cast
安藤 奈都 13歳 中学1年
安藤 美奈 13歳 中学1年
安藤 昭義 45歳
安藤 淳子 43歳
【登場人物】
安藤 奈都
妹の美奈とは、一卵性双生児。
安藤 美奈
姉の奈都とは、顔は似てるが性格は大人しく、生まれつき足が悪い。
安藤 昭義
奈都、美奈の父親で、酒癖が悪くよく妻の淳子を酒に酔っては、殴ったりしている。酔いが冷めると反省はするし、優しくもなる。
安藤 淳子
奈都、美奈の母親で、無口な母親。
「えっ?!離婚?」
「嘘…」
学校から帰ると、ママのお兄さん…つまりは、祐介おじさんが家に居て、テーブルを挟んで、パパとママは離れて座っていた。
「なっちゃん?」
双子の妹の美奈は、心細そうに私を見ていた。
「お前らだって、知ってるだろ。こいつの酒癖の悪さは…」
おじさんが、パパの方を指差した。
「怖い…」
「おじさん、大きな声出さないで。美奈が怖がる…。」
パパの酒癖が悪いのも、それで暴力をしていたのも知ってる。特に、生まれつき足が悪い美奈は、よく躾と称しては、叩かれていた。
「パパは、それでいいの?」
「いいんだろ。そっちが、離婚してーんなら。」
パパは、畳の上に寝転がって、目を閉じていた。
「じゃ、私と美奈は?」
「それなんだが…」
祐介おじさんが、私を見た。
「やだ…。なんで?」
何を言いたいのかわかった。
「美奈は、足が悪いのは知ってるだろ?」
「…。」
いつもそうだ。美奈を連れてどこかに行っても、基本美奈中心にして遊ぶ事になる…
私の気持ちなんて、誰もわかってくれない…
「なっちゃん?」
「そ…だよね。美奈、ママんとこだって。」
「うん。でも…」
なんとなくだが、美奈の顔には安堵の気持ちがみえていた。
それから、暫くしてパパとママは離婚して、祐介おじさんの家に住むこととなった。
「なぁに、こっからなら電車で30分もないんだから。いつでも、遊びにこいよ!!」
「なっちゃん、住んでるとこ知ってるんだし、学校違っても遊ぼ!!」
「うん…。ママ?」
ママは、私の方を振り向くことなく、助手席に座ったまま、前を向いていた。
パパは、今日ママ達が荷物を取りに来るのは知ってたけど、仕事に行った。
「奈都、あんま酒飲まさないようにな。酒さえ飲まなきゃな…。」
「うん。わかってる。」
パパは、お酒さえ飲まなきゃ優しいんだよね。それは、祐介おじさんも知ってるから…
「じゃな。」
「なっちゃん、またね!!あとで、ライン送るからね!!」
「うん。」
3人が乗った車を見送り、家に入るとなんとなく広く感じた。
その夜パパは、酔って帰ってきた。
「奈都、すまんな。」
「…。」
珍しくパパが、頭を下げた。
「でも、お前が残ってくれて、俺、嬉しいよ。」
お酒に酔ってるせいか…
「まぁ、私も家事とか少しは出来るし。ママの代わりするから…。」
「あぁ、頼むよ。ほんと、お前で良かった。」
「じゃ、早くお風呂入って。私、明日学校あるから…。」
「あぁ。ありがとう。奈都…。」
離婚したのが、堪えてるのかな?お酒で酔ってるとはいえ、珍しく頭を下げたり、ありがとうなんて言葉、久し振りに聞いた。
「おやすみ…」
「あぁ。」
パパが、バスルームへ行くのを確認してから、部屋に戻った。
美奈からラインが届いていたが、少しだけ話してベッドに潜った。
次の日、学校に行ったら友達の何人かが、パパ達が離婚したのを知っていて驚いた。
「美奈が?」
「うん。親が離婚したからって!!名前、変わるのか?」
「美奈はね。私は、そのままだから…。」
同じクラスメイトでもあり、席も近い宮澤くん。
私の初恋の人で、告白する前に振られたけど…
「でも、良かったよ。なぁ。」
「うん。」
???
『離婚したのは親だけど、良かったとは?』
「これで、いちいち構ってちゃんに付き合わなくてすむもん。」
「たーしかに!!お前、ほんと我慢してたな!!」
「はっ?えっ?!構ってちゃん?美奈?」
『どういうこと?』
ガタッ…
「奈都、知らないの?鈍いの?」
佳奈ちゃんが、口を挟んだ。佳奈ちゃんは、宮澤くんの彼女。凄く可愛い。
「居ないから言うけどさ…」
宮澤くんや田口くん、佳奈ちゃん達から聞いたのは、美奈に対する愚痴だった。
昼休みが…潰れた…。
「まっ、しょーがねーだろ。足が、わりーんだから。」
学校で聞いた事をパパに話した。
「そうだけど、あそこまで人の事を悪く言ってたとは…。」
「そんな我が儘言って、困らせてたとはな…。」
「どう?腰まだ怠い?」
お風呂上がりに、腰が怠いと言うからちょっとマッサージしてあげた。
「あー、もういい。気持ち良かったよ。ありがとう。」
「腰、使えなくなったら困るでしょ!!働いて貰わないと!!」
「あぁ。すまんな。ありがとう。奈都…」
「じゃ、私、勉強あるし。おやすみ。」
「うん。」
最近のパパは、お酒の飲む量は変わらないけど、外で飲む回数は減ってきた。
勉強しながら、美奈とライン…
確かめたかったけど、なんとなく怖くてやめた…。
≫じゃ、明日。ちゃんと時間通りにきなよ。
≫うん。わかった。パパは?
≫元気!!じゃ、おやすみ!!
パパ達が離婚して、美奈とは毎日ラインしあってるが、会うのは3ヶ月振り。
朝、パパを叩き起こして、朝御飯を食べさせ、お小遣いを踏んだくって…
「なっちゃん、またおっきくなった?」
「なにが?変わんないよ。」
「おっぱい…。」
「…。」
『会って最初の挨拶がそれかい!!』
駅ビル近くで待ち合わせてのスタバでお茶しながら、互いの近況報告。
「はっ?再婚?ママが?」
「うん。おじさんが、ママに勧めてるの聞いちゃった。どうしよう!?」
「まぁ、いんじゃないの?ママにだって幸せになる権利はあるんだし。美奈、足は?」
「うん。大丈夫だよ。」
「友達出来た?」
「少し…。みんな、優しくしてくれる。」
美奈は、可愛いからね…。
スタバを出て、軽く買い物をして、ランチを楽しんで…
「じゃね。おじさん、送ってくれてありがとうございます。」
「いいえ。元気そうで、良かったよ。」
家の近くまで、祐介おじさんが送ってくれた。