-紅魔館・エントランス-
龍牙と美鈴が戦闘を開始した頃、こちらにおいても博麗霊夢と十六夜咲夜の戦闘も始まった。
「お嬢様の邪魔立てをするのなら、容赦しない!」
「そっちこそ、異変の解決を邪魔するならただじゃ済まさないからね!」
霊力を込めたお札と銀色の細身のスローイングダガーナイフを投げ合っていた。
しかしお互いに未だ無傷。エントランスだけがあちこちにびっしりとお札とナイフが突き刺さりボロボロになっていた。しかしあくまで表面的にであるため、倒壊や崩落事故はなさそうだ。
「あんた、人間のくせになかなかやるわね?」
「あら、あなたに誉められても特に嬉しくもなんとも思わないわ。それに---」
咲夜はニタリと怪しい笑みを浮かべた。
「まだ、本気は出してないわよ?」
「!」
霊夢は不意に何かを感じた。しかし、それが何かを理解する前に本能が危機回避を訴えた。
「ッ!?」
突如目の前に無数のナイフが視界に映る。
「くッ!?はあっ!!」
霊夢は結界を張り、ナイフの群れを凌ぐ。だが---
「こっちよ」
「なっ!?」
咲夜は霊夢背後を取る。そして再び無数のナイフが突然現れ、飛んできた。
この間に、霊夢はある予想を確信に変えていた。
(こいつ、まさかとは思ったけどやっぱり時間を止めてる!)
霊夢が感じていた違和感の正体、それは十六夜咲夜の能力である〝時間を操る程度の能力〟だ。
「ほら、さっきの威勢はどうしたのかしら?」
「・・・・・・」
この時霊夢は、ある策を練っていた。
「・・・どうやら、期待外れだったみたいね。なら!」
再び咲夜は時間を止める。そしてまたも無数のナイフを今度は全方向から霊夢を囲む様にする。この際、突き刺さっていたナイフも引き抜いて使っていた。
「この力を、人から恐れられ忌み嫌われてきたこの力で、あなたにとどめを刺してあげる」
フッと時間が動き出し、全てのナイフが一斉に霊夢に襲い掛かる。
無数のナイフは瞬く間に霊夢を呑み込んだ。
もはや外からでは彼女の様子はうかがえない。しかし、誰がどう見ても、彼女が助かる見込みは皆無だと察するには充分な状況だった。
(ふふ、所詮博麗の巫女とは言えど、この力からは逃れられないわ)
咲夜は自分の勝利を確信した---つもりだった。
(・・・そんな!?)
ナイフの嵐の中心には霊夢の姿はおろか、血の痕すら残っていなかった。あったのはズタズタに破れたお札の数々だった。
(まさか、あの攻撃をかわしたと言うの!?)
「あなたの能力は確かに凄い」
「はっ!?」
上から声がして見上げてみる。そこには無傷の霊夢がいた。
「けど、
「くっ!---ッ!?」
改めてナイフを構えるも、すぐに周りの変化に気付く。
まるでオーロラや虹のように様々な色を発したお札が列をなして咲夜を包むように回っていた。
「この先ここでやっていくなら、あんまり私に手間を掛けないで」
人差し指と中指にお札を挟んだ右手を前に構える。お札が光り出し---
「夢想封印!!」
それを咲夜目掛けて投げる。同時に、周りを囲っていたお札も一斉に咲夜との距離を縮める。
「きゃあああああああ!!!!」
時間を止める間も無く、直撃を受け、エントランスは眩い光に包まれる。
「ふぅ、地味に手こずらされたわね」
エントランスを包んでいた光が消える。光の中心となった咲夜は力無く倒れていた。しかし、決して死んだ訳では無い。気を失っただけである。
「さて、さっさと片付けてのんびりしたいわね」
咲夜が倒れたのを確認すると、霊夢は紅魔館の奥へと足を運んでいった。