申し訳ございません。
-長野県・山中の廃屋前-
「さあ---お前の罪を、数えろっ!!」
龍牙の言葉には、ただならぬ覇気が込められていた。周りの雑魚は完全に臆しているのに対して、鬼塚茂は怯むことなく、むしろ怒りを増幅させていた。
「なぁにが 罪を数えろだ!ふざけんじゃねぇぞっ!!」
「お前みたいな馬鹿は、言われたことに〝はい〟と答えて言われた通りにすればいいんだよッ!!」
そう言って龍牙は両手のウイングシューターを発砲して相手側の武器を撃つ。
「ぐっ!?」
「いでっ!」
龍牙の力が込められた弾丸によって射抜かれた武器は、着弾点が砕けたり盛大に亀裂が入ったりした。武器と言う武器を根こそぎ鉄くずに変えていった。
「お次は何かな?ナイフ?棍棒?それとも無意味な捨て身の攻撃?」
「ならまとめてだ!てめぇら!さっさとやりやがれ!!」
鬼塚の掛け声で、周りの雑魚はナイフを取り出したり、鉄パイプを配ったりと、簡単な獲物を手に龍牙の周りを囲む。
「ふぅん、ならこっちはハンデが必要だね」
囲まれているにも関わらず顔色1つ変えずに、龍牙はウイングシューターを両腿のハードレッグホルスターにしまった。
「銃は〝基本的には〟使わずにいるよ。肉弾戦には肉弾戦で相手してあげるよ」
特に構えることなく、堂々とする龍牙。しかし、その気配に油断は無い。
「うらぁっ!」
「遅い」
背後の男が鉄パイプを振るってきた。それを龍牙は身体を右に廻しながら右腕の甲でわざと軽く接触させながら軌道を逸らし、逸らしきった所で右拳を相手の顔面に打ち込む。
「ぶんっっ!!?」
一瞬の出来事に、反応する間もなく1人のされた。
「この!!」
「おらっ!」
「はっ!」
次々と来る攻撃をカウンターで倒す。少なくとも龍牙から仕掛ける事は無いにも関わらず、一騎当千、無双乱舞と言わんばかりの光景が広がっていった。
「なにやってんだよ!!おい!アレを持って来い!」
鬼塚の発言に応える様にエンジン音が轟いた。そこに視線を向けた龍牙。その眼が捉えたのは、ブローニングM2を載せたトラックだった。
「ふっとびやがれ!ヒャッハーー!!」
ドドドドッ!!とM2が火を吹く。しかし、龍牙は身体を軽く捻ったり、片足を上げたりと、挑発するかの様に最低限の動きで回避する。
「何で当たんねーんだよ!!---ちっ!弾切れだ」
不意にできた隙を、龍牙は逃さない。
「はあぁぁ・・・」
力を込めるかの様に息を吐き出し、それと連動して、右足を内側に半円を描く様にしながら前に出し、左手の平を上に向け、右手の平を下に向け、手の平同士を向かい合わせに、胸の高さで一瞬重ねて、真横に伸ばす。
すると足元がうっすらと金色の光を放つ。その光は何かの紋様に見えた。
左右3本ずつ計6本の角と、その中心から下に進み、先が2つに分かれ、まるで牙ようだった。
そして伸ばした両腕の左手を腰に、右手を伸ばしたまま前にもっていき、腰を少し落とす。これに連動して足元の光の紋様が、渦に呑まれる様に両足に吸い込まれる。
「ふっ!」
光が集まりきると、龍牙はその場からジャンプ。
身の危険を感じたトラックの乗員は必死になって逃げ出す。
「はあああ!!」
そして右足を前に伸ばし、跳び蹴りを放つ。これが車のボンネットを突き破りエンジンを貫く。
膨大な熱量が加わった為、当然爆発する。
「はんっ、自爆しやがったぜ」
「油断してんじゃねぇよ!」
雑魚のひとりの言葉に怒号を放つ。そう、龍牙はこの程度ではなんて事もない。それどころか---
「せいやっ!」
突然炎が竜巻となり、そしてそれとは別に棒状に延びた一筋の炎が竜巻を一閃。炎が消えた先に先程と姿に違和感のある龍牙が立っていた。
左手は肩までが青地に金のラインの入った少し丸みのある甲冑のような腕に、手には同じく青地に金のラインと棒状の物が握られており、その両端は金色の刃が付いていた。
右手は肩までが赤地に金のラインの入った少し攻撃的な印象の甲冑のような腕に、手には鍔が西洋刀のような角みたいなデザインの 日本刀のようなものが握られていた。
「これが、おばあちゃんから力を受け継いだ事で目覚めた力。この名を---」
---AGITO---
彼はそう、口にした。