-妖怪の山・白狼天狗集落役所前・早朝-
「ふぁ~~っ、おはよう椛」
「おはよう龍牙。少し眠そうたが、眠れなかったか?」
「ううん、逆。心地良くて寝過ぎたんだよ」
日が昇り始めた頃、役所前で待ち合わせをしていた龍牙と椛。現在の時刻は午前6時、日の出、日の入等、時間感覚は外の世界と変わりない。幻想郷も24時間で時間計算をしていて、時計に関しては河童達の技術によって造られ、妖怪の山は勿論、人間の里にも公共の場所には無償、一般には低価格で提供されているらしい。
「では、参ろう。余り大天狗様をお待たせさせる訳にはいかない」
「そうだね。それじゃあまた案内よろしく」
「うむ!」
そして、出発しようとしたまさにその瞬間---
カシャッ
「「!!」」
突然周りの環境に不吊り合いなカメラのシャッターの電子音が聞こえて、椛は携えていた大振りの刀を抜き、龍牙は能力で自身の亜空間に仕舞っていたハードレッグホルスターを瞬時に両脚に装着、ウィングシューターを引き抜き音のした方向に射線を向け構える。
「ちょっ!ちょっと待った!!攻撃しないで!!」
シャッター音のした方、役所の建物の角から女性が1人現れた。
文や椛と同様の形の紫色の帽子と一本歯の下駄を履いていた。
ツインテールの茶髪に襟に紫色のフリルをあしらった薄い桃色のブラウスに黒ネクタイ、紫と黒のタイルの様な模様、市松模様の短かめのスカートで、背中には黒い一対の翼。右腰には茶色い小さなポーチがあり右手には黄色い
「攻撃して欲しくないなら、そっちから名乗ってもらおうか?」
珍しく龍牙の口調が鋭かった。普段は穏やかで優しい彼だが、BSAAでの対B.O.W.戦や、通常の人間対人間の戦闘経験を持つれっきとした戦士なのだ。故に彼は警戒心を向けている示しとして鋭い口調と眼差しを向けた。
「ええ、私は
「鴉天狗か。それじゃあ射命丸文を知っているか?」
「知ってるも何も、文とは新聞記者同士の仲よ。・・・ところでそろそろ構えを解いて貰ってもいい?」
「そうだな」
銃をホルスターに収め、警戒を解く。椛も刀を収める。
「突然写真を撮ったら誰だって警戒しますよはたて様」
「あはは、ゴメンね~」
「ところで、君はなんでここに?それともなんで写真を撮ったの?」
「単純ですよ。まず、あなたが外来人であること。それと、大天狗様に御招致されてとは言え、この妖怪の山に登って来たからです」
「そんなに珍しいんだ」
何気ない話しをしていると、何かが物凄い速さで近付いて来ているのを察知、山頂方向を見ると---
「りゅーーがさーーん!!」
文が物凄い速さでこちら目掛けて飛んできて---
「ひょい」
「ああん!避けな---」
勢いそのままに突っ込まれそうになり、とっさに避ける。そして勢いが衰えてない文はちょっと涙目のまま---
「いでぇっっ!!!」
後ろの木に頭から激突、姿勢の都合か、そのまま逆さ張り付けになるように背中や腰を強打し、悲鳴が途中で途絶えた。
そのままずるりと落ちてまた頭をうち、まるで○ン肉バスターを掛けられたかの様なポーズとなった。
「・・・文」
「は、はい・・・」
「そろそろ戻ったら?白が丸見えだよ?」
「ひゃっ!!」
慌てて体勢を直し立ち上がる。しかし時既に遅し。周りの白狼天狗達は男は丸見えがプラスされるが、皆満足そうににやけていた。はたては先程のポーズをバッチリ写真に収めていた。
「いたた・・・龍牙さん、遅いですよ。昨日のうちに来てくれると思っていたのに」
「ごめんごめん。何分歩きなものだから」
「この前契約を交わした龍で来ればあっと言う間じゃ無いですか」
ザワザワ
「龍と契約したって」
「ああ、今はっきり言ってたな」
「あの人間、何者だ?」
ザワザワ
・・・あーあ、騒ぎ出しちゃった。
「・・・文?」
「ピィッ!!?」
「ちょっと、お灸を添えようか」
「イィヤアアアアーーーー!!!!」
この悲鳴は、龍牙のこめかみグリグリが終わる(龍牙の気が済むまで)続いたそうな。