※この作品はR-18です。

幻想見聞録   作:コンコルド

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第三十項:合わせ

 -妖怪の山・音撃の洞窟-

 

 3人の鬼達によるそれぞれの修行を始めて、どれだけ時間が経っただろうか。

 

 龍牙は全力で挑み、体力が限界になれば能力を用いて回復し、また全力で挑む。ひたすらこれを繰り返していた。

 

「はあ・・・はあ・・・ふぅ、もう一丁!!」

 

 次第にそれぞれの動きにも慣れてきた。

 

 〝管〟は息継ぎや吐き出し加減が。

 

 〝弦〟は荒々しくも細やかな引きが。

 

 〝鼓〟は腰をしっかりと入れた力強い一振り一振りが。

 

 それぞれの特性を身体に馴染ませていった。

 

 そして遂には、3つ全ての音撃の力を、技術を実戦で使える程になった所で響鬼が声を掛けた。

 

「よし、だいぶ良くなった。しかし、ここでこなさなきゃいけないことがある。それは俺たちと〝合わせ〟をやってもらう」

 

「合わせ?」

 

「そう。俺とは〝打ち合わせ〟を、斬鬼とは〝弾き合わせ〟を、そして威吹鬼とは〝吹き合わせ〟をやってもらう。ここが修行の正念場だからね、頑張ろうか!」

 

「ああ!」

 

「〝合わせ〟で奏でる 音楽は共通している。音色や使うものは違うけど、調子そのものは変わらない。その名は〝輝(かがやき)〟という。穢れを祓い、心を明るく照らす事を込められた名前だ。まず最初に〝合わせ〟をやるのは---」

 

「まずはこの俺、斬鬼からだ!」

 

 熱血漢の斬鬼が勢い良く割り込んだ。

 

「わかった」

 

「おし!いくぞぉ!!」

 

 斬鬼との〝弾き合わせ〟が始まった。

 

 豪快かつ繊細にして、激しくも器用に指先を動かし、弦を弾いた。

 

 〝弾き合わせ〟が終わるや、間髪無く威吹鬼が声を掛けてきた。

 

「次は〝吹き合わせ〟だ。頑張ってついてきてね」

 

「おう!」

 

 続けて、威吹鬼との〝吹き合わせ〟が始まった。

 

 最初はちっとも出来なかった唇の振動も、今や見事なまでにこなしており、息継ぎも上達していた。

 

 〝吹き合わせ〟が終わると、案の定響鬼が声を掛けた。

 

「それじゃあ最後に、俺との〝打ち合わせ〟だ。全力で頑張ろう!!」

 

「はい!!」

 

 最後に〝打ち合わせ〟が始まった。

 

 時に大きく力強く、時に細かく素早く打ち込んでいった。

 

 すると---

 

「!?斬鬼さん、あれは!」

 

「ああ、間違いねぇ。---半端ではあるが、覚醒している」

 

 龍牙本人は〝打ち合わせ〟に集中していて気付いていないが、彼の身体は〝霊気〟によってうっすらと赤い武者鎧の様なものに包まれていた。

 

 この光景は、響鬼も気付いていた。

 

(まさか、今まで俺しか成れなかった〝装甲体〟になる素質があるのか。流石はカエデさんのお孫さんだ!)

 

 驚きと感心を胸に、響鬼は龍牙との〝打ち合わせ〟に集中した。

 

 

 

 ---最後の〝打ち合わせ〟が終わり、龍牙は3人の鬼達と向かいあうように立っていた。

 

「お疲れ様。今回の修行で君には音撃戦士としての資格がある事を認めよう。そしてこれがその証だ」

 

 そう言って手渡されたのは、響鬼が持つものと同じ鬼をモチーフとした〝音角〟と〝円盤獣〟と言われる物が3枚だ。

 

「これは俺達の資格であり、また、分かり易くいう仕事道具だ。大事にしてくれよ?」

 

「わかった。今回は、色々とあり・・が、とう・・・」

 

 不意に、龍牙は意識を失い、倒れてしまった。

 

 無理もない。彼は普通の人間には耐えられない事を耐え抜いたのだから。

 

「これで、俺達の役目も終わりかな?」

 

「ああ、だろうな」

 

「では、行きましょうか」

 

 対する鬼達は、紫の炎、緑の雷、青の風となって消え去り、真っ暗な空間に龍牙だけが突っ伏していた。

 

 

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