※この作品はR-18です。

すかもんっ!   作:Žž‰€—時園礼

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第35話 生誕祭! ちょっとエッチな湯けむり紀行

 平成〇年3月13日。目を覚ました僕に、17回目の朝がやって来た。

 ――ついに来たんだな、この日が……

 しんみりとした気分に浸りながらマグカップにココアを注ぎ、モーニングドリンクをたしなむ。カーテンを開くと、外は見事なまでの快晴日だった。

「…………」

 ココアの甘味に酔いしれながら、ふとこれまでの日々を回顧する。振り返ると、四半世紀にも満たない僕の人生は、いじめと家庭内不和に苛まれ続けていたような日々だった。

 中学卒業とともに家を出て、高校生活の中で多くの理解者や同志たちと出会って毎日が充実するようになったとはいえ、まだまだ改善の余地はある。残念ながら、ここでも僕へのいじめは続いているのだから。

 ――進級後、僕たちはどうなっちゃうのかな……

 来月に迫ったクラス替えを憂いつつ、平日なので学校へ行く準備を整えようとしていたその時だった。

 ドンドン! ドンドン!

 玄関のドアを乱暴に叩く音が耳につく。時刻は朝7時、新聞の勧誘が来る時間帯とも思えない。

「あの……どちら様ですか?」

 僕がおそるおそるドア越しに尋ねてみると、玄関の向こうから聞き覚えのある声が届いてくる。

「健二君! 私よ、早紀よ! いつまでもチンポを勃たせてないで、早く出てきなさい!」

「さ、早紀先生!?」

 言葉の内容はさて置き、こんな朝から僕の家を訪ねて来たのは学校の養護教諭――早紀先生だった。

「わ、分かりました、開けます、開けますから大声でそんなことを言わないで下さい」

 自宅の玄関前で大胆な言葉を連呼されるのも嫌なので、鍵を開けてすぐに玄関を開く。すると、待ってましたと言わんばかりに眼前でクラッカーが三つほど鳴らされたのであった。

「うわっ」

『健二君、お誕生日おめでとう!』

 和紙で出来た色鮮やかな紙吹雪とともに、黄色い祝福を一斉に浴びる。そこにいたのは早紀先生と担任の香子先生、そしてクラスメートの円香さんの三人だった。

「ハッピーバースデー健二君。和紙を詰め込んだジャパニーズクラッカーの祝砲は、気持ち良かったかしら?」

「いや、なにぶん初体験なもので、今一つ実感がわかないです」

 艶めかしい手付きで股間を愛撫してくる早紀先生にとりあえず無難な返答をよこす。

「健二君、おめでとう。これからも先生たちと一緒に学校生活を頑張って行こうや」

「ありがとうございます。ですが、どうして先生たちがこんな朝早くに僕の家に来られたのですか?」

 香子先生に改めて祝福されながらも、素朴な疑問を口に出してみる。だが、その問いに答えたのは先生ではなく円香さんだった。

「決まっちょるじゃろ。健二君、今日は学校休んであたしらと一緒に日帰りの温泉旅行に行くんよ」

「はい?」

 唐突な展開に思わず目を丸くする。しかし、そんな僕に構うことなく早紀先生は先を急がせるのであった。

「ほら。円香さんが用件を伝えたんだから、さっさと着替えて支度する!」

「は、はい、ちょっと待ってて下さい」

 一旦ドアを閉めて、僕は部屋に戻り外出の準備を整える。もちろん、香子先生たちへの感謝の気持ちとともに。

 ――みんな……ありがとう、僕のために……

 少し目が潤んでいたような気もしたが、その辺りは顔を洗って有耶無耶にしておいた。

 

 

 僕たちは早紀先生の運転する車の中で、山間部の温泉宿へと向かっていた。宿とは言えど、宿泊はしないのだが。

「……じゃあ、先月から僕の知らないところで話が進められていたんですか」

「そうよ。私と香子と円香さん、それから笠松先生の共同出資の元で、健二君に最高のバースデイをお届けするために2月の中旬から計画は練られていたのよ」

 運転席の早紀先生が助手席の僕に事の経緯を説明する。どうやらこの日帰り旅行、僕にとっては想定外でも彼女たちにしてみれば既定路線だったみたいである。

「残念ながら笠松先生は香子の代行で来られないし、私も保健室を空けられないから健二君たちを送ったら学校に戻るけど、あなたは気兼ねせずに香子たちと楽しんでらっしゃい」

「はい、ありがとうございます」

 副担任である笠松先生が不参加なのは仕方がないとして、早紀先生も送迎だけで実質不参加になってしまうのか。まぁ、こっちも仕方がないと言えばそれまでだけど。

 ――それにしても……

 横目でチラリと後部座席を見やる。案の定、香子先生と円香さんはシートの両端に座っていて、真ん中に一人分のスペースを空けていた。言わずもがな、これが彼女たちの距離である。

「健二君。円香さんがおるのは賛同出来んのんやけど、今日はええ誕生日にしようね」

「健二君。香子先生はただのオマケ……もとい、保護者代わりの引率役なんじゃけえ、あたしと楽しもうね」

「…………」

 後部座席から、早くも嵐の予感を漂わせるような言葉が口々に飛んでくる。僕は少し思案して、自分が考えられる限りの中で最も無難な言葉を口にして、彼女たちに向けた。

「今日はせっかくの僕の誕生日なんだから、参加してくれる人は概ね歓迎します。円香さんは僕の大切なクラスメートなんだから、文句は言いっこなしですよ、香子先生」

「ま、まぁ、言われてみりゃあ、そうかもしれんね、うん……ちょっと先生大人気なかったわ」

「円香さんも、香子先生は大人として心許ない僕たちを見守ってくれる立場なんだから、もっと敬う気持ちを持たないと」

「……そうじゃね、ごめん。あたし、何か舞い上がり過ぎちょったわ」

 二人とも僕の言葉を受けて素直に自重してくれる。どちらも時折行動や言動に行き過ぎるところがあるけれど、こういう側面があるからこそ僕は彼女たちを心から信頼しているのである。

「流石は健二君ね。私が参加出来ないのは残念だけど、帰る頃にはどうなっているのか楽しみだわ」

 早紀先生は前を向きながらも、余裕の笑顔で僕たちの様相を楽しんでいるかのようだった。

 やがて、車は件の温泉旅館『春野温泉』へと到着した――

 

 

「すみません。今日ここを予約しちょった岸村という者ですが……」

 既に早紀先生はおらず、香子先生と円香さんが一緒にフロントで手続きを進めている傍らで、僕は春野温泉の内装をぼんやりと見渡していた。どうやらこの温泉旅館は、僕の想像を上回る程にひなびている施設のようだった。 

 ――おいおい、大丈夫なのかよここ……

 ところどころが剥がれ落ちている壁や床の塗装。明らかに光が弱すぎる天井の豆電球。派手に破れているロビーのソファ。どう贔屓目に見ても、二つ星どころか星一つ付けることさえためらいたくなるレベルである。

 もちろん、みんなの好意を受けている立場上、文句を言うつもりはないのだけど。

「……」

 程なくして尿意を覚えた僕は、受付にいる香子先生に近づいてそっと声をかける。見たところ、今しがた記名を済ませて手続きを終わらせたみたいだった。

「先生、ちょっとトイレに行ってきます」

「そうかね。うん、先生たちは二階の『香(かおる)の間』におるけえ、後で来んさいね」

 香子先生にことわりを入れると、僕は気持ち足早に受付から少し離れたトイレへと向かった。

 

 

 ひなびた施設の内部では、トイレもやはりそれ相応、もしくはそれ以上に年季の入った造りになっていた。

「…………」

 古いトイレの代名詞でもある男女共用で、小便器は自分で流せない自動洗浄型が二つと、木製のドアと仕切りに囲われた和式の個室が一つ。しかし、そのドアと仕切りはあまりにも小さく、下の隙間が丸空きで床に顔をすり付けなくても中が見えてしまう、そんな構造だった。

 ――これは、ぜひとも香子先生と円香さんに使ってもらいたいな…… 

 放尿と手洗いを済ませ、そんなトイレに僕が淡い期待を抱いていたその時だった。

「あ~漏れちゃいます漏れちゃいます!」

 入り口のドアが開き、着物姿の若い女性が甘ったるい声音でトイレの中に入ってくる。

 ガチャリ!

 そして、そこにいた僕に見向きもせず、個室の中に入って鍵をかけたのである。

 ――この展開は……!

 僕は反射的に体を屈めて大きな隙間を覗き見る。すると、すぐに女性の丸いお尻が視界に飛び込んできた。

「はっ、はっ……」

 プシャァァァァァァァァァァ――――――…………!!

 女性が吐息を漏らしながら滝のような放尿をする。その勢いは強く、それた飛沫が便器の縁に飛び散り続けていた。

 ――これは良い眺めだ! 

 僕は密着しそうな勢いで女性のお尻に顔を肉迫させる。だが、女性は下半身を軽く振るうとペーパーを使用せず、そのままスッと立ち上がったのである。

 ザザ~~ッ!

「やばっ」

 僕もあわてて立ち上がり、鍵が開いてドアが開かれるそのタイミングでうまくトイレから逃走する。少し危なかったものの、これがこの温泉旅館に来て良かったと思えた最初の収穫だった。

 

 

「皆様、今日はようこそ当旅館においで下さいました」

「あっ」

 僕たちの予約部屋『香の間』に、先ほど見たばかりの女性が現れて、思わず声が出てしまう。間違いなくその人は、ほんの数分前にトイレを覗いた着物の女性だったのである。

「私、当旅館の代表を務めている、春野瑞葉(はるのみずは)と申します。以後おしり……もとい、お見知りおきを」

『はい』「は、は、はい……」

 香子先生と円香さんにやや遅れ、ぎこちない返事をする。つまり、先ほどの女性――瑞葉さんは、この旅館の若女将ということか。その割に、あまり風格や威厳のようなものは感じないのだけど。

「それでは、当旅館を利用するにあたって、二つほど注意点があるので覚えておいて下さいね」

 瑞葉さんが人差し指を立てて、僕たちの眼前でワイパーのようにスライドさせる。最近こっちの業界は、こんな説明方法が流行っていたりするのだろうか。

「まず一つ。当旅館の温泉は混浴なので、異性に裸を見られることは承知の上で使うこと。よろしいですね?」

『……』

 いきなり大胆なことを聞かされて僕たちは思わず固まってしまう。だけど、僕としては特に問題ない。

「別にいいですよ。見られて減るもんじゃなし、代わりに彼女たちの一糸まとわぬ姿が見れるのなら安いものです」

「ま、まぁ……心を許せる生徒たちの前で裸になるぐらい、私としては許容範囲内と考えて、ええことにしちょきます」

「私もええですよ。健二君のチンポも香子先生のグロ〇ンも、見たところで別に騒ぐほどのもんじゃないし」

 さり気なく問題発言が飛び出していた気がしないでもないが、混浴に関して香子先生も円香さんも抵抗がなさそうなのでとりあえず安心する。

「良かった。皆様、とてもエッチで心の広い方ばかりで嬉しいです」

 瑞葉さんが花が咲いたように喜びながら次の説明に入る。

「それともう一つ。当旅館のお客様用トイレは原則としてこの二階だけなので、一階のトイレは使わないこと」

「あっ……」

 先ほどに続いてまたしても声が出てしまう。間違いなくその原則は、ほんの数分前に僕が破ったばかりだったのである。

『……』

「いや、そんなルールさっきまで知らなかったわけだし、仕方がない仕方がない」

 香子先生と円香さんの気まずそうな視線が僕に向けられる。一方で、瑞葉さんはどこか楽しそうな笑顔を浮かべていた。

「あ、気になさらないで下さい。これはさほど重要なことでもございませんので」

「そ、そうですよね……まさかこんな温泉旅館に従業員専用のトイレなんてあるはずが……」

「ですが、女性のお尻を覗き見て、おチンポ様を勃たせるのはやめて下さいね☆」

 ギュム。

 微妙なフォローと忠告を受けながら、笑顔の瑞葉さんにペニスを握られる。

「それでは皆様、本日はゆっくりお寛(くつろ)ぎ下さいませ」

 瑞葉さんは深々と一礼をすると、楚々とした足取りで香の間を後にした。

『…………』

 直後、両脇から冷ややかな視線が僕に向けられる――当然と言えば、当然なのだけど。

「健二君。こんな日に、こんなところに来てまでトイレを覗くっちゃあ、ホンマにお盛んな子じゃね」

「さっきからチンポが勃っちょったのって、あの人のこと考えよったんじゃ……健二君、エッチすぎじゃろ」

「いや、これも本能と言うか、煩悩の力が強くて抗えなかったって言うか……」

 僕は言葉を取り繕いながら、なんとかその場を切り抜けることに成功した。そして、僕の素敵な誕生日が本当の意味で幕を開けるのは、ここからだったのである――

 

 

 香子先生と円香さんが一足先に露天風呂に向かった後の脱衣所で、僕はいそいそと服を脱いでカゴの中に折り畳みながら投げ込んでいた。

「……」

 僕が収めているカゴの両脇にある、彼女たちの脱いだ衣類に目が泳ぐ。どちらもカゴの中に丁寧に入れてあったものの、一番上にパンツを広げて置いていたのである。

 ――香子先生と円香さんの脱ぎたてパンティ……しかも、どっちもTバック……

 いつも見慣れている二人のTバック姿ではあるけれど、こうして脱ぎ捨ててあるのを見ているとまた違った興奮が湧き起こってくる。

 ――別に盗るわけじゃないんだ、これぐらいなら……

 僕は二人のTバックに鼻を寄せて、その芳香をスンスンと嗅いでから露天風呂へと足を踏み入れた。

「おぉ……」

 視界に広がる自然に囲まれた景観の美しさに目を瞠る。だがそれ以上に僕の目を引いたのは、その身を湯船に浸している香子先生だった。

「健二君、来てみんさい。ええ湯じゃけえ」

「はい、ご一緒させていただきます」

 言われるまでもなく、石の床を歩きながら僕も湯船につかり、先生の隣に並ぶ。湯船の中は天然の温泉と言われるだけあって、やはり家のそれとは違う心地良さがあった。

「ほんと、気持ち良いですね……こんな場所で先生と裸の付き合いが出来ちゃうなんて、今日は最高の誕生日です」

「うん、健二君にそこまで喜んでもらえたんじゃったら先生も嬉しいわ」

「先生と裸で隣り合っていられるんだから、僕も嬉しいです」 

 僕は喜びを口にしつつも手をのばして先生のあそこを触る。

「そういえば円香さんはどうしたんですか? さっきから見かけませんけど」

「うん。それが先生の近くにおるのが嫌みたいで、ちょっと離れたところでお湯につかちょるみたいなんよね」

「それは寂しいですね。こんな時ぐらい、もっと先生と親睦を深めればいいのに」

 円香さんの素直になれない性格を残念に思いつつ、僕はもう一度手をのばして先生のあそこを触る。

 ギュム!

「うくっ」

 すると、僕のペニスに馴染み深い手の感触が響いてきた。それは、いつの間にか僕の隣に座っていた円香さんの左手だった。

「ま、円香さん……」

「さっきから見よったけど、健二君って香子先生のグロ〇ンがホント好きなんじゃね。こんなにチンポ勃たしてから触りまくっちゃってさ」

 円香さんに飽きれたような怒ってるような、そんな目を向けられる。一方の先生は、キョトンとしたような目でじっと僕を見据えていた。

「まぁ、健二君もやっぱり先生のことが気になるんじゃけえ、しょうがないわいね。先生は別に触っても揉んでも構わんけえ、遠慮せんと続きをしようや」 

 ギュム。

 先生の手が僕のペニスにのびてきて、先に握っていた円香さんの手まで包み込む。

「勝手なこと言って、健二君のチンポを私物化せんとって下さい。あたしが先につかんじょるんです」

「そうは言うても、健二君が勃たせちょるのは先生の裸を見ちょるけえじゃろう。円香さんはまだ高校生なんじゃけえ、自重せんにゃあ」

 気がつけば、僕のペニスを巡って両脇で妙な争いが繰り広げられていた。

「……大体先生は、健二君がいじめられよるの知っちょってから、何も手助けとかせんじゃん。そんな頼りない担任に、健二君のチンポは任せられんわいね」

「円香さんこそ一年の頃からクラスメートじゃったのに、健二君を見殺しにしとったんじゃろうがね。そんな子に健二君は譲れません」

 二人の舌戦が僕の体に密着されながら加速する。いつの間にか、香子先生の巨乳と円香さんの普乳の谷間に腕をすっぽりと挟まれていて、僕は今にも絶頂を迎えそうだった。

「まあまあ二人とも、こんな日ぐらいケンカしてないで、もっと親睦を……」

『健二君は黙っちょきんさい!!』

 仲裁を試みるも、ものの数秒で玉砕されてしまう。

 ――ま、マズいな、これは……

 いくら気持ち良いとはいえ、公共の温泉で射精したとあればただで済まないのは間違いない。

「くっ……」

 下半身に力を入れて、僕が迫り来る快楽の波に必死で抗っていたその時だった。

 グルルルル……!

 ふと、お腹の鳴る音が聞こえてくる。そして、それに伴うかのように香子先生と円香さんが僕のペニスから手を離して、お腹をおさえ始める。

「んっ……」「痛っ……!」

 二人とも表情が険しく、明らかに具合を悪くしているような顔である。

「先生、円香さん……これは一体……」

 そんな中、気の抜けるような声とともに、瑞葉さんが着物姿のままで僕たちのところにやって来る。

「ごめんなさ~い、大事なことを伝えておくのを忘れてましたぁ~~」

「どうしたんですか瑞葉さん、今連れの二人が腹痛を起こしてるんですから、お話はまた後に……」

「それが、そのことで言わなければならない大事なことがあったんですぅ」

 瑞葉さんが僕の言葉を遮って、ふんわりしたノリで話を続けてくる。だけど、急激な腹痛に苦しんでいる先生たちを見ていると、あまり彼女に構っている余裕はない。

「だから何なんですか、その『大事なこと』ってヤツは。まさかこの温泉に秘密でもあるって言うんですか」

「はい☆ 実はこの温泉、女性限定でとっても便通を促進する効能があるんです」

『…………』

 僕たちは絶句して、一斉に顔を見合わせる。つまり、先生と円香さんを襲っているこの腹痛は偶発的ではなく、起こるべくして起きている、当然の腹痛だったのである――――

 

 

 僕たちは大急ぎで体を拭いて服を着ると、春野温泉2階の客人用トイレに直行した。もちろん僕は、香子先生と円香さんの排泄介助役である。

「良かった良かった。こういうトイレなら、まとめて出来るから僕にとっては万々歳です」

 目の前にある、二つ並んだ段差式の和式便所に屈んでいる先生と円香さんのお尻を交互に眺めながら、満面の笑顔とともにその膨らみを愛撫する。そう、この旅館の客人用トイレには仕切りがなく、和式便所が二つ並んでいるだけの『ニーハオトイレ』だったのである。

「そうじゃね。先生もこんなトイレでウンチするのは初めてじゃけえ、何か複雑じゃけど幸せな気分じゃわ」

「……先生ってアホじゃないん? あたし、こんな便所で先生とお尻並べてウンチするとか最悪の気分じゃわ」

 左側に跨る先生が恥じらいながらもどこかご満悦な具合なのに対して、右側に跨る円香さんは明らかに不満そうだった。

「まあまあまあ、言いたいことはあるかもしれないけど、とりあえずトイレを済ませようよ」

 円香さんのお尻をもう一度撫でながら、彼女の気分を和らげる。

「じゃあ、先生ウンチするね」

 先生はそんな僕を尻目に肛門を開くと、温泉効果ですっかり促された便を一斉にひり出した。

 ムリムリムリムリムリ……ムリムリッ、メリリッ! ムリュッ、ムリリリッ! ブピッ、ブブブブッ! ブリリリリリッ!!

 ひり出された先生の緩めの便たちが便器の中に山を作り、トイレの中で臭いを充満させる。しかし、便臭が激しさを増すのはここからだった。

「いい加減お尻から手を離してよ、あたしも今からウンチするんだからさ」

「あ、ごめん」

 僕が撫で続けていたお尻から手をどけると同時に、円香さんも肛門を開いて脱糞した。

 ムリムリムリムリムリ……ムリムリッ、メリリッ! ムリュッ、ムリリリッ! ブピッ、ブブブブッ! ブリリリリリッ!!

 円香さんも先生と同じような音を立てながら排便して、便器に山を作る。何の因果か、円香さんのウンチは音だけでなく、量や便質までもが先生に酷似していた。そして、キツい便臭も……

「これは奇跡的だね。温泉の効能かどうかは知らないけど、二人の女性が似たようなウンチをする光景なんて初めて見たよ……とてつもなく臭いけど」

「いや、臭いのは円香さんのウンチの方で、先生のはそんな臭くもないんじゃないかね」

 プシャァァァァァァァ…………

 先生が自分の便を正当化しながら放尿を開始する。

「違うっちゃ。健二君、先生のデカ尻から出てきたウンチが臭いけえ、あたしの分も臭う感じるだけなんじゃけえね」

 プシャァァァァァァァァァァァ~~!

 円香さんもやはり自分の便を正当化しながら放尿する――僕に言わせれば、どっちもどっちなのだが。

「……何でもいいから早く済ませようよ。僕だって、いつまでもこんなトイレの中に居続けるのは精神衛生的にキツいからさ」

『健二君、お尻拭いて欲しいんじゃけど……』

「えっ」

 下の介助要請を同時に受けて、思わず固まってしまう。そういえば、お尻を拭かないとトイレを出るにも出られないのである。

「先生。大の教師がええ年して、生徒にお尻拭かせるとか冗談やめて下さい。健二君にはあたしのお尻を拭いてもらいます」  

 ブボオッ!

 円香さんが強い意思とともに大きく放屁する。しかし、香子先生も負けじとやり返す。

 ブウゥゥゥッ!!

「円香さんはまだ高校生なんじゃけえ、男の子にお尻を拭いてもらうとか、そんなプレイをして許されるような年頃じゃなかろうがね」

 温泉に続き、トイレの中でも便臭とともに妙な空気が流れ出す。こうなってくると、解決させるには僕が機転を利かせることただ一つである。  

「…………」

 僕は両手をそっと二人のお尻に添えると、そっと愛撫しながら彼女たちの気を鎮めた。

『健二君……』

「先生、円香さん。二人の気持ちは分かるけど、今日は僕の誕生日なんだから、僕のために言い争うのはこのぐらいにしてもらえないかな」

 ハモる二人に優しく声をかけて、それぞれの頬にキスをする。

「あっ」「や、やだ……」

「お尻を拭くことなんだけど、僕に考えがあるんだ。どちらにも悪いようにはしないから、協力をしてほしい」

 僕は備え付けのペーパーを手に取ると、二つちぎってそれを両手に持つ。

「先生も円香さんも、両手でちゃんとお尻を持っていてね」

「う、うん」「分かった」

 二人が同時にお尻の端に指を添えて動かないように固定する。そして僕は左手で先生の、右手で円香さんのお尻を拭き始めたのである。

「やだ、これって何かすごくエッチな感じがするんじゃけど」

「何だよ。ウンチの後でお尻を拭くのは当然の行為なんだから、エッチもタッチもないだろ」

 くすぐったそうにしている円香さんに軽い突っ込みを入れながら、ペーパーをクチュクチュと彼女の肛門周りで掻き回す。

「健二君……ようこんなこと考えつくね、先生こんな発想はなかったわ」

「上級者たちの影響です。同じエッチ漫画でも、僕が読んでいるのを描いてる人たちって、概ね素でぶっ飛んだような方々ばかりですから」

 先生に微妙な感心をされながらも、二拭き目のペーパーで彼女の局部にも手を這わせる。

 そうやって二人のお尻と局部を拭き続けながら、僕は彼女たちにお礼の言葉を向けた。

「先生。今日は僕のためにありがとうございました。円香さんも、僕に付き合ってくれて本当に嬉しかったよ」

 それは、社交辞令でも偽りでもない心からの僕の気持ちだった。

「ま、まぁ、健二君がそこまで言うてくれるんじゃったら、円香さんが来たことにも意味があったんかもしれんね」

「……健二君に免じて、今日は香子先生がおって良かったっちゅうことにしとくわ。ま、おらんよりかはマシってレベルじゃけど」

 僕の言葉を受けて、先生と円香さんも互いのことを少しながら認め合ってくれたみたいだった。

「それで良いんです、先生。円香さんも、模範解答だよ」

 僕は二人のやり取りに安堵して、それからもしばらく両手でお尻を拭き続けていた。

 色々と慌ただしくもあったけど、今日という日が人生で最高の誕生日となったことだけは、間違いなさそうだった。

 

 

 夕方。僕たちは迎えに来た早紀先生の車に乗って、それぞれの家へと帰宅した。だけど、帰りの車中での記憶はほとんど残っていなかった。何故ならば、後部座席で香子先生と円香さんの間に座っていた僕は、彼女たちに寄り添われるかのように、ずっと一緒に眠っていたのだから―――― 

 

 

 帰宅後、僕の家の玄関前に巨大な紙袋が鎮座されていた。中を覗くと、未使用のトイレットペーパーが50個近くギッシリと詰め込まれていた。そして、ドアの前には笠松先生の筆跡でしっかりとこんな貼り紙がついていたのである。

『健二君へ 誕生日おめでとう。私を筆頭に同志たちより祝福の意を込めて、ここにトイレットペーパー半年分を贈呈する』

 ――笠松先生…………

 先生の貼り紙を手に、改めて胸に熱い気持ちが込み上げてくる。どうやら、最後の最後で本当にこらえていた涙腺が決壊しそうな雰囲気だ。

 ――みんな、ありがとう! 僕、これからも頑張るからね!

 僕は紙袋を手に、鍵を開けて我が家へと帰還した。半年分のトイレットペーパーとあふれ出そうな涙、そして――かけがえのない思い出たちを連れて。

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