第11話(壱) リサイクルマーケット・ファンタジー
「重い……」
大荷物を積んだリヤカーを引っ張りながら、無意識のうちに声に出てしまう。僕は今、父親から家にたまった不用品たちを、近所のリサイクルショップで売りさばくよう命令されているのである。
全く、夏休み早々実家に帰省するなり、どうしてこんなことをさせられなけれならないのか。本来なら2泊ぐらいしたいところだったのだが、また無駄に用事を言いつけられるのは目に見えているので、今晩すぐに自分のアパートに帰ることにしよう――と、そんなことを考えているうちに気がつけば僕は店に着いていた。
――変わらないな、ここは……
古臭さ漂う建物を前に、思わずため息を漏らす。元々ここは40年以上続いていた業務用スーパーが経営不振で閉店した後に、別の経営者が介入してリサイクルショップに変わったという経緯がある。だから、看板や内装が変われども、僕の中では業務スーパーのイメージが強い場所なのである。
「よっ……と」
リヤカーを引きながら自動ドアの前に立ち、完全に開ききったところで店内へと突き進む。
「いらっしゃいませー」
カウンターの前にいた男性店員たちの一人が挨拶をよこしてくる。見たところ、スタッフは男ばかりで女性店員という名の花は一輪も咲いていそうにない。そんな空気がエアコンもなく、扇風機だけで涼を賄っている店内を余計に暑苦しくさせる。
「……」
とりあえず、用を済ませたら早々と帰るしよう。
「すみません、ここにあるガラク……もとい、中古品を買い取ってもらいたいんですけど」
「じゃあ、こちらで預かりますんでお客様の住所と名前と連絡先を書いてください」
「はい」
店員にリヤカーごと預けて買い取り用紙の必要事項を速やかに記入する。
「それじゃあ、番号札を渡しときますんで査定が済んだらお呼びしますね」
「お願いします」
僕は店員に一礼をするとカウンターを離れ、店内を見て回った。
「……」
当たり前ながら、店の中は中古の品々でごった返していた。薄汚れた洗濯機、ホコリをかぶった掃除機、油の染みついた電子レンジといった、残念過ぎるレベルの家電製品たち。虫に食われたスーツ、チャックの壊れたジーパン、ポケットに穴の開いたジャンパーといった、金を取るのもおこがましいレベルの古着たち。いたるところに落書きのしてある絵本、ページの半分以上が落丁している小説、恥ずかしいシミを残したままの週刊誌といった、売り場に置くこと自体が犯罪レベルであろう古本たち。ここにいる人たちは、こういった物が売り物になるとでも本気で考えているのだろうか。
業務スーパー時代の、古めかしいなりにどこか華やかな雰囲気が漂っていた時期を思い出し、少しセンチな気分になりかけていたその時だった。
「オイ小僧、何キモいツラ引っ下げて突っ立ってやがるんだ」
「はい?」
背後から予期せぬ不躾(ぶしつけ)な言葉が投げつけられてくる。
「君は……」
見たところ、その言葉を発した張本人はさほど僕と年も変わらなそうな女の子だった。どうやら、この店の制服を着ているところから、察するまでもなく女性店員のようである。
「俺かい? 俺の名前は丸尻桃美。この店のアルバイトさ。ま、言うなれば紅一点ってヤツかな」
改めて彼女に一瞥をよこすも、胸部に立派な膨らみを携えているれっきとした女の子だった。つまりこの子は、俗に言う『俺っ子』というジャンルのキャラだったりするのだろうか。
「正直なところ、女の子が俺なんていうのはあまり……」
ギュム!
「うっ」
素直な見解を述べている途中で、強くペニスを握られる。
「お前、俺が自己紹介したってのに自分は名乗らないとかさ、礼儀を知らねぇのかよ」
「ご、ごめん」
初対面の相手に思わず委縮してしまう。
「僕の名前は林葉健二。隣町の高校に通ってる2年生で、今は実家に帰省中」
「ふーん。で、現役の高校生がこんなあばら家に何の用だよ」
「いや、父親に家の不用品を全部捌(は)かして来いって言われてね」
「つまり親父のパシリってクチかよ、冴えねぇな」
桃美ちゃんが「けっ」とでも言いたげな口ぶりでこっちを見据えてくる。
「冴えないついでに言わせてもらうと、買い取り金は全額父親の物で僕には手間賃お駄賃一切なし」
「何だよそりゃ。なんつーか冴えねぇ通り越して、もはや可哀想のレベルだな」
「仕方ないよ。そんな親だから僕は中学を卒業してからは家を出て……」
ギュム!
身の上話をしている途中で、またしても強くペニスを握られる。
「悪いな、俺そういう話はなるべく聞きたくねぇんだよ」
「ごめん」
そりゃあこんな湿っぽいばかりで、一文の価値もない話題など好んで聞きたがる物好きなんているはずもない。まして相手は初対面なのである。
「じゃあそろそろ査定も終わるころだろうから僕は……」
「待てよ」
カウンターに戻ろうとした僕の腕を桃美ちゃんがつかんでくる。
「ちょっとだけ俺に付き合いな、面白いもん見せてやるからよ」
「面白いもの?」
「ああ、こっちに来な。さっきから腹痛くてよ、そろそろ出ちまいそうなんだ」
強く腕を引かれて有無を言わさずバックヤードへと連れ込まれる。出ちゃいそうな腹痛の女の子が見せてくれるものというのは、まさか。
「すげーだろここの便所。小便器がなくて、男は壁にションベンしてやがるんだぜ」
「ああ、確かに」
店の奥にあるトイレは、業務用スーパーの頃から何ら変わらない男女共用型で男子用はアサガオ(=小便器)がなく、専用の壁に放尿する『壁ション』方式だった。それゆえに、常時アンモニア臭が立ちこもっていて、臭い以前に衛生的に悪過ぎる。
「さ、今からたっぷりウンコすっぞ」
桃美ちゃんが普通の女の子なら絶対に口にしないであろう言葉を平然と吐き捨てて、個室に入ろうとする。
「えっと、僕は」
「何とろいこと言ってやがんだよ。お前も俺のスウィートウンコタイムに付き合うに決まってんだろうが」
「う、うん」
言われるがまま、僕は付き添うように一緒に個室へと入る。こちらもまた、業務用スーパー時代から変わらない昔ながらの和式便所だった。まぁこれでも、開店当時はポットンだったという話だから水洗式というだけマシなのかもしれないが。
「やっぱウンコすんのは和式に限るよな」
桃美ちゃんが僕の視線などお構いなしといった具合にズボンをずり下ろして便器に屈む。
「そうだよね。君のような可愛い女の子の場合は和式映えするから特にそう思うよ」
「けっ」
ブビッ!!
返事をするや否や、個室内に下品な放屁音が響き渡る。
「俺なんかおだてても屁しか出ねーぞ」
便器に構えたむき出しのお尻から放たれたメタンガスが、ちょっとだけ目に染みる。
「ま、本当はすかしてもっと臭いの嗅がせようと思ったけどお前優しそうな顔してるからこれで勘弁してやるよ」
「それはどうも……」
既に僕の目線は桃美ちゃんのお尻に一点集中していた。
「俺の見立て通りだな。お前、こういうの好きなんだろ」
「えっ」
こっちに顔を向けることなく、桃美ちゃんがさらりと言ってのける。
「最初に見た時に何となくそんな気がしたんだよ。こいつ、スケベはスケベでも女のトイレを覗いて興奮するタイプの、コアな部類のスケベじゃねーのかなって」
「つまり……僕の性癖を見透かした上でこんなところに連れ込んだってこと?」
「それもあるけどお前、何かすっげー寂しそうな顔してたからつい構ってやりたくなってな」
桃美ちゃんの大きなお尻が小刻みにプルプルと震え出す。間違いない、これはそろそろ出てくる兆候だ。
「おい、目をそらすんじゃねーぞ。俺のケツからウンコが出てくる一部始終、しっかり瞼(まぶた)に焼き付けとけよ」
「う、うん」
モコッ。
程なくして肛門が開かれ、桃美ちゃんの健康そうな便が姿を見せる。
ムリッ、ニチニチニチッ……
「う~ん」
うなり声が艶めかしく、排便姿という名の官能美をより引き立たせてくる。
ニチッ、ニチチッ……
「えい!」
ボチャン!!
桃美ちゃんは、大きな掛け声とともにやや太長の1本糞をひり出した。
「あー! クソでかいの気張っちまったなぁ」
「だからさ、君のような女の子がそういうことを言ってると……」
ギュム!
「!」
桃美ちゃんは振り向くこともなく右手を伸ばし、そそり立つ僕のペニスを握りしめてきた。
「チンポが膨れて仕方がないってか?」
「それは……」
あまりにも直球過ぎる言葉に思わず声が詰まる。
「なんてな。そりゃ俺みてーな女のウンコしてるとこ見ちまえば、そっち方面のマニアがチンポ勃たせるのは当然の話だよな」
ジョバアァァ…………
桃美ちゃんが器用にも、放尿しながら握ったペニスをソフトに揉みしだいてくる。
「どうだ? 少しは元気になったか?」
「はは、こんなにビンビンに勃たしといて元気じゃないなんて言ったら、握り潰されちゃうだろ」
おそらく彼女なら、冗談抜きでそれぐらいのことはしてくるに違いない。
「ありがとう。君のおかげで今日この店に来て良かったと心の底から思えそうだよ」
「な、何だよそりゃ」
ブビィ~ッ、ブッ!!
桃美ちゃんがやはり振り向くこともなく、先ほど以上に下品な放屁音を響かせる。
「み、見ろ。お前が変なこと言うからまた屁が出ちまったじゃねーか、バカヤロ」
心なしか、桃美ちゃんはどこか赤面しているみたいだった。
「ほ、ほら。もう終わりだ。そろそろ査定も済んだころだろうし、とっとと売り場に戻りやがれ」
桃美ちゃんが僕のペニスから手を離して、いそいそとお尻を拭き始める。
「分かったよ。だけど君もいつまでもトイレにこもってないで早く戻りなよ、桃美ちゃん」
僕は口に出して彼女の名前を呼ぶと、臭気漂うトイレを出て売り場へと引き返した。
「また来いよな、健二。今度会ったらチンポ舐め回してやるぜ」
背中へと、そんな淫靡で素敵な言葉を受けながら。
「お待たせしました。合計で37,564円になりますけどよろしいでしょうか?」
トイレから戻ると査定は既に終了していて、山のような中古品からそのような金額が算出されていた。
「いいですよ、全部売却します」
特に断る理由もなく「値段が付かなくても廃棄処分でいいから引き取ってもらえ」という父親からの指示だったので、僕は二つ返事で了承した。結局、それからは桃美ちゃんと顔を合わせることもなく、レシートと代金を受け取ると僕は店を去ったのである。
「これ、買い取り金ね。心配しなくても1円もチョロまかしてはいないから」
酒で完全に酔っぱらっていた父親にお金とレシートを手渡す。
「……」
父親は焦点の定まらないような目でレシートを凝視していたが納得はしたらしく、一つ頷くとそのまま部屋に引き上げてしまった。僕はそんな父親の姿に言いようのない虚無感を覚えると、荷物をまとめてこっそりと実家を後にした。こうして、僕は束の間の甘美な思い出を胸に焼き付けて日帰りの帰省を終えたのであった。
第11話(弐) お尻の小さな訪問者
ドンドン!ドンドン!
昼食後、一眠りしようと部屋で横になっていた僕の邪魔をするかのように玄関のドアが叩かれる。
「……?」
僕には、プライベートで家に来てくれるほど親しい間柄の人間などいない。ついでに言うと、光熱費の支払いは全て口座引き落としだし、新聞を取っていないので新聞代の集金も来るはずがない。だとすれば、一体誰がドアを叩き続けているのか。
「すみません、どちら様でしょうか?」
「健二お兄さん、あたしだよ、あ・た・し!」
ドア越しの見えない相手からそんな返事が返ってくる。
「あれ? まさか」
その懐かしく、可愛らしい声には大いに心当たりがあった。
カチャッ。
確信とともに僕は鍵を開けて玄関のドアを開く。
「へっへ~、久しぶりだね健二お兄さん」
そこには、思い描いた通りの人物が満面の笑顔を浮かべて僕を見上げていた。そう、数か月前のコミケで色々とあり過ぎて、すっかり意気投合したオタクな女子小学生・又下未衣ちゃんである。
「よく分かったね、僕のアパートが」
グラスに注いだ緑茶を差し出して、予期せぬ訪問者を出迎える。
「えへ、この間たまたま下校中のお兄さんを見かけたから、こっそり後をつけてお部屋の番号までチェックしておいたんだ」
座布団の上に胡坐(あぐら)をかいていた未衣ちゃんが、あっという間にお茶を飲み干して笑顔でそんなことを言ってくる。
「未衣ちゃんのような子に後をつけられてたなんて、僕も幸せ者だなぁ」
考えようによってはス〇ーカーのように思えなくもないが、彼女なら危害を加えてくることはないので全く問題ない。むしろ、僕の心を和ませてくれるこんな可愛い〇トーカーなら大歓迎である。
「それにしても……」
未衣ちゃんが、キョロキョロと部屋の中を見渡す。
「お兄さんの部屋って、思ったより片付いているんだね」
「まあね」
自慢じゃないけど部屋もキッチンもトイレも最低2週間に一度は掃除しているし、最低限の整理整頓はいつも心掛けている。だけど、それとは別にこういった突然の来客に対しては、常に危惧している事態があるわけで。
「でもさ、この部屋女の子のポスターがいっぱいだよね」
そら来た。
「ま、まぁ僕は基本アニメオタクだし毎月購読しているアニメ雑誌に可愛らしいピンナップがいつも付いてるからさ」
「でも、女の子たちがみんなお尻丸出しの変なパンツ履いてるのってどうしてなのかな?」
そら来たパート2。
「え、えーっとね、これは『Tバック』って言って、年頃の女の子が自分の魅力をアピールするために着用する魔法のパンツなんだ」
自分で言ってても吹き出しそうになるような弁解の言葉を必死に並べ立てる。
「ふーん。じゃあ、未衣もそのうち穿く日が来るのかな?」
「ああ来るとも。きっと未衣ちゃんなら、小学校を卒業する前に立派なTバックコレクターになっていて……」
「お兄さん」
僕の言葉を制止するかのように、未衣ちゃんが手を差し出してくる。
「魔法のパンツなんてあるわけないじゃない。このウンチの臭いが染み付きそうな『ティーバック』って下着ぐらい、未衣だって知ってるよ」
「未衣ちゃん……」
予期せぬ落ち着いた切り返しに思わず言葉を失う。
どうやら、彼女は僕が思っているよりもよっぽど現実的で、地に足の付いている小学生だったりするのかもしれない。
「つまり、改めて言うまでもなくお兄さんはエッチ系男子ってわけで」
「……図星が過ぎて、何も言葉がありません」
まさに指摘通りというヤツである。これでは、どっちが小学生でどっちが高校生なのか分かったもんじゃない。
「じゃあ次はっと」
「あ」
未衣ちゃんがすぐ横の小型本棚のカーテンを開けて中を覗き見る。
「えっと、そこはつまり僕の嗜好……って言っても歯カス(=歯垢)のことじゃなくて、だからその、趣味の領域というか何と言うか」
言うなれば、まさしくそら来た最終章。上段にはトイレ盗撮を中心としたエロビデオ数本。下段にはやはりトイレ盗撮を中心としたエロ同人誌の山。まさに、性欲は性欲でも変態性欲を具現化したような驚異的なラインナップを前に、未衣ちゃんが目を丸くする。
「その、あの……」
こうなったら、この間のコミケの時と同様に腹をくくるしかあるまい。
「ど、どうだい未衣ちゃん! 僕は女の子のトイレを覗くのが大好きなんだぜ、今さら言うまでもないだろうけど」
「お兄さん……」
「もちろん、未衣ちゃんみたいな小学生も大歓迎だけど、本当は可愛ければ幼稚園児だだってアラフォー女性だって覗くような筋金入りのド変態さ」
思考を停止させて、感情と感覚の赴くままに自分の性癖を持て余すことなく暴露する。
「だけどやっぱり僕的には王道の下から覗くお尻アングルが好みかな、うん」
「……」
「個人的には上からアングルは見えにくいだけだし、真下からだと近すぎて実感が沸かないから、盗撮ビデオは映像の鮮明度も大事だけど視点も重視しているね」
「……」
「それと、同人作家に関して言わせてもらえば、やっぱり同じ魚座男子としてふみひでの安定感は……」
キュッ。
「うおっ」
話の途中でペニスをそっとつかまれて、思わず言葉が止まる。
「み、未衣ちゃん?」
「えへ、やっぱり未衣の予想通り。お兄さんは心の底から女の子のお尻とウンチが大好きな変態さんだったんだね」
未衣ちゃんが歯をむき出しにしてニカッと笑う。まさに小学校低学年の女子児童といった感じの、年相応の無邪気な笑顔である。
「実を言うとね、未衣も女の子のトイレを覗くのが大好きで、家でも学校でも毎日お尻チェックしてるんだ」
「そ、そうなんだ」
「もちろん、お兄さんのような男の人に覗かれるのもドキドキ感がたまんなくて好きなんだけどね」
「それはすごいね」
毎日女の子のトイレを覗いている上に、自分が覗かれるのも構わないだなんて何と大胆な。末恐ろしいならぬ、末面白いとはこういう子のことを言うんだろうな。
「ところでさ、ここに来る前からずっと我慢してたんだけど……」
「?」
両手で僕のシャツを握りしめながら、未衣ちゃんが上目づかいで言ってくる。
「未衣、ウンチがしたくなっちゃった」
「まさか、僕ん家ちのトイレを女の子が跨ぐ日が来るとはね」
段差付きの和式便所に小ぶりなお尻を出して屈んでいた未衣ちゃんに、そんなことを言ってみる。
「質素なトイレだね。うちのトイレも和式で古臭いけど、お兄さんのおうちのトイレも何だかボロくて貧乏臭が漂っている感じ」
「ほっといてくれないか。そもそもここが和式便所だったからこそ、ワケあり物件として安い家賃で住まわせてもらってるんだから」
「えへへ。そうだよね、ごめんなさい」
プッ。
未衣ちゃんが小さく放屁する。
「あれ? この間のオナラはもっと音も臭いもすごかったじゃないの」
「あの時はお兄さんをいじめてる奴を撃退しようとして、デカいの出したの。未衣がお兄さん相手にそんなオナラくらわせるわけがないじゃない」
未衣ちゃんが小さなお尻を小刻みに震わせながら、つぼみのような肛門を開く。
「んっ……」
ムリムリムリムリムリッ……
程なくして、小さな穴から少し緩めの茶色い塊が姿を見せた。
「あっ、ウンチに何か粒が付いてるよ。未衣ちゃん昨日トウモロコシ食べただろ」
「やだーお兄さんったらそんなとこまで見ないでよぉ」
ムリムリ、ボチャン!
未衣ちゃんの出した緩めの1本糞が便器に落ちて飛沫しぶきを上げる。
「んっ、まだ出る、出る」
ムリッ、ブプッ、ブビッ!!
そこからは少し下痢気味の便(トウモロコシ混じり)がひり出されて便器に盛られた。
「えへ、ここ最近暑くてアイスばっかり食べてるからウンチもユルユルみたい」
プシャァァァァァ~~……
「確かに暑いけど、冷たい物の暴飲暴食は体に悪いんだぞ」
フニッ。
イタズラ気分で放尿中の未衣ちゃんのお尻を指で摘まんでみる。
「もう、お兄さんったらお尻触んないでよね、エッチ」
「未衣ちゃんだって僕のペニスをキュッてしたんだから、これでおあいこさ」
あらかじめ渡されていたペーパーでお尻を拭いてあげながら、ドサクサに紛れて未衣ちゃんのお尻を揉みしだく。この小さいお尻からひり出される排便模様を目の当たりにしたせいで、もはやペニスはビンビンである。
「いやーん、お兄さんのウルトラエッチ!」
ギュム。
そんな悲鳴を上げながらも、未衣ちゃんは嬉しそうに後ろを向いたまま便器に屈んだ体勢で僕のペニスを握りしめた。
「あんまりエッチなことしてるとオチンチン『ギュッ』なんだからね」
「うんうん、肝に銘じておくよ」
僕は小さく笑いながらも、お尻をまさぐるのをやめて真面目に未衣ちゃんのお尻を拭いてあげた。少し下痢気味だったのもあって、最初はべっとり便がペーパーに付着していたけど、7回目を数えたところですっかりキレイになっていた。
クチュッ、クチュッ!
「はは、未衣ちゃんのオ〇ンコはお毛々も生えてなくてツルツルだ、可愛い」
「む~。お兄さんの顔つきがヤバ過ぎて笑えないよぉ」
股間の下から手を入れて、放尿後の未衣ちゃんの局部を拭く。前にも一度拭いたことがあるとはいえ、このスベスベ感が何とも心地良い。
「でも、男の人の前でウンチしてしかもフキフキまでしてもらうのって、何だかとっても優越感があるんだよね」
「おいおい、僕だからこんなことしてあげてるんだぞ……そりゃあ、こういうのが好きって奴は結構いるんだろうけど」
「はぁ~~。何だか未衣、クセになっちゃいそう」
一通り拭き終えると、未衣ちゃんが立ち上がって水洗レバーをひねる。
ザザ~!!
こうして、半強制的に僕を連れ込んだ未衣ちゃんの排便タイムは幕を下ろしたのである。
「ん~~! 人ん家ちでウンチをした後って、何だかすっごく気持ちが良いよね、お兄さん」
伸びをしながら未衣ちゃんが唐突にそんなことを言ってくる。
「いや、そういう経験ないからよく分かんないんだけど、そうなのかもしれないね」
曖昧な受け答えをしながらも、僕の中でも何か一仕事をやり終えたかのような達成感が満ち溢れていた。おそらく、俗に言う至福の時とはこういった一時のことを言うものなのだろうと、この時の僕は漠然とそう考えていた。もちろん、性的な趣味や嗜好が普通の人とは大いにかけ離れている、僕ならではの考えなのだけど。
それから僕たちは、スカトロ系の同人誌とビデオを堪能しながら他愛もない時間を楽しんだ。
「わ、このお姉さん和式便器にお尻ベッタリくっ付けてウンチしてる。何かすっごくエッチ」
「ハイヒールとかブーツならともかく、底の低い靴だと時折いるんだよね。もちろん僕は見てるだけで勃っちゃうけど」
「ねえねえ、JDって何なの? ウンチ姿を見てもらうお仕事だったりするの?」
「JDは女子大生の略称だよ。これは彼女の排泄事情をこっそり覗き見する漫画なんだ」
「すっごーい。このお姉さんオシッコとウンチを外でしちゃうんだぁ」
「で、車の陰に隠れてるつもりがバックミラーにしっかり映ってるってオチ。全くふみひでのエロスは最高だぜ!」
未衣ちゃんの突っ込みに合わせて僕がフォローを入れる。そんな具合に楽しく過ごしていたものの、そんな時間だからこそあっという間に過ぎてしまうわけで――
夕方5時を過ぎたところで、未衣ちゃんは家の手伝いをしなければならず、帰る運びとなった。
「今日は楽しかったよ」
「未衣も楽しかったよ。お兄さん、また近いうちに抜き打ちで遊びに来るかもしれないから、その時はもっとエッチな漫画を用意しててね」
「うん、また一緒に女の子たちのトイレをたっぷり観賞しようね」
なんだかんだで同じ趣味を共有し合える相手がいるというのはとても心強い。ましてそれが小学生とはいえ、とびっきりに可愛い女の子と来たものだから幸福この上ないというヤツである。
「それじゃあまた今度……」
「ちょっと待って、お兄さん」
ドアを閉めようとして急に止められる。
「どうしたの?」
「髪の毛にホコリが付いてるよ」
「え、どこ?」
「ほら、取ってあげるから屈んで屈んで」
「う、うん」
言われるがまま腰を落として未衣ちゃんの高さに目線を合わせる。
チュッ。
ふと次の瞬間、柔らかな感触が頬に触れた。
「えっ? えっ?」
事態が呑のみ込めず、呆然としている僕に向かって未衣ちゃんがVサインを見せる。
「へっへ~。オチンチンに続いてお兄さんのほっぺも頂いちゃった☆」
ほっぺにチュッ。つまり口づけ、接吻、キス。
「それじゃお兄さん、また近いうちに会おうね、バイバーイ!」
固まっている僕に手を振って未衣ちゃんは満面の笑顔で帰って行った。
「未衣ちゃん……」
ドアを閉めて鍵をかけたところで、キスされた頬に手を添える。そこには、ほのかながらも未衣ちゃんの唇の感触がまだ残っていた。
ちょっとエッチで、どこか無邪気な彼女の笑顔を思い浮かべながら物思いにふける。思えば、一人暮らしを始めて1年と数か月、個人的に僕を訪ねて来てくれたのは今日の未衣ちゃんが初めてだった。出会って間がないとはいえ、もしかして彼女は僕のことを、まさか。
――そんな都合のいいことが、そう簡単にあるはずもないよな……
考えていてもどうにもならないので、僕は汗ばんだ体を洗い流すべく風呂場へと直行した。
時は真夏、8月の猛暑厳しい日のことだった。