私達の学校では、1年生時のクラスがテストの成績により決定されています。
それも入試ではなく、春休みに行われるクラス分けテストの成績です。入試で良いのに。
クラスは、クラス毎の平均点数が殆ど一緒になるように分けられるそうです。
つまり、晴さんの頭が悪いおかげで、私と同じクラスになる確率は高めでした。勿論、気持ち程度ですが。
本日は、始めにクラス分けテストの結果が返ってくるそうです。
「んじゃ、紅葉ー」
年見先生に呼ばれて受け取りに行きます。
一枚の紙。
ここに、私の成績が書いてあります。
少し、緊張しています。一応ここ、進学校なんです。順位が一体どれくらいなのか、気になっています。
「どうだった?」
晴さんは私の顔を覗き込みます。うー、近い。えへへ。
「まだ見ていません...っよし!」
気合を入れて、軽く折りたたんでいた紙をバッと広げます。
「学年順位...学年順位は...!」
国語、97点。
十分です。記述が多かったので満点が取れるなんて期待、最初からしていません。
数学、100点。
これも当たり前です。数学は最も得意です。計算するだけですからね。計算ミスが無ければこんなもんです。
英語、90点。
まぁ...仕方ありません。むしろよく9割に食い込みました。偉いです。
総合点数、287点。まあ良いでしょう。
学年順位、...4?よん?
「僕、380位だったよ。400人中だからヤバイね。わかってはいたんだけど」
「...私、4位です」
「え」
「...」
「はは...やっぱり紅葉は頭いいね」
「いや、私もびっくりしています」
ここ、進学校ですよね。
もしかして自称進学校――
「紅葉さん!何点でしたか!?」
海さんがこちらへやって来ます。
まるで警戒することなく紙を持って来て...総合点数91点。あー...。
「海、失礼」
「あ、すいません!ボクは91点です!紅葉さんの点数教えて頂いても構いませんか?」
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます!えーっと...ぇ、え!にひゃくは――」
「――ストップですストップ!」
なにこの娘大声で暴露しようとしてるんですか。雪さんの注意が何の役にも立っていません。
「あのですね...私、紙を見せたじゃないですか?その意図がわかりませんか?」
「え、えっと...?」
「海にはわからない。ばかだから」
「ひ、ひどい!ボク、バカじゃないもん!」
「擁護できません」
「紅葉さんまで!バカじゃないですってばぁ!」
「私の点数を大声で叫ぼうとした方が何を言おうと――」
「バカって言った方がバカ――」
私と海さんが騒いでいると、晴さんと雪さんは保護者の様にこちらを見守っています。
そんな目で見ないでっ!
「雪ちゃんはどうだったの?」
「私?」
「うん、頭良さそうだなって思って」
「...ふふ、しー...」
雪さんは指を立てて、晴さんに紙を見せて――
「...ははは、なるほどね」
「ごめん。彼女をトップスリーに入れてあげられなくて」
「いや、いいんだよ。紅葉は負けず嫌いだしね」
「よっし、終わり。やっぱ授業ないとらくでいいわー...解散!」
HRが終わります。
まだ授業はないのでとても楽です。
「お二方、遊びませんか!?」
「すいません、今日は少し...」
「ごめんね。僕達、用事があるんだ」
「あ、そうなんですね!ではお邪魔虫は退散しましょう!」
「...なるほど」
何となく、恋仲的な用事だということには気づいたみたいです。
流石に、そういう事をするとは思っていないでしょうがね。
(晴くん)
(ん?)
(...どっちが攻め?)
「紅葉、行こうか」
「?はい、行きましょう」
どうしてそんなに焦っているのでしょうか。
わかりませんが、早く帰りたいと思っている。そういうことにしておきます。
晴さんが差し出した手を掴んで、一緒に帰宅です。
「すっごい自然に手繋いでたね」
「うん、自然だった」
「はぁ、ボクも彼氏欲しいなぁ...」
「私が、貰ってあげても...いい」
「...はは、どーも」
「任された」
「なんか、すごい混んでいますね」
「うん、人多いね」
電車がとても混んでいます。
聞こえてくる会話を聞く限り、有名なアーティストのライブがあるそうです。
「これはちょっと...身動きが取れません」
「だね」
私はドアの前で立ち、目の前に晴さんが居ます。しっかり守ってくれているようです。
「...晴さんも、彼氏というものをわかってきたみたいですね」
「まあ、紅葉に何度も言われるからね」
「クスッ。いい子いい子、です」
晴さんの頭を撫でます。
こういう時は、背が高くて良かった、と思ってしまいます。
「あ、ありがとう...っていうか、ちょっといい?」
「はい?どうかしました?」
顔を真っ赤にして可愛いです。
「その、胸...がさ」
「胸が...どうしましたか?」
私の胸が晴さんの胸板に押し付けられています。
「...っはぁ...ちょっと、ほんとに」
「どうかしましたか?」
晴さんは息も荒くなって来て、発情して来ていました。
明らかに熱っぽい視線が私の胸に来ています。
「...♡」
私は上のボタンを外します。
肌色と、ほんの少しだけ谷間が見えます。
「はぁ...はぁ...っ...もみ、じ...っ」
「晴さぁん、どうかしたんですか...?」
耳元へ唇を近づけ、明らかに誘っている声音で囁きます。
ここは外。しかも電車内。晴さんがいくら興奮しても襲うことは出来ません。もしそういった行為をすればすぐバレてしまうでしょう。
今なら、好きなだけ晴さんをからかうことができます。
「晴さん。胸に汗かいてるの、わかりますか?」
「――っはぁ...ゴクッ」
生唾を飲む音が聞こえます。
あぁ、可愛い。今すぐ襲いたいのにダメで。我慢するのに必死な晴さん。
「晴さんの舌で拭き取って欲しいです...なんて――」
「――レロッ」
「ッひゃぁん!?」
お、思わず変な声が出てしまいました。
まさか本当に舐めるなんて。
「あ、すいません...」
私の声に反応して、周りの人がこちらに視線を向けてきました。
晴さんの後ろなので見えていないとは思いますが...恥ずかしい。
「ハム...ペロクチュッ...レロッレロじゅるるっ」
「あ、あの...ちょっと...」
たかが外れたように私の胸を舐め回します。
かなり上の方ですので、余り感じたりはしないのですが...多少の擽ったさと状況が、私の身体を熱くさせます。
「ぁ♡」
晴さんは私の胸から顔を離すと、スカートの上からお尻を揉みます。
「あ、あの...っここ外...ん♡」
「先に誘惑したくせに」
「あ、謝りますから...許して...っ...」
「...後で覚えといてね」
少し怒っているみたいです。
「すいません、っはぁ...でした」
「いいよ」
あら、やっぱり怒ってはない?
軽そうにしていますし、怒りではないようです。
その後、私達は無言で電車に乗っていました。
「着いたね。行こうか」
「はい」
また手を取って、晴さんの家へ。
相変わらず、特に物はない部屋。
「ちょっといい?」
「はい?構いませんが...」
珍しく真面目な雰囲気。少しだけ怖いです。
何かしましたっけ...あ、さっきの電車ですよね。
やっぱり謝るべきでしょうか?
「紅葉って...子供欲しい?」
「え!?」
こ、子供ですか!?
何故そんなことを突然言うんでしょうか!困ります!
「そ、それは勿論あの...欲しいに決まっていますが...でもまだ高校ですし!?流石にちょっと早すぎると言いますか在学中はそのですね!!」
「いや、そうじゃなくてさ...僕達って、基本的に避妊してないよね?」
どうやら子作りをしたいとか、そう言う話では無いようです。
「そ、そうですね...その通りです」
「今まで気にしなかったけど、紅葉の言う通り気にしなきゃでしょ?」
「...ええ、まあ」
「本当は男の僕が気をつけるべきだったんだけど」
今度からはゴムでもつけてもらいましょうか。
ああ、でもあのあったかい精液、好きなんですけどね。
触るとなんかベタついて嫌なんですけど。
「周期とかわかってる?」
「周期...排卵日とかの話ですか」
「うん。危険な日は避けようかなって」
「...我慢できますか?」
「いや、できるよ?」
むっ。
そんな簡単に言われるのは腹が立ちますね。
「むしろ、紅葉の方が心配だよ。今日だって電車なのに――」
むむむっ。
ムカつきます。
「晴さんこそ我慢できないでしょう?いっつも私が倒れるまでするじゃないですか」
「いや、それは紅葉が誘ってるからでしょ」
むむむむーっ。別に誘ってません。むしろ、大体は晴さんから襲って来ますし。
「ふーん...我慢出来なくなっても私、知りませんよ?」
「それ、僕のセリフだから」
「泣きついても許しませんから」
「はぁ...それで、周期は?」
「さぁ、知りませんから今日から止めましょうか」
「知らないでやってたんだ...」
「じゃあ約束ですから。また明日」
「うん、また明日」
ふん、我慢の限界までずっっっっっと見ていてあげます。それまでお預けです。
覚悟してくださいね。
今日あんだけ興奮させたのにお預け...怒ってませんよね?