「健二君。明日あたしら海に行くんじゃけど、一緒に来てみん?」
放課後。クラスメートの七葉ちゃんと帰ろうとしていた僕にそんな誘いをかけてきたのは、隣のクラスの円香さんだった。
「おいおい、どうしたんだよ急に。何の酔狂で僕なんかに声をかけるのさ」
嬉しくはあったものの、あまりに急な誘いに思わずネガティブ気味な返答が口をついて出てしまう。
「それに、休日とはいえまだ1学期の途中なんだよ? どうせ海に行くんなら、夏休みに入ってからの方が……」
「……ねえ、それ本気で言っとるん?」
「えっ?」
僕は思ったままを口にしたつもりだったのだが、それが気に入らなかったらしく円香さんが不機嫌な表情を浮かべてしまう。すると何を思ったのか、彼女は僕にクイズを出してきたのである。
「じゃあ質問。明日は何月何日でしょう?」
「えっと……7月19日だね」
「正解です」
日付は常々チェックしているので、最初の質問には即答で正解する。しかし、本題はここからだった。
「では次の質問です。7月19日は何の日でしょう?」
「えっ?」
いきなり難易度が星3つ分ぐらい跳ね上がり、僕は思わず固まってしまう。
「なるほど、そういうことですね」
しかし、傍で見ていた七葉ちゃんは勘付いたらしく、答えを円香さんにボソボソと耳打ちする。
「よう分かっとるじゃん、流石は七葉さんじゃね」
「えっ、当てちゃったの?」
「こんなん当たり前じゃろ。見当も付けられん健二君が鈍すぎるだけなのいね」
円香さんが正解した七葉ちゃんを褒める一方で、僕に手厳しい言葉を向けてくる。そうは言われても、今日が一体何だと言うのだろう。
――7月19日……ナナ、イク……ナナが行く……って、何だそりゃ!
明らかな見当違いを脳内で振り払いながら、他の発想をひねり出す。
――そう言えば小学校の頃、女子更衣室に忍び込んだ理科教師が御用になったのがこの日だったなぁ……でもそんなの関係ねぇ!
またしても的外れに行き着いてしまい、ますます頭がこんがらがってくる。
「なぁ円香さん、ヒントぐらい与えてくれよ。そうすれば、意地でも正解を導き出してみせるって約束するからさ」
「……あたし。あたしがヒントよ。健二君みたいな危なかっしいチンポマンにもちゃんと世話を焼いてあげる、仲間思いで面倒見の良いあたしがヒントよ」
僕は藁(わら)にもすがる思いで円香さんにヒントを求めたものの、彼女から与えられたのはあまりにも抽象的な手がかりだった。
――仲間思いで面倒見が良い……確かに円香さんは口ではキツいことを言うけれど、僕のために色々と世話を焼いてくれる典型的な蟹座気質だけど……ん?
ふと、そこまで考えたところで閃きが脳裏をよぎる。蟹座……十二星座の四番手を司る星で、6月下旬から7月中旬までに生まれた人たちが、この星座に該当する。そして、明日――7月19日もその中に含まれる……つまり!
「思い出した! 明日は円香さんの誕生日だ!!」
「声がデカいっての、バカ!」
ギュム!
ようやくまともな答えに到達したものの、円香さんに諌(いさ)められながらペニスを握られる。
「大当たりです健二さん☆ 明日はキャンサーな円香さんの、記念すべき18歳の誕生日だったんですぅ~~」
七葉ちゃんが手を叩きながらにこやかにそう告げてくれる。どうやら、僕も正解にたどり着いたと考えて間違いなさそうだった。
「……つまり、そういうこと。じゃけえ明日は、あたしのためにチンポ……いや、予定空けちょってほしいんよね」
頬を染めながら、照れ気味な円香さんが改めて僕に誘いをかけてくる。
「円香さん、僕は……」
「まーちゃん何考えとるん!!」
しかし、そんな甘酸っぱい空間を叩き壊すかのように無粋な横槍たちがズカズカとなだれ込んできたのである。
「あれ、みんな……」
「『あれ、みんな』じゃないじゃろう! せっかくうちらと海行くのに、林葉まで連れて行くとか正気なん!?」
「そうっちゃ! 林葉なんかおってもキモイだけじゃし、せっかくの誕生日が台無しになるよ!」
「健二君、ええ加減に円香に付きまとうのやめてちゃ! 円香にオタク菌がうつされて、迷惑しちょるんよ!」
かつてのクラスメート――円香さんの友人たちが、口々に好き勝手なことを大声でわめき散らして場の空気を澱ませる。全く、どうしてこの子たちは日に日におかしくなっていくのかね。
「あの、みなさん……お言葉ですが、健二さんがそこまで言われる筋合いなんてどこにもないと思うんですが……」
「黙れっちゃクソ転校生! お前はとっとと帰って糞ひり出してから寝とりゃあええのいや!」
七葉ちゃんの心優しい擁護も空しく、彼女にまで汚い罵声が飛んでくる。もちろん、このような光景を目の当たりにして黙っていられるような僕ではない。
「君たちが何をムキになっているのかは知らないけど、参加するかどうかは僕が決めることだ。下らない個人感情でゲスな横槍を入れないでくれ」
「うわっ」「ウザ」「キモ」
女子たちが醜い顔をさらに歪めながら、端的な言葉で僕を嘲笑する。だけど、そんな中でも円香さんは僕の味方でいてくれた。
「……みんなはああ言うとるけど、あたしは健二君を歓迎するけえね」
「うん。だけど……」
円香さんの後ろで、魑魅魍魎のような形相を浮かべている女子たちから発せられている負のオーラが否応なく目に留まる。
「……ふん、来たきゃあ来んさいや。その代わり、スイカ割りのスイカ役にさせて10回ぐらい遊んじゃげるけえ覚えちょきんさいね」
「どうせなら事故を装って溺れさせちゃろうや。そうすりゃうちらも林葉が来て良かったって心から思えそうじゃけえ」
「あ、それええね。でも砂浜に埋め込んで埋没させるのも面白いかもしれんよ」
『…………』
結局女子たちはおぞましいことを口に出しながら、僕や七葉ちゃんが呆気に取られている中、ゲラゲラと汚い笑い声を立てながら帰って行った。
「くすん……私、やっぱりあの人たちとは仲良くなれそうにないです……」
「気にしないで。あの子たちは僕らのようなタイプには、いつもあんな調子なんだから」
罵声を浴びてすっかり半ベソ状態の七葉ちゃんを慰めながら、僕は円香さんに向き直る。
「あんなこと言ってたけど、本当に僕が参加しても良いのかな? 少し考えるべきかもしれないね」
「……あたしとしては、あの子らとも健二君とも七葉さんとも一緒に誕生日を過ごしたいって思っとるんじゃけどね」
複雑そうな顔をした円香さんを凝視しながら、彼女の心境をそこはかとなく察する。
――やっぱりどちらも仲間だと思っているから、片方を無碍(むげ)には出来ないんだろうなぁ…………
気持ちは分かるし円香さんらしいと言えばそれまでだけど、とてもじゃないけど僕や七葉ちゃんがあの猛禽類よりも凶暴で獰猛な女子たちと仲良く出来るとは思えない。
…………僕は非常に不本意ながら、現在の状況を鑑みて明日の海をキャンセルすることにした。
「円香さん。悪いけど、やっぱり今回は……」
――バアァァァァァァァァァン!!!!!
そんな時、急に何かが弾き飛ばされるかのような轟音が響いてきた。
「な、何だ!?」
あまりの大音に、僕は言おうとしていた言葉さえ忘れて目を丸くする。
「あぁ~~クソッ! ほんま、厄介なことになりやがった!」
すると、僕たちが妙な胸騒ぎに包まれているところに担任の永戸先生が姿を見せる。その物言いと表情からは、明らかなまでの不機嫌ぶりが容易に見て取れた。
「あの、どうかされたんですか?」
「どうもこうもないのいや! さっきのデカい音はアンタらも聞いとったじゃろうがね!」
先生が苦虫を噛み潰したような形相で近くの机を叩きながら苛立ちをぶちまける。
――もしかして……!
その剣幕を前に、僕はふっと浮かんでしまった仮説をおそるおそる口にする。
「先生。まさか、暴走車両が学校に突っ込んで来たとか言うんじゃ……」
「その『まさか』いや! 大型のダンプが校門から入って来て、そのまま全速力で昇降口に突っ込んでしもうたのいや!」
『えぇっ!?』
先生からヤケクソ気味に伝えられた事の真相に、僕たちは一斉に驚きの声を上げる。まさか、思い付きで言ってみた仮説が本当に起こっていたとは。
「しかも、突っ込む直前に女子を5人ほど撥ね飛ばしちょるのいや。事件性はともかく、こりゃあマスコミに騒がれるで……」
「でも、下校時間なのに巻き込まれたのが5人で済んだのは不幸中の幸いでしたね。その子たちには悪いけど」
頭を抱える先生に、円香さんがやや不謹慎なフォローを入れる。かく言う僕も、概ね同意だったりするのだけど。
「棚田。じゃがのー…………」
しかし、先生はそんな円香さんに申し訳なさそうな顔をしながら、こう切り返したのであった。
「則脇・沢村・郁本・上野・益本…………棚田。さっき撥ねられとった女子は、みんなお前の友達ばっかりで」
翌日――7月19日。半分以上が不参加を余儀なくされてしまったものの、円香さんのバースデー海水浴は予定通り行われる運びとなった。
「でも、みんな無事で良かったね。意識不明の重体のようだけど、命には別条ないって話だし」
「……そうかもしれんけど、あたしとしてはやっぱりまだ心配なんよね」
「まぁまぁ。今日はせっかくの誕生日なんですから、暗い話題は一旦忘れてしっかり楽しむべきですわ」
海に向かう車の中で、やや気落ち気味な円香さんを七葉ちゃんと一緒に元気付ける。
「七葉ちゃんの言う通りよ円香さん。こんな日ぐらい、少々の不幸があっても全力で楽しまなきゃ産んでくれたご両親に悪いわよ」
運転席で、今回車を出してくれた送迎係――留里さんも、僕たちに加勢して円香さんを元気付けてくれる。
「ですよね……だったらあたし、今から気持ちを切り替えることにします」
留里さんの言葉が効いたのか、円香さんはここに来てようやく気分を一新させてくれるみたいだった。
ギュム!
どういうわけか、手始めに僕のペニスが握られてしまうわけだけど。
「……全く、感謝しなさいよね。本当は健二君を助手席に座らせたかったのを、お誕生日に免じてあなたの隣に置いてあげているんだから」
留里さんがルームミラーでしっかりと玉握りの光景を視界に入れながら、円香さんに釘を刺す。
「うふふ。勃っていなくても、健二さんのおチンポ様は良い触り心地ですよね」
いつの間にか七葉ちゃんの手が円香さんの上から添えられていて、僕のペニスを強く押さえ込んでくる。
「…………」
後部座席の僕は、円香さんと七葉ちゃんに挟まれながら、今回の海に何かが起こる予感を覚えていてた――――
「………………」
辿り着いた海で一足早く水着(エメラルドグリーンのハーフパンツ型)に着替えた僕は、パラソルなどのセッティングを済ませた後で無人の海を呆然と眺めていた。
――女の子たちと海、か……
前日にあんなことがあったとはいえ、人生で初となる貴重な体験を前にして僕の心臓はバクバクと高鳴っていた。
「健二君」
ふと、背後から声をかけられて反射的に振り返る。
「あっ……」
すると、そこには水着に着替えた円香さんがいた。
「どうかな? これ、今日のために買ってきた勝負水着だったりするんだけど」
「どうって、それは……」
薄紫を基調とした、白い水玉模様入りのマイクロビキニに身を包んだ円香さんが、両手を腰に当ててドヤ顔でポーズを決める。
「もちろん後ろは誰かさんの大好きなTバック型よ、ほら」
円香さんがくるりと背を向けて、申し訳程度に布で隠れたお尻を披露する。
「ま、あたしの生尻を何度も見ている健二君としては、今さらって感じかのかもしれないけどね」
「……そんなことないよ。円香さんの水着姿、すごく可愛くてセクシーだよ!」
股間に熱がこもるのを感じながら、僕は率直な感想を口にする。
「あらあら。可愛くてセクシーなのは円香さんだけじゃありませんわよ?」
そんな中、円香さんに遅れて七葉ちゃんが現れる。
「すごいな、七葉ちゃんも……」
インディゴカラーのマイクロビキニに身を包んだ七葉ちゃんを前にして、ますます股間が熱くなる。
「えへっ。実を言うと私の水着もTバックなんですよ、ほら☆」
七葉ちゃんも僕に背を向けて、これまた申し訳程度に布で隠れたお尻を披露する。
「…………」
つまり、今の僕は疑う余地もなくTバック水着の女の子二人と水入らずの『両手に花』状態ということである。
「健二君。そこでボケっとしながらチンポ勃たせちょらんでええけえ、オイル塗ってや」
「私もお願いします。そのお優しい手でたっぷりと塗り込んで下さいませ」
「う、うん、分かった」
円香さんにサンオイルを投げ渡され、僕は有無を言わさずビーチイベント恒例の『オイル塗り』をやらされる羽目になる。
――でも、内心とても嬉しかったりして!
もちろん拒否する理由などこれっぽっちもなかったので、僕はオイルを手に取ってシートの上にうつ伏せになっている円香さんの体に触れた。
「んっ……」
背中に万遍なくオイルを広げ、首筋や太もも、足の裏にまでヌルヌル感が多少残る程度に塗りたくる。
そして……改めてオイルを手に取った僕は、その両手をしっかりと円香さんのお尻に添えたのである――
「はぁ、はぁ……」
円香さんの桃尻に息を荒げながら、他の箇所よりも数段時間をかけて丁寧に塗りながら指を奥まで挿入する。
気が付けば、円香さんのお尻にリビドーを刺激された僕は、オイル塗から逸脱した性行為のようなものに及んでいた。
「健二さん、円香さんのお尻ばっかり塗らなくてもいいから早く私にもお願いします!」
ブゥ~~ッ、ビリビリビリッ!!
そんな僕にしびれを切らしたのか、僕を挟んで円香さんの隣でうつ伏せになっていた七葉ちゃんがオナラとともに大きな声を上げる。
「ちょっと七葉さん、臭いじゃろ」
「あはっ、ごめんなさい。昨日焼肉を食べ過ぎちゃって、朝から下痢気味で臭いオナラが出ちゃうんですぅ」
七葉ちゃんが舌を出しながらにこやかに悪びれる。
「……ったく、しょうがないなぁ」
その悪臭で欲情から冷めてしまった僕は、名残惜しいけれど円香さんのお尻から手を離して速やかに七葉ちゃんへの塗布に移行した。
「あはんっ……」
先ほどの円香さんと同じように、やや多めを意識しながら背面の各所へと塗りたくる。もちろん、Tバックに包まれたほぼ丸出しのお尻にも――
「はぁ……はぁ……」
七葉ちゃんの桃尻に興奮しながら、他の箇所よりも数段時間をかけて丁寧に塗りながら指を奥まで挿入する。
「……健二君ってすぐ女の子のお尻を見ながらチンポ勃たせちょるよね」
そんな僕を見ながら、円香さんは半ば呆れたようにそんなことを言い放つのであった。
オイル塗りの後で(前側は彼女たちが自分で塗ってしまったのだけど)僕たちは貸し切り状態のビーチを心行くまで堪能した。
「すごいじゃん。まさか健二君がここまで泳げるとは夢にも思わんかったわ」
海で僕がクロールを披露すれば、その自然なフォームに円香さんが失礼気味な褒め言葉をよこしてくれた。
「わっ、これはお遊びを通り越して立派なサンドアートだね」
「えっへん。こう見えても私、この手の造形には自信があるんです☆」
砂浜で七葉ちゃんが豪華なお城を作り上げたなら、その出来ばえに僕が驚きの声を上げた。
「くく……ちょい右! いや、もうちょっと左! そこだよ、そこ!」
「ここじゃね、えいっ!」
ボカッ!
浜辺でスイカ割りをすれば、円香さんは目隠しをしていたにも関わらず僕の指示通りに動いて見事にピンポイントでスイカを叩き割った。
――昨日は色々考えちゃったけど、やっぱり来て良かったな…………
楽しい時間を積み重ねて行きながら、水をかけてじゃれ合っている円香さんと七葉ちゃんの脇でしみじみとそんなことを考える。
グゥ~~~~ッ!
そんな中、時の経過を告げるかのようにお腹の音が鳴り響く。
「あっ……」
それは僕ではなく、円香さんと七葉ちゃんから同時に発せられた空腹のアラーム音だった。
「……七葉さん。なんか、お腹空いちゃったね」
「そうですね。私も普段以上に動き回っちゃったから、そろそろお昼ご飯にしたかったところです」
「…………」
当然のようにそんな会話を交わしている彼女たちを見ながら、僕は思わず口元を緩めてしまう。おいおい、さっき割ったスイカを食べたばかりだろ。僕なんか小腹すら空いてもいないんだぞ。
――なんて言う気はさらさらないけどね……
もちろん、今日という日が円香さんの誕生日であることを考慮すれば、ここは僕の考えではなく彼女の意向を優先させるのが筋と言うものである。
「だったらここらでランチタイムと行きますか。ちょうどおあつらえ向けに海の家もあることだしね」
「うん!」「はい☆」
こうして僕たちは一旦切り上げると、必要な荷物を手に海の家へと向かったのであった。
「あ、あはは……」
円香さんと七葉ちゃんに挟まれるかのように座ったカウンター席で、両脇のテーブルを何度も見やりながら何故だか笑い声が漏れる。
「やっぱり海に来たんじゃし、これぐらい食べんにゃあ元が取れんよね」
「同感です。たっぷり食べてしっかり栄養を付けましょうね」
僕が食べ物を一切頼まずアイスココアを飲んでいる傍らで、彼女たちは先ほどスイカを食べていたのが嘘であるかのように食い散らかしていた。
――いくらお腹が空いたからって、さっきスイカを食べたばかりなんだしあまり油ものばっかり食べない方が……
食べ合わせの面を考慮しながら彼女たちの旺盛な食欲を気にかける。
「…………」
特に円香さんの方は、天ぷらの盛り合わせにジャンボフランクに大盛りカルビ丼とフー〇ファイターもビックリの豪食ぶりで、見ているだけを胸やけを起こしそうだった。
――おいおい、大食いの七葉ちゃんだって大盛りとは言え焼きそば一丁で済ませてるのに大丈夫なのかよ……
だが、僕の心配をよそに円香さんが怪訝な表情でこっちを見つめてくる。
「ねえ健二君。あんまり人が食べよるところジロジロ見んといてや」
キュッ。
「うっ……」
いつの間にか、僕は円香さんに箸でペニスをつまみ上げられていた。
「あっ、ずるいですよ。健二さんのおチンポ様を箸で愛でるのは私の専売特許です」
「いやいや、二人とも気持ちは嬉しいんだけどさぁ……」
僕は勃起をさせながらもやんわりと彼女たちを拒絶する。
『………………』
それもそのはず、先ほどから水着姿の女性店員たち(全員黒ビキニのTバック)が何とも言い難い生温かい視線をこちらによこし続けていたのである。
「と、とりあえず早く食べてしっかり遊ぼうよ、ね?」
「……そうじゃね。でも、恥ずかしいけえあんまりチンポは勃たせんといてよね」
「同感です。健二さんのおチンポ様が元気なのは良いことですけど、時と場合を考えてから膨らませて下さいね」
大胆なことを言われながらも、僕はどうにかその場を切り抜けることに成功した。
「…………」
だけど食事に集中している彼女たちに挟まれたまま、ペニスだけはずっと熱を帯びていた――――
昼食後。ビーチボールで遊んでいた最中に、僕が危惧していた心配事は見事なまでに的中した。
ゴロゴロゴロゴロゴロ…………!
空を見上げれば、雲一つない青空が広がっているにも関わらず雷が鳴っているかのような音が聞こえてくる。
「うっ……!」
そして、それに伴って円香さんが下腹部をおさえながらうずくまる。
「やっぱり……」
間違いなくその音は円香さんの腹部から発せられていて、彼女はお腹を壊してしまったのである。
「大丈夫ですか、円香さん?」
すぐに事情を察した七葉ちゃんが肩を貸して円香さんを起こしてあげる。
「いや、あんまり大丈夫じゃないかも……」
しかし、円香さんは顔面蒼白気味で明らかに余裕のなさそうな表情を浮かべていた。
「大丈夫ですよ。私が付き添いますから、先ほどの海の家に戻ってトイレを借りれば……」
「待って七葉ちゃん。さっきの海の家にはトイレなんてなかったよ」
先ほどの光景を思い出しながら、僕は七葉ちゃんに厳しい現実を告げる。
だがそれは、冗談や思い付きなどではなく、隅々まで店内をチェックしたからこそ伝えられる本当のことだった。
『えっ……』
ギュルルルルルル…………!!
円香さんと七葉ちゃんが同時に驚きの声を上げ、それに合わせて円香さんのお腹が急を告げるかのように一層の悲鳴を上げる。
「あ、あたし、もうヤバいっての!」
円香さんは脂汗をかきながら七葉ちゃんの腕を振りほどくと、猛ダッシュで近くの岩場へと駆け抜けて行った。
「……僕たちも行こうか。円香さんが他の誰かに覗かれちゃあ気の毒だもんね」
「……はい☆」
僕と七葉ちゃんは顔を見合わせながら微笑むと、速やかに円香さんの後を追って岩場へと続いた。
……もちろん、見張り役の意味合いで。
岩陰で、円香さんは僕と七葉ちゃんに見守られながら、体内で荒れ狂う老廃物を一気に排出した。
「うぅぅ~~っ!!」
ブリブリブリブリブリリリッ!! ブブビチチッ、ビチチッ!! ビリビチャッ、ビチャアッ!! ブッ、ブッ、ブビブ~~ッ、ビリリリッ!!
「あはっ☆ お外でお尻を出してウンチしている円香さん、すごくエロ可愛いですぅ」
「確かに。これはトイレでするのとはまた一味違ったエロスを感じるね」
僕たちにお尻を向けながら屈んで下痢をしている円香さんをじっくりと眺めながら、先ほど以上に股間と体が熱くなる。しかし円香さんは、心なしか不機嫌そうだった。
「あんまりジロジロお尻ばっか見んといてや、恥ずかしいじゃろ」
「そうだね。だったら……」
プシャァァァァァァァ~~…………
円香さんにそんなことを言われたので、僕は前に回り込んで彼女の放尿姿を局部側からしっかりと覗き見た。
「うんうん、しっかり剃毛してるからピンクのマンマンがバッチリだね」
「誰もマ〇コなら見てええとは言っとらんじゃろ、バカ!」
ブゥ~~ッ、ビリビリビリッ!!
円香さんが怒りを込めて下痢気味のオナラをかましてくる。その臭いは強烈で、下痢便と入り混じってものすごい悪臭を放っていた。
「ホント、バカみたい。せっかくの誕生日なのにお腹壊しちゃってさ、全部健二君のせいなんだからね」
円香さんが屈んだ体勢のまま僕を見上げながら、理不尽な責任転嫁を仕掛けてくる。だけど、こうなってくると流石の僕も黙ってはいられない。
「おいおい。七葉ちゃんに矛先を向けないのは良いけど、だからと言って僕に全責任を押し付けるのは筋違いだろ。大体僕の勃起が治まらないのだって元はと言えば円香さんが……」
「うるさい! 言い訳はええけえあたしに誕生日プレゼントよこしんさいっ!」
「えっ……?」
ズルッ!
僕は円香さんに弁解を遮られると、強引に海パンをずり下ろされてしまった。
「はむっ」
そしてそのまま屹立したペニスを口の中にねじ込まれる。
「ちょっと、な、何を……」
「あたしばっかり恥ずかしい思いをしとったら不公平じゃろ。じゃけえ健二君にもしっかり恥ずかしい目に遭ってもらわんと」
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぽっ!
円香さんの口の中で僕のペニスが淫猥な音色とともに水気を帯びてくる。その感触は絶妙で、彼女はこういう時の力加減をしっかりと熟知していた。
「な、七葉ちゃん……」
「うふふ。今日のところはお誕生日に免じて円香さんの好きなようにさせてあげます。私、しっかり見守ってますからね」
七葉ちゃんに助け舟を求めるも、彼女は円香さんの都合ばかりで僕の事情など完全に度外視していた。
――ま、こんな日ぐらい仕方ないか……
観念した僕は、勃ちっぱなしのペニスをこのまま円香さんに委ねることにした。
「……分かったよ円香さん。今日は10日分ほどチャージしてあるから、しっかり搾り出してくれ」
「そんなにオナニー我慢しちょったん? じゃったら遠慮なくあたしがイカしちゃげるわ」
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぽっ!
円香さんのペニスをなめる速度が次第に早くなり、僕はますます快楽に心を支配される。今、脳内では円香さんのTバック姿と排便姿が何度となく駆け巡っていた。
「うぅっ、円香さん……僕、もう……!」
「出してや健二君! あたしの中に、特製のシャンパンを……!」
やがて、絶頂を迎えた僕は円香さんの口内で溜めに溜め込んでいた熱い想いを爆発させた。
「ま、円香さん! お誕生日おめでとう! 僕の気持ち、しかと受け止めてくれっ…………!」
――ビュルッ、ビュルルッ! ビュクッ、ビュクッ、ビュルルルッ!
「はぁ、はぁ…………」
チャージを根こそぎ出し尽くしてしまった僕は、円香さんの口からゆっくりペニスを抜き出すとそのままその場に腰を落としてしばらく惚(ほう)けていた。
「んっ、んくっ」
目の前では、円香さんが今出したばかりの僕の精液をゆっくりと喉の奥に流し込んでいた。
「……やっぱり健二君の精子って変な味がするね、最初からマズそうとは思うとったけど」
「だったら飲むなよ最初から」
「別に飲みたくて飲んだんじゃないっちゃ。喉が渇いとったけえ仕方なく飲んだだけなんじゃけえね」
僕たちは精液を巡って不毛な会話を交わしながら、どちらからともなく笑顔を見せる。
「あはっ、今日はとっても眼福でした。何たって、健二さんのおチンポ様と円香さんのお尻が生で見られたんですものね」
振り返ると傍観者だった七葉ちゃんも満面の笑顔を浮かべていて、気が付けば辺りはとても和やかな空気に包まれていた。
「それじゃあ洗い流そうか。海の水ならいくら使ってもタダだしね」
「……そうじゃね」
僕たちは海の中に体を浸けると、互いのブツが噴き出た部分をしっかりとゆすぎながら事後処理をした。
ゴボッ、ゴボボボッ! ゴボゴボゴボッ!
「ごめんなさい。先ほど良いものを見てしまったせいで、腸内が活性化しちゃったみたいです☆」
海中でも排ガスを噴き出し続けている七葉ちゃんに、ここでもしっかり見守られながら――
「随分と良いことがあったみたいね。さっきからずっと頬が緩みっぱなしよ」
帰りの車内で、留里さんは唐突にそんなことを口に出してきた。
「え? いや、そりゃあ今日は円香さんの誕生日でしたからね。良い悪い以前の問題ですよ」
運転席からルームミラー越しに鋭い視線を向けてくる留里さんに、当たり障りのない言葉を選んで取り繕っておく。
「…………」
しかし、それでも留里さんは釈然としないと言った具合で車を走らせ続けていた。
――いや、確かにこれを見れば勘ぐってしまいたくはなるだろうけどさ……
後部座席に座っている僕の両隣では、円香さんと七葉ちゃんが寝息を立てながら僕の肩にもたれかかっていた。
「……ま、健二君が幸せな気分になれたのなら、私が口を挟む必要なんてないんだろうけどね」
「留里さん……ありがとうございます」
気まずい沈黙を経て、ようやく折り合ってくれた留里さんに安堵する。やはり、この辺りは大人の女性である。
「…………」
僕は一呼吸を置いてからさり気なく円香さんの寝顔に視線をよこす。その顔つきはとても愛らしく、見ているだけで心が和むかのようだった。
――円香さん……誕生日に僕を誘ってくれた上に、あんなことまでしてくれるなんて……まさか君は……
ふと脳裏に思わぬ仮説が浮かんできて、あわてて振り払う。少なくともそれは、明らかなうぬぼれというヤツである。
――何はともあれ、今日はありがとうね。僕と七葉ちゃんのために……
僕は小さく微笑むと、そっと手を伸ばして円香さんの頭を優しく撫でてあげた。
――また、海に行こうね……
そして、ゆっくりと睡魔に蝕まれながら、眠りの中で残りの帰路を過ごしたのであった。