※この作品はR-18です。

幻想見聞録   作:コンコルド

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第十一項:一休み

 -博霊神社・境内神社裏-

 

 突然紫が姿をくらまし、帰り方が分からなくなった龍牙達だったが、幸いにもこの博霊神社から帰ることは可能と聴き、ひとまずは安心と言ったところで、ストライカーを神社裏に移動させた。

 

 そして何時の間にかギャラリーが少し増えていた。

 

 まず、魔理沙がどこからか連れてきた金髪ショートヘアのまるで人形の様に可愛く綺麗な魔法使い、アリス・マーガトロイド。

 

 博霊神社に居候する小学生程の見た目の鬼、伊吹萃香。

 

 表面温度が明らかに低い先に同じく子供の様な見た目の氷の妖精、チルノ。

 

 チルノに同伴するように一緒に来た緑色の妖精、大妖精。チルノは〝大ちゃん〟と呼んでいる事から名前は無いようだ。

 

 アリスと萃香はストライカーを観察するように眺め、妖精達は周りで遊んでいた。

 

「おーい霊夢ー」

 

 そして今、新たに1人増えた。

 

 見た目は俺達と同じ位に見える長い金髪に白い半袖のワイシャツに黒いベストと黒いロングスカート。頭の左側には赤いリボンを付けた女性が霊夢を呼びながら駆け寄ってきた。

 

「あれ?ルーミア。どうしたの?」

 

「どうしたの?って異変の方はもう解決したのかって訊きに来たんだ」

 

「あっそ、わざわざ来なくても良かったじゃない」

 

「まあまあ、そう言わないでよ」

 

 ニカッと笑いながら会話するルーミアと少々気怠そうな顔をする霊夢。

 

 ・・・あれ?ルーミアって確か子供っぽい見た目だったっておばあちゃん言ってたような・・・

 

「あのー、ちょっと良いかな?」

 

「ん?私?」

 

「うん、君がルーミアなの?」

 

「そうだけど」

 

「人喰い妖怪の?」

 

「いかにも、私は人喰い妖怪のルーミア。って言っても〝元〟人喰いなんだけどね」

 

「〝元〟人喰い?」

 

「そ、〝今〟の私は〝人の闇を喰らう〟妖怪さ」

 

「へーそーなのかー」

 

「・・・なんか、自分の台詞を盗られた気がして成らない」

 

「まあまあ、気にしない気にしない」

 

「・・・はぁ」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「---てな訳で、今の私があるんだ」

 

「なるほどねぇ」

 

 神社の縁側に腰掛け、ルーミアの過去を聴いた。

 

 彼女の今の姿は、10年近く前に子供の容姿の時に触れられなかった頭の左側に着けられていたお札が、ふとした事がきっかけで外れた事と、その後の暴走を先代の博霊の巫女に止められ、その後神社に連れて行かれ、当時物心ついて間もない幼い霊夢との関わりによって、〝ただの人喰い〟から〝人の闇喰い〟の妖怪に変わったらしい。

 

 この時、本人の〝変わりたい〟という強い願いと、先代の博霊の巫女及び紫の協力によって今の自分に成れたという。

 

「人の血を見て禁断症状とかは無いの?」

 

「特には無いね。小さい頃の霊夢が転んで擦り傷出来た時も、それを見てどうなったって言うのは無かったし。ふふ、しかしあの時の霊夢は可愛かったなぁ。元気いっぱいのお転婆で、時には肝の冷える様な事もあったな」

 

「ちょっとルーミア。何余計なこと話してるのよ」

 

「事実だろう?あの時は本当に心配だったんだからな。花の妖怪もそうだし、後はあの人間の女も---」

 

 2人の会話を見ていると、なんだか仲の良い姉妹に見えるのは俺だけじゃ無いかもね。

 

「ちょっ!チルノちゃん何してるの!?勝手に人のものを触ったらダメだよ!!」

 

「へーきへーき!」

 

「?・・・なっ!!」

 

 ストライカー周辺を彷徨いてたチルノが何時の間にか運転席のハッチを開け、中からG36ST/GLを引っ張り出していた。

 

「こら!それを元に戻しなさい!」

 

「へっ!やなこったーだ!そんなに返して欲しいな---」

 

 台詞は、龍牙の行動で遮られた。

 

「ふん!」

 

「らああああああああああ!!!!」

 

 某5歳児がよく母親から受けている握り拳でこめかみグリグリをチルノは喰らった。

 

 当然びっくりしたチルノは持っていた銃をパッと放す。

 

 そのまま地面に落ちそうになった銃は、下にいた大ちゃんがキャッチ。直後に「重いッ!?」と小さく叫んではいたが。

 

「まったくも~、おイタはいけませんヨー」

 

「「「ヒッ!!」」」

 

「ぎゃぁあああああああああああ!!!!」

 

 いつもの〝イイ〟笑顔になりながらグリグリをかます。

 

 周りはその威圧感にビビり、チルノは恐怖と頭の痛みに悲鳴を上げた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「わぁすごい!」

 

「まるで意志があるみたい」

 

「まあ、この程度なら。いつかは自分で動く人形を創るのが目標なの」

 

 蓮子、メリーはアリスに人形芸を披露してもらっていた。

 

「アリスのやつ、いきなり人気者だな」

 

「まあ、彼女の人形芸は本当に見事だからね。魔理沙も魔法使いなんだよね?」

 

「あー無理だね。私は普通の魔法使いだから」

 

「ふーん、魔法使いにも普通とかあるんだ」

 

「おう!まあ厳密に言えば私は魔法が使える人間だからな。霊夢が人間なのに空を飛べるのと同じ様なもんだぜ」

 

「へぇ。ところで具体的にはどんな魔法が使えるの?」

 

「まあ、何も持たずに使えるのは、この箒とかを引き寄せたり、空を飛んだり。後はこいつ、この八卦炉で弾幕攻撃が出来る位だな」

 

「弾幕?あのバラバラ撃ち続けるやつ?」

 

「そ!弾幕はパワーだぜ!!」

 

「パワー、ねぇ」

 

 少し解釈に苦しんだが、要はこの八卦炉とか言うのがお約束の光線やら光弾やらをばらまくと解釈した。

 

「ところで、私からも質問していいか?」

 

「答えられるものならいいよ」

 

「あんたのそのでかいやつは何なんだ?鉄と、車輪の黒いのは今まで触った事の無い感触で出来ている感じがあるんだけど」

 

「こいつは、多用途装甲車ストライカー。察した通り防御力確保の為に比較的頑丈な金属で出来ているんだ。あと、車輪の黒い所は、石油系ゴムで出来ているんだよ」

 

「こいつゴムで出来てるのか!?」

 

「そうだよ。最も、ゴムの木の樹液から精製したゴムじゃ無いけどね。おまけに、ゴム自体の強度を確保する為に他の材質のものも混ぜ込んであるけどね」

 

「へぇ~。あ、あともうひとつ」

 

「何?」

 

「さっきチルノが引っ張り出したのって何だったんだ?見た感じ銃に見えた気がするけど」

 

「ああ、あれね」

 

 龍牙はストライカーに手の平を向ける。するとストライカーの操縦席のハッチが開き、G36ST/GLがふわりと出てきて、そこから龍牙の手に吸い寄せられる様に飛んできた。

 

「お、お前も魔法が使えるのか?!」

 

「俺のは魔法じゃ無いよ。超能力(サイキック)って言うんだ。まあ意識を集中させるって意味では似たようなものかな。んで、G36ST/GL(こいつ)はお察しの通り銃だよ。但し、この幻想郷にあるものより高度なものだけどね」

 

 龍牙の説明を魔理沙は食い入るように聴く。隠れた努力家にして好奇心旺盛な彼女には、溢れんばかりの新鮮さを感じたらしい。

 

「なあなあ!試しに撃ってみせて欲しいんだけど頼めるか?」

 

「え?ここで?ん~ちょっと待ってね」

 

 ひとまず霊夢に許可を求める。

 

 俺の一存で済むならいいのだが、先ずはこの神社の主に訊きに行くのが普通だ。

 

「霊夢、ちょっと良いかな?」

 

「ん、何よ?」

 

「魔理沙がこの銃の撃つところを見せて欲しいって言ってるんだけど、外側に向いて撃って良いかな?」

 

「普通そんな事許可を求める時点でおかしいけど、良いわ。ただ、撃つ時は変な所を撃たないでよ」

 

「うん、ありがとう」

 

 すぐに魔理沙の元に向かう。

 

「魔理沙、許可もらってきたよ」

 

「お!じゃあ早速頼むぜ!」

 

「はいはい、みんな大きな音がするから耳塞いで!」

 

 周りに警告して銃を構える。

 

 目の前の木に狙いを定め、安全装置を解き、引き金を---絞る!

 

 ダアアァァァン!

 

 幻想郷には無い銃声が轟く。

 

「は~、すごい音だぜ!」

 

「銃弾の速さも、幻想郷のものより速いわね」

 

「・・・耳が・・・耳がぁ・・・」

 

 魔理沙とアリス等の周りに居たみんなは警告に従って耳を塞いでいたが、霊夢だけは〝大丈夫だろう〟と軽い気持ちで耳を塞いでいなかった。そして今耳に手を添えながらしゃがみ込んで小さく悶えていた。

 

「だから耳塞いでって言ったのに」

 

「あんなに鋭いとは思わなかったのよ!」

 

「まあまあ、霊夢落ち着きなって」

 

「むぅ~・・・」

 

 気が立ってしまった霊夢を宥めるルーミアを見て、やっぱり姉妹みたいだと龍牙は思っていた。

 

「御剣龍牙とはお前の事か?」

 

 不意に上から声が聞こえ、全員がその方向を見る。

 

 そこには赤い目に犬の耳が付いた白い髪、頭には文の被っていたのと同じ六角形の帽子(なんて名前だったかな?)を被っている。

 

 肩と脇が露出した和風の上着に裾周りが赤橙色の黒い袴、高さのある一本歯の下駄を履き、左手には丸みを帯びた菱形の紅葉の葉が描かれた盾、右手には峰と刃の幅が広く普通の刀と同じほどの全長の刀を持った女の子が宙に浮いていた。

 

「そうだけど、君は?」

 

「私は、白狼天狗の犬走椛(いぬばしり もみじ)。大天狗様より、お前を妖怪の山に案内する様に命ぜられた」

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