※この作品はR-18です。

幻想見聞録   作:コンコルド

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~第四章 音撃修行~
第二十六項:洞窟


 -妖怪の山・大天狗の業務建屋の宿泊部屋-

 

 朝。日の光が部屋を明るく照らし始める頃、俺は目を覚ました。

 

「ん~・・・ふぁ~」

 

 俺が自分で言うのもなんだけど、結構マイペースに忠実だと思う。

 

「ん・・・あ、もう朝か・・・」

 

 一緒に寝ていた椛が目を覚ました。

 

「おはよう椛」

 

「りゅーが、おはよー」

 

 まだ目が覚めきっていない様で、寝ぼけた返事をした。

 

「ほら、起きないと文に新聞のネタにされるよ?」

 

「んー、それは嫌だ」

 

 眠たい目を擦りながら起き上がる。

 

「うんしょっと。さて、布団は俺が片付けるから椛は自分の身支度をして」

 

「うん・・・ふぁ~」

 

 椛って朝は苦手なタイプなのかな?

 

 

 

 -大天狗の業務建屋・食堂-

 

 今更ながら、簡単な範囲でだけど生活環境がしっかりしてるなと思ってる。

 

 天狗達に取って食事は娯楽の様なものだが、人間である俺からすれば、大助かりだ。

 

 おばあちゃんもこんな事を言っていた。

 

 〝1日3食、朝昼晩の食事は欠かさず食べるのが健康の秘訣の一つだ〟と。

 

 因みに今朝の献立は、だし巻き卵にほうれん草のお浸し、赤味噌の豆腐の味噌汁と白いご飯だ。

 

 ・・・・・・うん?

 

「焼き鳥は反対でも、卵は食べるんだ?」

 

「まあ、無精卵じゃからな。これはこれで食べ物とみておる」

 

「聞いた話では、外の世界では、孵化間近の卵を割り、体の出来上がったひなを食べるという野蛮なものもいるようだが?」

 

「ああ、あるね異国に。でも言葉が違うから何を言っても通じないと思う」

 

「焼き鳥より悪質な食べ方をしますね・・・」

 

 龍牙の疑問が食事の空気を台無しにしてしまった。本人も流石にしくじったと思った。

 

 

 

 -食後-

 

「ところで北条院さん」

 

「なんじゃ?」

 

「俺を呼び出した本当の理由、そろそろ話してはもらえませんか?そろそろ痺れが切れそうですよ」

 

「ふむ、気付いておったのなら仕方ない。付いてきんしゃい、おぬしにみせねばならんものがある」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 -妖怪の山・中腹の洞窟内-

 

 北条院炎山の案内により、建物から離れた所にある洞窟に案内された。

 

「実はここには、元々鬼が住まっておったのだ」

 

 松明を手に、奥に進みながら北条院は語り始める。

 

「しかし、この洞窟に住まっておった鬼達は普通とは違っておった。そやつらは鬼でありながら、人の為にあり続けたのだ」

 

「人の為?」

 

「そうじゃ。その鬼達は、異質と化した妖怪を倒すためにその力を作り出し、陰ながら人間達を救い続けていたのじゃ。---着いたぞ」

 

 辿り着いた洞窟の奥、目の前には壁がある。その壁には六角形の勾玉の様な物が3つ、円の中に綺麗に収まった彫り込みがあった。よく見ると真ん中で綺麗に縦線が一本あり、この壁が開閉する事は何となく分かった。

 

「ここから先には、わしらは入れん。おぬし1人で進んでくれ」

 

「この先には何が?・・・いや、やっぱりいいや」

 

「すまんのぅ」

 

「いいさ。俺の手で開けて、俺の足で進むさ」

 

 龍牙は躊躇わずに壁に近づき、手を触れた。

 

 すると刻印が青紫に光り出し、ゆっくりと真ん中から左右に割れて、道を開いた。

 

「さて、行きますか」

 

 扉の先は漆黒、龍牙はその中に足を踏み入れる。

 

 数歩進むと壁が勢い良く閉じた。

 

 

 

 -???-

 

 真っ暗になった空間を、龍牙はゆっくりと進む。

 

「・・・?これは、太鼓か?」

 

 しばらく進むと太鼓を叩く音が聞こえてきた。更に進むと、遠くの一点がうっすらと明るい。

 

「誰か・・・いる?」

 

 動く影があるとわかり、駆け寄る。

 

 太鼓の音は大きくなり、動く影は太鼓を叩く人影だと分かった。

 

 更に近付くと、その人影は普通ではなかった。

 

 後ろ姿だけではあるが、マジョーラ調(角度によって色が異なって見える色調)のメタリックな青紫の筋肉質な体躯の持ち主だった。

 

「・・・・・・」

 

 急に太鼓を叩くのをやめ、こちらに振り向く。

 

 その顔は、歌舞伎役者の様な紅いラインの入った、それでいて目や鼻、口等が無い。そして頭にある角が目立った。

 

「・・・えっと、自己紹介はしとく必要があるかな?」

 

「おう、そうしてもらえれば助かるな」

 

 返ってきた声は、良い年のいい男の声だった。

 

「俺は御剣龍牙。あなたは?」

 

「俺は---響鬼。ご覧の通り、仕事は鬼をやってる」

 

「・・・仕事で、鬼?」

 

「そう、仕事。普段はただの人間さ」

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