アニメ雑誌を買いに来た近所の本屋で、クラスメートの女子連中に出くわしたのは開店間もない9時過ぎのことだった。
「あ、健二君がおる」
小馬鹿にしたような口調でそんなことを言ってきたのは、グループの中心にして女子のクラス委員を務めている棚田円香さんだった。
「ねえ、こんなところで何しよるん?」
「何って本を買いに来たに決まってるだろ」
「エッチな本?」
「いやいや、アニメ雑誌だよアニメ雑誌」
唐突に詮索を入れている彼女を相手にはっきりと弁明する。
「じゃあ、エッチなアニメ雑誌?」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや」
どうしてそっちに持って行こうとするかねこの子は。
「正直に言いんさいや。本当は2次元の女の子がエッチするとことか見たいんじゃろ」
「健二君、隠さんでもあたしだって女じゃけど、女の子のエッチシーンとか興味あるけえ」
「何だったらうちらと一緒に見て楽しもうや」
円香さんに便乗するかのように、不細工な取り巻きたちが口々につまらないことをほざき散らす。いや、ぶっちゃけ女の子のエッチよりも、女の子のウンチの方がよっぽど興味があるのだけど。
「と、とにかくっ! 今日は僕、普通のアニメ雑誌を買いに来たのっ!」
少し声を荒げてお目当てのアニメ雑誌(ア〇メディア)を手に取りレジへと向かう。
「今日は……ってことは、エッチなアニメ雑誌を買いに来る日もあるって意味だよね?」
「いや、知らない知らない」
なおも揚げ足取りにご執心な円香さんたちを尻目に会計を済ませると、僕は振り返ることもなくそそくさと本屋を後にした。
「ねえ、今日近くの河原で花火大会があるけえ、もしえかったら(=良かったら)健二君も来んさいや」
「うんうん、気が向きゃね、気が向きゃあ」
去り際にかけられた、そんな言葉を適当にあしらいながら。
「花火大会……か」
部屋の窓から見える夕焼け空を眺めながら、ため息を一つ吐く。思えば、そういう行事とは一切縁がないまま僕はここまで生きて来た。
「……」
人ごみを極度に嫌う両親の性格上、家族で縁日などという展開は絶対的に有り得なかった。また、一人で行こうとすると彼らが露骨なまでに不機嫌な素振りを見せるので、僕は単独の参加すら認めてもらえる立場になかったのである。もちろん、独立を果たした今となってはどうしようが僕の勝手だけど。
今夜の花火大会に行くべきか行かざるべきか、それが問題だ。行く行かない行く行かない行く行かない行く行かない――優柔不断な僕が、際限無き二択に頭を悩ませているその時だった。
ドンドン、ドンドン。
玄関のドアがノックされて、誰かが来ているのが分かる。
「すみません、どちら様でしょうか」
滅多に人の来ることがない我が家への来客におそるおそるドアを開けて相手を確認する。
「健二君、元気しちょったかね」
「あっ」
そこにいたのは僕のクラスの担任教師を務める岸村香子先生だった。
「香子先生、お久しぶりです」
「うん、元気そうで安心したわ」
やや厚化粧ながらも、熟れた果実のような唇が妙に艶めかしくて思わず息をのむ。だけど、それ以上に僕が息をのんでしまうのは。
「先生。浴衣姿、すごく綺麗ですよ」
「うん、ありがとう」
先生の私服姿も水着姿も排泄姿も知っている僕ではあったものの、浴衣に身を包んだ彼女もまた一段と魅力的だった。水色を基調とした、アサガオ模様の艶姿。
「これなんじゃけどね、健二君は確かスカイブルーが好きっちゅうとったけえ好みの色に合わせてみたんよね」
「なるほど、以前僕が自己紹介の時に言った言葉を覚えてくれていましたか」
先生のそんなきめ細やかな気配りに胸が熱くなる。
「ついでに言うとこれ、ナイロンが一切入っちょらん絹繊維100%の浴衣じゃったりするんよね」
「それはそれは」
値段を聞くつもりはないけど、随分と奮発しているものである。だが今はそれよりも。
「時に先生、何の用ですか」
「そ、そうじゃね、うん、それなんじゃけど」
本題に入った途端に先生がもどかしそうに間を空ける。
「健二君。今日の花火大会一緒に行ってみんかね」
「ああ、花火大会ですか……って、えぇっ!?」
突如切り出された予期せぬ展開に、思わず声を上げてしまう。
「ななな、なんでまた僕と一緒に行こうだなんて」
「いや、せっかく新しい浴衣を買ったんじゃけえ、今年の花火大会ぐらいは誰かと一緒に行ってみたいと思うたんよね」
「先生……」
確かに、新しい服を買ったら誰かと一緒に出かけたくなるという心境は、何となく理解出来る。その相手がどうして僕なのかは今一つ分からなかったりするけれど、せっかく誘ってくれた先生を前に無碍(むげ)に断る理由もないだろう。
「いいですよ先生、ちょっと驚いたけど大歓迎です。行きましょう、花火大会」
僕は出来る限りの笑顔を浮かべて先生の誘いを了承した。
「じゃあ早速支度を……」
「うん、それはええんじゃけどその前に……」
下準備をしようと部屋に戻ろうとした僕の腕を先生がつかんでくる。
「どうしましたか先生?」
「ちょっとトイレ貸してくれんかね。さっきから、ずっとお腹が痛うて……」
メイクと衣装でより魅力的になろうとも、こうなってしまう辺りはやはり香子先生である。
まぁ、だからこそ僕にとっての女神様なのだと言ってしまえばそれまでなのだけど。
「ごめんね、いきなり訪ねちょいてトイレまで使わせてもろうて」
「気にしないで下さい。むしろ現地に着いてからだと混雑するのは目に見えてますから、今のうちに済ませておくのが無難だと思います」
先生が少しおぼつかない足取りで一段上のトイレに跨り、浴衣をまくり上げてTバック(黒)のお尻を露にする。どうりで浴衣越しから下着のラインが見えなかったわけだ。
「黒を穿かれてるんですね」
「うん、水着の時は赤なんやけど、下着用でTバックを穿くときは黒にしちょるんよね」
振り返ることもなくそんな下着のこだわりを口にしながら、先生がそのTバックをずり下ろしてゆっくりと屈む。
「あっちで催さんでもええようにここで全部出しちょかんとね……んっ、んんっ!」
ブリブリブリブリブリリ!! ブブブビッ!! ビチビチビチッ!!
肛門を開くや否や、先生の丸くて大きなお尻から不健康をアピールするかのような下痢便が勢い良く噴出される。後ろに立っている僕の視点からだと、お尻はもちろん肛門のシワまでバッチリ丸見えだ。
「やっぱり下痢しちょる……昨日焼肉食べたけえいつもよりウンチが臭うんよね、臭い」
プシャァァァ……
先生が自分のひり出した下痢便に辟易しながら、控えめの放尿をする。その数分間の出来事だけで、僕のペニスを固く屹立(きつりつ)させるにはあまりにも十分だった。
「先生、その……」
「チンポが勃ったんやろうか?」
「は、はい」
先生のストレートな言い回しに理性の壁が少しずつ崩れて行く。
「うん、今日は先生このまんま後ろを向いちょくけえ、健二君の好きなようにしてみんさい。もちろん本番行為はダメじゃけえね」
「も、もちろんです」
これから出かけようという段階で、一線を越えるなどという暴挙はあり得ない。それに僕は、こんな場面でセックスよりも快感を覚える快楽行為を知っているはずだ。
「はぁ、はぁっ……」
目の前の和式便所に屈む女神の姿を凝視しながら、ゆっくりと膨れ上がっているペニスを揉みしだく。
そう、眼前では僕のクラスの担任である香子先生が、僕の家のトイレに屈んでウンチをしてるんだ。大きなお尻を便器にくっ付けたまま屈んでいるんだ、浴衣姿でTバックを穿いて僕の家にやって来た香子先生が!
「ううっ!」
ビュルッ、ビュルルッ! ビュッ!!
僕のペニスから放たれた白い大砲は、先生のお尻に命中して見事に臀部を染め上げた。
「はっ、はっ……」
「……健二君、全部お尻にかけてくれたんやね」
「当然です。先生の大事な浴衣を汚すわけにはいきませんからね。丸出しのお尻に全部ぶっかけました」
手前みそながら、これぞまさしく変態的かつ紳士的行為と言えるだろう。
「うん、半端なくエッチやけど、健二君の気持ちが伝わってくるようじゃわ」
「ご理解ありがとうございます。ではお尻を拭いて出発としますかね」
「そうじゃね」
僕は、先生のお尻と局部を拭いてあげた。自分の精液も拭き取らねばならなかったので、いつもより時間がかかったしペーパーの使用量も多くなってしまったが、それでも満足だった。
ザザ~ッ……!
僕の精子と先生のウンチが同時に流れるさまを見届けられたのだから。
ゆったりと歩きながら現地に着いた時には、もう三日月と星空の煌く夜になっていた。たどり着いた河川敷は屋台が並び、いつも見ている景色と比べるとあまりにも新鮮味で満ち溢れていた。
「わ、すごいすごい! 先生、食べ物屋がたくさんありますよ、おいしそう」
実際のところテレビでこういった光景を見たことは何度かあったものの、リアルでお目にかかるのはこれが初めてだった。
「うん、じゃけど得てしてこういうお店ってどこも高かったりするんよね」
「た、確かに」
各店舗の前をうろつきながらシビアな現実を前にやや顔をしかめる。フランクフルト250円、フライドポテト300円、焼き鳥1本350円って何だそりゃ。どれにしたってスーパーはおろか、コンビニで買っても200円以内で済むレベルだぞ。
「ま、まぁこういうのは風情って言うかね、景観を見ながら楽しむものなんですよね、ええ」
雰囲気に呑まれて食べたくなる気持ちを抑えながら、寸前のところで我慢する。
「つまり言うなれば目で食べる、というヤツですかね」
そうだ。あくまでここに来たのは先生と一緒に花火を見るためで、あって断じて飲食などではない。まして、生徒の立場を利用して先生におごらせるなんて言語道断だ。
「せっかく来たんだし少し河原を歩きましょう」
「そうしようか」
花火が上がる予定時刻まで少し時間がありそうだったので、僕は先生と一緒に近辺を歩くことにした。
「何と言うか、今日は誘ってくれてありがとうございます」
「いやいや、こっちこそ健二君が先生なんかに二つ返事で付き合ってくれて感謝しちょるよ」
「いえ、そんなこと言わないで下さい。僕は先生とこんな時間を過ごせることがとても幸せなんですから」
河原を歩いていると、ぼっち参加で一人寂しく焼きそばやタコ焼きを貪りながらコーラをがぶ飲みしている哀れな参加者たちも、男女問わずチラホラ見受けられる。仮に一人でここに来ていれば、僕もまたそんな男女たちの一人になっていたかもしれないのだ。
だからこそ、今は隣に居てくれる先生の存在が頼もしく愛おしい。
「もう少しだけ寄り添って歩きましょうか、はぐれないように」
「……」
僕の申し出に先生は無言のまま、ただ腕にしがみ付いて来た。
「先生……」
「こ、こうすりゃあよっぽどのことがない限り、はぐれたりすることはないんじゃないやろうか」
心なしか頬が赤みを帯びている。どうやら、トイレを見られることは平気でも、こういうことをするのは恥ずかしかったりするらしい。
「……模範解答です。このまましばらく歩きましょう」
「う、うん」
僕は全身から火を噴きたくなるほど照れ臭い気持ちを押し殺しながら、努めて冷静に先生の気持ちを受け入れた。正直、僕よりも数センチ背の高い先生が寄り添って歩く形になっていたので、傍から見ると少し滑稽に映っていたのかもしれないけど、それでも僕は満足だった。
僕たちは気の向くままに広い河川敷を練り歩いていたが、不思議と知った顔に出くわすことがなかった。今日は数駅向こうで大規模な花火大会が開かれているということなので、みんなそっちに行っていたりするのだろう。
花火が上がり始めるまでの数十分、僕たちが恋人感覚で他愛なく過ごしているその時だった。
「よっ、香子先生」
背後から不躾な声が聞こえてきて思わず振り返る。
「げっ」
そこにいたのは紛れもなく、朝の本屋で出くわしたクラスメートの女子連中だった。
「……」
さっきまであんなに晴れやかな顔をしていた先生も、どこか表情が曇っている。
「久しぶりじゃね、元気しちょった?」
「ま、まぁたまにお腹を壊すことはあるけど、基本的には体調は悪くないね」
馴れ馴れしい問いかけに先生が苦し紛れの返答をする。
「健二君も懐かしいね、会うの何年ぶりじゃろうか」
「ついこの前廊下ですれ違ってるだろ」
意味の分からない挨拶を振られて苦笑混じりに切り返す。目の前の女子は中学校も一緒だったものの、当時からあまり好印象のある相手ではなかった。
「いや、案外あたしら健二君のこと何回も見ちょったりするよ」
そんな中、グループ唯一の美少女にしてリーダーの円香さんがフォローを入れてくれる。
「……」
取り巻きたちの粗末な私服姿と相反するかのような、菊模様の桃色浴衣が艶めかしくて息をのむ。それに合わせて、さっき出したばかりのペニスが少し熱を帯びてくる。
「健二君、香子先生と仲ええんじゃね」
「えっと、普段の僕たちを見てたら聞かなくても分かるんじゃないのかな」
「そういやーこの前の大掃除の時も一緒に作業しよったじゃん」
円香さんが幼さの残る可愛らしい顔を近づけて僕をつついてくる。
「健二君……」
返答に悩む僕を心配しているのか、先生が体をより密着させてくる。
「……」
背後に先生。前方に円香さん。その周囲に取り巻きたち(←正直どうでもいい)。そして、膨れ上がりそうなペニス。思わず欲情に押し流されそうになる衝動に駆られつつも、寸前のところで持ちこたえて口を開く。
「ま、まぁ僕たちは生徒と教師という間柄ながら、良好な関係を築き上げているっていうことでいいでしょ、ねぇ先生」
「そ、そ、そうじゃね。健二君は基本的にこういう子じゃけえ、担任として放っちょけんっちゅうかね、うん」
「つまり、そういうことだから覚えといてくれってこと」
「……」
僕たちのあまりにも無骨な弁明に、円香さんが露骨なまでの怪訝な表情を浮かべる。
「ふーん、よく分かんないけどつまり、健二君と香子先生はちょっとだけ恋人同士な関係、と」
『うん、大体そんな感じだね(じゃね)』
計らずも返事がハモってしまい、思わず赤面する。
「……」
それに合わせて円香さんの表情がますます険しくなる――そして。
「ま、いいわ。せっかくの我が校が生んだラブラブカップルなんじゃけえ、邪魔しちゃ悪いわいね」
円香さんが僕から離れてくるりと背中を向ける。彼女も先生に同じく、下着のラインが浮かび上がっていない。
「行こうや。こんなんで時間潰しちょったらホンマもったいないけえ」
「それもそうじゃね」
「あっちに屋台が並んじょるけえ何か食べようや」
どうやら、女子たちは大人しくはないながらも、引き下がってくれるみたいだった。
「香子先生、じゃあ僕たちも……」
「あ、それと健二君」
だが円香さんはまだ何かあるのか再度僕に詰め寄ってくる。
「えっと、今度は何を」
「えいっ」
ピン!
涼しい顔で膨れ上がっていたペニスを指で弾いてくる。
「ま、円香さん?」
「さっきからチンポが膨れてるのが丸分かりだったよ。ほんと、エッチなんだから」
まさに恥部をつつかれて、恥ずかしい気持ちが込み上げてくる。
「それと、さっきジロジロお尻を眺めてたみたいだけど、あたしの今日のパンツはピンクの紐Tバック。あんまりエッチなことを考えんといてね!」
ギュム。
「それじゃ、新学期にまた学校でね」
円香さんは仕上げとばかりに僕のペニスを一握りすると、取り巻きたちを連れてそのままどこかへと行ってしまったのである。
「け、健二君……」
「何と言いますか、香子先生のような担任と円香さんのようなクラスメートに恵まれて、僕は幸せってことです、はい」
心配そうに見つめている先生を前に、気持ちが高揚していた僕は感覚任せに浮かび上がった言葉を口に出すのが精一杯だった。
花火が上がり始める予定時刻まで、あと数十分。先ほどのセクシャルアタックは、まだ股間に妙な刺激を残していた。
「健二君、チンポは大丈夫じゃろうか?」
「はい、傷とか痛みとかそういったものではないから、大丈夫だとは思います」
だが強がりの言葉とは裏腹に、うずき続けている股間にやがて尿意がほとばしる。
「すみません、ちょっとトイレに行ってきます。なるべくすぐに戻ってくるつもりなんでここで待っていてください」
「あ、うん、分かった」
草むら脇のテトラポットに腰掛けている先生にそう告げると、僕は混雑が目に見えているであろうトイレへと足を向けたのである。
来客用に設置された仮設トイレは5つあったものの、どれも行列でごった返していた。やむなく最寄りの公衆便所を使おうと試みるも、こちらも人の波であふれ返っていた。
――どうしよう、これじゃ……
困り果てる僕を急かすかのように、ますます尿意が押し寄せてくる。
――……仕方がない!
意を決すると、僕は余力を振り絞って一目散にその場を駆け抜けた。
「ふ~」
河川敷の裏手。まさに穴場スポットと呼ぶに相応しいような地帯の草むらで、勢い良く放尿する。この辺りなら誰も来ないだろうし、川で手も洗えるし良いことずくめである。
――ま、仮に来たところでこんな宵闇の中じゃ何も見えやしないってね。
速やかに放尿を済ませてペニスを片付け、手を洗うべく川べりへと足を運ぶ。
ガサッ!
その時、近くで何かが動く音がした。
「?」
ふと気になって音のする方に向かうと、不意に人影が目に留まる。そして、その人影が僕に気付くこともなくゴソゴソと動きながら、その小さな体を屈める。
――まさか!
ドォォォォォン!!
妙な期待が脳裏をよぎったその刹那、答えを告げるかのように赤い花火が上げられる。程なくしてその一発を皮切りに、次々と色とりどりの煌きが夜空を彩り続ける。だが、僕は花火以上にその煌きによって照らし出される目の前の光景に、目が釘付けになっていた。
小さな草むらの中で浴衣をまくってお尻をさらして屈んでいる、見覚えのある少女。そう、彼女は紛れもなく、つい先ほど僕のペニスを弄(もてあそ)んで楽しんでいた円香さんだったのである。
「う~っ」
うめき声をあげながら円香さんが右手をお尻に添えて肛門を広げる。
ブリブリブリッ、ブブビッ!! ブビビビビビッ、ブリビチッ!!
すると、彼女のミドルサイズの丸いお尻から、おびただしいまでの下痢便が噴出されたのである。
――す、すごい!
前にも彼女のトイレを見たことはあったものの、いずれも制服姿と和式便所の組み合わせだった。それだけに、浴衣と野外と下痢ウンチのトリプルスリーはあまりにも新鮮かつ刺激的な光景として、僕の目に映っていた。
ブビッ、ブビッ、ブリリリッ!!
休むことなく上がり続ける花火が、宵闇に隠れているつもりの彼女を否が応にも照らし出す。それは、まさしく夏特有のラッキースケベと呼ぶに相応しいような一場面だった。
「はぁ、はぁ……」
よほどお腹が痛かったのか、苦しそうに息を吐きながら手持ちのポケットティッシュを取り出して、お尻を拭き始める。もちろん、花火の光のおかげでそんな姿もバッチリと視界に入ってくる。余計な心配ながら、あんなところでお尻を出していると草がチクチク刺さって痛かったりしないのだろうか。
「ふっ、んっ!」
ブビィ~ッ、ブッ!!
二発ほど放屁をして、円香さんがなおも念入りにお尻をカサカサと拭く。そのオナラの臭いは強烈で、バレないように距離を置いている僕の鼻腔にさえも悪臭として届いてくる。こちらへと向かい風が吹いているわけでもないのに、だ。
――冗談抜きで臭い。女の子って、下痢してる時はオナラまで臭いの出すんだな……
ぶっちゃけ彼女なら、うっかり異次元空間に閉じ込められてもオナラで壁を壊して、簡単に脱出しちゃいそうな感じだ。
「は~スッキリした」
やがてお尻を拭き終えた彼女は、放尿をすることなく立ち上がり、下着を穿き直して浴衣を戻すと川の水で手を洗おうともせず、そのままその場を後にしてしまった。
「僕も、スッキリしたい!」
彼女が去った後で、僕は迷わずビンビンに膨れたペニスを沈静化させるべく、彼女がひり出したウンチの山へと射精をして湧き立つ気持ちを発散させた。もちろん、彼女と違い僕は事後にちゃんと手を洗っておいたことをここに付記しておく。
「お待たせしました香子先生」
少し時間がかかったものの、先生は同じ場所に座したままずっと待っていてくれた。
「良かった、なかなか戻って来んけえ何かあったんかと思うて心配しちょったわ」
「いえ、案の定トイレが混んでて時間がかかった、それだけの話です」
とりあえず妙な詮索をされないように無難な理由を口に出しておく。
「どうぞ、先生。喉が渇いたでしょ」
先生の隣のテトラポットに腰を落として、夜店で買ってきたペットボトルの緑茶を手渡す。
「悪いね。高かったじゃろ」
「いえ、2本で250円。スーパーや薬局よりかは値が張るけど、夜店にしては良心的な価格です」
フタを開けて健康かつ和風な飲料水をくいっと喉の奥へ流し込む。
「綺麗ですね、花火」
「そうじゃね」
夜空を見上げると、色だけでなく形にまでこだわりを見せる花火が次々と上がり続けていた。太陽、星、月、水、命……もとい、ハート型。今、まさに夏の夜空がファンタスティックに彩られていた。
「僕、今日という日を一生忘れません。先生と一緒にいられるこの時を永遠の宝物にします」
「うん、先生も……健二君と過ごせたこの一日は、最高の思い出になったよ」
途中で少し脇道にそれたものの、それでも先生への気持ちは本物だった。
『……』
僕たちは、どちらからともなく肩を寄せ合いながら、煌く夜空を見上げる。そこから先は、言葉を交わすこともなく、ただ無限の空を一緒に見つめていた。夜空を彩る花火たちは、そんな僕らを祝福するかのようにいつまでも泡沫(うたかた)の華を咲かせ続けていた。