春休み。僕は桜咲く夜の並木道を一人、漠然と歩いていた。
――本当に終わったんだな、高校2年生の日々が……
3日前に催された修了式の実感が、今頃になって胸に込み上げてくる。当たり前の話だが、あの日をもって僕の高2のスクールライフは終わりを迎え、敬愛する香子先生は担任ではなくなってしまったのである。
「3年生になっても、皆さんが充実した学校生活を過ごせることを先生は願っちょります」
そんな言葉で初担任の最後の責務を締めくくった先生の姿は、僕がこれまで見てきたどんな担任教師たちよりも美しく輝いていた。おそらく、僕の人生でこれほど愛を捧げられる教師と巡り会うことなど、今後永久に有り得ないだろう。それほどに、僕の中では先生が――岸村香子という女性が、かけがえのない人になっていたのである。
「……」
果たして、運命の女神は来年度も先生のクラスに僕を導いてくれるのだろうか。それ以前に、先生は異動もなく繰り上がって3年生のクラスで担任を務めさせてもらえるのだろうか。
色々と考えているうちに、僕は並木道を抜けていつの間にか一水公園に足を踏み入れていた。
「す、すごい……」
視界に広がる幻想的な光景に、思わず息を呑む。僕の目の前では、今まさに古い電灯たちに照らされた夜桜たちが突風に煽(あお)られて、桃色の吹雪を舞い散らしていたのである。
人気もなく、僕一人が迷い込んだかのようなその空間は、まるで映画のワンシーンのようだった。
――この光景、しっかり目に焼き付けておきたい……
僕が瞬きもせず、目を見開いて眼前の世界を凝視していたその時だった。
「キャ~~!!」
ふと、女の子と思おぼしき大きな悲鳴が近くから響いてくる。
――あの声……まさか!
僕はとっさに声のした方へと足を走らせ、事態の確認を急ぐ。すると、そこにはつい先日までクラスメートだった同級生――円香さんがいた。……突風に、スカートを大きくまくられながら。
「もう! 何なん、この風はっ……って、健二君!?」
「ど、どうも……」
円香さんは両手で必死にスカートの前側をおさえていたものの、後ろ側は全くのノーガードだった。そして、僕は彼女の背後にいた。つまり、露となったスカートの後ろ側が僕からは丸見えなわけで――
「ピ、ピンクのTバック……」
「ちょっと、何見よるんね! あっち向いちょきんさいや!」
円香さんに激しい拒否反応を向けられながらも、僕の視線は彼女のお尻を凝視する。困ったことに、あまりの衝撃的な展開を前にすっかり体が固まってしまったのである。
「ごめん、全身が硬直状態で顔が動かせないんだ。だから、風が止むまでこのままでいさせてよ」
「……後でたっぷりお返しさせてもらうけえね」
円香さんの冷ややかな視線を受けながらも、僕はその言葉に甘えて彼女の美尻を堪能した。本当は風が止む前に既に硬直は解けていたのだけど、やはり湧き起こるリビドーには抗えなかったのであった――
数分後、僕は円香さんと一緒に近くのベンチに座り、桜を見ながら寄り添い合っていた。
「……ねえ、どうじゃった?」
「どうじゃったって、何が?」
「…………」
ギュム。
聞き返したのが気に食わなかったのか、円香さんが拗ねた目をして膨らんでいた僕のペニスを握ってくる。
「分かるじゃろ? こんなにチンポ勃たしちょって、知らんとは言わせんよ」
「……ああ、そういうことね」
円香さんの言葉でようやく察した僕は、正直な感想を口にする。
「もう大分見慣れているから、今さらだとは思うけど……今日もキュートでセクシーな美尻だったと思うよ」
「そう、ありがとう」
円香さんは褒められたことに気分を良くしたのか、僕のペニスを指で弾いて納得の表情を浮かべる。どうやら、少し機嫌は直ったみたいである。
「それにしても、円香さんはどうしてここに来てたの?」
「あたしは単に夜桜が見たかっただけじゃけど、健二君こそ何しにここに来とるん?」
「僕も概ねそんな感じかな……ま、さっきは不可抗力でもっといいものが拝めたわけだけど」
似たような理由で円香さんがここに来ていたことに安堵して、思わず先ほどのハプニングを蒸し返してしまう。
「…………」
案の定、円香さんは再びむくれ気味になって僕を見据えていた。
「健二君って本当にエッチじゃね。そんなんで、ようクラス委員が務まったと思うわ」
「……担任と女子のクラス委員がサポートしてくれたおかげだよ。ね、円香委員長」
先ほどの仕返しの意味で、スカートの上から円香さんの局部に手を添えてやる。
「やだ、どこ触ってんのよもう」
そんなことを言いつつも、円香さんは一切の抵抗を見せようとはしなかった。
「……円香さん。3年生になっても、同じクラスになれたらいいね……出来れば、担任は香子先生のままで」
「あたしも同じ気持ちかな……香子先生のことはどうでもええけど」
進級後のささやかな願いを口にしながら、僕たちは至近距離で互いの瞳を見つめ合う。
「健二君……」
「円香さん……」
目を閉ざした円香さんの唇に、僕が自分の唇を重ね合わせようとしていたその時だった。
「キャ~~~~!!」
ふと、女の子と思しき大きな悲鳴が遠くから響いてくる。今回は明らかに小学生ぐらいの少女の声である。
「健二君、あれって……」
「ああ。間違いない、急ごう!」
僕は円香さんと一緒に、声のした方へと全速力で向かった。根拠はないけれど、今回の悲鳴はそこで穏やかではない出来事が起きている、そんな予感がしていたのである――
事件は公園の中心部――大型時計台の手前で起こっていた。
「やめてよ、離してっ!」
「うるさいっちゃ! あたしらに文句を言うたらどうなるか、体に教えちゃげるけえ覚悟しんさいよ!」
僕のコミケ仲間――未衣ちゃんが、僕の学校の同級生――麻梨乃たちに押さえつけられて、今まさに縄で縛られていたのである。
「やめないか、君たち!」
目の前の光景に怒りを覚えた僕はとっさに止めに入る。しかし、女子連中はそんな僕を見て鼻で笑い出したのである。
「あれ、健二君じゃん。何しに来たん?」
「何しに来たじゃないだろう。その子に何をしているんだ」
憎々しい口調でしれっと言い放つ麻梨乃に苛立ちを感じつつも、すぐに本題へと切り込む。
「林葉には関係ないじゃろ? この子がうちらに文句言うてきて生意気じゃけえ、躾(しつけ)をしてやろうと思っただけっちゃ」
僕の質問を麻梨乃の代わりに彼女の腰巾着A――ユリカがドヤ顔で答えてくる。
「文句……だって?」
麻梨乃たちの周囲を見渡すと、薄汚れたゴザの周りに空のコンビニ弁当やビールの空き缶が散乱していて、公園の景観をぶち壊しにしていた。
「ねえ、それって単にゴミを散らかしよるあんたらを未衣ちゃんが注意しただけじゃないん?」
「知るかっちゃ。あたしらの花見にガキがケチ付けるのが悪いんじゃろうが」
円香さんの最もな指摘を唾棄するかのように麻梨乃の腰巾着B――マキコがあざ笑う。
「で、健二君はあたしらにどうしてほしいん? どうせこのガキを解放してほしいとか、そんなことじゃろうとは思うけど」
麻梨乃が手足を縛られ横たわっている未衣ちゃんの後頭部をつかんで、グリグリと彼女の顔面を地面に押し付ける。
「け、健二お兄さん……未衣は大丈夫だから、逃げた方がいいよ……ほら、円香お姉さんも」
「未衣ちゃん……」
恐怖の渦中にありながらも顔を上げ、未衣ちゃんが僕たちだけでも逃がそうとしてくれる。その顔は赤く腫れていて、女子連中の誰かに頬をぶたれていたのは間違いなさそうだった。
「ええ加減にしんさいや! あんたら小学生相手にこんなことして恥ずかしゅうないん!?」
そんな中、僕よりも憤怒の表情を浮かべていた円香さんが怒りの声を上げた。
『……』
しかし、そんな円香さんの正義感もまた、麻梨乃たちの前では嘲笑に値する言葉に過ぎなかったのである。
「なんかっちゃ! いつも学校であたしらのこと見下しちょるくせに、こんな時ばっかりええ顔すんないや!」
「そうっちゃ! うちらがオタクのグループじゃけえってナメんなよ、ベロベロべェ~~」
「うざいのっちゃ! ヤリマン女はとっとと帰って下痢グソでもして寝とけっちゃ!」
麻梨乃たちが下劣な言葉で次々と円香さんを罵倒して、閉口させる。その顔は醜く、こんな状況下だというのに思わず笑いが漏れそうなほど歪みねじれているように見えた。
「……」
確かに彼女たちの言う通り、円香さんのグループは何度となく麻梨乃のグループを罵り、誹謗中傷を繰り返してその度に校内で衝突を起こしていた。
だけど僕は知っている。その中で、円香さんだけは決して麻梨乃たちの悪口を言うことはなく、常に仲裁役に回っていたことを。そして、その仲裁がなければ円香さんの仲間内の手で、麻梨乃たちなどとうの昔に半殺しにされていたことを――
「いい加減にしないか。学校での事情はどうあれ、今のこの状況で非があるのは間違いなく君たちの方だ」
意を決した僕は、あえて円香さんの側に立って仲裁に入る。
「うるさいっちゃ」「黙れっちゃ」「死ねっちゃ」
しかし、彼女たちの口から飛び出してきたのは、下品な罵り文句のオンパレードだった。どうやらオタク同士、趣味こそ僕と合うのかもしれないが、この子たちには人間性というものが完全に欠落しているらしい。
「ねえ、どうせじゃけえコイツらも一緒に縛っちゃろうや」
「あ、賛成。でもあたし林葉に触りとうないけえ、棚田の方やるね」
「ずるいっちゃユリカ。後で消毒すればええんじゃけえ、あんたが健二君縛りんさいや」
僕の言葉に耳も貸そうとせず、麻梨乃たちが性懲りなく下らない悪だくみを始めようとする。
――どうしたらいいんだ……
大人顔負けの女子連中の悪辣さに、僕たちがすっかり困り果てていたその時だった。
「フッハッハ! 縛りプレイなら、私に任せておけ!」
一陣の風とともに赤い影が姿を見せて、即座に麻梨乃の背後を取る。
「たあっ!」
そして麻梨乃を持ち上げると、渾身の力を込めて豪快なバックドロップをくらわせたのである。
グジャアッ!
「ぶへらっ!」
固い地面に強く頭を打ち付けた麻梨乃が、汚い悲鳴を上げて気絶する。
「まずは一匹……そして!」
『ひぃ~、お助けッ!!』
麻梨乃の惨状に恐れをなして逃げようとした腰巾着たちだったが、簡単に回り込まれてしまう。そして、赤い影は懐から木槌を取り出すと、彼女たちの頭部へと盛大に振り降ろしたのである。
『あが、が、げ……』
腰巾着たちがうめき声すら上げることもなく、その場に崩れ落ちる。すると、赤い影はゆっくりとこっちに歩み寄り、薄暗がりの中でその姿を露にしたのである。
「あ、あなたは……」
その色合いと身のこなしで薄々と感づいてはいたのだが、赤い影の正体は何度となく僕を助けてくれている紅の道化師――赤マントだった。
「全く、こんな乱雑な縛りなど見るに堪えられぬわ」
赤マントが胸ポケットからナイフを取り出して、未衣ちゃんの縄を切り落とす。
「あ、ありがとうございます、赤マントさん!」
自由になった未衣ちゃんが赤マントにお礼を言って、僕の元へと駆け寄ってくる。だが彼は、そんな未衣ちゃんに目もくれず、急に懐から極太で強固そうな縄を取り出したのである。
「お前たち、しかと見ておけ。これが緊縛プレイの真髄だ!」
赤マントは力強くそう言い放つと、鮮やかな手つきで目を剝いていた麻梨乃たちの手足を次々と縛り上げ、口に猿ぐつわをはめ込んだ。
「す、すごく手慣れてる……」
「何か、変なプレイなのに上手過ぎて尊敬しとうなるわ」
「すっご~い。あんだけ強く締め上げてたら、絶対にほどけないよ」
僕たちは口々に、赤マントの流麗な手さばきに驚きの声を上げる。これならば麻梨乃たちが目を覚ましても、抵抗する術はなさそうである。
「それにしても、この子たちどうするんですか? いくらお仕置きと言っても、夜桜舞う中でこんなのがいたら、単なるお目汚しですよ?」
「案ずるな。コイツの身柄は然るべきところに預けておく」
「然るべきところって……あっ」
麻梨乃たちの処置に疑問を抱いていた最中、僕たちのところに大きなリヤカーを引いた中年男性が現れる。
「……」
黄色いタオルに藍色ジャージという身なりが、いかにも作業員を思わせる雰囲気の男性だった。
「おいマント野郎、メスの肉は用意出来てるんだろうな?」
「……貴様の目当ての雌肉ならば、そこに転がっているだろう。回収しておけ」
「けっ、どいつもこいつもシケた面してやがるぜ……ま、兄貴たちへの貢物だから、どうでもいいけどな」
怪しい会話を経て、男性が麻梨乃たちを次々とリヤカーに放り込む。
「おっと、サービスだ。ついでにゴミたちも片づけておいてやる、感謝しな」
男性は麻梨乃たちが散らかした空き缶たちも全部リヤカーに投げ込んで、さり気なく辺りを清掃した。
「それじゃあ、俺は先に行ってるぜ」
男性は僕たちに目を向けることもなく、麻梨乃たちを積んだリヤカーを引いて一水公園を後にした。
「あの、赤マントさん……」
「気にするな。奴は私の知り合いで、ただの清掃員だ。根は良い奴だから、女たちを殺しはしないだろう……無事に帰れるかは知らんがな」
「そうですか、それなら安心です」
いくらあんな女子連中でも、こんな形で屠(ほふ)られたのでは寝覚めが悪い。少し危惧してはいたものの、命を取らないのならば一安心である。
「……今回も僕たちを助けて下さって、ありがとうございました!」
僕は心から感謝を込めて、赤マントに深く一礼する。両脇では、円香さんと未衣ちゃんも彼に深々と頭を下げていた。
「ふん、礼には及ばんさ。だが、その気持ちだけは今後も忘れずにいることだ……肝に銘じておけ」
『はい!』
「私はこれで失礼する。せいぜい貴様らはあの雌肉どものようにならぬよう、真っ当に生きることだ」
赤マントは踵を返すと、先ほどの男性の後を追うかのように姿を消したのであった。
『……』
嵐のような出来事が過ぎ去って、夜桜の中で僕たちだけが取り残されていた。
「それじゃあ、僕たちも帰ろうか……って」
両脇の二人を見ると、明らかに体に変調をきたしたかのような、切羽詰まった表情を浮かべていた。
「健二君、ごめん……あたし、薄着してたからお腹冷やしちゃった……」
「み、未衣も……さっきまでお腹のところを縛られてたから、お通じが……」
……どうやら、そういうことで間違いなさそうだった。だとすれば、あんな出来事が起きた後で単独行動をさせるのは、あまりにも不安が伴うわけで――
プシャァァァァァァァ――――ッ!!
「はぁ~……オシッコ出すのがすっごく気持ち良い~~」
「……未衣ちゃんのオシッコ姿を見ていると、何だか僕まで幸せな気分になってくるよ」
段差式の和式トイレの上で、未衣ちゃんは僕に見守られながら勢い良く放尿した。ちなみに、円香さんは現在トイレの入り口で待機中だった。
「男女共用のトイレっていいよね。こうしてお兄さんと一緒に入っても、全然後ろめたさを感じないんだもん」
「同感だね、いいこと言うじゃないか」
未衣ちゃんの言葉通り、一水公園のトイレは男女共用で小便器と和式の個室が一つずつ隣り合っていて、僕たちが同室していても決して違和感のある構造ではなかった。
「それにしても、相変わらず可愛いお尻をしてるね。未衣ちゃんのお尻は和式映えする最高の形だよ」
少し気分が高揚していた僕は、むき出しになっている未衣ちゃんのお尻を愛撫する。
「もう、お兄さんのエッチ。ウンチをする前のデリケートなお尻に触っちゃいけないんだぞ☆」
ブプッ、プッ……ムリムリムリムリムリッ、メリメリッ、ムリュッ! ブピピッ!
未衣ちゃんは艶めかしく僕に注意すると、小さめの放屁を経て脱糞した。
「やーん。今日のウンチ、何だかいつもよりくっさ~い」
「これだけ臭いウンチをこれだけひり出せるってことは、健康な証拠だよ」
僕はペニスを勃たせながらペーパーを抜き取って、未衣ちゃんのお尻を拭く。緩めの便の影響か、最初の一拭き目はベットリ感が生々しかった。
「それにしても、どうしてこんな時間に一人で公園にいたの?」
未衣ちゃんのお尻を拭き続けながら、ふと思った疑問を口に出してみる。
「今日はみんな別々に用事があって出かけてて、未衣お家に一人だったんだの。それで寂しくて、桜でも見に行こうと思ってここに来たらあの人たちに出くわしちゃってさ」
「そうだったんだ……」
何だか藪蛇をつついてしまったみたいで、申し訳ない気持ちになってくる。そこで僕は、漠然と考えていたことを口に出してみた。
「じゃあさ、みんなが帰ってくるまで僕とお花見しようよ。夜桜を見ながら、宵の風情を楽しもうじゃないの」
「……そうだね。未衣も今日はお兄さんと桜が見たい気分だったから、ちょうどいいや」
こうして僕は、お尻を拭く過程で未衣ちゃんとお花見をする約束を取り付けたのであった。
ブッ、ブビビッ! ブリブリブリブリブリッ!! ブブブッ、ビチャアッ!!
未衣ちゃんが使った後のトイレで、円香さんは屈むなり激しい下痢便をまき散らした。ちなみに、未衣ちゃんは現在トイレのドアの前で待機中だった。
「本当にお腹痛かったんだね……」
「わざわざ言わんでええっちゃ、あたしのウンチを見たら分かるじゃろ?」
ブボオッ!
円香さんが不機嫌そうな音を立てて放屁する。下痢の後の一発なだけにその臭いは強烈で、鼻が曲がりそうだった。
プシャァァァァァァァァァ~~…………
「ねえ。さっき聞こえたんじゃけど、健二君これから未衣ちゃんとお花見するん?」
「うん、するけど」
別に隠すことでもなかったので、放尿をしながらさっきの会話のことを尋ねてくる円香さんに正直に答える。すると、彼女の口から予期せぬ言葉が出てきたのである。
「どうせなら、あたしも混ぜて3人でやろうや」
「えっ」
ギュッ。
あまりにも香ばしい展開に、僕は思わず円香さんのむき出しのお尻をつねってしまう。
「ちょっとやめてや、痛いじゃろ」
「ご、ごめん。夢オチかと思ってつい……」
僕は我に返ると、ペーパーを抜き取って円香さんのお尻を拭く。下痢をしていただけに、円香さんのお尻は未衣ちゃん以上にベットリ感が生々しかった。
「だけど、どういう風の吹き回しだい? 僕たちとお花見がしたいなんて」
「別にええじゃろ。誰かと花見がしたい気分になった、それだけのこといね」
「……歓迎するよ。円香さんみたいな子に見てもらえるのなら、夜桜たちも喜んでくれるだろうからね」
今一つ真意の見えない円香さんの申し出ではあったが、僕は承諾して彼女も一緒にお花見をする運びとなった。
「じぃ~~……」
床に顔を擦り付けて、僕たちの様子をうかがっていた未衣ちゃんはどこか怖い顔をしていたけれど……
『乾杯!!』
アイスココアの缶を高らかに掲げ、一斉に喉の奥へと流し込む。トイレの後で僕たちは近くのコンビニでささやかな食料と行楽用品を調達して、一水公園の夜桜を満喫していた。
「へっへ~。ウンチした分いっぱい食べちゃうのだっ」
「もう、これから食事しようって時にウンチの話なんかせんといてよね」
ブルーシートの上で、いつも通りの未衣ちゃんと円香さんの姿に安堵しながら辺りを見渡してみる。
「……」
まだ早いせいか辺りに花見客は一人もおらず、夜桜の中に僕たちだけが存在しているかのようなその空間は、言葉では言い表せないほど幻想的に見えた。
それはまるで、僕たちの新しい始まりを祝福するために自然が作り上げた桃源郷のようだった。
――僕は……来年度こそ、きっと……!
夜風に吹かれながら、決意新たに2缶目のココアを飲み干して大きく息を吐く。泣いても笑っても、あと数日を過ぎてしまえば3月が終わり、本当の意味で高校2年生ではなくなってしまうのである。
――だったら、悔いのないようにしなくっちゃね!
ムギュッ!
『きゃっ!』
僕は両手で円香さんと未衣ちゃんのお尻を愛撫すると、彼女たちに満面の笑みを向けた。
「二人とも……今日はしっかり飲み食いして、楽しもうぜ!」
「うん! でもお兄さん、いつもより手触り強くてエッチだぞ☆」
「それはええけど健二君、チンポ勃たせ過ぎじゃろ……嬉しいんじゃけど」
円香さんと未衣ちゃんは、僕にお尻を触られながらも愛らしい笑顔を向けてくれた。
「さあ、宴はこれからだ! 盛り上がって行くぞ!」
『オー!!』
こうして、僕は夜桜に見守られながら淫靡で微笑ましいお花見を堪能したのであった。色違いの桜をひり出せる、そんな素敵な花々たちを両脇に添えて――