山の合間を縫うように作られた舗装路を、明らかに交通事故では無い、別の何かでボロボロになった車が走っていた。
「旦那!大丈夫ですか!?」
「うるせぇ!さっさと転がせ!!」
中には鬼塚茂とその部下3人が乗っていた。
「チキショウ!あんにゃろうぶっ殺してやる!絶対にぶっ殺してやる!!うっぐ!」
「ひ、ひとまず落ち着いてくださいよ!傷が酷くなります!」
あれだけ龍牙にズタボロにされた身だ。ましてや一時的とは言え心肺停止にもなった程だ。本来死んでるところを生きているのだから。
「んでよ、てめぇが言ってたのは本当か?例の天狗の居場所を知ってるってのはよ」
「うす、はっきり言って現実味が無いだろうと思われると思って言いやせんでしたが、まさかこんな形で役に立つとはお思いやせんでした」
「何でもいいからさっさと連れてけ。その〝幻想郷〟ってとこによ。あと、本当に俺を確実に治療出来る奴が本当にいるんだろうな?嘘だったら殺すから覚悟しとけ」
「まあまあ、落ち着いてください。さっきも説明したとおり通れる時と通れない時があるんですよ。少なくとも今日の前後3日は行けますぜ」
「ならさっさとしやがれ」
「へい」
-同刻・長野県山間部・別の場所-
「 うーん、やっぱりこれが無難だね」
オスプレイで飛んでくつもりだった龍牙は、幻想郷にあれで言ったら即撃墜されると思い、結局のところ黒塗りのハンヴィー(B.S.A.A.仕様)にした。
「まあ、こっちなら何を言われても〝オタクでついつい買っちゃいました〟って言えば誤魔化せるしね」
そう独り言を言いながら、博霊神社を目指した。
-約20分後-
龍牙のハンヴィーは博霊神社の手前に到着した。
「さてと、お邪魔していいかな?」
その言葉に答えるかのように、鳥居の内側がうっすらと揺らぎ始めた。
「ありがとさん」
龍牙はアクセルを踏み、鳥居目掛けて突っ込んでいく。
最初の時と同様、ハンヴィーは鳥居の波紋に飲まれていった。
-幻想郷・博霊神社・境内-
「よー霊夢、遊びに来たぜ」
「なんだ魔理沙か」
「なんだとはなんだよ」
「あんたが来るときには決まって---」
霊夢のセリフが丁度よく鳥居から出てきた龍牙のハンヴィーのエンジン音にかき消された。
「よー霊夢、遊びに来たぜ」
ドアの窓を開け、軽い口調で言う。
「---たった今言われたわよその台詞」
「だろうと思って言いました」
「・・・はぁ、取り敢えず、その車ってのをまた裏にしまってきなさい」
「ありがとさん。それと、俺以外に誰か来たりした?」
「いいえ、どうかしたの?」
「訳ありさ。取り敢えず車停めてから話すよ」
そう言ってハンヴィーを神社裏に転がす。
この先、思わぬ事態が待ち受けているが、これは龍牙の予想を遥かに上回っているのだが、この時は察しようが無かった。