小学校…出席を取り終わると、空気と同化し気配を消す。俺は勉強だけがしたいのだ。授業中に話し掛けられるのは迷惑で、休み時間も一人で過ごしたいのだ。なのに…
「ねぇねぇ、章雄くん。宿題やってきた?」
隣の席の女の子が、話し掛けてくる。この子、クラスで人気者らしく、話し掛けられる度に、俺が注目に晒されていた。空気と同化しても意味が無い。気配を消しても意味がまるで無いのだ。
「やってきたよ」
父さんの取引相手の娘らしく、無碍に出来ないのが痛い。
「ねぇ、週末は暇?」
「悪い。予定が入っている」
異世界転移をして、シェフをしないとな。
「章雄君の両親はどこにお店があるの?」
毎週、大量に仕入れているから、不審がられるよな。この子の家は総合商社らしい。コメ一粒から大陸弾道ミサイルまで扱っているそうだ。
「知らないよ」
異世界で『ヨロズヤ』という商号で営業しているとは言えない。
「ねぇ、遊びにいっていい?」
「ダメだ。色々忙しいんだよ」
俺の住んでいる家が気になるらしい。申請している住所は学校の側に一戸建ての家だが、実際には住んでいない。人間ではない俺には睡眠は必要なく、夜間は敵国に嫌がらせをしに行っているのだ。食料備蓄施設から、小麦やトウモロコシなどをがめたり、ブタや牛などを浚ったり、兵糧攻めをしているのだ。まだ、あの国は反撃に機会を狙っているらしい。どうやら地下に軍事要塞があるらしいのだ。どこから食料を得ているんだ?
まぁ、手に入れた食材は美味しく販売しているから問題は少ないけど。
学校帰り、一人で帰りたい。なのに、あの子が付いてきている。どうするよ、これ?
「章雄くんの家ってどうなっているんだろう」
あの子目当てのヤツラも便乗して付いてきている。どうする。人目がない場所で消すか?家に着くまでに決めないと。あの家は結界が張られており、家族以外の者は立ち入れないのだ。
そして、家に…着くまでに、監視カメラも他人の目のない場所で、あの子以外を異世界に強制転移させた。
「あれ?みんなは?」
「知らん」
後は、この子だが、取引相手の娘さんだしなぁ…結界を操作して、今だけ、この子だけは入れるようにした。
「どうぞ、親は仕事でいないけど」
人の住んでいない家は、埃塗れになるらしいが、俺はここから学校へと通っている。なので、日課として家全体を、毎日清浄し浄化しているのだ。こういうアクシデントの為に。
「家の掃除って、章雄くんがしているの?」
「あぁ、そうだ。親は忙しいらしいからな」
茶の間に案内して、キッチンに向かい、お茶とケーキの準備をする。ケーキは亜空間収納に入っているのだ、長期間保存しても作ったままの鮮度を保っている。
「このケーキ…美味しい…ねぇ、どこで買ったの?」
「昨日、作ってみたんだよ」
俺が食べたかったのでサバランを作ってみたのだった。少しアルコールが強かったかな?あの子は、顔を真っ赤にして船をこいでいる。これは寝るな。あの子の体内に残るアルコールを浄化し、彼女の家へ届けるか。