※この作品はR-18です。

幻想見聞録   作:コンコルド

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第三十六項:駆逐

 -長野県山中・廃屋前-

 

 突如、龍牙が銀色の重厚な鎧に身を包み、周りは事態を飲み込めずにいた。

 

「何なんだよてめぇは!?」

 

「・・・さぁ、何だろうね?」

 

 茶化す様な口調であしらう龍牙。直後に鬼塚目掛けて走り出す。

 

 一歩踏み出す度に重たい足音が聞こえるが、それを感じさせない程のスピードで迫る。

 

「コイツゥゥ!!」

 

「遅い!」

 

 動きが大振りな鬼塚が、全体のステータスがチートの龍牙の相手になるはずがなかった。

 

「ぐぅ・・・!てめぇら何やってんだ!!」

 

「う、うわあああ!!」

 

「おらぁぁ!!」

 

 周りの連中が龍牙目掛けて全員で掛かってくる。

 

「これだから馬鹿は・・・」

 

 そう言って左手でベルトのカブト虫の角を前に押す。すると何かエネルギーがチャージされるかのような音が聞こえ、上半身の銀色の装甲がすべて身体から浮き上がる。

 

「キャストオフ!」

 

 そのかけ声で、今度は右手で角を右側に回す。

 

『CAST OFF』

 

 回しきるとカブト虫本体の左半分が左側にスライド。電子音声が響き、上半身の装甲が勢い良く吹き飛ぶ。

 

「ぐっっ!!?」

 

「あぎっ!」

 

「どわぁっ!?」

 

 吹き飛んだ装甲が周りの連中に直撃全員が倒れる。そそして今度ばかりは、重たすぎる装甲が直撃した者には死亡者が出た。

 

 また、装甲を吹き飛ばした本体は、ベルトのカブト虫と同じ色の身軽そうな薄目の装甲を纏っていた。

 

『CHANGE BEETLE』

 

  再び音声が聞こえると顎についていた棒状の部品が上にスイング。顔面を割るようについたそれはまさしくカブト虫の角だった。

 

「悪いけど、さっさと狩らせてもらう!」

 

『CLOCK UP』

 

 左腰を手で叩くと、その姿が見えなくなった。

 

「ぎゃあっ!!」

 

「ぐべほっ!!」

 

 否、目に捉えられない程の速さで動いている。

 

 雑魚は用無しとでも言うかのように、ばたばたと鬼塚の部下達は倒れる。残念な事に、皆息絶えている。

 

「そろそろお前も終わりにしようか」

 

「うるせぇぇえええええ!!!」

 

 完全に頭に血の上った鬼塚は闇雲に突進してくる。

 

「おばあちゃんが言っていた」

 

『ONE』

 

 バックル上面の左のボタンを押す。

 

「己を見失った者に」

 

『TWO』

 

 真ん中のボタンを押す。

 

「未来は有り得ないと」

 

『THREE』

 

 右のボタンを押す。

 

 そしてバックル左の展開部分を戻し、次に角のレバーを戻す。

 

「うおおあああああ!!!!」

 

「ライダー・・・キック!」

 

 角レバーを再び引く。

 

『RIDER KICK』

 

 カバーが開き、電子音声と共にスパークが頭の角に走る。そして一気に右足に移動する。

 

 移動しきった直後に正面の鬼塚の胴体に蹴りを当てる。

 

「ッ!!!!」

 

 悲鳴をあげる間もなく、吹き飛ばされ、廃屋の壁に背中から大の字に激突する鬼塚。

 

 強い衝撃故に、吐血し、また、後頭部からも血が飛び散った。

 

「・・・少なくとも初対面では、手加減してやったんだぞ?」

 

 今やただの屍の巨体に語る龍牙。そして屍は何も答えなかった。

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