第33話(壱) 円香さんのエッチな好奇心
「ねー健二君、一緒に帰ろうや」
放課後、そんなことを言いながら僕の机に腰掛けてきたのは、クラスメートの円香さんだった。
「帰るって……君と、僕が?」
いつもの冷やかしのように思えたので、一応確認の意味で聞き返す。しかし、円香さんは本気だった。
「当たり前じゃん。あたしもう準備出来ちょるんじゃけえ、健二君も早う支度してや」
「あ、ああ、分かった」
勢いに押された僕は、断る理由もなかったのでいそいそと帰り支度を整える。
「……」
時折、円香さんのお尻が乗っかった机をチラチラと視界に入れながら。
「なに円香、また健二君を構いよるん? 相手にしてもオタク菌をうつされるだけじゃけえ、やめた方がええよ」
「まーちゃん、ええ加減に林葉なんか放っちょきんさい。そんな奴とおっても、ロクなことにならんよ」
そんな時、円香さんの他クラスの友人たちが入って来て、口を挟んでくる。どちらも、円香さんが僕と一緒にいることが気に入らないみたいである。
「いや、ホンマはあたしも放っちょきたいんじゃけど、香子先生にちょくちょく健二君の相手をするように言われとるけえ、仕方がないんよ」
円香さんがうまい具合に担任の――香子先生の名前を出して、女子たちを納得させる。そうこうしているうちに、僕も帰宅の準備が整っていた。
「それじゃあ帰ろうか、円香さん」
「うん、行こうや」
僕が先導する形で教室を出て、その後に円香さんも続く。とりあえず、無視して帰るのも気が引けたので、友人たちにも声をかけておく。
「君たちも、つまらないこと言ってないで早く帰りなよ」
「うるさいっちゃ」「黙れっちゃ」
彼女たちは口々に何か言っていたみたいだったが、僕は気にかけず階段を下りる。
「こらっ、お前たち! また掃除をサボってたそうじゃないか! 罰として、今からグランド30周!」
『ええぇ~~~~!!』
僕たちと入れ違いざまに副担任――笠松先生の怒声が響いてきたが、それでも気にかけることなく校舎を後にしたのであった。
帰り道、僕の右隣を歩いている円香さんはどこか伏し目がちに、こんなことを言ってきた。
「あ、あのさ。あたし、健二君と一緒に寄ってみたいお店があるんよね」
「寄ってみたいお店……って、僕と一緒に?」
どこか曖昧な円香さんの物言いに、今一つ真意が見えてこない。
「よく分からないけど、円香さんの買い物の単なる荷物持ち係とかだったらゴメンだよ」
「いや、そうじゃなくて……あたし、健二君の趣味っちゅうか嗜好っちゅっか、そんな感じのヤツがあるお店に寄りたくてね」
「……」
その言葉を聞いて、少しずつ円香さんの真意が見えてくる。
「あたしだってエッチな漫画を読むことはあるけど、その……たまには、健二君が好きなジャンルのエッチな漫画とか、見たいと思ってさ」
「あ~……そういうことね」
僕は、ここでようやく円香さんの言おうとしていることを理解した。
「つまり円香さんは、スカトロ系のエッチな漫画やDVDを置いている、そんなお店に僕と行ってみたいわけだ」
「そ、そうじゃね。そんな店だとあたし一人じゃ抵抗あるし、友達を誘えるようなところじゃないけえ、健二君と行くしかないと思うて……」
「なるほど。そういうことなら……」
僕は辺りに人がいないことを確認すると、円香さんにそっと右腕を差し出した。
「け、健二君?」
「僕と一緒に行くしかないんでしょ? だったら、恋人同士という形で入店した方が自然だと思うんだけどな」
「……知らないわよ、バカ」
口でそんなことを言いつつも、円香さんがしっかりと僕の腕をつかんでくる。
「か、勘違いせんといてよね。あたし、寒いのが嫌いなだけなんじゃけえ。こうして歩いとった方が、あったかいじゃろ?」
「そうだよね、流石は円香さんだ」
照れ臭そうに頬を染めている円香さんの熱が伝播して、思わず僕まで熱くなる。こうして、僕は円香さんと寄り添いながら、大人の店へと足を進めたのであった。
僕たちが行ったのは、郊外の人通り少ない道に店舗を構えるアダルトショップ『西京書店』だった。この店は全国展開をしているチェーン店の一つで、豊富な品ぞろえが多くの男性の需要を満たしている、ある意味では風俗店以上のオアシスとも呼べる場所だった。
「しかし円香さんが、スカトロ漫画に本格的な興味を示してくれるなんてね。僕もスカトロジストの端くれとして、してやったりな気分だよ」
「うっさいわねぇ。健二君がいつもチンポ勃たせて喜んでるから、あたしもどんな物か見てみたくなっただけよ」
店内で他愛もない会話を交わしながら、入り口から始まる一般向けコーナーをスルーして、垂れ幕の先の成人向けコーナーへと足を踏み入れる。
「むむむ……」「うわっ……」
すると、僕たちの視界一面に、成人向けのアイテムたちが飛び込んできた。書籍・同人誌・DVD・VHS……ありとあらゆる媒体のエロスが、僕たちを艶めかしく誘惑する。しかし、僕は迷うことなくそれらさえもスルーして、その先へと向かう。
「ちょっと健二君、速いっちゃ」
「こんな作品たちを吟味しに来たんじゃないでしょ、わき目を振らずお目当てに急ぐっ!」
何度も通い詰めている手前、アダルトショップとはいえど、どこに何があるかぐらいは既に心得ている。僕は円香さんを先導して、あらゆるジャンルの中で最もハードルが高いと言われている『スカトロ』コーナーへと向かった。
「はい、到着。ここが円香さんが気になっている、僕たちの宝庫だよ」
「こ、ここなん……」
スカトロ関係の書籍やDVDが置かれた売り場を前にして、円香さんの表情が固まる。その顔は、先ほど成人向けコーナーに入った時よりも、一段と困惑気味だった。
「……」
確かに気持ちは分かる。いかにスカトロと言えども千差万別、塗ったり食べたり、果ては男が出すような作品を目の当たりにしてしまえば、流石に初心者が固まってしまうのも無理はない。かく言う僕も、『宝庫』と言いながらもそういった作品に対しては興味がないし、不男の排泄系に関しては売り場から撤去してほしいとまで考えているクチである。
だから、僕は円香さんに比較的マイルドな作品が置いてある棚を紹介してあげた。
「円香さん、そこは上級者の領域だ。僕たちライトなスカトロジストが求むべきは、こっちだよ」
「あっ……!」
マイルドな棚の作品群を見て、円香さんの表情が柔らかくなる。その顔は、先ほど成人向けコーナーに入った時よりも、一段と興奮気味だった。
「どうしたの? エッチな気持ちが、ムクムクとせり立って来ちゃった?」
「べ、別に。健二君のエッチって、やっぱり普通の人とは一線を画してるんだなって思っただけよ」
円香さんが赤ら顔をして、目ぼしい書籍たちをパラパラと眺めて目を瞠(みは)る。その中には、僕の持っているアンソロジー本や、その中の作家たちが出した商業本も含まれていた。
「何なんこれ、ムチャクチャじゃん。見渡す限りお尻とウンチばっかりでヤバ過ぎるじゃろ」
そんなことを言いながらも、円香さんは品定めをするかのように一つ一つに目を通す。まるで、この中から良い物を選んで買いたいがために。
「見てよこれとか、ヤバいを通り越してキモ過ぎるわ」
円香さんが、数年前に発売されたアンソロジー本のカラーページを指し示す。そこには、兄のために自分日常を携帯電話で撮影している、健気な妹の排便姿があった。
「……これ僕持ってるし、オカズに使ったページなんだよね。残念ながらその作家さん、もうアンソロから撤退しちゃったけど」
「そうなんじゃ……こんな上手い絵を描いちょるのに」
つまり彼女はキモいと言いながらも、作家陣の絵のセンスは認めているということだ。
「……」
明らかに落胆の色を見せている円香さんに、僕は少しきらめくものを覚える。
「……何よ、人をスカトロ好きの変態腐女子みたいな目で見ちょるようじゃけど」
「別に。僕はただ、円香さんって普通の人よりもアブノーマルなエッチを理解してくれる、素敵なクラスメートだなって思っただけさ」
「……ワケ分からんこと言わんといてや、漫画に集中出来んじゃろ」
円香さんは、僕に目もくれずそんなことを言い放つと、それからも立ち読みを続けた。僕もその隣で立ち読みを続けながら、チラチラと横目で円香さんの必死な顔を覗き続けていた。
――君も、好きになっちゃったんだね……
こうして、僕たちは大人の店で素敵な放課後を満喫したのであった。
「やだ、紙がないんじゃここ……」
「どうやら、この店のトイレってペーパーは各自持参みたいだね」
買い物の後で便意を催した円香さんは、店の外にあるトイレへと直行した。そして、どういうわけか僕も一緒に連れ込まれていた。
「まぁいいや。健二君、紙持っとるじゃろ? あたし今からウンチするけえ、ちゃんとお尻拭いてよね」
「そりゃあポケットティッシュぐらいあるけど……やっぱり、僕が円香さんのお尻を拭くの?」
「当たり前じゃろ。あたしがお腹痛くなったのは、健二君が変な漫画読ませたせいなんじゃけえね」
自分の腹痛を都合よく解釈しながら、円香さんがお尻を出して段差式の和式便所に屈む。その脇には、さっき買ったばかりのアンソロ本が三冊積み重ねられていた。
「その……今から読むの?」
「読むに決まっとるじゃろ。あたしが自分のお金で買った本をトイレで読んで、何か問題ある?」
「いや、どうぞどうぞ」
円香さんが一番上に積まれた本――高校生の少女が和式便所を逆跨ぎして、お尻をさらしている官能的な表紙の漫画を手に取って、読み始める。
「……」
正直なところ、洋式便所に新聞や文庫本を持ち込んで読む人はたまに見かけるが、和式便所に屈んで漫画を読む人なんて初めて見た。
しかもそれが他の誰でもない、僕のクラスメートの円香さんなのである。
「はぁ~~……」
プシャァァァァァァ…………
円香さんが大きく息を吐きながら放尿する。その間もプルプルと震え続けているミドルサイズの桃尻に、僕はただペニスを膨らませるばかりだった。
「何なんこの子、茂みの陰でウンチしよる。絶対この子って痴女じゃろー」
ブッ、プスッ……ムリムリムリムリムリッ……ビチャッ!
円香さんは漫画の女の子に突っ込みを入れながら、放屁とともに緩めの太長い便をひり出した。もちろん、僕が見ている目の前で。
――全く、これじゃあどっちが痴女だか分かったもんじゃないよ……
口に出して言いたいけど言えないようなことを考えながら、いそいそとティッシュの用意をする。円香さんはその間も、漫画を読みながら排便を続けていた。
ブリブリッ、ポチャン! ブリュッ、ブリリッ! ブリビリビリリ!
「あはは、やだ! この男の子、下の隙間から女の子のお尻を覗き見してる……なんか、健二君みたい」
「だったら、覗かれてるこのお尻のセクシーな女の子は、円香さんだよね」
クチュッ!
「んっ……」
ウンチをしながら笑っている円香さんのお尻にペーパーを当てがってやる――好き勝手な物言いに少しムッとしたので、気持ち強めに。
「結局は円香さんもスカトロ漫画が好きなんだよね。なんだかんだ言ってる割に、しっかり買って読んでるんだから」
クチュッ、クチュッ、クチュチュッ!
右手をお尻に添えながら固定して、左手に持った二枚重ねのティッシュで円香さんの汚れた部分を拭い取る。緩めのウンチの影響か、ベットリ便の感触がいつになく生々しかった。
「変なこと考えんといてよね。あたしは単に健二君の変態ぶりを知りたくて、こういう漫画を買ってみただけなんじゃけえ。あんまり都合よく誤解せんとってよね」
「……ま、そういうことにしておくよ」
素直になれない円香さんに妥協して、僕は彼女のお尻を拭き続ける。二人で過ごす大人の店での放課後は、トイレの中まで素敵な時間で満ちあふれていた。
第33話(弐) 栄養分はお尻から
「そんなのいらねーよ! 俺、薬を飲めば大丈夫だっての!」
月曜日。頭痛が酷くて半日で学校を早退した僕は、帰りに立ち寄った内科でそんな叫び声を耳にした。
――この声って、まさか……
待合室で本を読んでいた僕は、聞き覚えのある女性の声に妙な予感を覚える。すると程なくして、診察室からよく知っている女性が飛び出してきた。
「も、桃美ちゃん!?」
「おお、健二か! 助けてくれ! 俺、看護婦に犯されちまいそうなんだ!!」
「はへっ?」
近所に住むコミケ仲間――桃美ちゃんが、鬼気迫る形相からとんでもない発言を口にする。
「落ち着くんだ桃美ちゃん、いくらなんでも看護婦さんが女の子を犯すなんて、ありえないだろ」
「そうですよ。私は桃美さんのためを思って言ってあげてるんです。逃げるだなんて……あっ」
「あれ、あなたは」
ふと、桃美ちゃんの後から現れた看護婦の顔が見えて、そっちに目を向ける。そこにいたのは、先日僕の隣人宅に出張看護に出向いていた桃色服のナース――有希代さんだった。
「あらあら、健二君じゃないの。今日は学校なのにこんなところに来ちゃって、さては誰かにいじめられたな?」
「いえ、違います。今日は頭痛で早退して、診察と薬目当てで来たんです」
まだ問診票すら書いてなかったので、とりあえず有希代さんに用件を告げておく。
一方で桃美ちゃんは、そんな僕たちのやり取りをキョロキョロとしながら眺めていた。
「えっ……ひょっとしてお前ら、知り合いだったりすんの?」
「そうですよ。彼とはこの前、知人の看護に行ったときに一度会ってるんです……まぁ、それは置いといて」
ガッ!
有希代さんが隙を突いて桃美ちゃんの右手をつかむ。
「桃美さん……ここまで来て、逃げるなんてナシですよ。ちゃんと私に付き合ってもらいますからね……」
「だから薬でいいって言ってるだろうがよっ! なんでそんな面倒臭いことされなきゃなんねーんだよ!」
一度落ち着いたかと思えば、また元の問答に戻っていた。
「……」
こんなやり取りが続いていても埒が明かないし、何より僕の診察が始まらない。だから、僕は――
ガッ。
「け、健二? お前……」
「悪いけど、後がつかえてるんだ。何をされようとしてたのかは知らないけど、ここは彼女の言う通りにしてくれ……有希代さん、行きましょう」
「はい☆」
僕は、空いていた桃美ちゃんの左手をつかみ、有希代さんと一緒に診察室へと引き連れて行った。いくら力自慢の桃美ちゃんといえど、体調不良な状態で二人を相手にするのは分が悪く、僕たちの力に押し負けてズルズルと引きずられていく。
「健二……後でキッチリ落とし前つけてもらうからな、チンポ勃たして待ってやがれ……」
その桃美ちゃんから、どす黒いオーラのようなものが湧き起こっていたような気がしたが、僕は深く考えないことにして先へと進んで行った――
「う~~……」
桃美ちゃんは観念したのかベッドの上にグタリとうつ伏せになって、その時が来るのを恨めしそうに待っていた。その間、僕は有希代さんから事の経緯を聞く。
「にんにく注射?」
「はい、にんにく注射です。桃美さんは風邪を引いているみたいなのですが『すぐに治したい』と言われたので、にんにく注射を打つことにしたんです。そしたら彼女、露骨なまでに拒絶反応を示しちゃいまして……」
「そういうことだったのですね」
有希代さんに言われ、先ほどの桃美ちゃんの狼狽ぶりを理解する。確かに、風邪や疲労には養分を注入する『にんにく注射』が効果的だという話は聞いたことがある。
実際のところ、注入されるのはビタミンであって、単に匂いがにんにくのようだから『にんにく注射』と呼ばれているそうなのだが。
「桃美ちゃん。ただのにんにく注射なら、別にいいじゃないか。君はもう成人なんだし、今さら注射でどうこう言うなんて、大人気ないんじゃないか?」
「うっせーなー、注射は別に構わねーんだよ。だけどな、そいつ……俺のケツに注射しようとしやがったんだよ!」
「えっ……」
先ほどの『犯される発言』に匹敵するようなトンデモ発言を受けて、思わず目を丸くする。あの気丈な桃美ちゃんが注射一つでえらく騒ぐものだから、何かあるとは思っていたけどそういうことだったのね。
「ゆ、有希代さん……」
「それが、当医院の規則で『にんにく注射使用時は、男性は腕、女性はお尻に必ず打つこと』って書いてあるんですよ。もちろん、例外は一切認めないということです」
『…………』
僕と桃美ちゃんは、診察室の壁の掲示板に全く同じことが書いてあるのを同時に見つけて、気まずそうに顔を見合わせる。こうなると、もはや逃げ場はない。
「分かったよチクショウ! そんなに俺のケツに針刺したきゃ、好きにしやがれオラッ!」
桃美ちゃんは舌打ちをして立ち上がると、勢い任せにズボンとパンツを脱ぎ捨て、そのままベッドの上にお尻を突き出して僕たちに向けた。
「も、桃美ちゃん……」
僕の視界に、桃美ちゃん自慢のデカ尻が一面に飛び込んでくる。まるで大きな肌色の桃を見ているかのような感覚だ。
「はいはい、そういうことなら遠慮なくプスリといっちゃいますよ~~」
桃美ちゃんの生尻に気を良くした有希代さんが、消毒液の付いたガーゼでそのお尻を拭きながら、そこを指で突く。
「いいですか? ここに刺すんですからね? 分かってますね、ここですからね?」
有希代さんが、どこかで見たような焦らしプレイを嬉々としながら披露する。どうやら、針を刺し込むのは右臀部の中央部分のようである。
「うっせーよ、早くしやがれこのエロナース!」
「あら、そんなことを言っちゃういけない子のお尻には……!」
プスッ。
「うぅっ!!」
不意を突くかのような針の挿入に、桃美ちゃんがたまらず声を上げる。
「……」
僕は、少しだけ同情しながらベッドの前側に回り、その手を握りしめてあげた。
「け、健二……」
「大丈夫だよ、桃美ちゃんには僕がついてるからね」
桃美ちゃんの両手の上から包み込むように、僕の両手を添える。こんなことをしたって慰めにもならないだろうけど、それでも僕はお尻に注射を打たれている彼女のために何かをしたかったのである。
「はい、終了です」
有希代さんが針を抜き、お尻の刺した部分に撫でるかのようにパッチを貼り付ける。どうやら、無事に注射は完了したみたいだった。
「あ~~……」
桃美ちゃんが精気が抜けたかのような顔をして、安堵の声を上げる。そんな彼女を尻目に、僕は有希代さんに素朴な疑問をぶつけてみた。
「……ところで有希代さん。今日は医師の方、どうされたんですか?」
「それが、東京の講習会に参加されて出払っているのですよ。だから今週は、私が代行として当医院の医師兼看護婦を担当しています」
「そ、そんなことが罷り通っちゃうんですね……」
「はい☆ それじゃあ健二君、次はあなたを診察する番だから、そこにかけて下さい」
医療業界の裏側に戸惑いを覚えながらも、僕は椅子に掛けて有希代さんの診察を受けた。下半身を丸出しにして惚けたままの桃美ちゃんをチラチラと眺め、何度も有希代さんに笑顔で突っ込まれながら――
「おい健二、俺ばっかり恥ずかしいところを見られるなんて不公平だぞ、お前もたっぷりエッチな目に遭わせてやる」
診察後、そんなことを言われて桃美ちゃんに連れ込まれたのは、病院のトイレの個室の中だった。
「も、桃美ちゃん……気持ちは分かるけど、人が来たらマズいから流石にここでするのは……」
「大丈夫ですよ。お二人のために既に閉院してますんで、ここで好きなだけ出して帰って下さい」
目を血走らせている桃美ちゃんの脇で、有希代さんがさり気なくとんでもないことを口にする。だけど、そういうことなら僕も遠慮する必要などなさそうである。
「へへ、そーゆーこった。有希代、お前いい奴だったんだな、感謝してるぜ」
「こちらこそ、素敵なお尻を見せて頂いて、良い思い出になりました……それでは、ごゆるりと」
有希代さんは僕たちに満面の笑顔でウィンクをすると、個室を出てそのままトイレを後にした。これで、僕と桃美ちゃんは二人きりである。
「……ったく、トイレの中――それも和式便所の個室の中での情事だなんて、あまりにも僕たちらしくて笑いが出ちゃいそうだよ」
「ケッ、俺だってお前らがさっき散々ケツを弄(もてあそ)んでくれたもんだから、屁が出ちまいそうだぜ」
ブボボオッ!!
既にズボンを脱ぎ捨てていた桃美ちゃんが、Tバック姿で大きな屁をかます。
「うっわ……」
ただでさえ桃美ちゃんのオナラは臭いのに、密室で出すものだから悪臭が半端ない――ならば、僕だって!
「おいおい、桃美ちゃんのお尻を弄んでたのは有希代さんじゃないか。今日は僕、まだ一度も触ってすらいないだ……ろっ!」
「!」
――ムチュッ!
僕は、桃美ちゃんの隙を突くかのようにその唇にキスをした。
「んっ……んっ……!」
最初は戸惑っていた桃美ちゃんだったが、すぐに高めの背丈を駆使して僕を抱きしめる。
「この野郎……俺はさっきの注射ですっかり元気になったんだ、今日は当分勃たなくなるぐらいチンポしごいてやるから、覚悟しときやがれ……」
「こっちこそ……今日は桃美ちゃんのお尻とオマ〇コ、巨乳ともどもたっぷり味わっちゃうからね……!」
桃美ちゃんを抱き返しながらさり気なく右手でお尻を撫でていると、注射後に貼られたパッチの感触が何だか艶めかしかった。
ギュム!
「さてと……何日溜め込んでたのかは知らねーが、根こそぎ持って行かせてもらうぜ!」
「上等だよ、心行くまでしゃぶり尽くしてくれ!」
桃美ちゃんにペニスを握られながら、来たるべき至福の時間に気持ちを高揚させる。気がつけば頭痛は消え去っていて、僕は全身から性欲という名の力をみなぎらせていた。