-紅魔館・玉座の間-
霊夢とレミリアが戦い始めて数分、2人とも息が上がっている様にみえないが、先程から激しい力でぶつかり合い、半ば消耗戦になりつつあった。
「あなた、なかなかやるじゃない」
「当然よ。私は誇り高き吸血鬼なのだから。あなたこそ、人間にしては上出来ね。流石は博霊の巫女、と言ったところかしら?」
「ほめてもらえるのは嬉しいけど、それなら代わりにお賽銭を入れてほしいわね!」
霊夢は複数のお札を投げ、牽制する。対するレミリアは冷静に回避する。反撃に出ようと霊夢を見ると、勢い良く跳び蹴りを腹部に喰らう。
「がっ!!」
不意の衝撃を受け止めきれずに、後方へ飛ばされ、ステンドグラスを突き破って外にまで吹き飛ばされた。
霊夢は追撃の為に追いかけ、珍しく蚊帳の外でおとなしくしていた魔理沙もあとに続いて外に出た。
-紅魔館・上空-
「ぐっ!・・・よくも、この私を足蹴にしてくれたわね!!」
「文句があるなら、さっさとこの霧をどうにかしなさいよ」
再びお札を投げる。さっきよりは若干遅いが、追尾性が高いものだ。
レミリアは回避行動を取りながら迎撃しつつ、霊夢の行動を警戒した。
すると案の定、速度を重視したお札と、彼女の左右に紅白の陰陽玉が霊力によるエネルギー弾を機銃の様にバラバラと撃ってきた。
「やるわね。なら、これでどうかしら!!」
レミリアは手を上にむけると、その手のひらから紅い光が棒状に現れ、片側が螺旋上の帯をなびかせた巨大な槍となった。
「喰らいなさい。『スピア・ザ・グングニル』!!」
その槍を霊夢に投げつける。
「くっ!?」
霊夢は結界を張って防御。直撃時に爆炎が彼女とその周囲を包む。
「ふん、やはりこの程度か」
「霊夢!?」
煙が立ち込め、霊夢を視認出来ない。すると程良いタイミングで風が舞い込んできた。徐々に煙が晴れてきた。
「っ!?」
「ふぅ・・・まったく、驚かせてくれるぜ」
霊夢はそこにいた。服が少々傷んでいたが、彼女自身は無事だった。
気が付くと、色とりどりに光輝く球体が幾つか浮いていた。
「今度は私の番!『夢想封印』!!」
1つずつ光る球が、レミリアに向かって飛んでいく。
(くっ!か、身体が!?)
レミリアは回避しようとする。しかし、先程の大技には当然反動があり、一時的にではあるが、激しい疲労感とそれに伴う行動の鈍りが生じ、全弾直撃してしまった。
「---ッ!!?」
強すぎる衝撃に、悲鳴をあげる間もなく意識を失った。そして、力無く落下していく。
「よっと!ふぅ、危なかったぜ」
そこに魔理沙が割り込み、抱きかかえる様にキャッチする。
「う・・・ん?」
「お、気が付いたか?」
「え?あ・・・私、負けたのね」
「残念ながら、そういうことだな」
「さあ、早くこの霧を晴らしなさい」
近付いてきた霊夢は、ぶっきらぼうに言い放つ。
「ええ、分かったわ。吸血鬼とは言え私は貴族。一度した約束を違える訳にはいかないわね」
彼女は約束通り、霧を晴らすことにした。だが、ここで思わぬ妨害に出くわす。
突然、紅魔館の一部が爆発した。
「な、なに!?」
「突然爆発したぜ!?」
「なっ!?あれは!!」
爆発した箇所の煙の中から、黒く大きな蝙蝠に乗った龍牙が現れて、その後を追うようにフランドールも飛び出した。
「あはははは!逃げてばかりじゃつまらないわ!早く反撃してみてヨ!!」
「くっ!なかなか手間が掛かる」
ふと、フランドールはレミリアの存在に気付く。
「みてみて、お姉様。私、やっと見つけたよ!お姉様の代わりに構ってくれる相手を見つけたんだヨ!!」
「・・・フラン」
レミリアはこの時、今まで思っていたなかで、今回は一番に
積もりに積もった怒りや憎しみや不安、恐怖がフランドールの狂気の原因であり、その根源が自身だといういうことに。
大切な妹を護ろうとした為の行動が、逆にこの様な状態に変貌させてしまった事に。