---夢民---
そして、出産…妹の誕生を喜ぶ、王様と王家の人々。
「初めての姫か。これはめでたい。名前はクラリスにしよう。お前の名前はクラリス・マクスルだ」
俺はタオルに包まれて、篭に入れられた。あの~、俺の名前は?
「これは、どこかに養子に出しておけ。25番目の王子なぞ、いらん」
やはり、そうなるのか?
『じゃ、お兄ちゃんに名前をつけてあげます。私がクラリスだから、お兄ちゃんはクラリッサにしよう』
なんか、女性のような名前であるが、妹からのプレゼントである。ありがたく受け取ろう。
『サンキュー』
俺はどこかへと運ばれる。あれ?初乳を飲んでいないけど…まさかの殺処分か?と、心配をしたが、無事にどこかのお屋敷に渡され…あれ?どこかに売られて、奴隷商の元にいる。
「奴隷紋が刻めないのか。これって、王家の子供じゃ無いのか?おい!これをどこで手に入れたんだ?」
これ呼ばわりされている。
「士爵家です」
「いくらでだ?」
「貴族の子供ってことで、金貨1枚です」
ボスらしい男が、俺の入った篭を手にして、どこかへ向かった。向かった先は、やはり奴隷商で。土地転がしならぬ、25王子転がしをし、俺の価格が上がっていく。最終的には金貨15枚で、雰囲気の良さそうな家に買い取られた。
「父上、この子は?」
「我が家の養子にする。名前は…カールにするかな。カール・ユーグブラウが彼の名前だ」
俺の名前はカールになったようだ。どこぞのお菓子のような名前だな。
「我がユーグブラウ男爵家の3男坊ですか?」
ボンヤリと見える姿…中学生くらいの男と、高校生くらいの男かな。
「どうだ?賢そうだろ?そうは思わないか?ポップ、トリトス」
「なんで、三男坊を?まさか、コイツを次期当主に?」
「あぁ、そうだよ。お前達だと不安だからな」
俺の義理の兄達になるのか?なんか悪意いっぱいの視線を向けているが…
「血筋は良い。金貨15枚だぞ。良いに決まっている」
血筋が良ければ、奴隷として売られ無い気がする。
その夜、俺は箱に放り込まれ、どこかに運ばれている。ジャマ者は消せのパターンであろうな。揺れから判断すると、馬車に乗せられ、どこかへと運ばれているのだろう。
ウトウトしていたら、剣戟の音で目が醒めた。山賊か?
「この箱にお宝があるのか?…なんだ?赤子?お宝は?」
俺は投げ捨てられた。誰か…助けてくれよぉぉぉぉぉ~!って、俺は誰かに受け止められた。
「何だ?貴様らは?」
「名乗る程の者では無いです。助けを求める声が聞こえたので…つい」
俺の声が聞こえたのか?コイツ、何者だ?
「赤子を投げ捨てる行為、万死に値すると思う」
「何?待て…なんでティアドロップが…あぁぁぁぁぁ~!」
山賊のボスの絶命する声のようだ。まだ、俺の目は視力が無いので、見えない。
「さぁ、帰るぞ。ムーミン♪」
えっ!その呼び方は…夢馬なのか…
◇
俺は従兄弟の夢馬に保護された。この世界では夢馬はサマエルと呼ばれているそうだ。
「カールって…ははは」
お菓子のパッケージに描かれているおじさんの姿を想像したのか夢馬が笑っている。
『テメェなぁぁぁぁ~!』
赤子姿なので、念話でしか抗議が出来無い。
「すげぇ~!ゼロゼロワンみたいだな」
夢馬の彼女の弟のナルトに言われた。俺は空を飛べないぞ!って、夢馬の幼なじみの雫と仄もいるし、ここは何なんだぁぁぁぁ~!
「ここは俺達の世界の未来だよ。俺は転移者、雫と仄はコールドスリーパーで、ナルトとムーミンは転生者になる」
何故、俺は赤子なんだ?仄に憧れていたのに…コクれないじゃないかぁぁぁぁ~!って、俺は生まれて初めて食事にありつけた。粉ミルクが大量にあるそうだ。うん?母乳では無いのか?
「母乳を出せる女性がいないんだ。我慢しろよ」
って…念話を飛ばさなくても、考えたことが筒抜けらしい夢馬と成人…なんだ、そのチートな力は…
「しかし、クソみたいな国が多いな」
成人が呟いた。コイツは捨てるのでなくて、殺されるはずだったらしい。
「世直しとかする?」
「しないよ。ここでスローライフが一番だよ」
まぁ、夢馬は争い事は好きでは無いからな。好戦的な俺は赤子だし。せめて、成人くらいの歳にならないと、戦力にならんだろう。