---ツバサ---
なんでカタリナが…ますますイレギュラーイベント化している。カタリナの後頭部は陥没していた。あお王子に殺されたってことだ。あの棺に入れ、仮死状態にして、夜な夜なしていたのだろう。
しかし、あの棺は凄い。死んだ者も仮死状態に出来るって、人間の作れる魔導具ではない。妖精がつくったのだろうか?
棺を義父に渡し、解析をしてもらう。どういう経緯で、あの王子は、あの棺を手に入れたのだろうか?
カタリナが復帰するまで、ジュダはログイン出来ないだろう。まぁ、あの棺のお陰で、カタリナは死なずに済んだのが、不幸中の幸いだろうか。
ふと、不安がよぎった。カタリナがあの状況であれば、アイリスはどうなっているのだろうか。アイリスの元へ向かう。
◇
今回は遅かったようだ。
「ふん、ブタ相手によがっていやがる。このブタ女は」
参加者の前で全裸にされ、隷属の首輪をはめられ、隷属の首輪を嵌められたオークと交わっている四つん這い異のアイリス。片乳はオークに喰われたようで、胸がえぐれていた。
参加者の目が爛々としている。こいつら、おかしい。浄化をし、空気を清らかにしていく。アイリスを強奪し、森の館に帰還し、セイに治療してもらう。
「ジュダを呼び出してください。私じゃ無理かも」
と、セイが泣いている。そこまで惨い裸体であった。俺は冒険者ギルド本部へ転移して、ジュダを呼び出してもらった。
---ジュダ---
カタリナの治療の途中、呼び出され、ログインした。治療の途中で外れないのが外れて、強制ログインである。緊急クエストが発生したのか?
ログインすると、森の館に強制転移され、左胸が抉れた惨たらしい女体が目の前にある。
「ジュダ、コイツの治療を頼む。セイじゃダメらしいんだ」
と、ツバサさんの憔悴した声。
心臓がない女性。助けられるのか?修復していく。心臓が修復できない。全損のようだ。代わりの心臓をどうにかしないと。
『作り置きの人工心臓を移植しよう』
と、僕の中の人が言う。僕の中の人って、誰だよ~。
彼女の胸に人工心臓が移植されていく。
『器の強度が足り無い。身体も換えるか』
錬成術が発動され、彼女の種族が、人間からエルフになっていく。心臓が再起動され、呼吸が再開し始めた。魂が身体に吸い込まれて行く。
「助かったのか?」
ツバサさんに訊かれた。どうなんだろうか?鑑定スキルが発動し、
『あとは、マインドヒールだよ。アタルの色に染めなさい』
と、ナビの指示。それと共に、僕は女体と共に強制ログアウトし、僕の意思の伴わない夜の営みが始まった。
---ツバサ---
ジュダの能力でアイリスは助かったらしい。一息吐き、感じた疑問を、俺は縁側で一人考え始めた。ジュダは一体何者なのだろうか?チーターの俺達を凌ぐ能力。まぁ、後ろに運営が付いているんだから、必要な能力は後付けし放題だろうが…
『ジュダの秘密を教えるかな』
突然、目の前に義父が現れ、そう語りだした。
『アイツは先代の勇者と先代の聖女の間に生まれた子供だ。双子で、アイツの兄は女神認定の勇者となり、人の道を外れ、聖女と恋仲だったアイツは、聖剣で斬られ、殺された。その魂を回収して、俺達が修復して、新たな器を与えた』
勇者と聖女の間に生まれた子供?
『その当時の記憶はない。あるのは、俺達が作って、埋め込んだ記憶だけだ』
なんで?
『俺のにいさんの神格階位が上がり、地上に介入出来なくなり、その代わり
に、彼が選ばれたんよ』
選ばれた?
『優しさだけではダメで、恋人を兄に奪われた弱さを自覚し、助けたい者を助ける強さを望んで死んでいった弱き者』
くやしかっただろうな。相手が勇者じゃたちうち出来ないだろう。
『なので、兄さんの財産を受け継いだ。能力を器の強度に合わせ解放されていく』
義父の兄さんって人間でないよね?
『彼の中にはサポート人格が多数入っている。テイムした者の魂もだ』
それらが全て解放されれば、魔王か?
『魔王みたいな羽虫ではない』
なんか、やばいヤツなのか?
『お前へが正しく導いてやれよ』
義父が目の前から消えていく。俺が教育すろって?
----湯田中---
意識が戻ると、知らない女性と交わっていた。なんか、相手が日替わりであ
る。僕の意思を無視して…僕の好みは…あれ?どういう女性だったか?誰でも良い訳ではないんだが。好みは無い。
「お兄ちゃん、好き嫌いはダメだよ」
って、妹の夏美…なんで見ているの?
「外れたら、ケアしないとダメだからね。ヤリ放しは嫌われるよ」
って言われても…
---ツバサ---
現実世界での疲れを癒やしにログインしてきたジュダ。目の下にはクマが…
「まだ、アイリスさんを治療中です。あの2体もまだなのに」
2体とは、保護した一般人か?あと、カタリナもまだである。
「どんな状況だ?」
アイリスの状態を訊く。
「無くなっている臓器も多くて、内部から修復しています」
胸から内臓を喰われたようだ。
「ゲーム世界で休むって、本末転倒ですよ」
と、荒い呼吸のジュダ。そんな彼に寄り添う聖人と勇者。
俺は俺のできることをしていく。森の開墾である。強力な人体修復とマインドヒールはジュダにしか出来ない。それに対し。世界樹の錬成が俺独自のスキルである。
館を出ようとすると、目の前に意識を刈り取られたプライド似の大人の女性が現れた。
『ラスボス化したようだ。お前達は忙しそうなので、意識を刈り取り攫って来た』
突然脳裏に響く養父の声。この世界ではもう大人になっていたのか。プライドよ…
『ジュダは4体受け持っている。コイツはお前が面倒をみろ』
…と。俺は、プライドにマインドヒールを施していく。
「セイ、浄化を頼む」
手が足りないので、セイに指示を出す。