-妖怪の山・大天狗の業務建屋-
「どうやら異変は解決された様じゃな」
「その様ですね」
紅い霧が晴れ、夕陽が差し込む妖怪の山で大天狗の北条院と、その傍らにいる久瀬が言う。
「大天狗様、龍牙殿が戻られました」
門番の天狗が報告に来た。
「左様か。ここまで案内しなさい。今回の異変の事を何か聞けるやもしれん」
「かしこまりました」
門番は速やかに龍牙の出迎えをすべく、門に戻っていく。
「う~む、今回はどんなネタがあるのか・・・」
「残念だけど、文、今回のネタは私がいただくわ!」
「おやおや、何を言い出すかと思えば、今回の異変を取り上げて、購読者を増やす様なネタを引き籠もりさんに作れる訳が無いでしょう?」
「あら、言ってくれるじゃない?写真の腕は確かだけど、文章力が私以下のクセに、そっちこそ扱える訳が無いでしょう」
・・・その間、後ろでは鴉同士がいがみ合っていてうるさいことこの上ないのは余談だ。
「あの、大天狗様」
「む?なんじゃ犬走」
「何故、私に待機を命じたのですか?私には哨戒任務があるのですが・・・」
「単純じゃよ。あやつの護衛の為じゃよ。要らぬ世話やもしれんがの。お前さんの分はしっかり代わりをたてておるから心配するでない」
「は、はあ・・・」
「どうも、北条院さん。お待たせしました」
話をしている間に、龍牙が戻ってきていた。
「うむ、ご苦労」
「龍牙さん!是非とも、今回の異変について取材を---」
「文!?抜け駆けするの禁止!!龍牙さん、取材は是非とも私にさせて下さい!」
文とはたての両者は我先にと、ネタを求めて龍牙に喰ってかかる。
だが、2人は忘れていた。
相手が〝御剣龍牙〟であることを---
「・・・文、それとはたて」
「「へ?」」
故に---
「---焼き鳥として物理的に喰われるのと、女性として性的に喰われるのと、2人はドッチがいいのカナ?」
「「ご、ごめんなさあああああああぁいッッ!!!!!」」
---とんでもない一言で色々な意味で潰しに掛かった。
-その夜・建屋の宿泊部屋-
北条院さんの計らいで、今夜はここに泊まることになった。
「すぅ・・・すぅ・・・」
「・・・・・・」
---現状を簡単に言うと、椛が一緒の布団で寝ています。俺の腕を枕にして。
元々、椛にも部屋は用意されていたのだが、何故か俺の布団に潜ってます。
何でも彼女曰わく、おばあちゃんとよく一緒に寝ていて、非常に寝心地が良かったから。との事だったんだけど、俺とどう関係あるのかを突っ込みたかったが、目の前でご褒美を長い時間待たされた子犬の様な上目遣いをしてくるもんだから、何も言えず、結局一緒に寝る事となった。
「すぅ・・・かえでぇ・・・」
「・・・・・・」
・・・相当懐いていたんだな。
ふと気が付けば、俺は椛の頭を撫でていた。
「・・・わふぅ~♪・・・」
昨日撫でた時と同じように、気持ちよさそうな顔をしている。余程心地良いのだろう。
「・・・んん・・・龍牙?」
「ごめん、起こしちゃった?」
「大丈夫・・・もっと、撫でて欲しい」
「はいな」
椛は頭を撫でられ、心地良い顔をしながらまた夢の世界へと潜り込んだ。