第十六項:紅魔館
-霧の湖・上空ー
「あの建物がこの霧の発生源か」
ドラグレッダーに乗って、紅い霧の発生源に向かっていた龍牙は、湖の一点に存在する紅い大きな屋敷の様な建物を見つけた。
「おーい!龍牙ー!」
「?」
声が聞こえた方を見ると、箒に跨がった魔理沙が手を振っていた。その隣には霊夢もいた。
「魔理沙!霊夢!」
「あなたも、あの屋敷に?」
「まあね。ところで蓮子とメリーは?」
「あの2人ならルーミアが面倒見てくれるって言ってたから任せて神社で待たせているわ」
「ありがとう。それじゃ行きますか!」
3人は、目標の屋敷を目指す。
-霧の湖・謎の深紅の屋敷の門前-
「よっと」
霧の発生源である屋敷の門前に3人は降りた。魔理沙が「派手に強行突入しようぜ!」と言った時には、龍牙が威圧して黙らせたのは余談だ。
「おや?随分と早いですね」
ふと、門の方から女性の声が聞こえる。
門の前にチャイナドレスっぽい淡い緑の服と、『龍』と書かれた星が付いた同じ色のベレー帽っぽい被り物、背中の中ほどまで伸びた赤い髪の女性が立っていた。
「君は、ここの門番かい?」
「そうです。私は
「ではこちらも自己紹介から。俺は御剣龍牙。外の世界の者で、色々あって今この幻想郷に---」
「御剣龍牙!?御剣龍牙って、あの御剣龍牙!?」
「・・・3回名前を呼ばれると何か嫌だな」
彼女、紅美鈴は妙に興奮状態になっていた。
「でも本人で間違い無いんですよね?」
「まあ、そうだけど・・・」
「私、是非ともあなたと一度お手合わせ願いたいと思っていたんですよ!まさかこんな所で本人に会えるなんて!」
・・・ああ、なるほど。
「ストーカーですねわかりました」
「違いますよ!?」
突然の発言に驚きながらもしっかり突っ込む。
「この幻想郷にくる前に、外の世界であなたの噂を耳にした事があったんですよ」
「どんな噂?」
「とにかく常識破りな男がいて、名前が御剣龍牙だと」
「・・・あ、そ」
多分B.S.A.A.に関わってた時の事かもな。いずれにしても---
「ところで門番さん?」
「はい?」
「この紅い霧、止めてもらえないかな?」
「・・・それは聴けないお願いですね。何より、お嬢様の意向ですので」
やっぱりだめか・・・。
「そのお嬢様って、何者よ?」
霊夢が問う。
「この紅魔館の主にして、正当なる吸血鬼、レミリア・スカーレット様の事です」
「って事は、ここも通してはくれないって事か?」
続いて魔理沙が問う。
「ええ、どうしても通りたければ---」
ザッ!と中国武術のような構えをして一言。
「私を倒してからにしてもらいますよ」
戦意を剥き出しにする。
「君を倒せば、先に進んでいいって事なんだな?」
再び龍牙が質問する。
「ええ、もちろんです。さあ、掛かってきなさい!!」
「だが断る!」
「「「エエッ!!?」」」
そして空気をぶち壊した。
「せ、せめて御剣さんとは手合わせを~~」
「ならその代わりにこの2人を通してあげて。そうしたら相手してあげる」
「ではではどーぞどーぞ。ささ、今の内に通っちゃって下さい」
・・・何だか悲しく見えてきた。
そう思った3人だったが誰も口に出すことはなかった。
美鈴は霊夢と魔理沙を普通に通してしまい、門前には龍牙と美鈴だけが残った。
「さてと、それじゃあ一戦交えますか」
「ええ、では今度こそいきます!」
-紅魔館・エントランス-
「おぉ、想像以上の広さだぜ!」
「はいはい、分かったからあんまりはしゃがないでよね」
紅魔館内に入った2人。魔理沙は自身の冒険心に熱が入り始める。反対に霊夢は至っていつも通りだ。
「てな訳で、私はここで失礼するぜ♪」
「あ!ちょっ、魔理沙っ!まったく・・・」
霊夢が制止する間も無く、魔理沙は左側の扉を開けて突き進んでいった。
「騒がしいわね。何事かしら?」
「!!」
不意に声が正面の大きな階段の方から聞こえた。
そこには紫程では無いが背が比較的高く、短い銀髪、そして紺色だか藍色だか暗めの青地のメイド服を着た女性が立っていた。
「あなたは?」
「普通は訊く前に名乗るものよ?ただでさえ招いた覚えがない、かつ不法侵入までするような無礼者のくせに生意気ね。まあいいわ、私は
「私は博麗霊夢。この幻想郷の結界を守り、異変が起これば解決に向かう博麗の巫女よ。ところで、外の霧の発生源はどこかしら?素直に教えてくれれば痛い思いをしなくて済むわよ」
「誰が言うものですか。お嬢様には---指一本触れさせない!」
いつの間にか、彼女の両手には数本の小振りなナイフが握られていた。
「やっぱり、簡単にはいかないか」
霊夢も戦闘体制にに入る。
ー紅魔館・地下図書館ー
「うっひょーーー!!」
突然だが、魔理沙は興奮していた。
何故か?
この地下図書館が、非常に広く、書籍が山の様に数があり、それに比例してジャンルも幅広い。
これが結果として、彼女の冒険心・探究心・好奇心を遠慮容赦なく刺激しまくっているからだ。
ひとまず魔理沙は奥に進み、途中目に留まった本を手にとってはパラパラとページを適当に捲っていた。
「・・・・・・」
途中もまだ〝お子様〟である魔理沙には刺激の強すぎるものがあった。
漫画と思って手にしたのは〝薄い本〟だったのだ。しかも中身の描写で捲ったページが悪く、丁度〝触手で抉られて下腹部がグネグネと盛り上がっている描写〟だったのだ。
「・・・今の、現実で餌食になるのだけはご勘弁を」
若干ガクブル状態で、まるで命乞いするかのようにボソッと呟いた。
「そこでなにをしているの?」
「うわああっ?!」
「そこまで驚かなくてもいいじゃない」
「後ろから声を掛けられたら誰だって驚くだろう!!---てか、誰?」
「私はパチュリー・ノーレッジ。七曜を司る魔法使いで、この図書館の司書とでも思ってもらえればいいわ」
大人しく話すパチュリー・ノーレッジ。その容姿は、腰に届くか位の紫の長髪で、だぼっとしたゆったり目の薄紫の服、頭には三日月のアクセサリーが付いたドアノブキャップを被っていた。
「あなたは?」
「わ、私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ」
「でも人間よね?」
「まあな!」
「相当努力した様ね。でも、不法侵入は感心しないわね」
「あ!そうだ!お前、紅い霧の発生源知らないか?外の連中が迷惑がってるんだ」
「ああ、レミィね。教えてあげなくは無いわ」
「本当か!やったぜ!」
「ただし、私と勝負して勝ったらの話。それと---」
そう言って魔理沙が今さっき見た〝薄い本〟を手に取り、開けた場所に放る。そして地面に落ちると同時に強い光が放たれる。光が消えるとそこには---
「ぎゃあああああああああ!!!?」
本の中から
「あの触手の餌食になったら負けというルールで。あと、身体中を撫で回すけど、それ以上の事はしないから安心して」
「できるかあああ!!」
紅魔館において、一番にぐだぐだエンゲージとなった魔理沙であった。