第37話(壱) 四月一日は君の嘘
平成〇年4月1日。形式上、この日をもって僕は高校3年生となった。まだ春休みだったので実感はなかったけど、つまるところ進級したのである。
これは、そんな僕がそんな日にまんまと一杯食わされてしまう、そんなお話である。
昼下がり。特に何もすることがなかった僕は、時間潰しに近所の本屋に寄った。一昨日すでに別の本屋で購読しているアニメ雑誌を買ったばかりだったので、今回は完全に立ち読みが目的だった。
「…………」
広々とした店内で、目を引くような表紙の雑誌たちを手に取って、気持ち半分にパラパラと読みふける。
――なんかこう、露出度が高くてもこのページなら心置きなくぶっかけられる、ってのがないんだよな……
半端なグラビアの数々を前に、僕が物足りなさを感じながらため息を吐いたその時だった。
「あの……ちょっといいですか?」
ふと、見たことのない少女に声をかけられる。ぱっと見、あどけない顔つきの割に発育の良い体つきをしている辺り、この子は高校生ぐらいだろうか。
「えっと、どうされたのですか?」
僕は立ち読みしていた本を戻して少女の声に耳を傾ける。じっと見ていると、どこかであった気がしないでもなかったが、思い出せないのでおそらく人違いだったりするのだろう。
「それが、その……お店のトイレに行ったら、変な形をしていて使い方が分からなかったんです」
「トイレが変な形?」
少女の口から意味の分からない言葉が出てきて、僕は思わず聞き返してしまう。この店の外にあるトイレは何度か利用経験があるけれど、知らないうちに便器を変な形に改装でもしたのだろうか。
だけどここは、論より証拠。行ってみない限りは何も分かりそうにない。
「つまり君は、僕にトイレの使い方を教えてほしいんだね?」
「はい。あなたなら店員さんや他のお客さんよりも丁寧に教えて下さると思ったから、声をかけてみました」
少女がニコリと僕に微笑みかけてくれる。
――か、可愛い……
その無垢な笑顔はまぶしくて、僕の心の中から彼女の助けになりたいという気持ちが沸々と湧き起こってくる。こうなれば、もはや迷う必要はない。
「……分かった。じゃあ、君のトイレタイムに同行して、助太刀させてもらおうかな」
「はいっ☆」
こうして、僕は妙にウキウキしている少女と一緒に店を出て、裏にあるトイレへと向かった。その笑顔の裏に、気付かないまま――
「…………」
少女と一緒に入った本屋のトイレは、これまでと同じ何の変哲もないただの和式便所だった。
「えっと……これが君の言っていた『変な形のトイレ』ってヤツなのかい?」
「はい、それが何か?」
確かに変な形と言ってしまえばそれまでだけど、バリアフリー化が進んできたとはいえまだ日本の至るところに和式便所は残っているはずだ。それなのに、彼女はこれが初見だったりするのだろうか。
「……すみません。私、生まれてこの方トイレは腰掛けの洋式しか使ったことがなくて、こんな形のトイレは見たことがないんです。だから、あなたに教えてほしくて……」
「そ、そうなんだ」
おずおずと少女に切り出され、反射的に納得をしてしまう。つまり、偶然なのか育ちが良いのか、彼女には和式便所と巡り会う機会が今日までなかったということなのだろう。
……だったらここは頼まれた手前、少女に協力をするのが男の甲斐性というものである。
「分かったよ、そういうことなら君の力になってあげる」
「はい、ありがとうございます!」
僕は承諾して、少女に和式便所の使い方を教えてあげることにした。
「それじゃあまずは、便器の上を跨ぐように足を開いて」
「こうですか?」
少女が僕の言葉通り、開脚をして便器を跨ぐ。ちょっとだけ便器が羨ましくも思えたが、今はそんなことを考えている場合ではない。
「そうそう、そんな感じだね……じゃあ次は、パンティをずり下ろしてからスカートをまくり上げる」
「は、はい」
少しはにかみながら、少女が桃色レースのパンツをずり下げて、スカートを大きくめくり上げる。本当はTバックでも穿いていてほしかったのだが、今はそんなことを考えている場合ではない。
「よし。じゃあそのまま腰を落としてくれ」
「こ、こんな感じでしょうか……」
少女が半分ぐらいお尻を出した格好のまま、便器の上に屈む。とりあえずこれで和式スタイルの型は完成だが、もう一つ大事なことがある――そう、今現在少女がはいているロングスカートのことだ。
「あ、スカートは垂れ下がらないように膝上にまるごとよけて。でないと、出したものが付いちゃう恐れがあるから」
「そ、そうですね」
少女があわててスカートを膝上に移し、今度こそお尻を露にする。これで、完全な和式スタイルの出来上がりである。
「えっと、もうよろしいでしょうか……私、そろそろお尻が苦しくて……」
「うん、オッケーだよ。心置きなく出すべきものを出してくれ」
「はい☆ それでは遠慮なく……!」
少女は目をつぶると、まるでトイレを覚えたての幼女がそうするかのように、うんうんと気張りながら僕の前で排便姿を披露したのである。
ムリムリムリムリムリ……ムリュリュッ! ムリッ、メリリッ! ムリリッ! ブプゥ~~ッ、ブッ!!
「いや~ん。この姿勢だと腸が刺激されてるみたいで、ウンチもオナラもいっぱい出ちゃいますぅ~~」
「ホントだね……いや、冗談抜きですごい臭いだよ、これ」
緩めの便をオナラと一緒にたっぷりとひり出しながら、少女が恥ずかしそうに鼻をつまむ。出した彼女ですらそうするのだから、これは相当な臭さである。
「んっ……」
プシャァァァァァァァ…………
排便を済ませた少女が、今度は鼻をつまんだまま放尿する。妙に黄色がかっているのが目に付いたのだが、栄養ドリンクでも飲んでいたのだろうか。
「ふ~……全部出して、スッキリしました」
「スッキリしたら、今度はペーパーでお尻とオ〇ンコを拭く」
「は、はぁ……」
恍惚としていた彼女に当然のことを言ったつもりだったのだが、妙に釈然としない顔を向けられる。
「どうしたの? 紙ならここにあるじゃないの。ほら、早くフキフキしなくちゃ」
「えっと、あなたが私のお尻を拭いて下さるのではないのですか?」
「いや、それはマズいでしょ。僕たち初対面だし、これはれっきとした君のためのトイレトレーニングなんだから」
本当は拭いてあげたかったのだが、僕は教える側として、あえてそこは線引きしておいた。
「そっか、しょーがないなぁ……」
少女が残念そうにペーパーを手繰り寄せ、一人でお尻を拭き始める。
「……」
後悔がないと言えば嘘になるが、少女が和式に慣れるためにはこれも止むなしと言うものだろう。僕は彼女が拭き終えて全てを水に流すまで、ずっとその和式姿をぼんやりと眺めていた――
「今日は私のウンチプレイに付き合って下さって、ありがとうございました」
トイレから出るなり少女の口から出てきたのは、そんな怪しい言葉だった。
「ウ……ウンチプレイ?」
「はい☆」
少女がさっきまでと何ら変わらない、無垢な笑顔で元気良く返事をする。一体、何がどうなっているのやら。
「本当のことを言うと、私は小さい頃から和式トイレばかり使っていて、今ではすっかり和式の個室がお気に入りの場所になっちゃったぐらいなんです、キャハッ☆」
「……すると、僕をずっと騙してたってこと?」
「その通りです。だって今日は、エイプリルフールじゃないですか」
「あっ……」
少女にそう言われて、思わずハッとする。そう言えば、今日は4月1日――俗に言う、エイプリルフールだった。つまり、僕はまんまと騙されてしまったのである。
だけど、いくらエイプリルフールとは言えど、嘘にも程度というものがある。
「……別に怒るつもりはないけど、ちょっと酷いんじゃないのかい? 僕はあれでも、君のために本気で和式の使い方を教えてやってたんだぜ」
「てへへ、ごめんなさい。でも、あなただってお姉ちゃんのトイレを覗いたんだから、これでおあいこですよ」
「お姉ちゃん?」
予期せぬ単語を耳にして、思わず反応する。確かに先ほど出会った時から妙な既視感を覚えてはいたのだが、こんな顔の知り合いが果たして僕の身近にいただろうか。
「姉から……春野瑞葉(はるのみずは)から、聞きましたよ。あなた、先日旅館で瑞葉姉さんのトイレを覗かれたそうですね、林葉健二さん?」
「うっ……!」
意外なところから意外な部分をフルネームで突かれ、思わず絶句してしまう。確かに僕は先日――誕生日に仲間内から招待された温泉宿『春野旅館』で、若女将を務めていた春野瑞葉さんのトイレを覗いていた。
――出てくる直前に逃げたつもりだったんだけど、結局バレてたんだよな……
その時の記憶をたどりながら、少しだけ後悔する。もちろん覗いたことではなく、うっかりバレてしまったことに。
「そ、それじゃあ君は、瑞葉さんの……」
「はい。私は春野瑞葉の妹で、春野七葉(はるのななは)と申します」
少女が凛とした笑顔で名乗りを上げる。つまるところ、声をかけられたときから感じていた既視感は、こういうことだったのか……
「いや、うん、あれはね、確かにね……」
しどろもどろになりながら釈明を試みるが、もはや言葉になってない。
「…………」
だけど、そんな僕に少女は――七葉ちゃんは、笑顔のままでこんなことを言ったのである。
「……別に怒るつもりはありませんけど、これだけは覚えておいて下さい。今後も私は、あなたの前に現れるいうことを――」
ギュム。
七葉ちゃんの手が僕の屹立(きつりつ)したペニスを握る。その感触は柔らかで、一つかみで射精しそうな感覚に陥ってしまう。
「それではまた後日、某所で」
「ぼ、某所って……」
「さあ、どこでしょうね? その元気なおチンポ様にでも聞かれてみて下さいな」
七葉ちゃんは意味深な言葉を残すと、無垢な笑顔を維持したまま僕の前から姿を消したのであった。
「…………」
本屋の裏手に一人残された僕は、しばらく呆然とその場に立ち尽くしていた。
春なのに吹き付ける風がどこか冷たく感じられる、そんな4月1日のエイプリルフールだった。
第37話(弐) 桃の実がなる誕生日
「おい健二、メシ食いに行くぞ」
新学期を目前に控えた4月6日の昼下がり。そんな言葉で家まで僕を誘いに来たのは、コミケ仲間の桃美ちゃんだった。
「どうしたんだよ急に。今から昼飯を買いに行こうと思ってたのに」
ちょうど弁当を買いにコンビニへ行こうとしていた僕は、予期せぬ来客に少し戸惑いを覚える。しかし、桃美ちゃんは僕の都合などお構いなしだった。
「つれねえ奴だなぁ……お前、今日が何の日か知ってるだろ?」
「えっ? 何の日かって……」
桃美ちゃんの呆れ顔をマジマジと眺めながら、曖昧な記憶の糸をたどる。
――そう言えば、中学時代に親が大惨事級の喧嘩をしたのはこの日だったなぁ……
ふと、家を出ようと本格的に決意をした日のことを思い出す。しかし、そんなことを桃美ちゃんが知っているはずがないので、これは不正解である。
――何かの語呂合わせかな? 4と6……『シ』と『ム』だから、志村の日……って、何だそりゃ!
しょうもないことが脳裏をよぎるが、これも不正解だと即時に悟る。果たして、今日は一体何の日か……
「しょうがねーなぁ、ヒントをやるよ。ま、ヒントって言うか、元気印な俺自身が手がかりのようなもんだけどな」
困惑の表情を浮かべていた僕に、桃美ちゃんが抽象的なヒントをくれる。
――元気印な俺? 確かに桃美ちゃんは元気いっぱいで、典型的な牡羊座の女性そのものだけど……ん?
そこで僕の頭の中に何かが閃く。牡羊座……十二星座の始まりを司る星で、3月下旬から4月中旬までに生まれた人たちが、この星座に該当する。そして、今日――4月6日もその中に含まれる……つまり!
「思い出した、今日は桃美ちゃんの誕生日だ!」
「おう! 大正解だぜこの野郎!」
ギュム!
ようやく答えにたどり着いた僕のペニスを桃美ちゃんが強く握りしめる。どうやら、僕は確かな記憶の糸を手繰り寄せることが出来たみたいである。
「そういうわけで今日はお前、俺の昼飯に付き合ってくれるよな?」
「仕方がないな……その代わり、僕も懐は寂しいんだから割り勘だよ」
僕は条件付きで桃美ちゃんの誘いを受け入れることにした。
「上等だよ。俺だって、いち高校生にたかるほど落ちぶれちゃいねーからな」
桃美ちゃんが親指を立てて、嬉しい言葉で僕の外食意欲を高めてくれる。こうなれば、もはや断る理由などどこにもない。
「それじゃあ行こうか……って、食べに行くところはもう決めてあるんだよね?」
「当然じゃねーか。行きつけの店に連れてってやるから期待しとけってんだ」
こうして、僕は桃美ちゃんの誕生日を記念して、彼女のランチに付き合うことになったのである。
僕が桃美ちゃんに連れていかれたのは、駅前アーケード街の入り口にあるラーメン屋『珍宝軒』だった。店の前を通ったことは何度もあったけど、中に入ったのはこれが初めてである。
「さあ食うぞ。今日はお前とメシを食うこの時のために、朝から飲まず食わずだったんだからな」
「そ、そうだったんだ……」
桃美ちゃんの心意気に思わず胸が熱くなる。そこまでして僕との食事にかけていたというのは、本当にありがたい限りである。
程なくして、チャイナドレスの店員が僕たちのテーブル席に現れ、オーダーを取りに来た。
「いらしゃい(いらっしゃい)ませ、ごちゅ文(ご注文)は?」
「えっと、僕はネギラーメンでお願いします」
片言気味の日本語でたずねてくる女性店員に、とりあえず無難そうなのを頼んでおく。だが、僕の後でオーダーした桃美ちゃんにそんな選択肢は存在しなかった。
「俺は超盛ラーメンのメガセットにギョーザを二皿分な。あぁ、あとビールの大ジョッキも頼むわ」
「は、はい、かしこまーり(かしこまり)ました」
店員はやや苦笑気味だったが、注文を取るとそのまま厨房に引き上げた。
「桃美ちゃん……そんなに食べて、大丈夫なの?」
「心配はいらねえよ。メガセットって言っても、ついてくるのはジャンボから揚げ8個と大盛りチャーハンだけだ」
「いや、それ普通に心配だから!」
あっけらかんとラインナップを口にする桃美ちゃんに突っ込みを入れる。いくら朝食を抜いているとはいえ、そんな量を一度に食べられるとは到底思えない。
「……もしかして、余ったヤツはお持ち帰りって作戦とか?」
「まさか。全部ここで俺の胃の中に押し込んで、明日にはウンコに変えちまうのさ」
……どうやら、桃美ちゃんは本気のようだった。
「でもねぇ……」
桃美ちゃんのやる気に水を差すつもりはないのだが、ほんの数か月前に早食い大会で盛大にもどしてしまった彼女を目の当たりにしている手前、どうにも不安な気持ちが拭い去れなかった。
「ほら健二、これを見な」
そんな中、桃美ちゃんがズボンのポケットから何かを取り出して、僕の前に見せつける。それは、小型の紙袋に入れられた粉末状の胃薬だった。
「あ、なるほど」
「へへ、そういうこった。コイツを食前に飲んで、しっかり吸収の手助けをしてもらおうって魂胆さ」
「そういうことなら……」
桃美ちゃんが袋を開けて胃薬を口の中に落としている間、僕は備え付けのグラスに給水ポットの水を注ぐ。そして、桃美ちゃんがその水を胃薬ともども喉の奥へと流し込む。これで準備は万端だ。
「よく考えたね桃美ちゃん。食前の胃薬で臨戦態勢を整えるなんて、なかなか思いつかない発想だよ」
「なに、俺だって一度ゲロってお前に迷惑かけちまってんだ。学習ぐらいするさ」
話をしているうちに、先ほどの店員が盆を手にしてやってくる。その上には、僕たちの頼んだメニューがギッシリと積み込まれていた。
「……お誕生日おめでとう、桃美ちゃん。これからもよろしくね」
「ああ。これからも俺たち、最高の仲間でいような!」
キン!
僕たちは互いの気持ちを重ね合わせながら、水のグラスで乾杯した。今後も変わらぬ強い絆を祝福して――
…………よほどお腹が空いていたのか、僕が食べ終えた後も桃美ちゃんは貪るようにご馳走を食い散らかし続け、水を使った流し込みの末に完食を達成した。だが、胃薬の影響で桃美ちゃんの体内では消化や吸収が高速度で促され、もどす代わりに下す勢いがやはり高速度で促進されたのであった――
会計の直後に便意を催した桃美ちゃんは、一目散に僕を連れ込みトイレへと駆け込んだ。
「俺のケツがピーピーうるせー、下痢便だ~~!!」
ブリブリブビビッ! ブリリリリッ!! ブビッ! ブビッ! ブリブジュッ!!
店の奥にあるトイレは段差式の和式便所で、その上に跨り桃美ちゃんは大きなお尻から盛大に下痢便をぶちまけた。
「うっ……だ、第二波がっ!」
ブビブリュリュッ! ブビッ、ビリリリッ!! ビリビリビチャアッ!!
一旦収まっていた腸内がまた暴れ出したのか、桃美ちゃんが再び大量の下痢便をひり出し始める。
「うーん。やっぱり嘔吐を防いだ分、下のお口が火を噴いちゃったなぁ」
桃美ちゃんのお尻を凝視しながら、目の前の事態を冷静に分析する。何となく危惧してはいたのだが、やはりこうなってしまったか……
もちろん嘔吐ではなく排泄なので、実害のない生理現象と言ってしまえばそれまでなのだけど。
「う~っ」
ジョロジョロジョロジョロジョロ…………
桃美ちゃんがうめき声を上げながら放尿する。ビールの影響か、いつになく桃美ちゃんは大量の尿を出しているかのようだった。
「あなた、なにお腹下してるか」
そんな中、ドアが開いて先ほどの店員が入ってくる。こんな場所に堂々と姿を見せるということは、彼女と桃美ちゃんは知り合いだったりするのだろうか。
「あなた、今日もいい食いっぷりだった。私、感激した」
店員が桃美ちゃんのお尻を撫でながら、完食の労をねぎらう。確かにあれだけの量を食べ切ったのだから、それは大げさでなく感激の一言である。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか。こんな姿で言うのも何だけど、照れちまうぜ」
後ろ姿だったので顔は見えなかったが、桃美ちゃんもまんざらではなさそうだった。
「桃美、いい尻してる。あなた、いいチンポしてる。よろし、よろし」
「はい?」
店員の指先が僕の屹立していたペニスに向けられて、思わず赤面する。褒めてくれるのは良いのだが、やはりこれは照れ臭い。
「あ、ありがとうございます、嬉しいです」
「また桃美と一緒に店来るよ。あなたなら、チンポもっこり大歓迎よ」
ギュム。
「あっ……」
「それじゃ私戻るね、後は二人ごゆくり(ごゆっくり)」
店員は僕のペニスを一握りすると、満面の笑顔とともにトイレから出て行った。そして、僕たちは再び二人きりになった。
「何か、美人だけどすごい人だったね……」
「だよな。アイツ、橙蘭(チェンラン)って名前で中国から来てる出稼ぎ娘なんだけど、健二と一緒ですっげえエッチな奴なんだ」
「ふーん……」
僕がエッチかどうかはさて置き、橙蘭――女性店員の名前を聞いて、少し新鮮な感情が込み上げてくる。ついに僕も外国人女性と接点を持つ日が来たのである。
だとすれば、この出会いを大事にするべくこの店――珍宝軒には今後も通い続けたい。
「桃美ちゃん。今日は散々だったけど、またここに来ようね」
「けっ、当たり前だっての」
ブボオッ!
桃美ちゃんが『分かりきったことを言うな』と言わんばかりのオナラをして、ペーパーを抜き取り僕によこしてくる。
「それよりも、ケツ拭いてくれよ。今日は俺の誕生日なんだから、いつも以上に優しい手触りで頼むぜ」
「分かってるよ、桃美ちゃんは僕の大事な仲間なんだから……」
僕は桃美ちゃんのお尻に右手を添えると、左手で汚れた彼女のお尻と局部を拭き始めた。
「お、おい。そんな手つきで拭かれちまったら、感じちまうだろ」
「感じさせてるんだよ。何たって『優しい手触りで』ってリクエストしたのは桃美ちゃんなんだからね」
「チ、チクショウ、好きにしやがれ……」
桃美ちゃんが艶めかしい声を上げれば上げるほど、僕のペニスも熱を帯びてビンビンにそそり勃つ。
トイレの中は桃美ちゃんの便臭と屁臭で充満していたが、それでも無償の愛に満ちあふれていた。