアだったのだ。剣士である私とアリスはどうにか退けられたが、仲間のシーフ、魔法使い、弓使い、そして護りの要であるタンクが、シルバーバックベアにやられた。
敗走する私とアリス。もうダメだと思った。シルバーバックベアの方が、移動速度が速いから…だけど、敗走する私達に、なかなかシルバーバックベアが襲って来ない。いや、気配が消えた。振り返ると、一人の少年がアリスを見て固まっていた。
「ねぇ、アリス姉さんだよね?僕を抱き上げてくれた…」
震える声の少年…しばらくの間、アリスは少年を見つめ、コクリと頷くと、少年がアリスに駆け寄り、縋り付いていた。誰、この子?どこから現れたの?
「クリス…クリスなの?私が抱き上げたのはクリスだけなのよ」
アリスが少年を抱き上げ、抱き締めている。クリスって、消えた弟の名前だけど…彼のステイタスを見ると、『アリスの弟』と表示された。表示されたけど…このステイタスってどういうこと?それしか表示されないけど…まさか、『隠蔽』が使えるのか?『隠蔽』とは、自分の見せたくないステイタスを隠すスキルである。
◇
クリスは『解体』スキルを使い、シルバーバックベアを捌いていく。その捌いた肉、毛皮、肝などを、私達のアイテムボックスに収納していく。収納が済むと、クリスの住処に連れて行かれた。木で出来た小屋であったが、住むのには充分である。そこにはクリスの仲間達も住んでいるそうだ。
「一人で、ここで生きてきたのか?」
アリスが、食事の支度を始めたクリスに訊いた。
「ミケに救い出され、ミケに育てられたんだよ。で、ミケが亡くなった後、サマエル達に出会って一緒に暮らしているんだ」
ミケって、あの勇者パーティーの生き残りの?
「ミケはどうやって、ここから脱出したって?」
彼女にしか脱出方法は分からないはずだ。
「あぁ、たぶん『転移』を使ったんだと思う」
転移術かぁ…行ったことのある場所なら、瞬時に移動出来るスキルである。それしか脱出の方法が無いのか。
「僕も持っているけど、ここから出ないよ。出れば殺されるからね」
それは私達も同じだ。ここを出て、目撃されれば消される。いや、消せないから、ここに転移させられたのか?
「姉さん、ここで一緒に暮らさない?」
「いいわよ。あぁ、コイツは相棒のレット。ヨロシクね」
アリスが、ここに住むことにしている。まぁ、一人で帰れって言われても無理なので、私も住むけどね。教会に敵対視された以上、街では暮らせないもの。
「なんで、クリスは消す対象になったんだ?」
アリスが、彼女にとっての一番の疑問を訊いた。
「分からないよ。理由を知っているミケは死んじゃったし」
「ここは何なんだ?」
「僕達の家だよ。クリス達が作ったね」
彼女はたった一人で、この森で赤子のクリスを育て上げたのか。どうして、ここなんだ?そして、サマエルって何者なんだ?何故ワーウルフとワータイガーが、サマエルの下僕になっているんだ?