-妖怪の山・音撃の洞窟-
「俺達は〝音撃〟と言われる力を持っているんだ。過去の話だけど、この幻想郷が出来る前、博霊の巫女の様な存在がまだ居なかった頃の話になるんだ」
目の前の鬼、響鬼は過去の話を始めた。
「昔、人間と妖怪がまだ対立的な関係だった頃、人間と妖怪、両方に危害を加えるある存在がいたんだ。当時そいつ等の事を俺達は〝
「魔化魍?」
「一見は人間、だが、中身は妖怪以上に残酷非道で、人間はおろか普通の妖怪にさせ歯牙に掛けていたんだ。そんな中、妖怪で最強と謳われる鬼と、霊能力の高い陰陽師が秘密裏に手を組み、作り出した対抗策が編み出された。それが〝音撃〟だ。そしてそれを、心と体の強い人間が使い、魔化魍に有効な手段となったんだ。この力を使うと、身体は鬼と同等になるから使える者はほんの一握りで、死を望みたくなる程の厳しい修行を乗り越えられた者しかなれなかったんだ。そして、俺を含め修行を乗り越えた者を〝音撃戦士〟と呼んだんだ」
---その後も、音撃戦士達の過去や、魔化魍、妖怪、そして人間との関係についての話をしてくれた。
「随分と長いこと戦ってたんだ」
「まあね。それよりも---」
「?」
「ここに来れたって事は、君は音撃戦士としての素質があり、修行を受けるに相応しいって事だろう?」
「そうなのか?」
「ああ。ここに来る途中に紋様の入った壁があっただろう?あれはちょっとした〝おまじない〟がしてあるから、入れるのは極一部だけなんだ。そして君は、修行を受ける資格がある。どうだ?やってみるか?」
「勿論。やらせてもらうさ」
「よし!それじゃあまずは太鼓を叩く事から始めようか。基礎体力がどれほどあるか見せてもらいたいからね」
そう言って、響鬼は隣にあったもう一つの太鼓の前に俺を立たせた。
ばちを受け取ると、響鬼は先程まで叩いていた太鼓の前に立つ。
「それじゃあまずは打ち合わせだ。俺が叩くから、あとに続いて同じ様に叩いてくれ」
「分かった」
返事をすると、響鬼は感覚が広めの初心者にも打ちやすいテンポで太鼓を叩いた。俺は真似るように太鼓を叩いた。
「うん、いい感じに叩けているね。次はこうだ」
今度は大振りです力強く、ローテンポで叩き出した。同じく真似て叩く。
「うーん、少し力が弱いかな。取り敢えず次を教えたらまた最初からだ」
「ああ!」
「次はこうだ!」
今度は小刻みに素早く叩いた。これもまた同じく真似る。
「少し遅いな。でも、所見にしては筋が良い。これなら短期間で鍛え上がるだろうな。よし、もう一周頑張ってみようか!」
「ああ、稽古願うぜ響鬼さん!」
この後、太鼓叩きの稽古は何周と続いた。