第28話(壱) 自習時間の情事
新学期初となる体育の授業は、体育教師たちの勉強会による出張のため、男女ともに自習時間となった。
「ヘイ、パス、パス! 決めてやるから俺にボール回せ!」
コートに集って、バスケットボールに熱を上げる男子たち。
「走れ走れ! しっかりボールを追わなきゃダメじゃないか!」
グランドに出て、サッカーに精を出す男子たち。
「それでさ、××ちゃんが告ったらすぐに●●君がオッケーしてくれたっちゅう話よ」
仲の良いグループに分かれて、ボール遊びをしながら噂話に興じている女子たち。
それぞれが、それぞれの形で『体育の自習』を満喫していたのである。
「……」
そんな中で僕は、ぼっち状態で膝を抱えて体育館の隅で徒(いたずら)に時間が過ぎるのを待っていた。基本的に我が校の体育は、二(ふた)クラス合同で行われる多人数授業であったものの、今現在で孤立状態にあるのは僕一人だけだった。
――早く終わらないかな、こんな退屈な時間……
そんなことを考えながら、天井を見上げてため息を吐く。残念ながら、運動神経のぷっつり切れている僕はチームスポーツの授業だと完全に居ない者扱いされて、無条件で枠組みから外されてしまうのである。
まぁ、下手に足を引っ張って、罵詈雑言や鉄拳制裁の餌食になるぐらいならこれで良いのかもしれないけど、やはり寂しい気持ちは否定出来なかった。
「見てアレ。林葉がまたのけ者にされて一人になっちょるよ。ぶち(=ものすごく)笑えるんじゃけど」
「誰が健二君なんか呼ぶかいね、戦力になりもせんのにから」
一部の女子たちから聞こえてくる悪口が耳に突き刺さり、妙に居心地が悪くなってくる。
――やれやれ……
気分を害した僕が立ち上がり、教室に戻ろうとしたその時、クラスメートの棚田円香さんが声をかけてきた。
「健二君、暇なん?」
「いや、見て分からないかな、そんなこと」
至極当然のことを聞かれて、反射的に少し嫌味な答えを返してしまう。だけど、考えるまでもなく円香さんの質問も十分に嫌味である。
「ねえ、暇なんじゃったらあたしに付き合ってや。健二君にやってもらいたいことがあるけえ」
「何それ。僕以外の人には頼めないことなの?」
「うん。一人じゃ難しいし、健二君にしか手伝ってもらえんようなこと」
その言葉を受けて、ずっと抜け殻状態だった僕の中に精気が宿る。それはもしや、ひょっとして。
「いいよ。円香さんの力になれるんだったら喜んで協力する」
僕は、内容を聞くまでもなく円香さんの頼みを受諾した。
「どうしたの円香? 林葉なんか相手にしてもロクなことがないけえ、やめんさいや」
「そうっちゃ。健二君のオタクがうつったら、まーちゃんまで頭がお花畑になるよ」
「……仕方ないじゃん。健二君をぼっちにしちょったら、あたしが香子先生に怒られるんじゃけえ。適当に仲良くしとる素振りを見せてごまかしとかんと、何言われるか分かったもんじゃないもん」
円香さんはそう言って、心無い女子たちのゲスな気遣いをかわし、体育館から僕を連れ出した。
うまく担任である香子先生の名前を使って理由を取り繕うところに、彼女の策士ぶりがうかがえた。
僕が連れ込まれたのは、特別教室ばかりが並ぶ人気のない四階の女子トイレだった。特に今は、その特別教室を利用していたクラスが一つもなく、完全なまでに僕と円香さんの二人きり状態だった。
「さっきからお腹が痛くて、ずっとウンチがしたかったんよね。ここなら思いきり出せそうで安心じゃわ」
「何だよ、そんなことのためにこんな遠くのトイレまで僕を連れ出したのかよ。君も大概おかしな子だね」
ギュム。
当たり前のことを言ったつもりだったのに、何故か円香さんにペニスを強く握られる。
「別にウンチのことだけで呼び出したわけじゃないっちゃ。これ……」
円香さんが体操服の胸ポケットからチューブ型の塗り薬を取り出して僕に見せつける。
「あ、なるほど」
それは、新聞広告とかで何度も目にした痔の患者のための軟膏薬だった。
「こんなん一人じゃ難しいし、友達に頼めるわけがないじゃろ。じゃけえ、健二君の手で塗ってほしいんよね、あたしのお尻に」
「……分かったよ、そういうことなら任せてくれ」
僕に軟膏薬を手渡すと、円香さんはすぐに一段上の和式便器に跨り、お尻を出して屈んだ。
余談だが、この学校のトイレの中に和式便所は数あれど、段差型はここのトイレのこの一室だけだった。
「まぁ、お尻に薬を塗るんだったら、こういうトイレを使うのがベストだよね……」
「……健二君、股間が膨れすぎ。チンポが勃っちょるんが丸見えよ、エッチ」
ブブッ!
欲情している僕に抗議するかのように放屁すると、円香さんは肛門を開いて大腸に達していた老廃物を一気にひり出した。
ブッ、ブリブリッ! ブビブビブビッ!! ビリビチャッ、ビチャアッ!!
円香さんのお尻が火を噴くかのように、臭くてドロドロの下痢便をまき散らす。こんなものを目の当たりにした以上、今夜は僕のペニスも火を噴かないと眠れそうにないだろう。
プシャァァァァ……
そんなことを考えているうちに、円香さんが控えめな放尿を開始する。横から回り込んで拝見すると、彼女の尿は驚くほどにイエローカラーに染まっていた。
「ねえ、あたしのマ〇コに毛が生えちょるのを見て笑いたいわけ?」
「違うよ。僕は円香さんのオマ〇コをしっかり脳裏に焼き付けて、夜のオカズに使いたいだけさ」
僕は、円香さんのお尻を一撫ですると、セットしてあるトイレットペーパーを抜き取って彼女のお尻を拭く準備を整えた。
「……健二君はええよね。あたしやら香子先生のおかげで、いつもチンポを元気に勃たせられるんじゃけえ」
「つまり、それだけ円香さんも香子先生も魅力的で素敵な女性って証だよ」
ペーパーをちぎってゆっくりと円香さんのお尻を拭く。案の定、下痢の後もあって一拭き目はベットリ便の感触が生々しかった。だけど、僕の左手には便とは別に、突起のようなものに触れた感触も残っていた。
「円香さん……ひょっとして、イボ痔?」
「健二君。そんなもん、触ったら分かるじゃろ? まさか、あたしのお尻からチンポが生えたとでも思った?」
何気ない質問に、手厳しい返答で返される。この口ぶりから察すると、やはりイボ痔で間違いないらしい。
「ごめんごめん。切れ痔の女の子は見たことあるけど、イボ痔の子は初めてだったから……」
「何それ、気持ち悪い。どうでもええけど、お尻拭いたらちゃんと薬をつけてよね」
「お尻だけじゃないでしょ、オ〇ンコも拭かなきゃ汚いでしょ」
クチュッ!
便臭激しい個室の中で、僕はどこか不機嫌な円香さんのお尻と局部を拭き続けた。そして、一通りキレイになったところで、ついに薬塗りの時間がやってきた。
「お尻の下に手を入れるのなら、やっぱり段差型の和式便所だよね。これなら本当に楽に塗れるから……」
「ゴチャゴチャ言うとらんで早く塗ってや、あたしだって健二君にいつまでもお尻を見せとるのは恥ずかしいんよ」
「そ、そうだよね、うん。すぐにやろうね」
いつまでもジロジロ見てると後が怖そうだったので、僕は右手の中指に適量をしぼり出すと、速やかに円香さんのお尻のイボの部分と、その周囲に塗りたくってあげた。
「んっ、冷たい……」
「我慢我慢、お尻のイボを治したいんだろ?」
ちょっとだけ円香さんのお尻をまさぐって、軟膏薬を塗り終える。とりあえず、僕の最低限のノルマはこれで達成である。
「あ~、大分お尻が楽になった。健二君、ありがとうね。やっぱりこんな時は健二君を頼るに限るわ」
ザザ~ッ!
円香さんが水を流して立ち上がり、ゆっくりとTバックのパンツとブルマを穿き直して便器から下りる。すると、何を思ったのか急に真正面から僕をじっと見据えはじめたのである。
「まだ時間、残っちょるよね。もう少しここで遊びよこうか?」
「何言ってんだよ。遊ぶって、こんなところで一体何を……」
ドンッ!
言葉の途中で円香さんの両手を使った壁ドンが、僕の両肩の真横の仕切りに炸裂した。
「あたし、健二君の童貞チンポが欲しい。一回でええけえ、健二君のチンポとつながってみたい」
「ま、円香さん……」
全く予期せぬ展開と、想像すらしなかった扇情的な言葉に思わず頭の中が真っ白になってしまう。これは大人の階段を登れるまたとないチャンスなのか、それとも大事なものを奪われる絶体絶命のピンチなのか…………
ギュム。
しかし、僕の答えを待たずして、円香さんが強くペニスを握ってくる。
「悪いけど、今回は健二君に選択権なんかないよ。あたしに委ねてそのままビンビンに勃たせちょいて……」
「ぼ、僕は……」
雰囲気に呑まれ、僕がそのままエロスの海に流されようとしていたその時だった。
ピンポンパンポーン♪
放送室から気の抜けるような呼び出しのコール音が鳴り響き、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
『二年五組の林葉健二君と棚田円香さん、二年五組の林葉健二君と棚田円香さん。至急、体育館に戻って下さい。二年五組の林葉健二君と棚田円香さん、二年五組の林葉健二君と棚田円香さん。至急、体育館に戻って下さい。今はれっきとした授業時間です』
「……」
ほんのりと怒気を含んだその声は、間違いなく我らが担任・岸村香子先生のものだった。この様子だと、お叱りは間違いなさそうな感じである。
「そういうことらしいよ、円香さん。気持ちは嬉しいけど、続きはまた今度にしよう」
「……そうじゃね。あの間抜けなコール音と香子先生の声を聞いたら、あたしも何か冷めたわ」
どうやら、円香さん自身もすっかり『その気』を喪失してしまったみたいだった。
「戻ろうか、今ならまだ大目玉は避けられそうだし」
「……うん」
僕たちは、トイレを出ると大急ぎで体育館へと戻ったのであった。
「いくら自習っちゅうてもクラス委員が男女そろって蒸発してええわけがないじゃろう、少しは考えんと」
「すみません……」
「すみませんでした……」
体育館の入り口で、香子先生に厳しく叱責される。今回ばかりは僕たちに非があるのは明らかで、謝る以外に選択肢など存在しなかった。
「まぁ、体育の先生には黙っちょいてあげるけど、次からはよく考えて責任のある行動を取りましょう」
『はい……』
示し合わせたわけでもないのに、僕たちの返事は何故かハモっていた。
「とりあえず、先生も手伝うけえ残りの時間で体育館とグランドに散乱したタライを片付けようや」
『タライ?』
思わぬ単語を耳にして、またしても円香さんと返事がハモってしまう。
「うん、何か鉄製の大型タライが体育館の天井とグランドの上空から一斉に降ってきたみたいでね、みんな頭上に直撃してのびちょるんじゃわ」
「……」
そんな昔のコントのようなことを現実にやってのける存在に一人だけ心当たりがあったけど、敢えて口には出さなかった。彼女がやったという確証もなければ、僕をのけ者にした奴らや嘲笑した奴らへの彼女なりのお仕置きだと考えれば、極めて正当な行為だと思ったから。
「それはとんだ災難でしたね……でも、先生や円香さんに危害が及ばなくて良かったです」
だから、僕は本心からの気持ちを口にして、真相は心の奥にしまい込んでおいた。
「それでは、タライを片すとしましょう。まずは体育館からですね」
「うん、そうじゃね」
「……ま、健二君と香子先生だけじゃ時間かかるじゃろうけえ、あたしもやっちゃげるわ」
先生と円香さんを先導する形で体育館の中に入ると、トイレの花子さんが可愛らしい笑顔を向けて僕にVサインを出していた。もちろん、その小脇には鉄製の大型タライが抱えられていた。
第28話(弐) ピスからはじまるミラクル
アニメ雑誌を買いに出かけた土曜日の午後、町は猛烈な寒気に包まれていた。
「さ、寒い……」
歩道脇に設置された大型の温度計が、当然のようにマイナスの気温を表示する。天気予報を見ていたので寒波自体は想定内だったものの、まさか氷点下に至るまでとは夢にも思わなかった。
「……」
目的地の本屋にはまだ遠く、このまま歩き続けるにはあまりにも辛すぎたので、僕は暖を取るべく少し寄り道をした。
「いらっしゃいませー!!」
数日ぶりに立ち寄ったスーパー『セントラル・フーズ』に入ると、暖気とともに無駄に元気な挨拶で出迎えられた。相も変わらず店内は客も店員も野郎とオバさんばかりで、脂と皺(しわ)のアンサンブル状態だった。
「……」
こんな店でも時と場合と運の良さ次第では、かのウ〇ルマートをも超えるスーパーへと昇華しうることもある。果たして今日は、本社から左遷(させん)されたレジ打ちの『中山里美ちゃん』と、菓子売り場担当の女の子『瀬野明美ちゃん』は出勤日なのだろうか。一見すると悲惨な顔ばかりが立ち並ぶ店内だけど、念入りに売り場を練り歩いていれば、もしかして。
「おっ」
お目当ての存在は、今回も菓子売り場の陳列に商品を並べていた。残念ながら瀬野さんの方は見当たらなかったけど、里美ちゃんは間違いなくそこにいた。
「……」
一瞬だけ里美ちゃんに一瞥を向けられるも、気付かないフリをして商品を手に取ってみる。おお、今時ロ〇チのドッ〇リマンチョコが売られていようとは。もちろん、そんなことはどうでもよく、今度は僕から里美ちゃんへと視線を向ける。
「……」
里美ちゃんは、僕の視線に気づくことなく黙々とスナック菓子を並べ続けていた。僕は少し動き、今度は別の商品を手に取ってみる。おお、某アイドル伝説のフーセンガムに復刻版が出ていたとは知らなかった。もちろん、そんなことは泡沫(うたかた)の喜びで、再度里美ちゃんの方をチラリと見やる。
「……」
里美ちゃんはスナック菓子を並べ切り、今度は板チョコ類の菓子を陳列に並べ出していた。僕はまた少し動き、あくまで自然体を装いながら別の商品を手に取ってみる。ややや、まさか覗〇けとタイアップしたカレー味の飴がとぐろの形で……
――あっ!
積んであった全部の菓子を並べ終えた里美ちゃんが、台車を押してバックヤードへと消えて行く。僕はあくまで自然体を装いながら、その後に続いたのであった。
店の外に出たので再び寒波が押し寄せてきたが、店内で体を必要以上に火照らせた僕にとってはもう寒くなどなかった。
ガタンッ!
台車置き場に台車を戻した里美ちゃんが、いそいそとトイレに向かう。そして、適度な距離を置きながら、僕もその後に続く。この店のトイレは男女共用で小便器が一つと和式便器が二つという構造で、なおかつ個室の隙間が大きい造りになっていて、僕のような性癖を持つ人間には時として最大級のサービスを提供してくれるラッキースポットなのである。
――奥側の個室に入ったな……
好都合な展開に心身を熱くして、僕は手前の個室に入って鍵をかける。そして、一つ深呼吸をすると下の隙間に顔を擦り付けてその先を覗き見たのである。
「…………」
すぐさま視界に広がる、和式便所に屈んだ里美ちゃんのお尻にペニスが固くなる。以前覗いた瀬野さんほどではないが、彼女のお尻もなかなかのサイズである。
プシャァァァァァ―――ッ……!
里美ちゃんが右手の指をお尻に添えながら、勢い良く放尿する。おそらく商品を並べ終えるまでずっと我慢していたのだろう、その勤労意欲に恐れ入る。
「はっ、はっ……」
プス~~ッ、プッ。
里美ちゃんが、吐息を漏らしながら放屁する。
「うぐっ……」
すかし気味のそれは強烈で、隙間越しからでも臭いが鼻に突き刺さってくるかのようだった。
「うっ、んっ、う~ん……」
臭いに顔をしかめる僕などお構いなしといった具合に、里美ちゃんが気張りながら肛門を開くと、ゆっくりと太めの便が顔を覗かせた。
ムリムリムリムリッ、ミチチッ……ボチャン!
「はぁ、ふぅ、ん~っ……」
ムリッ、ブピピッ、ビリビチッ!
艶めかしい声を上げながら、次々と里美ちゃんのお尻から太いウンチや緩いウンチがひり出される。そのどれもが強烈な臭いで、僕のペニスを激しく刺激していた。
「……」
これだよ、これを待っていたんだよ僕は。こんなものが見れるからこそ、僕はこのスーパーを優良店だと言い続けているんだよ。もう我慢出来ない、家に帰る前にここで一発抜いて帰ってやる……そんなことを考えながら、クチュクチュとお尻を拭いている里美ちゃんに欲情していたその時だった。
チャリンッ!
「しまった……」
うっかり落として響かせたコインの音に反応して、思わず声を上げてしまう。あろうことか、僕は胸ポケットに百円玉を二枚ほど入れていたのをすっかり忘れていたのである。
「…………!」
あわてて立ち上がり、息を殺して沈黙する。おいおい、こんなのがバレてしまったらシャレにもならないぞ。
ザザ~ッ……!
個室の向こうから水を流す音がして、ひとまず安心する。どうやら里美ちゃんは気付かなかったらしく、後は彼女が出てからこっそりと僕も……
ガタンッ!
そんな僕の甘い観測を打ち砕くかのように、仕切りの上から女の子が顔を覗かせた。
「わっ!」
考えるまでもなく、それは先ほどまで僕に排便姿をバッチリ見られていた里美ちゃんだった。
「むーっ……」
里美ちゃんの視線が、僕の顔から股間へと移される。そこには、ズボン越しながら今にも爆発しそうな僕のペニスが、彼女へと照準を定めていたのである。
「いや、違うんだ、これは、その……」
あたふたとしながら釈明を試みるも、もはや言葉にならない。それなのに、ペニスだけは今なおその熱を冷まそうとはしなかった。
「ええけえ、そこにおって!」
里美ちゃんが僕の潜んでいた個室の中に飛び移る。そして、目つきを鋭くさせながら僕へとにじり寄ってくる。
「さっきまで、うちがウンコしよるとこ覗きよったけえチンポが勃っちょるんじゃろ?」
ドン!
里美ちゃんの壁ドンが、僕の顔の真横に炸裂する。どう見ても、これは絶対に逃がさないという雰囲気である。
「この前、瀬野さんのトイレも覗きよったんじゃろ! うちにはお見通しなんじゃけえね!」
「ご、ご、ごめんなさい……君が、君たちが可愛かったから、つい……」
迫力に気圧された僕は、恐怖感も手伝って素直に自分のしたことを認めた。
「こんなにチンポをビンビンにさせて、やらしいんじゃけえ……」
すると、何を思ったのか里美ちゃんは膝を付き、僕のベルトを外してパンツごとズボンを引きずり下ろしてしまったのである。
「ちょ、ちょっと、何やってんだよ」
むき出しとなった僕のペニスを自分の人差し指のサイズと比較して、ニコニコしている里美ちゃんにあわてて声をかける。
「決まっちょるじゃん。うちが手コキして、君のチンポにたまったエッチな汁を全部出しちゃげるのいね」
言うが早いか、里美ちゃんの右手が僕のペニスをソフトに揉んでくる。こうなると、立場的にも状況的にも僕に断れる力はない。と言うか、こんな可愛い子がオナニーの補助をしてくれているというのに、断るなんて有り得ない。
「はは、そういうことなら喜んでお願いするよ。そろそろ出しといた方が、精神衛生的にも好ましいと思っていたからね……」
気持ち良くなるペニスの感触に体を震わせながら、里美ちゃんの肩に手を添える。
「ねえ、君の名前を教えてや。うち、興味のある男の子の名前は覚えちょきたいけえ」
「僕の名前は林葉健二、アニメとゲームが大好きな、現役の高校生だよ。ところで君は……」
「……教えちゃら~ん。この前レジ打った時に、レシート見ながらうちの名前をしっかりチェックして、覚えとるくせに」
「だよね、中山里美ちゃん」
他愛のないやり取りをしながら、どんどんペニスに熱が込められる。やがて、限界点をはるか遠くまで突き抜けたところで僕のペニスは爆発を起こしたのである。
ビュル、ビュルビュルッ! ビュルルル、ビュクッ!!
便器の中へと僕の精子が大量に噴き出される。いつの間にか、個室の中は里美ちゃんの便臭が弱まり、僕の精子臭が強まろうとしていた。
「くっさ~い。健二君のチンポ汁、うちのウンコよりも臭いがキツくて鼻が曲がりそうやわ」
「何だよ、里美ちゃんのオナラやウンチの方がよっぽど臭くて、嗅覚に一生モノの記憶を残しちゃうレベルだったぞ」
里美ちゃんと微笑みを交わし、互いから出されたブツの臭いを笑顔混じりになじり合う。気がつけば、僕と彼女の間には、唐突ながらも男女の関係が出来上がっていたのである。
「ありがとうございましたー」
結局、ホット缶のココアを一本買っただけで、僕はセントラル・フーズを後にした。もちろん、レジを通したのは里美ちゃんのところである。
「……」
あれから、当然ではあるものの精子も全部水に流したのだが、それでも臭いはプンプンと漂い続けていた。しかも、里美ちゃんの便臭と混じり合い、独自の異臭と化してトイレの中を支配していたのである。
――まさか、こんな形であの子と知り合えるなんてね……
だが、僕の中ではそれ以上に、里美ちゃんとのトイレでの甘美な出来事が、繰り返し脳内を駆け巡り続けていた。形としては異常ながらも、官能的な経緯を経て僕は彼女との関係を持つことが出来たのである。
だとすれば、ここから先はそれをより素敵な形に進化させること、それこそが僕のやるべき必要課題である。
「……」
両手で缶をギュッと持ち、ささやかなぬくもりに心を委ねて大きく息を吐く。やがて、里美ちゃんの名前が記されたレシートを胸ポケットにしまい込むと、僕は再び曇天の空の下を本屋に向けて歩き出したのである。