9月吉日、日曜日の早朝。僕はいつになく晴れ晴れとした気分でモーニングココアをたしなんでいた。
――今日は久々に勇者になれるんだな……
そう、何を隠そう今日は市内で年に一度開かれるコスプレパーティーの日だったのである。
――僕が勇者で桃美ちゃんが戦士で留里さんが僧侶で花子さんが魔法使いで…………
今回僕と仲間たちがコスプレするキャラクターたちを確認しながら頬を緩ませる。
「…………」
すると、そんな僕の背後にいつの間にやら今回魔法使いのコスプレで参加するトイレの花子さんが立っていた。
「わわっ! は、花子さん……」
「随分とご機嫌ね。まるで遠足前の子供みたいだわ」
「そ、そりゃあどうも」
花子さんに浮かれっぷりを突っ込まれながら赤面する。だが家に上がっていたのは彼女だけではなかった。
「おいおい。いくら年に一度のパーティーだからと言ってもニヤけ過ぎだぜお前」
「全くだわ。健二君ったらオチンチンまでビクビクさせちゃってエッチなんだから」
気が付けば、オタク仲間である桃美ちゃんと留里さんも既に玄関口で待機していたのである。
「あれ、桃美ちゃんと留里さんも来てたんだ。だったら早く支度をしなくちゃね」
僕は飲みかけのココアを一気に飲み干すと、気持ち急ぎながらキッチンから部屋に戻ろうと歩を進める。しかし、その途中で足を滑らせてしまったのである。
「うわたっ…………」
ガァンッ!!
僕は運悪く頭を柱に強く打ち付けてしまう。
「健二!」「健二君!」「健二っ……!」
「ううっ、うっ……」
みんなの声が響く中、僕は激しい痛みの中で意識を失った――――
「………………」
目を覚ますと、そこは誰かの部屋の中だった。
「おおっ、目が覚めたんだな! 安心したぜ!」
半身を起こした僕の右隣では、ムッチリとした体つきの気の強そうな女の子が何故だか僕の目覚めを喜んでいた。
「全く、心配させないでよね。今日はせっかくのお祭りイベントなんだから」
左隣では、スレンダーながらも出るところは出ている賢そうな女性が僕の目覚めに安堵していた。
「ほら、目が覚めたのなら速やかに支度を済ませてさっさと行くわよ」
そして……真正面ではオカッパ頭の少女が僕の手をつかみながら何かをさせようとしていた。
「あの……行くって、どこに何しに行くの?」
僕は思わず少女にそんなことをたずねてみる。
『……えっ?』
すると、少女だけでなく両脇の二人からもそんな反応が返ってきた。
「君たちは僕と何か約束をしていたのかい? いや、そもそも君たちは誰なんだい?」
僕は当然の疑問を彼女たちに投げかけてみる。
『…………』
しかし、彼女たちは顔を見合わせると僕が思った以上に深刻な顔をしながらこっちを覗き込んできたのである。
「お、おい健二。ふざけてる場合じゃねーんだぞ?」
ギュム!
気の強そうな女の子が僕のペニスを握ってくる。よく分からないが、随分と大胆な行為である。だけど、それよりも――
「健二って誰のことなんだい? そう言えば、僕は一体誰なんだろう……」
僕は思いついたことをそのまま口に出してみる。
『…………』
すると、彼女たちの表情がますます深刻味を帯びてきた。
「……ねえ健二、あたしが誰だか分かるかしら?」
「さあ、誰だろうね。何と言うか、夜のトイレに潜んでいそうな感じの子には見えるけど……」
オカッパ頭の少女に質問をされるも、僕にはそうやって答えるのが精一杯だった。
「どうやらこれは、典型的な記憶喪失の症状ね」
ふと左隣の賢そうな女性がそんなことを口にする。僕自身には今一つ実感が湧いてこないのだが、自分の名前も思い出せないということはまぁそういうことになるのだろう。
「ケッ、そんなことならお安い御用だぜ。俺が一撃で健二の記憶を呼び戻してやらぁ!!」
ブボオォォッ!!
記憶喪失と聞くや否や気の強そうな女の子はズボンを脱ぎ捨ててTバックの下着姿を露にすると、あろうことか僕にお尻を向けて盛大にオナラをかましてきた。
「うっ……」
「へへ。どーだ? 俺の屁が最高のショック療法になっただろ? しっかり嗅いで脳内をリフレッシュさせな」
「悪いけど何も思い出せないよ……それより、君のオナラ臭すぎ!」
『…………』
僕は当然の突っ込みを入れたつもりだったのだが、またしても彼女たちの顔を曇らせてしまう。だけど、どういうわけだかあんな臭いオナラを浴びながらもペニスだけはしっかりと固くなっていた。
「ダメよそんな下品な荒療治なんて。こういう時は思い出話をしながらゆっくりと記憶の糸を手繰り寄せるのが一番適切な解決方法よ」
気の強そうな女の子に代わって今度は賢そうな女性が僕へと肉迫する。
ギュム。
そして、膨らんでいたペニスを優しく握るとまるで淫魔が囁くかのようにこんな話を切り出してきたのである。
「ねえ健二君、覚えているかしら? この界隈で下着泥棒が現れて、一緒に犯人を捕まえた時のこと」
「し、下着泥棒?」
「そうよ。あの時はあなた、ちょっとだけ犯人だと疑われていたそうじゃない」
話を聞いているうちに、僕の脳裏に少しずつ当時の情景が浮かび上がってきた…………
――――――――――――――――
学校から帰ると留里さんが僕の部屋で犯人をおびき寄せる下準備を整えていた。
どうしていつも僕の部屋に上がり込んでいるのか気にはなるけどそれはひとまず置いといて。
「健二君、犯人の主な活動時間帯は7時から8時ぐらいだったっけ?」
「そうみたいです。って言うか、その時間帯しか犯行に及んでいないみたいだから現れるとしたら間違いなくその辺りです」
「うふっ☆ 変態さんに私のティーパーティーをしっかり満喫してもらわなくっちゃね」
留里さんが自前の下着を次々と洗濯ピンチにぶら下げる。
そのどれもがTバックばかりで色とりどりなものだから全くもって目のやり場に困ってしまう。
「それにしても、こんなに干しちゃって留里さんはちゃんと穿いてるんですか?」
「あら。今の私はノーパンよ、ほらほら」
留里さんがタイトスカートをめくり上げて局部を僕に見せつける。
「いやいやいやいやいや、エッチなのは大いに結構だけどその前にお仕事でしょ」
「何よ、つれない子ねぇ」
留里さんが少しブスッとした顔つきで8枚のTバックを吊るしたピンチをベランダのフックにかける。
とりあえずこれで準備は完了だ。
「それでは、変質者が出現するまで電気をつけずに待機しましょう」
「はーい」
あえて部屋を暗くして、無人を装いより犯人をおびき寄せやすい環境をセッティングする。
時間はまだ5時半だったが、既に部屋の中は宵闇に支配されていた。
おおよその頃合いにして夜7時半ちょい過ぎ、息を殺して待機していた部屋でベランダの物音を察知する。
「あれは……!」
窓越しから見たそのシルエットは間違いなく人影だった。
「留里さん、今だっ!」
「ええ!」
僕が窓を開け、留里さんが女豹のような動きで人影に飛びかかる。
「覚悟しなさい下着ドロ!」
「ぐぎゃあっ!」
留里さんが鮮やかなまでの一本背負いを人影にくらわせる。
ドガアァァァッ!!
背中をアスファルトに叩きつけたその音を聞いただけでかなりのダメージを与えたことは想像に難くない。
だが、こんな時の留里さんはそれだけで終わらせない。
「さ~て……私のTバックに汚い手で触れたお礼はしっかりさせてもらうわよ~」
一度顔面を踏みつけた後で伝家の宝刀・四の字固めで締め上げる。
「ひぎ~、骨が折れるぅ!」
「あら、折れて困るような骨かしら?でも安心して。今日はずっと、折れる直前の寸止めを楽しむだけだから……」
「あ~……」
懐中電灯でその場を照らすと、思った通り問題の下着泥棒はセントラル・フーズの宮木チーフだった。
しかも、ご丁寧に留里さんのパンツを頭にかぶってるよこの変質者。
「も~、さっき脱いだばかりのを付けちゃうなんていけない人ね~。私、嬉しくてもっともっと締め上げたくなっちゃうわぁ♪」
「は、林葉君!顔見知りじゃろ、ねぇ!わしを助けんさ……ギャヒーー!!」
「分かりました。すぐに警察を呼んでほどいてあげますんでしばらく断末魔の悲鳴を上げ続けていて下さい」
僕は一つため息を吐くと即座に警察へと通報した。
こうして、度重なる絞め技攻撃を受けて体の一部が曲がってはいけない方向に曲がってしまった宮木チーフは御用となり、頻発していた下着泥棒問題は無事解決したのであった。
蛇足だけど、やっぱり彼は盗んだ下着を片っ端からクンカしながら遊ぶ金欲しさにブルセラショップに売り続けていたんだとさ。
――――――――――――――――
「そうだったんですか、あなたは僕のために痴女のようなことまでして真犯人をおびき寄せてくれたんですね」
「フフフ、その通りよ……ほら、記憶が少しは戻って来たかしら?」
賢そうな女性が僕のペニスを手の中で転がしながら淫靡な笑みを浮かべている。僕はそんな彼女のために、思い切って脳裏に浮かんだ自分の名前を口に出してみた。
「僕の名前は……掘骨スズキ!」
『…………』
とっさに浮かんだ名前だったものの、彼女たちの表情を見る限りどうやら僕がそんな人物ではないことが容易にうかがえた。
「ま、まぁちょっとはそれらしい名前が出てきたんだから、回復に向かっていると考えて間違いないんじゃないかしらね」
賢そうな女性が期待外れといった感じの顔を見せるも、先ほどに比べると表情はやや和らいでいるかのようだった。
「よし、じゃあ次は俺が話す番だぜ」
続いては先ほどオナラを見舞ってきた気の強そうな女の子がずいっと顔を寄せてきて僕の両肩に手を添える。
「なあ健二、思い出してくれよ。俺が焼き芋を食いながら屁でケンカしたあの時のことをよ」
「焼き芋を食いながら、屁で……?」
「ああそうさ。涼夏っていう女がとんだアバズレで、俺が顔面に馬乗りして特大の一発を食らわせてやったじゃねーか」
話を聞いているうちに、僕の脳裏に少しずつ当時の情景が浮かび上がってきた…………
――――――――――――――――
香(かぐわ)しい匂いが鼻腔をくすぐり、芋が程良く焼けてきたのが分かる。
「よし、ここらが頃合いだな」
火の横に突き立てていた竹串を引き抜き、巻上さんが軍手越しに芋をつかんで息を吹きかける。
「……」
こういう時にひょっとこ顔になってしまう辺りが彼女らしいのだが、その顔つきが妙に官能的に思えてきて困る。
僕は、あのすぼめた口の中に何かを入れてやろうなんて願望でも心のどこかに秘めているのだろうか。
「では、私も食うとするか」
程なくして、江上さんも同じように竹串を抜いて芋に息を吹き付ける。
「……何だ、さっきから物欲しそうな顔をして。重ねて言うが、君に食わせる芋など一つもないからな」
「構わないです。僕は、食べている仕草を見ているだけで十分ですから」
「そうか、ならば遠慮なく全部食わせてもらうぞ」
息を吹きかけるたびに動く彼女たちの口元が艶めかしく、ただ見ているだけでも僕は幸せだった。
だが、それとは別に妙に気にかかることがあった。
「ところで江上さん、皮ごと食べているけど大丈夫なんですか?巻上さんも剥(む)かずにガツガツ行っちゃってるけど」
「何を言っている。皮も立派な養分だ、栄養面を考慮して私はいつもそのまま食っているぞ」
「そうそう。あたしらにとっちゃ、芋の皮もバナナの皮もれっきとしたサイドメニューなんだよ」
素朴な疑問にあっさりと答えが返ってくる。
おそらく彼女たちの感覚だと、焼き芋の皮はご飯のお焦げのようなものだったりするのだろう。
「余計なこと気にしてんじゃねーよ。大体、剥かなきゃいけねーのは健二、お前のチンポの方だろ」
巻上さんがニヤニヤしながら下世話な部分に突っ込んでくる。
「君は相変わらず失礼なことを言うんだな。僕のはとっくに剥けているよ、文句なしに剥け剥けだ」
「ほう、健二君のチンポは剥けているのか。それは面白いことを聞かせてもらった」
僕たちの会話に江上さんも割り込んで、興味深そうな目を向けてくる。
そんな時、たき火の向こうから良く知った女性が姿を見せた。
「何だ、良い匂いがすると思って来てみたらお前ら焼き芋やってたのかよ」
気丈な性格が頼もしい、コミケ仲間の丸尻桃美ちゃんである。
「いや、僕がたき火してるところに便乗して、彼女たちがやり始めたんだ」
「そうか、まぁいいや。おい、二本ぐらい俺にも食わせてくれよ」
「……」
当たり前のように相伴しようとする桃美ちゃんにこれまた当たり前のように、巻上さんたちが怪訝な顔をする。
「何を言っている?私たちが買ってきた芋を、どうして見ず知らずのお前などに食わせなきゃならんのだ」
「江上コーチの言う通りだぜ。桃美、テメエは本当にハイエナが擬人化したような意地汚ねー女だな」
「そういうことらしいよ、桃美ちゃん」
まさに、けんもほろろと言わざるを得ないような対応をされた桃美ちゃんに、軽くフォローを入れておく。
だけど、こんな時にこんなことを言われた桃美ちゃんが、大人しく引き下がるはずもなく。
「何だよお前ら、たかが芋の一つ二つでケチケチしやがって。これじゃどっちが意地汚ねーのか分かったもんじゃねーな」
「けっ、だったらテメエにゃ芋の代わりにこれをくれてやるよ」
ボフォッ!
巻上さんが桃美ちゃんにお尻を向けて大きく屁をかます。
「うわ、巻上さん……」
鼻にかかる悪臭が不快指数を跳ね上げる。
「どうだ、あたしの屁は!感謝して、とくと嗅ぎやがれ!」
少し離れている僕に臭いが伝わってくるのだから、真正面で浴びた桃美ちゃんの嗅覚への刺激が相当のものであることは容易に見当がつく。
「全く、焼き芋は食べる前に屁をするのが礼儀であって、食べてからしたのでは遅すぎるというものだろうに」
江上さんがどこぞのタヌキ……もとい、ネコ型ロボットのようなことを言いながら状況を傍観する。
「なるほど。じゃあ江上さんは、人の家に上がる時は『こんにちは』と言いながら靴を脱がれるのですね」
「うむ、大体合ってる」
江上さんの人物像のようなものが少し見えた気がして安心する。
しかし、目の前の光景は少しずつ、安心には程遠い修羅場のような様相を見せようとしていた。
「……お前、涼姫とか言ったよな。俺に屁を見舞ったからには、それ相応の覚悟は出来てんだろうな?」
そら見ろそら見ろ、一度やられてる桃美ちゃん相手に懲りもせず変なことをするから、そういう展開になるじゃないか。
「な、何だよ、たかが屁じゃねーか。そ、そんなんで手を上げるとかよ、や、や、野蛮人の発想だぜ……」
巻上さんの声が上ずっていて、桃美ちゃんに恐れをなしているのが、明らかに見て取れる。
「あの、桃美ちゃん。気持ちは分かるけど、流石にこのぐらいのことで手を上げるのはマズいと思うよ」
「うっせーなぁ。誰が手を出すかよ、屁には屁で返すのが礼儀ってもんだ……ろっ!」
「うわっ!」
桃美ちゃんが巻上さんに体当たりをくらわせて、仰向けに倒す。
そして、あろうことか顔面の上に馬乗りとなる。
「桃美ちゃん、まさか……?」
「へへっ、そういうこった。屁には屁を、歯には歯をって昔っからよく言うじゃねーかよ」
僕の予測を理解したのか、桃美ちゃんが親指を立てて満面の笑顔を披露する。
本当はそこ、屁ではなくて目だったりするのだけど、桃美ちゃんが底抜けに楽しそうだったので、今は指摘しないでおこう。
「もがっ、もごっ!」
「なるほど。手を出す代わりに屁を出して解決を図るとは、まさに平和的発想だ。本来ならば制止するつもりだったが、そういうことなら仕方がない」
桃美ちゃんのお尻の下でもがいている巻上さんを尻目に、江上さんが一人で納得する。
「お前、桃美といったな。ならばお前の意思、しかとこの私に見せてみろ!」
「任しとけ、屁のデカさなら俺は金メダル級なんだからよ…………!!」
ブボオォッ!!!
数秒のチャージを経て、桃美ちゃんのオナラが爆音となって辺りに響いた。
「へへ。いつになくすげーの出しちまったせ……」
「うぅっ、酷いなんて言葉じゃ済まされないレベルのすごい臭い……」
「ま……全くだ!これが駅地下とかだったら、普通に異臭騒ぎが起きているぞ」
放屁後も漂い続ける臭気を手で扇(あお)ぎながら、染みる視界に目頭をおさえる。
「……」
あ~あ、直下で浴びた巻上さんなんて白目剥いてのびちゃってるよ。
そりゃあ半分は彼女の自業自得だし、暴力に訴えない快ケツもとい、解決方法は評価すべきなんだろうけど、それにしたって巻上さんに少しは同情する。
「桃美ちゃん、責めるつもりはないけど、いくら何でもやり過ぎだ。せめて、介抱ぐらいはしてあげた方が良い」
「健二君の言う通りだ。残りの芋は全部くれてやるから、お前は涼姫が目を覚ますまでそばに居てやれ」
僕と江上さんに言われて桃美ちゃんも少し反省したのか、すっかりしおらしくなる。
「わ、分かってるよ、それぐらい。その代わり、芋は全部食わせてもらうからな」
「ああ、好きにしろ。私はトイレに行ってくる」
「あ、僕も行きます。桃美ちゃん、ついでに火の番もお願いね」
強烈な臭いに目まいを覚えていた僕は、避難の意味で江上さんに付き添う形ようにトイレに同行する。
「おい涼姫、起きろ、起きやがれ。お前はあれしきのことでくたばる女じゃねーんだからとっとと目ぇ覚ませっての、おい」
とりあえず、火と巻上さんのことは背後で必死に介抱している桃美ちゃんに一任しておくとしよう。
――――――――――――――――
「……もしかして、君はオナラを自由自在に出せる体質だったりするわけ?」
「んなわけねーだろバカ野郎! それよりも、な? 大分色々と思い出してきたんじゃねーのか?」
気の強そうな女の子が激しく肩を揺さぶってくる。僕はその勢いに気圧される形で、思い切って脳裏に浮かんだ自分の名前を口に出してみた。
「僕の名前は……野晒もんどのすけ!!」
『…………』
その名前を耳にした途端、彼女たちの表情が微妙ながらも先ほどまでにはなかった明るさを見せる。つまり正解ではないものの、当たらずといえども遠からずと言ったところだろうか。
「さっきよりもそれらしい名前が出てきたな。どうやらこの作戦は効果がありそうだぜ」
気の強そうな女の子が僕の口に出した名前に満足をしたのか、小さくガッツポーズを作る。
「だったら……次はあたしの番よ」
今度はオカッパ頭の少女がにじり寄って来て僕の腕を抱きしめてくる。
「ねえ健二、思い出してちょうだい……あたしがあなたにオマンマンを見せてあげた、あの日のことを……」
「お、オマンマン?」
ひねりの一つもない隠語が出てきて思わず目を丸くするも、少女はそんな僕に構わずその先を続ける。
「そうよ。ほら、あの時はあなたを慕っている小学生の未衣ちゃんだっていたじゃない」
話を聞いているうちに、僕の脳裏に少しずつ当時の情景が浮かび上がってきた…………
――――――――――――――――
「聞くまでもないとは思うけど花子さんが未衣ちゃんのトイレを覗こうとしていた、そういうことなんだろ?」
テーブル越しに向かい合う二人の間に座って事の成り行きを整理する。
「そうだよ。公園のトイレで未衣がオシッコしようと思って屈んだら後ろに立ってたの。パッと見ですぐにトイレの花子さんだって分かっちゃったよ」
「……間違いないね、花子さん?」
「そ、そうよ。だけどあたし、あの時は姿を消していたのよ。どうしてあなたには分かったの?」
「ん~、よく分かんないけど未衣には丸見えだったよ。花子さん、すごくエッチそうな顔でニヤニヤしてたじゃない」
「……」
確かに幽霊である花子さんは完全に姿を消して人の視界から消え去ることが可能である。
その能力があるからこそ方々の女子トイレを覗き続けてたくさんの桃源郷を知っているのだから。
「……」
だけど、時として霊感の強い人間は霊の存在を察知する。
特に子供の場合だと意図的に姿を消した霊でさえも見えてしまうという話を聞いたことがある。
ましてそれがどこまでもピュアで心の中にに一点の淀みも曇りも存在しない未衣ちゃんのような子ならば十分に有り得る話だと考えられる。
「それで、ビックリしちゃってオシッコ引っ込んじゃったから未衣思わず花子さんに言っちゃったの」
「何を?」
「オマンマンを出して、って」
「……」
呆然とする僕の右斜め前で花子さんが恥ずかしそうにうつむいてしまう。
最近はそんな隠語だか淫語だか分からないような言葉が流行っていたりするのかね。
「そしたら花子さんが悲鳴を上げて逃げちゃうからここまで追いかけてきたの。だって、未衣だけがエッチなところ見られたんじゃ不公平だもん」
「ま、まぁそうだよね、うん。言ってることは間違ってないよ」
あの学校の怪談屈指のホラーキャラである花子さんに悲鳴を上げさせるなんて未衣ちゃんよ、君はどれだけ末恐ろしい小学生なんだ。
「それにせっかくトイレの花子さんに会えたんだもん、もっと仲良くなりたいんだよ」
「あなた……」
「えへ、は~なこさん☆」
ドサッ。
未衣ちゃんが花子さんに飛びついて押し倒す。
「ちょ、ちょっと、何するのよ」
「ね~オマンマン見せてよぉ。花子さんだって未衣のお尻見ながらニコニコしてたでしょ~?」
「落ち着け、落ち着くんだ未衣ちゃん」
エキサイト気味の未衣ちゃんを見てあわてて仲裁に入る。
だけど公平な目線で考えれば明らかに非があるのは花子さんの方で筋が通っているのは未衣ちゃんである。
ならば僕がここで言うべきことは。
「花子さん、残念だけどこればっかりは僕もかばいきれない。どう見たって悪いのは君の方だ」
未衣ちゃんを引きはがしながら努めて真面目な顔で花子さんにそう告げる。
そして、少ししんみりとした空気の中でハッキリと本題に切り込んだのである。
「だから、恥ずかしがらずに見せてやってくれないか、花子さんの……」
「くっ……」
花子さんは激しく赤面すると大きくため息を吐いて意を決したかのように立ち上がった。
「分かったわよ、見せてあげればいいんでしょ!」
「えっ! 本当に見せてくれるの?」
「何よ、オマンマンの一つや二つぐらい信用の置ける相手にならいくらだって見せてあげるんだから!!」
いや、そんなものが二つも付いていたらそれは単なる奇形ジャンルだから。
ともあれ花子さんが未衣ちゃんに心を開いてくれたのなら何よりだ。
「その代わり、あなたのオマンマンもあたしに見せること。いいわね?」
「うん! 未衣のオマンマンもたっぷり見せてあげる!!」
「それと、その後で健二のオチンチンを一緒に舐めてあげること。いいわね?」
「えっ?」
「うん! 一緒にお兄さんを気持ちよくさせちゃおっ!!」
気がつけば未衣ちゃんと花子さんはすっかり意気投合してガッチリと握手を交わしていた。
と言うかどうして僕が引き合いに出されているんだ。
「構わないよね、お兄さん?」
「問題ないでしょ、健二?」
拒否権は認めませんと言わんばかりの目線が同時にこっちに向けられる。
まぁ僕としては全然悪い話じゃないしダブルフェラなんて並みの風俗店では出来そうにないサービスをこんな可愛い女の子たちから受けられるのだからむしろ大歓迎である。
「いいよ。じゃあこの機会にみんなの大事なところを見せ合いっこしようか」
『やったぁ☆』
未衣ちゃんと花子さんが満面の笑顔でハイタッチを交わす。
初対面なのにここまで打ち解ける辺り流石は女の連帯感というやつか。
「とくと御覧なさい。これがあたしの秘密のオマンマンよ!」
花子さんがパンツを脱ぎ捨てスカートをめくり上げて自分から秘部を晒す。
そこに広がる光景は一本の毛も生えておらずまさに純粋なまでの桃色空間だった。
「す、すごい……これは紛れもない処女マン……」
「どうかしら? あたしが人を驚かしてばかりのただの愉快犯だと思ってたら大間違いなんだからね」
「よーし、だったら未衣もーっ!」
今度は未衣ちゃんが触発されるかのようにパンツを脱ぎ捨てスカートをめくり上げて自分から秘部を晒す。
こっちに広がる光景も無毛地帯に変わりはなかったが少し濃い目のピンクが印象的な桃色空間だった。
「未衣ちゃん……何度か見てるとはいえやっぱり、エロ可愛い……」
「へっへ~、見たか! チンを勃たせる無毛の力!!」
どこぞの真の格闘家志望者のようなセリフを吐きながら未衣ちゃんが愛らしいドヤ顔を見せる。
「よし、ならば僕だって!」
目の前の大胆な少女たちを前に気分が高揚していた僕もまたパンツごとズボンをずり下ろしてそそり勃つペニスを披露した。
「わーい♪ 久々の健二お兄さんの生チンだぁ☆」
「ふふっ、90点ってところかしら……」
それに伴い未衣ちゃんと花子さんが膝をついて両脇から僕のペニスを舐め回す。
チュプッ、チュプッ、ジュプ! ジュプッ、ジュポッ、ジュポッ!!
「えへっ、こんな時ってタマタマも舐めてあげた方がいいんだよねっ☆」
「当たり前でしょ。言うなれば玉と竿は一心同体、1本の竿と2個の玉が揃って初めてオチンチンと呼べるのだから」
漫画で何度か見ていたシチュエーションではあったものの実際にやられると実に気持ちが良い。
しかも玉の方まで丁寧に口の中に入れてまで舐めてくれる心遣いが嬉しい。
「お兄さんのオチンチン、たくましくて可愛らしくて未衣だーい好き!」
豪快な舐めっぷりで力強く刺激を与えてくれる未衣ちゃん。
「いいわ、このサイズ……大きくもなく小さくもない理想サイズのオチンチン、いっそのこと握りしめたまま眠りたい……」
チロチロとねちっこく舐め回しながらジワジワと刺激を送り込んでくる花子さん。
こんな攻撃を両側から一度に受けてしまえば臨界点などあっという間に訪れてしまうのは至極当然の摂理であって。
「二人とも……僕、もう……!!」
絶頂の直前で二人の頭をつかんでペニスのそばまで引き寄せる。
そして、僕は最高の快楽と引き換えに湧き立つ想いを噴き出したのである。
ビュルルルッ!! ビュッ、ビュッ!! ビュルリャァッ!!
「はぁ、はぁ……あ~」
噴出した白濁液は分け隔てることなく二人の少女の顔と体を容赦なく卑猥な色に染め上げていた。
「も~……お兄さんったらどんだけ元気なのよ~。未衣もうベットベトだよぉ」
「やるじゃないの健二。良いぶっかけっぷりだったわよ」
だけど、精液まみれになっていたにも関わらず未衣ちゃんも花子さんもどこか満足そうだった。
「ごめんね二人とも。だけどどっちもすごくいい顔してるよ」
『……』
僕の言葉に二人が汚れたお互いの顔を見合わせながらクスクスと笑い合う。
チュッ(×2)。
そして、隙を突くかのように僕の両方の頬へと柔らかな感触をプレゼントしてくれたのである。
「…………!」
「えへ。これは未衣と花子さんを仲良しにしてくれたお兄さんへのお礼の印だよ☆」
「ほんの感謝の気持ちよ。こんな素敵な友達を作ることが出来たのは健二、あなたのおかげだわ」
「未衣ちゃん、花子さん……」
そんな二人の笑顔はどこまでも眩しく輝いていた。
そして、僕の存在がそんな二人の笑顔を作るきっかけになれたことがどこまでも嬉しく誇らしかった。
――――――――――――――――
「未衣ちゃん……未衣ちゃん……そう言えば、僕もその子のトイレを覗いてバレたような覚えが…………」
「そうよ。あなたは可愛い女の子のトイレを覗くのが大好きな、ちょっとエッチですごく心の優しい男の子だったのよ……」
オカッパ頭の少女が背中から抱きしめてくる。僕はそのぬくもりの中で、思い切って脳裏に浮かんだ自分の名前を口に出してみた。
「僕の名前は……椎名ひでふみ!!!」
『……!!』
その名前を耳にした彼女たちが、これまで以上に大きな反応を見せる。残念ながらこれも正解ではなさそうな感じだったものの、かなり大きな前進と考えて間違いなさそうだった。
「良い名前ね……これは明らかに記憶が戻りつつある証拠だわ」
少女が手ごたえありといった具合の表情を見せながら僕の耳元にそっと息を吹きかける。
「そろそろ元に戻ってくれよ。そんなんじゃ勇者コスなんて出来ねえから死人扱いでずっと棺桶の中に入っててもらうことになるぞ」
「そうね、こればっかりは私も桃美と同意見よ健二君」
気の強そうな女の子と賢そうな女性も僕に詰め寄って首筋や口元に息を吹きかけてくる。
そんな時、もう一人の客人がこの部屋に入ってきたのである。
「健二君、玄関が開けっ放しになっちょったけえ勝手に入らしてもろうたよ?」
「…………」
その人は、背丈がやや高めでスマートな体型ながらも胸とお尻のムッチリしていた美人女性だった。
いや、世間一般で言うほどの美人ではないのかもしれないが、僕の視点では十二分過ぎる程に綺麗な女性だった。
「えっと……何の用ですか?」
「うん、今日はコスプレパーティーがあるけえ先生も健二君と一緒に行ってみたいと思うてね」
「先生……?」
そのフレーズに僕は何か引っ掛かるものを感じる。
気がつけば僕の脳裏には、自動的に遠い日の記憶がよみがえろうとしていた――
――――――――――――――――
「さてと」
今日も行きつけのスーパーに足を運ぶ。多少年季が入っていて古めかしい店舗だが、値段的にも距離的にも品揃え的にも家庭の事情で安アパートでの一人暮らしを余儀なくされている僕にとっては、ここが最適の場所だった。
「ねえトミさんいね、この前隣町のスーパーで青果部の主任やりよる人が下着泥棒で現行犯逮捕されたんといね」
「ああ、ありゃあやるじゃろうね。顔つきも根性も汚い男じゃけえ」
人気のない店内でレジのおばさんたちが、世間話をしながらけたたましい笑い声を上げている。この店では店員たちも男女問わず平均年齢が高く、四十路手前の男性社員が最年少という状態でまさに老人ホームのような有様だった。
――せめて若い女性店員さんが一人でも居ればここに来る甲斐というものだってあるのになぁ……
閑散とした店内を見渡しながら、数少ない客人たちまでもが男女問わず皺(しわ)がれた顔ぶればかりで思わずため息が漏れそうになる。
そんな中、一人だけ二十代の中ごろ辺りと思(おぼ)しき女性が、買い物かごを手に店内を練り歩いていた。
「あっ」
その女性を近くで見て思わず声が出てしまう。決して特別な美人というわけではなかったが、僕は彼女の容姿に明らかに魅せられていた。
「……」
厚めのメイクと短めのスカートにますます視線を引き付けられる。その時『この女性に今すぐにでもエッチなハプニングが起きたらいいのに』と僕は本気で考えてしまっていた。
「んっ……」
すると彼女は、急に下腹部をおさえながら前屈みになって歩き始めた。
苦しそうな表情を浮かべ、よろよろといった足取りで買い物を続けている。
――多分、お腹痛いんだろうな。だったら我慢なんてしてないで……
急を要する腹痛を起こしているのは容易に見当がついたものの、それでも彼女はなかなか行動に移そうとはしなかった。しかし、限界が近づいていたらしく、程なくして商品が入ったままのかごを通路脇に置くとそのまま店の外へと姿を消した。
――これは……!
間違いなく、彼女はトイレに行ったのだと確信する。僕は無意識のうちに自然体を装いながら、さり気なく店を出るフリをしてその後を追いかけた。
外にある店のトイレは古い店舗だからなのか内装も古めかしく、男女共用で男性用の小便器と大便用の個室が二つという造りになっていた。もちろん、古い店舗なだけに個室はどちらも和式便所である。
――さっきの人は奥側に入ったな。
遠巻きから先ほどの女性が奥側の和式便所に入ったのを見計らって、僕は手前側の和式便所に隠れて鍵をかける。下の隙間は結構空いていて、ここから覗けば向こうが見えるのは想像に難くない。
――今なら、きっと!
僕はこすりつけるかのように床に顔をくっ付けて、隙間からその先を覗き見た。
――す、すごいっ!
視界には、便器の上にむき出しになっている彼女のお尻がモロに飛び込んできた。大きくて形も良く、肌色の桃のようなセクシーでいて可愛らしいお尻。
「……」
心なしか、今までずっと乾いていた股間に熱がこもるのを感じた。
「んっ、んふっ!」
「!?」
だが、そんな僕の股事情などお構いなしに、彼女は苦しそうに肛門を開くとそこから一気に溜め込んでいた便を噴出したのである。
ブリブリブリブリブリッ!! ブブブブブブッ!! ビリビチャアッ!!
それは彼女の魅惑的なお尻には似つかわしくない、臭くて汚い下痢便の豪雨だった。
だが、そのアンバランスな組み合わせが僕の性的な興奮をさらに刺激する。
「はぁ、はぁ……」
「……」
彼女が息を荒げている後ろで、僕は息を殺しながらその光景に瞠目していた。
プシャァァァァ…………
一瞬にして便を出し切った彼女はすぐに放尿を開始する。後ろからその光景を眺めていると、お尻からオシッコを出している、そんな感じである。
「んっ、臭い」
尿も出し切った彼女はそうつぶやきながらペーパーを取り始めた。まぁ、こっちにまで出したての便臭が漂ってくるぐらいだから、臭いのは当たり前だろうけど。
クチュッ、クチュッ!
お尻の毛までバッチリ見えるアングルから、年頃の女性がお尻を拭く姿というのもこれまた艶かしい。
僕は思わず下から手を伸ばして撫で回したくなる衝動に駆られるも、最低限の理性を駆使してどうにか持ちこたえる。
「ふぅ」
一通りお尻と股間を拭き終えると、彼女は縁にはみ出していた便を拭いて立ち上がる。そして、水を流すと個室を出てトイレを後にしたのである。
「……」
彼女が去ったその後には、充満した便臭と数ヶ月ぶりに勃ち上がったペニスに満面の笑顔を浮かべている僕が残っていた。
――――――――――――――――
「…………!」
全ての記憶を取り戻した僕は、反射的に立ち上がると大きな声で元気よく来客の女性――かつての担任教師である岸村香子に挨拶をした。
「香子先生、おはようございます!!」
「う、うん……おはよう」
僕の突然の行動に戸惑いながらも先生が優しい声で挨拶を返してくれる。
「そういうことなら先生も僕たちと一緒にパーティーへ行きましょう!」
「うん、行こうや」
僕たちは軽めの抱擁とともに目覚めのモーニングキッスを交わす。
「どーやら治ったみてーだな、健二の奴……」
「ええ、完璧なまでに元に戻ってるわ……」
「何かしらね、喜ぶべきはずなのに喜べそうにないこのモヤモヤ感は……」
その背後では案の定、大事な仲間たち――モモルリハナの3人が、僕の背中へと冷ややかな視線を向けていたのであった。
既に着替えを済ませていた僕たちがコスプレパーティーの会場に着いたのは、開始時間の3分前という実に際どい時間帯だった。
「ごめん、本当にごめん。僕のせいで色々と手を焼かせちゃって、心の底から申し訳ない」
「まぁ、健二君もここまで謝っちょるんじゃし許してあげようや、ね?」
わずかな残り時間で僕は事情を知った先生と一緒にモモルリハナへと頭を下げる。彼女たちは既に機嫌こそ直していたものの、やはり自分の失態で迷惑をかけた手前頭を下げずにはいられなかったのである。
「別に怒ってなんかいねーよ。その代わり、後でしっかりチンポに代償払ってもらうから覚えておきな」
ギュム!
「気にしなくていいわよ。このぐらい私のお尻で顔面椅子の刑にすれば済む話なんだから」
ギュム!
「本当に悪いと思っているのなら、今度あたしのトイレ巡りに付き合いなさい。たっぷり桃源郷を拝ませてあげるわよ」
ギュム!
彼女たちが代わる代わる僕のペニスを握りながら頬にキスをする。察するまでもなく、これは『許す』というサインだと考えて間違いなさそうだった。
「みんな……」
「良かったね。やっぱり桃美さんも留里さんも花子さんも、健二君のええ仲間じゃわ」
ギュム。
最後に先生の手でペニスを握られて、僕はようやく心から安堵する。どうやらこれで心置きなくパーティーを楽しめそうである。
「コスプレパーティー開始10秒前、9、8……」
奇しくもこのタイミングで開始時間が差し迫り、若い女性スタッフからカウントダウンが告げられる。
「5、4、3、2、1、開場でーす」
そして、ここに僕たちの輝けるステージが幕を開けたのであった――――