週に一日しか営業しない食事処『グリル』。そこでシェフをしている。
「まずは、コーンポタージュを頼む」
「はい!」
今日の一番客で常連のアルさんからオーダーが入った。フライパンに予め作って置いたルーを載せ、牛乳で溶きながら、火を入れていく。
「ポタージュがあがったよ」
「は~い」
配膳、お会計はウェイトレスのシャルに後は任せる。
ここはオースチン王国の王都マーチン。人口も多く、治安も良い街である。ここにお店を構えた。この世界では見かけない料理が話題を呼び、営業日は連日満員御礼である。料金も単品なら銀貨1枚、セットと呼ばれる定食ならば銀貨10枚、コースであれば金貨1枚と言う、明朗会計も珍しく、話題を呼んでいるそうだ。
「カツライスセット、和定食入ります」
「了解!」
平日は地球という星で小学生をしながら、食材やら物資を仕入れている。そして、地球で言う異世界であるこの地で仕入れた物を売っている商人が俺の本業である。
◇
100年ほど前、地球にある大国の1つが、異世界への門を開く装置を開発し、こちらの世界に侵攻してきた。突然、空間が裂け、そこから様々な形態のメタルゴーレム達が入り込み、この世界の人々を誘拐し、物資を強奪し始めた。
その当時、人魔大戦と呼ばれる戦争状態であったが、この事態に魔王と勇者、そして神が手を組み、地球に対して反撃を計画した。神は異世界転移のスキルを与え、魔王と勇者は地球に侵入し、地球の国々について学び、手を組めそうな国と滅ぼしても良い国を選別し、作戦を練っていったそうだ。
そして、滅ぼしても良い国として、その当時の二大大国に狙いを付けた。異世界への門の研究、開発競争をしていたのが、その二大大国であり、それぞれが違う異世界に侵攻していたのが、理由だったそうだ。
まず装置その物を破壊することにし、スペースダストと呼ばれる宇宙空間に漂うゴミを、その装置のある施設目掛けて、堕としていったそうだ。異世界大戦の開戦の狼煙である。その後、その二つの国の所有する人工衛星と呼ばれる監視装置を、それぞれの首都へと投げ落としたとか。
他にも様々な嫌がらせをし、二大大国を逆に支配したとか…その後、終戦まで50年ほどかかったらしい。終戦後、俺達の世界の神と、地球の八百万の神々との間で手打ちをし、通商条約、安全条約が締結した。
俺の両親は、終戦後も地球に居座ることを選択したそうだ。理由は簡単である。地球の食事が美味しいからだ。特に和食、和洋食に嵌まり、日本に家を持ち、たまに自分達の世界へ帰る生活を今もしている。
そんな両親の間に生まれた俺は、日本で種付けされ、異世界で生まれた。生活スタイルは両親と同じで、平日は地球で暮らし、週末へ異世界へ戻る、そんな生活をしている。
「科学技術を学び、それを魔法や魔術で再現する」のが、俺達家族の目的であるそうだ。勿論、食事も然りと言う。
食材を地球で仕入れ、週末に調理して、販売する。地球に無い物を手に入れ、地球で売る。それが我が家の収入源である。地球での取引相手は、大戦前に手を組んだ日本と英国である。日本には八百万の神々がいて、俺達の神の話を聞いて賛同してくれたそうだ。英国は魔法が存在しており、魔法研究を相互にすることが出来、敵対しないと女王陛下が宣言してくれたって。
そもそも滅ぼす対象にした二大大国には神がいなかった。なので俺達の神が苦情を言える神がいなかったと言う。その二国では独裁者達が神に成り変わっていたそうだ。ヒトガミと言うらしい。
◇
異世界では働ける年齢であるが、地球ではまだ小学生で、学ぶ事が多い。将来、学んだことを異世界で広めたいが、物理化学の理が多少違うと神様に言われた。俺と神様で理の摺り合わせをして、学習教材を作れば問題は無いか。算数はそのまま、持ち込めそうだし。