-紅魔館・大広間-
紅霧異変の元凶であるレミリアを倒し、狂気に満ちた妹のフランドールとの戦いが終わった後。改めての自己紹介を含めてのお茶会が開かれていた。
「なるほどね。つまり咲夜の能力は、時間を進める事だけができないんだ」
「ええ、その代わりに空間を多少操作するという応用が効くのよ。ただ、ほとんど感覚でやっているようなものだから、上手く説明出来ないのよ」
龍牙は咲夜に能力の事を訊き。
「そう言えばお前、結局龍牙には負けたんだな」
「はい、流石は龍牙さんと言った所でした」
魔理沙は美鈴に龍牙との戦いについて聞き。
「あんたもよくあんなじめじめした図書館にこもって居られるわね?」
「良いじゃない。少なくともあそこは私の場所なのだから」
霊夢はパチュリーの図書館に愚痴を言い。
「「・・・・・・」」
レミリアとフランドールは、お互いに話したい気持ちがあるものの、何から話せば良いか分からず気まずそうに無言のままだった。
そして、先に沈黙を破ったのは姉のレミリアだ。
「フラン」
「え?」
「その・・・紅茶のおかわりは、いるかしら?」
見てみると、フランドールのティーカップは空っぽだった。レミリアはそれに気付き、まずはと声を掛ける事にしたのだ。
「う、うん、お願い」
おそるおそる差し出されたティーカップを受け取る。
「お嬢様、私がおつぎいたします」
「いいわ、私がやる」
「よろしいのですか?」
「咲夜、姉の仕事を取らないであげて」
「え?・・・あ、はい、かしこまりました」
メイド長の名に相応しく、素早い対応をしようとした咲夜に対して、レミリアは断った。龍牙は状況を察して本人にやらせてあげるよう促す。
普段は咲夜に任せているだけであり、紅茶の入れ方を知らない訳でも出来ない訳でも無く、むしろ様になるような手つきでフランドールのティーカップに紅茶を注いだ。
「はい」
「ありがとう」
口数は少ないが、この2人の関係からいえばまずまずの出だしだ。
「・・・ねえ、フラン」
「何?お姉様」
「その・・・私に対して、何か言いたい事とかは無い?長いこと、あなたを地下に閉じ込めていたのだから、多分何かあると思って」
大胆な質問だった。それは下手をすればまた大暴れされる様な事を訊いた。
しかし、この時レミリアは確信をしていたのだ。自分の問い掛けに答えてくれるという、彼女の持つ『運命を操る程度の能力』を使わずしての確信を。
「確かに・・・お姉様に言いたいこととかぶつけたい気持ちはある。でも、それは今はしない。私、最初はお姉様と少しずつ話す時間を作っていきたい。私達姉妹なのに、お互いの事をあまり分かっていない気がするから、まずはそれから始めていきたい」
「フラン・・・ごめんなさい。長い間、あなたを閉じ込めてて」
俯き、謝罪をするレミリアにフランドールはそっと彼女の手を握った。
「ううん、いいの。私も出ようと思えばいつでも出られたのに自分からは出ようとしなかったし、お姉様だけが負い目を感じなくてもいいよ」
「ありがとう、フラン」
2人の間にはまだわだかまりがあるであろうが、これから先、時間は掛かれど良くはなるだろう。
他の面々も微笑ましく見守っていた。
「しまったぁッ!!」
ここで空気をぶち壊したのは龍牙だった。
「うるさいわね!どうしたのよ急に?」
霊夢がしかめっ面で訊いてくる。
「妖怪の山でのやることがまだ終わってなかった!しかもまだ蓮子とメリーを神社に預けたままだった!と言う訳でごめん!お暇しまーす!」
そう言うや、近くの窓を開けて外に飛び出す。そして、下に消えたかと思えば、ドラグレッダーに跨がって妖怪の山に飛んでいった。