~幻想郷・博霊神社~
「ずず~・・・はぁ~、染みますなぁ~」
「そうね~」
「すごい勢いで和んでるぜ・・・」
博霊神社に着いて早々、霊夢から出されたお茶を啜る龍牙は、まるで老後をのんびり過ごすお爺さんの様だった。
因みにお茶を頂いているのは、霊夢に持ってきた差し入れを渡したら「せっかくだからお茶くらいなら出すわよ?」と言ってきたからである。
「んで、今度は何?また何か良くない事が起きそうなのだけれど」
「あながち間違ってないかな。余計なのがこの幻想郷に入り込んだみたいだからね」
「余計なって、何なのよそれは」
「忌まわしい能力を持った人間だよ。外の世界で文を付け狙ってた男の話はしたっけ?」
「まあ、それっぽい話はあったわね。んで、その厄介者がこの幻想郷に来たと言いたいのね」
「そゆこと。だからしばらく裏方にお世話になるからよろしく」
「はぁ・・・うちの家計を圧迫しないならいいわ」
「どーも」
「なあ龍牙、今回乗ってきた車も装甲車ってやつか?」
「ちょっと違うな。あれはハンヴィーって言って人乗せの車なんだ。前のよりは防御性が劣るけど、動きはいいんだ。自在に空を飛べる君達からすれば全然だろうけど」
魔理沙と話をしてると、霊夢が何かを思い出したかのように口を開いた。
「そう言えば龍牙、あなた人間の里にはもう行った?」
「人間の里?」
「幻想郷に住む人間達の里があるのよ。そこなら色々話を聞けるかも知れないわ」
「そっか、ありがとう。ところでそれはどこにあるのかな?」
「こっからなら私が飛んでだいたい西に10分くらいかしら」
「・・・To about(アバウト過ぎだー!)」
「なぜ西洋語?」
「歩いてだと大体?」
「1時間は掛かるんじゃない?」
「了解。それじゃあ明日になったら万全の体制で出発しよう。あ、霊夢、夕飯は持ってきてるから作らなくて大丈夫だよ」
「そう、分かったわ。あんたの分を作る手間が省けたわ」
ついでに出費も抑えられるわ、と付け加える霊夢だった。
◇
その日の夜、龍牙はハンヴィーの後方にタープ(テントの屋根だけのやつ)を繋げるように広げて、即興のキャンピングスペースを作った。後方のトランクスペースの口を大きく開けて、出入りがし易くする。
「随分と便利ね」
「あ、分かる?」
「それ自体はあまり分からないけど、生活するには困らなさそうに見えるわ」
「確かに、仮住まいとしてはかなり良い方だね。しっかりした生活には向かないのは当たり前だけど」
「ところで、その鍋は何で沸騰してるの?火を使って無いのに」
霊夢は、車内の電源プラグに接続されたIHクッキングヒーターと、その上の現在沸騰中のお湯入り片手鍋を指差す。
「これは外の世界の技術で、電気を原動力に熱波を放って対象に熱を持たせる道具なんだ」
「電気って、河童達が作った電池ってやつの?」
「まあそんな感じのものだよ。そしてこの沸騰してるお湯にこれを入れる」
そう言って取り出したのはパックされた五目ご飯だった。
「直接の加熱が出来ないからこうやって袋ごと入れて暖めるんだ」
「そうするとどうなるの?」
「まるで炊き立てのようなおいしい五目ご飯が食べられる。霊夢も食べてみる?」
「そうね、頂けるものなら」
「はいな」
龍牙はもう1パック追加で入れた。この後霊夢は思った以上の美味しさに舌鼓を打ったそうな。