(壱) 保健室は座薬の香り
「ごちそうさま」
昼休み、いつものように教室でのぼっち飯(と言っても購買のパンなのだけど)を済ませた僕は、保健室へと向かった。今日は朝から寒気がしてならないのである。
本来ならすぐにでも帰りたいところであったが、今日は昼一で我がクラスの担任・岸村香子先生の授業が予定されてる日。常時学校が檻のような環境である僕にとって、香子先生の授業は昼食や休み時間以上のオアシスなのである。そんな日にみすみす早退とあってはもったいないというもの。だから僕は検温をして、高いようであれば薬を飲んでから午後の授業に備えようと思い、保健室に歩を進めていたのである。
「失礼します」
保健室に入ると誰も中にはいなかった。と思いきや。
「熱っぽいんでしょ?だから私がこうやって測ってあげるって言ってるじゃないの。ほら、観念しなさい」
「ほいじゃけどこれは違うんじゃないやろうか。何か恥ずかしいんやけど」
カーテンで仕切られた向こうのベッドから二人の女性の声が聞こえてくる。片方は保健室の養護教諭――早紀先生の声だと思われる。そして、もう一人は間違えるはずもない我がクラスの香子先生の声である。
「すみません、少し体が熱いんで検温したいんですけど……って!」
立ち聞きも程々にカーテンを開き用件を告げようとして、思わず固まってしまう。
「け、健二君……」
「あら、ダメじゃないの。うら若き乙女がお尻を丸出しにしているところに入ってきちゃ」
ベッドの上にうつ伏せになってお尻を突き上げた状態の香子先生と、その脇で体温計を手に淫靡な笑顔を浮かべている早紀先生。
「ま、星座的には乙女というより蠍(さそり)と呼んであげた方がしっくりくるんでしょうけどね」
プツッ。
「んっ」
僕が硬直している目の前で、早紀先生はためらうことなく手に持っていた体温計を香子先生の肛門へと差し込んだ。
「先生、えっと」
「体温計ならもう1本机に予備があるから勝手に使っていいわよ」
「いや、その前に何か言うべきことがあるでしょう」
「やーねぇ健二君ったら。香子が熱っぽいって言うから検温してあげている、それだけの話でしょ」
早紀先生が口元に人差し指を当てながら、苦笑気味にそう言ってくる。
「でも、体温計をそこに差すというのは……」
「あのね、これは実験なの。お尻の穴でも正確な体温が測れるかどうかという、医学的な研究みたいなものなんだから」
お尻の穴でも正確な体温が測れるかどうかという医学的な研究。偉そうなことを言ってはいるが、どう考えても性的な意味での娯楽の範疇としか思えそうにない。だけど、不思議と悪い気はしてこない。何せ検温という形で、香子先生の生のお尻を目の当たりに出来るのだから。
「健二君、やっぱりこんな行き過ぎたエッチは良うないよね。出来りゃあお尻の体温計を抜き取ってほしいんやけど」
「早紀先生、保健室に鍵をかけましょう。ついでに窓のカーテンも全部閉めて、廊下からも完全に見えないようにして下さい」
だから僕は考えられる限りでの最善策を取ることにしたのである。
「そうね。健二君以外の男にこんな姿を見られたら香子がかわいそうだものね、分かったわ」
早紀先生が速やかに施錠へと向かう。
「ど、どういうつもりじゃろうか」
「許して下さい香子先生。僕、すっかり先生のお尻を見てスイッチが入っちゃいました」
「健二君、これはいくらなんでも先生後で怒らしてもらわんと……」
「ええ、後でいくらでもお叱り下さい。その分、元は取らせてもらいますんで」
左手で香子先生のお尻を揉みながら、体温計が挟まったままの肛門にそっと息を吹きかける。
「あんっ」
「可愛いですよ香子先生。このまま家にお持ち帰りをしたいぐらいです」
「こ、こんな格好のまま先生を担いで帰るっちゅうんかね」
「冗談ですよ」
本当は一人暮らしの手前、連れて帰っても一向に構わなかったのだけど。
ピピピピピ。
「あ」
ふとそこで体温計が音を立てる。
「ようやく終わったみたいね、どれどれ」
戻って来た早紀先生が肛門から体温計を抜き取って、温度を確認する。
「37度8分。まぁ熱があるといえばある方だけど、無理に休ませるほどの数字でもないわね」
「んっ!」
ブゥ~ッ、ブプッ!!
体温計を抜き取られた矢先、香子先生は勢い良く放屁した。
「香子先生……」
「ご、ごめん。ちょっとお腹が痛うなって」
「今の聞いたでしょ、健二君?こんな臭くて大きなオナラが出せるってことは元気そのものってことよ、ね!」
パチン!
「あんっ!」
お尻を強めに叩かれて、思わず香子先生が声を上げる。
「ほいじゃけど、午後からすぐに授業じゃけえ薬ぐらいないじゃろうか」
「薬、ねぇ……まぁそういうことなら、遅効性の飲み薬よりも速効性のアレを投与してあげるわ」
速効性のアレ。早紀先生はニコリと笑うと、胸のポケットからそっとその薬を取り出したのである。
「先生、それは……」
「そうよ。飲まずにねじ込む解熱剤『座薬』よ」
袋に入っていない裸のままのカプセルが僕に手渡される。
「健二君、任せたわよ」
「先生」
「いやしくも、あなたは香子が初担任を務めているクラスの代表なのでしょう?だったらそれぐらいは、あなたがすべき責務のはずよ」
「……」
視線を座薬からむき出しとなっている香子先生の肛門へと移す。確かに、作業自体はこの小さなカプセルをあの穴に挿入するだけのことであって、頭の良くない僕でも難なく出来るレベルである。
だけど、やっぱり恥ずかしい。
「早くしてあげなさいよ。こんな体勢で放っておいたら香子がかわいそうじゃないの」
ためらう僕を早紀先生が急かしてくる。
「何でもええけえ早ようしてもらえんじゃろうか?ええ加減恥ずかしいんやけど……」
「ですよね」
よく見てみれば、香子先生はお尻を丸出しにしたまま肛門だけでなく、あろうことか局部までむき出しの状態なのである。いや、本来ならば陰毛で隠れているのだろうけど、剃毛しているから桃色の部分がくっきり見えちゃってるんだよ。
「香子先生。今から僕の手で座薬を入れることになったんだけど大丈夫ですか?」
「ま、まぁ健二君やったら変なことはしてこんと信じちょるけえお願いしてもらおうか」
クラス委員とはいえ、保健室で自分のあられもない姿を目の当たりにしている生徒を相手にこの言葉。
やはり彼女は愛すべき教師である。
「じゃあ、行きますよ」
ムギュッ。
座薬の先端をお尻の穴にあてがって、そのまま人差し指で奥の方へとゆっくり押し込む。
「んあっ」
「香子先生、大好きですよ」
気がつけば、上の口から本音がポロリとこぼれ落ちていた。
「あっ……」
「はいはい終了、やるべきことはやったんだからお楽しみはおしまいよ」
そんな僕をフォローするかのように、早紀先生が手を叩きながら場を収めにかかる。
「用が済んだんならとっとと教室に戻りなさい。午後の授業に間に合わないわよ」
「えっ、まだ授業までは10分以上残ってるし……」
「健二君は鈍いんだから、少しぐらい余裕を持って動かなきゃ遅れちゃうでしょうが」
ギュム。
「うっ」
話の途中でペニスを握られ思わず絶句する。
「えっと、健二君はさっき何を言うとったんじゃろうか。小そうて聞こえんかったんじゃけど」
「空耳よ空耳。香子、あんた疲れてるから幻聴が聞こえたのよ」
「ほいじゃけど、幻聴の割には結構ハッキリとした声じゃったような……」
「ほらほら、妄想はいいからパンツを穿いて授業に戻る!」
パチン!
「あんっ」
香子先生が再びお尻を叩かれ声を上げる。どうやら、先ほどの言葉は正確に彼女の耳には届いていないようだった。少し名残惜しい気もするが、今の胸に広がる安堵感を思えばこれで良かったということなのだろう。最も、先ほどから妙にニヤニヤしている早紀先生には、しっかりと聞き取られてしまったみたいだが。
「そういえば健二君、検温がまだだったわね」
「いや、もう熱は引いちゃったみたいなんで結構です」
正直なところ微熱は残っていたが、もう授業に差し支えるほどの寒気のようなものは完全に引いていて、午後の授業を受けて家に帰れる程度までには回復を果たしていた。
「香子先生、戻りましょう。午後イチはうちのクラスなんだから」
「そうじゃね」
ガラッ!
教室に戻ろうとして鍵を開けた瞬間にドアが開いてよく見知った女子生徒が入って来た。
「ま、円香さん」
「ねえ、さっきからずっと閉まっちょったけど何しよったん? あたし10分ぐらい待っちょったんよ?」
1年のころからのクラスメートにして、可愛いながらも押しが強くて少し苦手な棚田円香さんである。
「えっと、まぁ、エロエロ……じゃなくて、色々と」
「何でもええけどちょっと熱があるんよね、測りたいから体温計取ってよ」
「体温計ならここにあるわよ」
僕が動くまでもなく早紀先生が速やかに手渡す。
「はむっ」
あろうことか、円香さんは受け取るとスイッチを入れてそのまま口にくわえてしまったのである。
「……」
それは間違いなく、先ほどまで香子先生のお尻の穴に入っていた体温計である。
「む~、何か変な味がする」
「気のせいよ、気のせい。あなた風邪で少し味覚がマヒしてるだけでしょ」
「そうなんですかね」
早紀先生は僕だけにイタズラっぽくウィンクを仕掛けてくる。その一方で、香子先生は一目で分かるほどに顔を赤面させている。こういう場合は、事情を知っていても本当のことを言わない方が本人のためでもあり、みんなのためでもあるのだろう。
「香子先生、戻りましょう。円香さんも授業が始まるんだから熱がなかったらすぐに教室に戻りなよ」
「分かっふぇ(て)るわよ」
こうして、僕は香子先生と一緒に今度こそ保健室を後にした。いつの間にやらオカズに使えそうなシチュエーションを作ってしまった、そんな昼休みの一時ひとときだった。
(弐) 繰り上がりのクラス委員
バアァァァァァン!!!
本来ならば何でもない下校時間の通学路に、ありえないほどの衝突音が響く。
「うえっ」
やがて、それはアスファルトに流れるおびただしい血の海とともに現実色を帯びてくる。
「あれって……」
歩道を歩いていた僕の前方、赤信号の横断歩道。堂々と信号無視をやらかした挙句、ダンプカーによって盛大な報いを受けていたのは、僕のクラスメートにして女子のクラス委員でもある森重さんだった。
「うわ~こりゃ大惨事だわ、自転車へしゃげちゃってるぞ」
「おい救急車呼べ救急車!」
「運ちゃんしっかりしろ、今のはあんた絶対に悪くないからな」
程なくして、野次馬たちが群がり現場の視界が塞がれる。救急車も呼ばれたみたいだし、運転手をなだめてくれている人もいるのなら、自分の出る幕はないだろう。僕はしばらくは止みそうにない喧騒に背中を向けると、速やかにその場を後にした。
翌日、言うまでもなく森重さんの事故は大きく取り上げられ、朝から臨時の全校集会が開かれた。
結局一命は取りとめたみたいだったが相当の重傷だったらしく、復学するには最低でも半年は要するのだという。つまり、その間うちのクラスは女子のクラス委員が不在というわけである。
「まぁ、助かったことに関しては良かったと思うとるけど、皆さんはこういうことにならないようにちゃんと信号を見て、横断歩道を渡るようにしましょう」
全校集会を経て、我がクラスでも1時間目の授業を潰して臨時のHRが開かれていた。
「もちろん、青じゃけえってすぐに渡るのではなく、左右を確認して渡らないといけません」
壇上に立つ香子先生は、一目で分かるほどに憔悴していた。事故のショックもさることながら、どうやら生徒指導の先生に担任としての教育不十分を理由に厳しく叱責されたということらしい。
「……」
だけど、赤信号の横断歩道を渡ってはいけないのは幼稚園児でも知っている話である。全てはそれを我が物顔で渡ろうとしていた森重さんの責任であり、言うなれば自業自得というやつに他ならないだろう。
それなのに、そんな生徒の担任という理由だけで先生が怒られるのだから、全くもって理不尽の極みである。
「……さて、車の話はこれで一度終わりにして、森重さんがおらんく(=いなく)なったことで女子のクラス委員が空席になりました」
先生の表情が少し柔和になり、話題が交通安全からクラス内の問題へと切り替わる。もちろん交通安全も大事だけど、目下の問題はそっちじゃなくてこっちだろう。
「誰かやってくれる人はおらんじゃろうか?おらんようやったら投票で決めさせてもらうけど」
クラス内を静寂が包み込む。そりゃあ好きでクラス委員をやるような奴なんて、普通はいないというものだろう。まして、男子のクラス委員が(無理やり押し付けられる形で決まった)僕である以上、僕と距離を置き続けている彼女たちが進んでやるなんて有り得ないことである。
「先生、クラス委員は僕一人で大丈夫なんで女子の方は不在のままでも……」
僕が座ったまま手を上げて、先生に意思を告げようとしていたその時だった。
「あたしがクラス委員やります」
一人の女子が立ち上がって名乗りを上げる。それは、1年のころからのクラスメートである円香さんだった。
「円香さん、やってくれるかね」
「健二君みたいなクラス委員と香子先生みたいな担任に全てを任せていたら、修了式を前にクラスが沈没してしまいます。だから、あたしがクラス委員になってクラスを良い方向に導きたいと思います」
おいおい、沈没って何だよ、タイタ○ック号かよ。円香さんの頭の中には、沈み行く船の先端でポーズを決める僕と先生の姿でも映し出されているのかよ。
「ま、まぁそれぐらいの気持ちがあるんじゃったら任せられそうじゃね、うん」
そら見ろ、ただでさえ事故の影響で浮かない顔をしていた先生の表情をますます曇らせてしまったじゃないか。
「ほいじゃあ、今日から女子のクラス委員は円香さんがするっちゅうことでみんなええんじゃね」
「…………」
「じゃったら、この場で円香さんを女子のクラス委員にすることを正式に決定します」
異論の声はなく周囲から大きな拍手が沸き起こり、ここに新しいクラス委員が誕生したのであった。
先生の悲壮な顔つきと、それを案ずる僕のことなどお構いなしといった具合に。
ブリブリブビビッ!! ブブブッ!! ビリビチャアッ!!
「やっぱり下痢しちょる……昨日から、何食べてもお腹が痛うなってやれんのんよね」
「仕方ないですよ先生。あんなことがあったばっかりで、精神的にストレスを感じているんです」
その日の放課後。香子先生から呼び出しを受けた僕は、どういうわけか特別教室ばかりで人気のない4階の女子トイレ(全部和式)に連れ込まれ、先生の排便のおともをさせられることになった。
「それにしても、円香さんはどういうつもりなんやろうかね。自分からクラス委員をやりたいなんて言うとは思わんかったわ」
「そんなの僕が聞きたいぐらいですよ。でも、その……」
「どうしたんかね?」
出したばかりの下痢便の臭いに鼻を突かれながらも、その異臭の発生源である先生の丸くて大きなお尻に目が釘付けになる。ここは和式ばかりが立ち並ぶトイレの中でも唯一の段差式和式便所だから、後ろからだと肛門の汚れまでばっちりと拝める仕様なのである。
「なんで、僕が先生のトイレに付き合わされなくちゃならないんでしょうか……」
いや、正直嬉しいんだけど先生から呼び出してこんな展開とか、スカトロ系の同人誌でもない限り普通に有り得ないでしょ。もしかして、今回の出来事は全てが夢だったりとか。
ムギュ。
「健二君、いくらエッチなことが好きじゃけえって先生のお尻をつねらんでもええじゃろうがね、痛いやろ」
「……つまり、夢オチではないということですね」
口に出さずとも股間にたぎる熱い感覚で薄々感づいてはいたけれど。
「うん、まぁ健二君はなんで自分が呼ばれたか分からんで戸惑っちょるんじゃろうけど、先生はウンチを通じて健二君に自分の精神状態を知っといてほしかったんよ」
「精神状態……ですか」
今の先生の中には、エッチな感情だけでは測り知れない何かが燻(くすぶ)っているということか。
「確かに空席になったクラス委員にあの子が立候補してくれたのは嬉しいことなんやけど、何か不安なんよね、色々と」
「それは僕も同感です。これまでクラス委員なんて、名前ばかりで単なる雑用係だとか言ってバカにしていた円香さんが自分から名乗り出るなんて、やっぱり何か引っ掛かります」
「まぁ教師として自分のクラスの子をヘタに勘ぐるのは良うないんやろうけど……」
プシャァァァァァァァ……
ため息をつきながら先生が放尿を始める。いつものことながら、後ろからのアングルだとお尻からオシッコを出しているみたいで妙に官能的な眺めである。
「先生は精神が不安定になると頻尿になって、たくさんオシッコが出てくるんよね。さっきしたばっかりじゃったのに」
勃起して、性的な意味で絶頂状態の僕と相反するかのように先生は深刻そうだった。
「大丈夫ですよ。何があろうとも香子先生は僕が守りますから」
「健二君……」
正直なところ、絶対的な自信など微塵もなかったけど、表面上だけでも先生を安心させてあげたかった。だから、少し踏み込んだ言葉を選んで口に出してみた。
「僕だってクラス委員です。即席成り上がりクラス委員の彼女に好き勝手なんてさせませんよ」
「頼もしいんやね、ほいじゃあ……」
「はい」
「お尻を拭いてほしんやけど」
ガクッ。
良い雰囲気の中で出てきた先生のそんなセリフに思わず脱力する。
「全く、どこの世界に生徒をトイレに連れ込んでお尻を拭かせる教師がいるんですか……ま、喜んでやらせてもらいますけどね」
「うん、頼むわ」
僕は今すぐにでもオナニーしたい衝動を抑制しながらペーパーを取り出して、先生の大きなお尻を拭いてあげた。
「わわっと」
先生の下痢っぷりは思った以上に激しかったらしく、軽く拭っただけですぐにペーパーに便がべっとり付着する。よく見てみると、先生の下痢便は便器の中に入りきらなかったらしく縁にまで飛散していた。
「今やから言うけど、先生は前にウォーキングしよる時に急にお腹が痛うなって近くの公衆トイレを使ったことがあったんよね。そしたらそこが男女共用で、しかも下の隙間が大きく開いちょったもんじゃけえ近所の子供に覗かれてね」
「それはそれは」
うらやましい……もとい、やらしいガキめ。
「ほいで下痢を笑われるし、隙間からお尻を触られたり棒切れでつつかれたりしてウンチをはみ出すしで大変じゃったことがあったんじゃけえ」
「災難でしたね。でも、きっとその子もどこかで覗きが見つかって、お灸を据えられる日が来ると思いますよ」
せいぜいそれまで先生をオカズにして、グラドルの切り抜きにでもぶっかけてるがいいさ……って、それだとまんま僕の行動パターンなのだけど。
「それからは男の人を相手にするのがどうも苦手になっとったんやけど、なんでか知らん健二君だけはすごく安心出来るんやわ」
「だからこうして、トイレに連れ込んでまでお尻を拭かせてくれているというわけですか」
「まぁ、健二君にやったらウンチしよるところを見られてもええと思うちょるし、むしろ見てほしいぐらいじゃけえね」
グチュッ!
お尻を一通り拭き終えた後で局部に手を伸ばすと、先生の大事な部分はたっぷりと湿っていた。
「先生、濡れてる」
「なんでやろうね。もうオシッコは出しつくしたのに、何が先生のアソコを濡らしちょるんかね」
「そんなこと、わざわざ考えなくたって分かるでしょう」
まるで、とぼけたふりをして僕を誘っているかのようである。
「でも、こんな姿を見せてくれた上に、恥ずかしい昔話まで教えてくれるほど僕を信じてくれているその気持ちは素直に嬉しいです」
気がつくと、僕はトイレに屈んだままの先生を背中から抱きしめていた。
「け、健二君……」
「先生、お互いに明日からも頑張りましょう」
「そうじゃね」
それから僕は先生と言葉を交わすこともなく、お尻と局部と便器の縁の汚れを拭ききって流すところまで手伝ってあげた。
ザザ~~ッ!!
大きな水音とともに汚物たちが流れ去る。だけど、その音を聞いているうちに、僕たちの中に宿っていた不安までが流されているようにも思えてきた。
「あぁ、ウンチをたっぷり出した後は、お風呂上がりよりもスッキリした気分やわ」
「それは良かった、僕も拭いてあげた甲斐があるというものです」
先生の顔も晴れ晴れとしているし、今晩のオカズネタも確定したし、まさに一石二鳥と言うやつである。
「今日はわざわざ呼び止めて悪かったね、もう帰ってええよ」
「了解です。ではまた明日」
僕は手を洗うと先生に一礼をしてその場を去り、速やかに下校した。明日からも多難な日々は避けられないだろうけど、心の中の重みが取れただけでも良かったと言える、そんな放課後だった。